陰翳
[私達]は彼女らを見下ろす。彼らは、目の前に[私達]があることにも気づかずに寝ていた。
「この顔を見るのはいつぶりかしら…ねぇ***」
「そうね、本当に懐かしい。彼女とは色々と関わることが多かったもの。こうして生きている彼女を見れたら…この作戦を決行するのは、少しためらわれるわね。」
「そんなの、私もよ。でもこれを実行しないと彼女も…」
「そんなこと、わかっているわ。大丈夫、必ず成功させて見せる。捕まっているみんなのためにも…必ず。そして、そのためにも…」
[私達]は決意を新たにして、彼を見る。
「ええ、彼の力は必要不可欠よ。」
「そうね…まずは[マーク]をつけなきゃね、また見失ったら流石にまずいわ。とはいってもこの調子だと、このまま博麗神社に残りそうだけどね…。」
「楽観的に考えちゃダメよ、確か彼は来てすぐに一度外の世界に帰って…」
「わかっているわ、その後[あいつ]にすぐに回収されて、無自覚に操られ彼女を殺し、そして正気に戻って精神を病んでしまい、自殺したわ。」
「そういえば、[養殖場]になる前に出てきた彼を保護してたのはあなただったわね。」
「ええ、2度とあんなことは起こさせない。必ず助ける。」
「とりあえずはマークした後、彼とあいつの動向の監視、あれが始まったら***に彼を連れてきてもらって、現在の能力を確認してそれによって、連れてくる時期を選定する。異論はないわね?」
「ええ、じゃあ。」
そう言って、***は手を彼の額にかざし、そこに魔法陣を描く。
「…これで常に彼の位置を把握できる。」
***が描いた魔法陣は回転を始め、そのまま彼の額に吸い込まれるように消えた。
「じゃあ、ひとまずは拠点に戻りましょうか…」
「そうね。」
***は何故か笑いながら私を見る
「…何?」
「いえ、そういえば次の異変を起こしたの貴方達だったなって。私は話でした聞いていないからよくは知らないけど。」
「そうね、懐かしいわ…」
そう言って私は外に出る。続いて***が出てくる。
「じゃあいくわよ。」
「ええ」
[私達]は拠点に向かうため、静かに飛び始めた