表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方時空異変  作者: 昴
3/10

幻想郷

私は悪魔としか形容出来ない姿の彼を警戒しながら見ていた。

 「な…なにあれ…?彼本来の霊力…じゃない、私がさっき流したやつと空気中に充満していたものを纏っているの…?」

 自分で言ってて半信半疑になる。たしかに私直接彼の体内に流したから、残滓があってもおかしくはないが、空気中のものを自発的に操るなんて技術としてはありえない、能力であっても外にあるものを操るのなんて聞いたことがない。もし、そうだとしたら彼が力尽きることはない、ある意味最強なのかもしれないが…

 (操るなんていっても量があるはず…人間の体には必ず限界がある、私みたいな一部の例外を除いてだけど

…彼がその例外であるはずもない、ならあれは見た目ほど量はないのだろうか…)

 ある程度対処の仕方に目処がついた今、ひとまず彼の意識を失わせなければいけない、見たところ明らかに制御が効いているようには思えない。

 「とりあえずは様子見ねっ…と!」

 私は彼の意識を刈り取るため、彼の背後をとった…

はずだった

 着地して、目を一瞬離した先に消えていた

 (な!?どこにいったの!?)

私はあたりを見ようとした瞬間、怖気がして反射的に後ろに飛んだ。

 瞬間上から何かが降ってきて、地面に風穴を開けた。その正体は予想するまでもなく、彼だった。彼は地面に拳を突き立てた状態で私をじっと見ている。

 「やっぱり、私を明確にねらっている…あまりの怒りに意識がのまれているのかしら…」

 そう考えると、彼を倒すのはお門違いなのかもしれない、何せ私は彼を半殺しどころか、ほぼ間違いなく殺していたのだ。

 だが、そんな呑気に考察してる意識とは裏腹に、強烈な殺気に体が勝手に反応し、いつでも攻撃できるように警戒している。

 そして見た

 穴の中央にいた彼が転移したかのように眼前に現れた

 (嘘!?何も見えなかった!?)

 「ぐっ!」歯を食いしばり、くるべき衝撃に備え防御姿勢を取る。その直後

 「霊夢!!!!」

 と、呼ぶ声と共に彼が左向き、声の主を捉える。そして、彼は私にぶつけようとしていた力を手に集中させ、自分を覆う程度の結界を張った。直後、そこに何かがぶつかって彼を私から引き離した、しかし私も突然のことに反応できずに、衝撃によって吹き飛ばされた。









私…霧雨魔理沙は今、親友の霊夢の家に向かっている途中だ。

珍しいキノコが沢山取れたから、霊夢に毒見…もとい味わってもらおうと思ったんだぜ。それにしても…

 「なんなんだぜ?さっきからこの気配は?」

 明らかに博麗神社の方から、嫌な気配を感じ始めていた。そしてそれは、近づくにつれてよりはっきりと感じ取れるようになっていた。

 「大丈夫かよ霊夢…」

 あいつは博麗の巫女で、幻想郷最強だ。それは疑うべきもないが…

 「あーもう!なんかイライラしてきた!全力で行くぜ!」

 私はとったキノコの袋をそのまま下に捨て、ミニ八卦炉に魔力を流す

 「恋符マスタースパーク!」

 [スペルカード]を使った

 私のスペルカードはシンプルに魔力をそのままビームとして敵に向けて放つだけだが、今回はそれを推進力として使い、一気に加速する。

 「お、見えてきたぜ!」

 凄まじい加速によって一瞬で神社が見えてきた。しかし、まさに目当ての霊夢は今まさに誰かと交戦中のようで、黒っぽい何かに向けて構えている。そして次の瞬間、その黒いのは凄まじい速度で霊夢の眼前に迫る。

 「な!?くっそ、間に合え!霊夢!!!!!!!」













 吹き飛ばされた私は空中で、体勢を戻し着地する。

だがその間にも状況は変化していく。彼に向けて飛んできた何かは魔理沙だった。

 「え!?魔理沙!?」

 そしてその魔理沙は私を吹き飛ばしながら彼にぶつかり、そしてだいぶ後退させたところで止められていた。既に一寸も動いてない。

 「こんのぉ!!さっさと吹き飛べこの化け物ぉ!」

 そして八卦炉から出るビームは勢いを増すが、まるで通用していない。そして、流石に限界がきたのかビームが途切れた瞬間、結界にヒビが入った。それを見た魔理沙は笑いながら

 「残念だったなぁ化け物!これでもくらえ!魔砲!ファイナァァぁぁぁ!?」

 魔理沙が最強の技を出そうと八卦炉を突き出し、スペルカードを唱え出した瞬間に結界が壊れ、魔理沙の乗っている箒の先端を掴む。流石の魔理沙も驚いて、スペルカードを中断してしまった。そして…

 「うっそ!うわっ!ちょっとタンマ!!お、お、おぉぉぉぉおおぉぉ!?!?うぎゃあ!!!!!」

 彼は勢いをそのままに自分を中心に回転し出し、そのまま手を離した。

 魔理沙は箒ごと神社の真上くらいまで飛ばされるが

そこで踏みとどまった。

 「あっぶねぇ落ちて死ぬかと思ったぜ。」

 魔理沙は手の甲で、汗を拭うフリをする。

 (見た感じは元気そうね)

 魔理沙に怪我がないことを横目で確認しつつ、彼への対策を考える。

 「対策と言っても一体どうすればいいのかしらね…」

 正直手立てが思いつかない…いや、簡単だ、きっと最初から彼の目的は私を殺すことなのだ、魔理沙を巻き込む前に…

 「……おい霊夢」

 「うわぁ!?魔理沙!?びっくりしたわー」

 突然話しかけるのはやめてほしい。そして魔理沙は彼のことについて聞いてきた

 「何あの化け物!強すぎだろ!勝てんのかよあんなん!?」

 「さぁね」

 彼女の頬を汗が伝う

 「おいおいどーすんだよ、まだ余力は全然あるが正直全て無駄になる気がするぜ…とりあえずスペルもあるし、ひとまずぶっ放してみるか?」

 彼女が珍しく考えている

 「やめときなさい、あなたの言う通り無駄になると思うわよ、てか打つ前にやられるわ」

 だよなぁと肩を落とす魔理沙。しかし妙だ。こんなにも無駄話をしているのに彼は全く動く気配を見せない…しかし、彼は強烈な怒号を発してあたりを突然吹き飛ばし始めた

 「うわ!」

 「きゃあ!」

 私と魔理沙は揃って吹き飛ばされた。そしてそのまま上空へと逃げる。

 「さてどうする霊夢、あいつ飛べなさそうだしこのまま尻尾巻いて逃げるか?」

 「そういうわけにもいかないでしょ!とりあえず私が[夢想封印]で表面の霊力を剥がすから、その隙にあんたは衝撃でもなんでもいいから彼を気絶させて。間違っても全力で攻撃しちゃダメよ!」

 「え?全力じゃダメなのか?」

 「ダメよ、わけは後で話すけどあの人を殺すわけにはいかないの!」

 わかったのぜ、と少し物足りなさそうな返事をして下を見るそして驚愕に染まり、すぐに私の方を向くが、彼女が声を発するより早く何に驚いたのか理解できた、なぜなら彼女の真横に彼が飛び上がってきていたから。私は魔理沙を掴んで後ろに投げるて身代わりになろうと覚悟した瞬間、私達がいるさらに上から声がした。

 「[龍符!ドラゴンズグロウル!]」

そう聞こえたと思ったら、一瞬目の前を青白い光が通り過ぎて、彼を下に叩き落とした。いきなりだったため、唖然としていた私だったが、すぐに我を取り戻して、上を見ると…

 「危なかったわね、霊夢」

 白い腕にさつま芋の入った袋を抱き抱えて、右の包帯が巻かれている腕で竜を撫でる、仙人 茨木華扇がいた。 

 一体何があったの?と聞いてくるこの仙人も彼を簡単に軽く吹き飛ばすあたりなかなか化け物だと思う。

しかし、ゆっくりと余韻に浸れたのは一瞬だった。すぐに何かが割れるような音が下からした。

 「!?なに今の音!」

 すぐに下を見ると彼を覆っていた黒いオーラがなくなっていた、しかしそのオーラ…霊力はそこらじゅうに散り散りになり、すぐに見えなくなったと思ったら、すごい地震のような音が鳴り響く

 「もう!なんなのよ、いい加減説明してよ!」

 華扇が、痺れを切らしたかのように聞いてくるが、正直それに答えてる暇はない。

 「話は後!今はちょっと手伝って!華扇は向こうにいる魔理沙回収してきて!」

 え、ちょっと待ってよ!と華扇は言うが私にはもう聞こえていなかった、なぜなら、彼が落ちた穴の蓋が溶けるかのようにドロドロとなり、彼がそのまま埋まりそうになっていたから

 「こんのぉ!」私は全力で飛び、彼の手を掴んで全力で引っ張り上げ、そのまま上に戻った。もしかしたら肩が外れているかもしれない。

 私がそのまま下を見ていたら、心配そうな顔をした魔理沙と一緒に上がってきた。

 「ちょっとお前どう言うつもりだったんだよ!絶対食らったたかも思ったぞ!まぁ華扇のおかげで事なきを得たっぽいが…まぁそれはいい、これ今何が起きてるんだよ!そしていい加減我慢の限界だ!こいつは誰なんだよ!」

 「そんな事私に言われたって知らないわよ!私が知ってるのは彼が外の世界の人間だった事!」

 初めて聞いたからか二人揃って驚いてる

 「……なぁ、外の人間ってこんなことできるもんなの?」

 「そんなの知らないわよ」

 今、私たちの眼下では現実離れしていることが起きている。

 戦闘でボコボコになった地面は溶けたような泥が穴満杯まで溜まるとそのまま固まり、何事もなかったかのように平らになった。神社の前の道も何がどうなったのかと言う感じで、綺麗に戻っていた。そして戦闘の余波で見るも無惨になっていた神社は、新築とは言わないまでも、何故か最初よりも綺麗にっている気がする。

 「…不思議ねぇ、今までの事が全部無かったことになったみたい」

 この言葉で、私は気づいた。最後まで彼は認められなかったのだ。自分が、人間離れした強さを持っていることが。そんな簡単なこともわからず私は彼を追い詰めに追い詰めたのだ、精神的にも、肉体的にも。

 「ところで霊夢、その子どうするの?もし養う余裕がないなら私の…

 「いえ大丈夫、大丈夫だから」

 今まで謝っても謝り切れないほどひどいことをしたのだ、これ以上酷いことは…具体的にはあの地獄のような修行を彼にさせるなんて私にはとてもできない。

 華扇がジト目でこっちを見ていた

 「…大丈夫ならいいのだけれど、今失礼なことを考えなかった?」

 …無駄に感の鋭いやつ

 「なんなことかしらね、じゃあせっかく神社も直った事だし、みんなでゆっくりしましょうか。」

 魔理沙がこっちを心配そうに見ていた

 「なによ、どうしたの?」

 魔理沙はますます真剣な顔になって言った

 「いや、お前本当に何があったんだ?面倒ごとが片付いたのに宴会を開こうとしないなんて」

 「そんな気分じゃないわ、それに今回をいつもの異変とするなら、首謀者は私かしらね」

 「…まぁそれも含めて後でしっかりと話を聞くとして、とりあえず中に入りましょうか。お邪魔するわね。」

 魔理沙は無言で入っていった。そして私は彼を布団に寝かせ、二人が座ったのを見て話を切り出した

 「さて。何から話していいのやら…」

 「その話、私も混ぜてもらえるかしら?」

 突然真横から声がした。

 「いっつも突然現れるのやめてって言ってるでしょ紫。」

 こいつは自称妖怪の賢者の八雲紫。スキマ妖怪で、いつもこんな感じで何もない空間から湧いてくる。しかもこの妖怪は実際に只者ではないそうで、幻想郷を囲う博麗大結界の誕生にも一枚噛んでいるらしいが、よくは知らない。まぁとりあえず厄介な妖怪よ。

 「なんであんたまで入ってくるのよ…」

 「あら、鈍いわね。みなまで言わないとわからないかしら?」

 「なんだよ、お前らだけで話さないで私らも混ぜろよ!」

 魔理沙が口を尖らせながら言う。

 「そうね、当事者をほったらかしで部外者と会話するなんてちょっと我慢ならないわね」

 「あら、その言い方だと私が部外者みたいじゃない」

 「実際そうでしょ…いや、あんたまさか!」

 「やっとわかった?彼を幻想郷に入れたのはこの私!…と言いたいのだけど、実際には少し違うのよ」

 含みのある言い方をする紫

 「どういうこと?いつものようにあんたの気まぐれで連れてきたんじゃないの?」

 「ええ、そうよ?ただ今回は気まぐれじゃなかったけど、そこはいいわ。私が結界を超えさせて、そのまま私の住処に連れて行こうとしたのだけど、邪魔をされてね、今あなたたちが暴れてくれてようやく場所がわかったから、落ち着いた今顔を出したって感じね。」

 「邪魔って誰がしたの?」

 思わずといった様子で華扇が聞く。 

 「それがわかれば苦労してないわよ。」

 「ふーんじゃあ、あんたはその邪魔したやつを探していると。そういうこと?」

 「正確には違うのだけど、まぁ概ねそんな感じね。

まぁ本来ならこのまま回収できればそれもいらないんだけど…」

 「それを聞いて私があんたに引き渡すと思ってるの?」

 「そーだぜ!お前みたいな妖怪に引き渡すわけないだろ!」

 ここぞとばかりに会話に混ざる魔理沙

 「ま、そうなるわねぇ。残念ねぇ、目的を達成できなくて」

 何故か華扇が紫を煽っていく。紫は一瞬華扇を睨んだが、すぐに私に向き直り

 「まぁでも、ここにいるのがわかれば最悪いいわ。完全に見失ってるさっきよりはマシよ」

 「なら、余計な手は出さないほうがいいかもね」

 「…わかってるわよ」

 さてとじゃあ

 「それじゃあこの妖怪の入ったせいで話がごっちゃになっちゃったけど、当初の話に戻りましょうか」

 「そういえば彼の話だったわね」

 「ああ、すっかり忘れてたぜ」

 そして私は紫を含めた3人に説明した。彼の話、そして私と会ってから何があったのかを………










     


     夢を見てた気がする…




 「お前………で……僕…で……られた……ねぇか」

 「うる……そ……ばっか……やがっ……!も……終わっ……だろう」

 「お前が……めることじゃ……だよ!」

 「いい加減黙れよ!お前が俺らのせいで印象悪くなっただのほざいてるけどな。元々お前だけ低いから変わんねーんだよ!」

        ……だまれ……

 「いちいち終わったことでネチネチと気持ち悪いんだよ!いい加減水に流せよ!」

        …黙れ黙れ…

 「だからお前嫌われてるんだよ、全員言ってるぞ?今年はハズレを引いたって」

       ……ダ…マ………レ

 「こんな程度なら、もう先が見えたようなもんだな、ご愁傷様!」

   黙れ……黙れ…黙れよ…黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れだまれだまれだまレだマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレダマレ黙った







     ……僕は悪くない…



     ……悪いのは全部あいつらなんだ…



     なのに……どうして……

どうしてこんな目に遭う?どうして全身から血を吐き出させなきゃいけないんだ?どうして腕を千切られてふくらはぎを潰されなきゃいけないんだ?どうして肺を潰されなきゃいかないんだ?……どうして?




      も う い い や

    誰 か わ か ん な い け ど

 死んじゃえ…しね…シネ…死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネしね死ね死ねシネシネシネシネシネシネシネしねしねしねしね死ね死ねシネしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしーーーーーーーーーーーーーーーーーー




















 「はっ!」

 気が付けば既に夜だった。僕は大量の汗を吸った白い小さめの着物を着ていた。

 「はぁはぁはぁはぁはぁ……」

 なんだかすごい怖い夢を見た気がする、覚えてないけど、何か…怖かったのを強く覚えてる

 「こ、ここは?」

 何故か寝る前が思い出せない、何があったんだ…!

 「ここは幻想郷の博麗神社よ」

 「!?」

 暗くて見えないが前の方から声が聞こえた、女の子っぽい声だ。

 少しの間集中すると前に女の子が座っている。髪を下ろして、白い着物を着ている子だった。そして彼女を見て、思い出した。全て。よくわからない森で死にかけて助かったと思ったら……この女に…

 気づけば僕は女の子の前に座っていた。女の子も…霊夢は微動だにせず、ただ僕を見ている。

 そこから、少し長い沈黙が続いた…

 「なんで…」

 最初に沈黙を破ったのは僕だった。何をいうかも決めずにしゃべってしまい、言葉に詰まる。

 「………」

 霊夢は相変わらず無言だ。そしてまた僕が喋り出す

 「なんで、殺そうとしたの?」

 自分でもびっくりするくらい落ち着いた声だった

 「どうしてそんなことを聞くの?」

 返ってきたのは答えではなく、疑問だった。霊夢は今にも泣きそうな顔をして、泣きそうな声で、話す。

 「私は…あなたを殺しかけた。ううん。死ななかったのは運が良かっただけ、ほとんど殺したも同然。だから私は…目を覚ましたあなたに何をされても許容するつもりだった。正直殺されても文句なってなかった」

 彼女は声を張る

 「あ…あなたに、襲われて…お、犯されても、全て許容する覚悟でここにいたのに!どうして…どうしてそんなに落ち着いてるの?どうして!?目の前に!あなたを殺しかけた女がいるのに!どうしてそんなに、落ち着いてられるの!?めちゃくちゃにしてやりたいでしょう!?殺したいでしょう!?……どうして…どうしてなにもいわないのよ!」

 彼女は涙を流しながら叫んでいた

 僕は諭すように言った

 「確かに僕は君のせいで死にかけた、でも…ほんの少しだけ覚えてる、あの後に、君と………何人かの女の子に襲いかかったのを…僕は結果的に誰も傷つけなかった。それと一緒で君にやられたあと、結果的に僕は死ななかった。結果論だとしても、僕は死ななかった。だからもうなんとも思ってないよ。」

 彼女は言う

 「なんでよ……なんでそんなに簡単に許せるの?なんで?私は!あなたからの報復を受けないと、気が済まないの!あなただけが一方的に傷つけられて、それで終わっていいはずがない!…本当は恨んでるんでしょ?私の事を殺したいくらい憎んでるんでしょ!?正直に言ってよ!」

 僕は無言で立ち上がり、霊夢に近づいた










 彼が立って近づいてきた

 (ほら、やっぱり恨んでるんじゃない。そうよ、これでいい。これで、私だけが苦痛を味わわないのは間違ってる。私何されるんだろ、拷問でもされるのかな?それともすぐに殺されるのかな?それとも犯されるのかな?彼になら何をされても!?)

 考え事をしていたら突然に頰を張られた

 「……え?」

 そのあと、彼は私を抱きしめた

 「な……なにを…」

 彼は照れ臭そうに言った

 「何って…その…罰だよ。ほら、女の人って好きでもない人に触られるのって嫌だって言うし、それにやっぱり、泣いてる女の子を放ってはおけないよ、だから、この不細工に抱きしめられるのが罰。」

 「な…なにいって…ば…ばかなんじゃ…」

 限界だった、あんな事をしてなのにこんなに優しくしてくれて…もう、泣くのを我慢できなくなった

 「うううぅぅっ」

 せめて鳴き声をあげたくないから、彼の体に精一杯顔を押し付けて、聞こえないようにしようとした。

 私は泣きながら、なぜ彼がこんなに優しいのか、とか男の人って体大きいなとか余計な事を考えてるうちに、なんとか涙はとまった。

 「….…ねぇ」

 「何?」

 「名前なんていうの?結局私しか言ってないし…」

 確かにと、言って彼は笑う

 「僕の名前は、翔。寺田翔っていうんだ」

 「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあこれからよ、よろしくね…翔」

 そのまま安堵したことによって一気に押し寄せてきた睡魔に身を委ね、そのまま私は意識を落とした。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ