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#05 結婚を知った日から煌めいてました
恋を知った日には、もうそれが恋だと確定しました。
それでも、その先がなかなか見つかりませんでした。
好きだとしても、好きが具現化され、証明されることは無いと思っていたからです。
あなたは私よりも幼く、言葉も喋れないほどだったので、恋が歩き出すことはありませんでした。
そして、結婚という制度を知りました。
結婚という制度を知ったとき、紙に書き込むという行為から、恋が具現化できるように思えました。
結婚という具体的な目標が出来たことで、人生は煌めいていきました。
しかし、あなたが結婚出来る年齢になっても、会うことは許されませんでした。
いつしかあなたを、煌めきそのものとして捉えるようになっていました。
ある日、あなたらしき人物からメールが来て、会うことになりました。
それがもし、なりすました他の誰かで、本人ではなかったとしても、会わない選択肢はありませんでした。
待ち合わせ場所に着くと、すぐに誰かに抱き締められる感覚がありました。
後ろを振り向くと、そこには私を抱き締めるあなたがいました。
今の私はこの世界で一番、煌めいている。
そんな気がしています。