#04 結婚を知った日から焦ってました
結婚は人生最大のイベント。
そう、本に書いてあった。
結婚というものに乗り遅れると、惨めになるらしい。
だから、小さい頃から努力してきた。
料理を積極的にしたり、掃除もすすんでやった。
家事だけではない。
メイクや美容に至るまで、一通り磨いてきた。
結婚制度を知る前から、ずっと好きな人がいた。
それは、好きという事柄を知ってすぐの出来事だった。
それから、ずっとずっと彼を見ている。
結婚が出来る年齢になった今も、彼のことが好きで堪らない。
でも、結婚というものを知ったせいで意識してしまった。
まったく、本来の自分が出せないまま、時間は経過していった。
そこから、フラれた想像をしたりした。
会えなくなる不安と焦りが溢れ出していた。
相手は、絶妙な距離を取りながら、ずっと優しく優しく接してくれていた。
今日が私の誕生日。
今日から結婚出来るようになった私は、今からプロポーズに挑む。
結婚を知った日に、焦って考えたプロポーズの言葉で。
呼び出した彼は、いつもと変わらない表情をしていた。
いつもの距離感を保ったまま、彼は優しさを放っていた。
私は力の限り想いを伝えた。
すると、食い気味に彼はオッケーしてくれた。
結婚の焦りから解放された瞬間だった。
だが、その瞬間に、新たな焦りが生まれた。
今度は子供に関しての焦りが、私を縛り始めていた。