#02 結婚を知った日から諦めてました
結婚はしたいけど、そんな欲を出しては駄目。
私は、誰かの大切な人になんてなれない。
結婚という制度は、たぶん私に適した制度ではない。
その制度を知ってから、かなりの月日が経過した。
今になっても、恋愛に発展する欠片は何処にも落ちていない。
自信というものが、だいぶ底の方にいる。
自信を持たなければ、人も寄って来ない。
だから、友達も出来るはずがない。
申し訳無さから生まれた、近寄らなくていいよオーラを、放ってしまっているのかもしれない。
ある日、気を遣って生きている男性と出会った。
その男性は、私よりも人を傷付けないように頑張っていた。
でも、私と全く違う部分がひとつ存在した。
それは、気を遣うことから楽しみを得ているということ。
それがないと、幸せを感じられないのだという。
「僕と、友達になりませんか?」
「あっ、はい」
その男性が、私の初めての友達だった。
私に対して男性は、さりげなさのない優しさを剥き出しにしてきた。
そして、友達関係に慣れてきたとき、男性に告白された。
「僕と付き合ってください」
私は言葉に詰まり、必死で言葉を紡ぎ出そうとした。
「私、自信を全然持っていないんです。自分を好きになれないんです。だから、人を好きになる段階まで、まだ来ていないんです」
「僕はあなたの気持ちを、自由自在に操れる気がします。気遣いが好きだから」
私の頬には、笑みと雫が溢れていた。