#10 結婚をした日から焦ってました
結婚はずっと憧れていた。
ずっとずっと前からしたいと思っていた。
今までに、何人もの素敵な男性に巡り合ってきた。
いい男性もいたが、悪い男性の方が遥かに多かった。
理想から離れている人もいたけど、結婚生活を想像できる人も何人かいた。
この胸に決めた人は、今までに二人だけ。
でも、タイミングが合わず、結局、結婚には至らなかった。
ひとりで定食屋にいると、隣の紳士が話し掛けてきた。
定食屋はひとりで入ることが多かった。
ひとりで定食を食べることで、和みを得ていた。
会社の若い人とは話が合わない。
そんな理由も少しだけあった。
その紳士とは、食べ物の話で盛り上がった。
好きな食べ物の話や、焼き魚の話に花が咲いた。
その紳士といると、楽しかった。
今までに無いくらい心が弾んだ。
自然体で、リラックスすることが出来た。
その日から、脳のどこかには、必ず紳士がいた。
その後、電話やデートをして、関係を繋いだ。
ある日、大事な話があると言われて、愛の告白だと予想した。
まだ、手を繋がないくらいの関係だったから、恋人という一線を越えられるかもしれないことに、喜びが滲んだ。
しかし、それは、まさかのプロポーズだった。
もう、私は結婚適齢期ではない。
今を逃すと、子供を授かるには、難しい年齢になる。
子供は好きだから、いつかは欲しいと思っていた。
私は、そのプロポーズを素直に受け入れることにした。
真面目な人で、結婚しても真面目な関係が続いた。
私の身体に、触れて来ないこと以外は完璧だった。
私はそういう関係に、我慢が出来なかった。
帰ってきた夫が、ただいまという間もなく、キスで唇を塞いだ。
息が出来ないくらいの深さまで、愛はやって来ていた。




