#01 結婚を知った日から決めてました
結婚は正直、したくありません。
結婚をすると、ひとりの時間は確実に減ってしまいますから。
人を避けるという行為を行えば、人にも当然、避けられてしまいます。
そんなこともあって、今はひとりに浸りかけています。
結婚という制度は、だいぶ早い段階で知っていました。
幼い頃にはもう知っていて、だいたいは理解していました。
その頃から、結婚をしないと決めていました。
恋を知った日に、恋をしないと決めていました。
友達という概念を知った日には、友達も必要ないと思っていました。
そしてずっと、一人で生きて来ました。
種類は関係なく、何かに触れるだけで、心臓が絞られる身体になってしまったのです。
「ねえ?聞きたいことがあるんだけど?」
机で寝ていると、クラスの女子が話し掛けてきました。
顔を上げると目の前には、美しい顔がありました。
クラスメイトの顔は、正直よく分かりません。
ほとんど興味がありませんから。
「私ね、あなたみたいな人を見ると可愛いなって思ってしまうの」
不意をつくフレーズに、心が泳がされているような感覚が襲ってきました。
友達は要らないという制限は、取ってもいいかなと思えるようになりました。