8話
翌日の朝を迎えるまでに4往復して、天然水
は20ℓ運べた。学校に行く前に薬草と体力回復薬を作れるだけ作ってから家を出た。
「おはよう、お、健太今日は早いな、なんかあったと?」
「おう!たっつん!おは!いやいや聞いてくれよ!カナちゃんがさ〜」
「ハハ、それは仕方ないだろ、健太が悪いな」
どうやらこないだカナちゃん先生から呼び出しくらった時に、次遅刻したら推薦取消宣告をされたらしい。健太は脳無いからバスケ推薦で近くの高校に入る予定なのだ。因みに舞も健太と同じ高校に同じバスケ推薦で入る予定だ。
「まぁ、それとは別に今日の1限は体育だからな!遅刻する訳ないばい!」
「今日の体育はバスケだもんな、俺も一番好きな授業だ」
バスケ部のガチ勢は体育でやるゆるーいバスケが結構好きなのだ。
「ケンちゃん〜たっくん〜おっはよ〜」
「おう!カノンおは!」
「おはよう」
「たっくん、体調はもう大丈夫と〜?」
「大丈夫だよ」
「そっかぁ、良かった良かった〜」
「みんな!おはよう!着席!」
カナちゃん先生のお出ましだ。今日も妙に威圧的な態度が可愛いな。
「伝達事項は以上だ!1限体育!遅れんなよ!解散!」わ
女子は教室で着替えてから体育館へ、男子が着替えるのは廊下だ。と言っても男子は殆どが制服の下に体操服を着ており着替えは脱ぐだけなんだが。
俺が通っている中学は全校生徒400人程で1学年に約130人前後、1クラス40人の3クラスに分かれている。男女比はほんの少しだけ男子が多いくらいで殆ど変わらない。部活動が割と盛んでサッカー部と野球部は毎年全国に出る程の強豪である。バスケ部も去年、俺達の引退を掛けた大会では全国ベスト8まで行き、校内ではかなり注目を集めた。普段から県大会には出場できるレベルの部なのでおかしな事ではないのだ。バスケ部は男子が40人女子が30人とかなりの人数がおり人数だけならバスケ部が校内1位だ。
・・・・
「はい、では今日はバスケットボールです。男子と女子で別れてチームを組んで下さい。茅野さんは男子チームに入って下さいね。」
「はーい」
舞は女バスの中でも頭1つ抜けている。ミニバスの頃から男子に混ざって俺達の練習について来ていたのだから当然と言えば当然だが、まぁミニバスも公式戦では男女別れる為舞はいつも外から見ているだけになっていたが。
俺と素人4人がAチーム。健太と素人4人のBチーム。舞と男バス2人に素人2人のCチーム。男バス4人に素人1人のDチーム。
いつもこんな感じのチーム分になる。俺と健太はバスケ部でもスタメンで俺はPG、健太はCのポジションなのだ。他のメンバーが素人と言ってもサッカー部とか野球部の奴らは結構動けるので差はあってないようなもんだ。
健太は中3にして身長187㎝、俺も180ギリギリあるので、体格は恵まれた方だろう。
最初はA対B。まぁ俺対健太の勝負になるんだが、まぁ、PGとCの勝負は大体決まっている。周りが経験者なら勝負は分からないが、周りは素人だ。こうゆう場合、殆どが俺と健太の1on1になる。実力の変わらない者通しの1on1だとPGが一番強いと決まっている。何故ならPGにはハンドリングの技術が求められ、1on1が強い人の特徴として高度なハンドリング技術があるのだ。
結果、24対13でAチームの勝利だった。
「くそぉ!やっぱたっつんは強ぇばい!」
「まぁ、俺に有利な条件だったもんな」
次はC対Dで舞のいるCの勝利。舞の3ポイントシュートがスパスパ決まっていた。
その後、全てのチームと総当たりして今回俺のチームは全勝する事ができた。ビリはDチーム。片付けだ。
次の授業は数学だったが、先生が自習をいい
渡しクラスの半分以上は寝ていた。3限は国語、4限は社会。3年生はここで下校だ。
「たっつん、カノン、じゃまた明日な!」
「ケンちゃんばいばい〜」
「おう、またな」
その後、いつも通りに舞を送って帰宅した。
「ん〜、まだ13時か、BBAが来るのは夕方だからまだ時間があるな、なんか錬金するかな〜」
俺は錬金リストを思い浮かべて、ある物を作成する事にした。
・迅速の羽衣:加速薬、髪の毛、唾5g、プラスチック製のコップ、食パン
素材の変化球もいいとこだろう。加速薬の素材はこんな感じ。
・加速薬:泥10g、水10g
要は泥水だな。何故加速薬たる物になるのか不思議でならないが、迅速の羽衣も加速薬以上に不思議なので仕方ない。因みに効果はそれぞれこんな感じ。
・加速薬:服用により効果を発揮する。自身の行動に加速補正がかかる。
・迅速の羽衣:装備者に効果を発揮する。自身の行動に絶大な加速補正がかかる。
見た感じどのくらいの補正がかかるのかは分からないが体力回復薬の効果からしてかなりの代物になりそうな気はする。
家に無いのは加速薬の素材である泥と食パンだけなので、ローソンで食パンを買って帰りに近くの田んぼから少し泥を拝借させて貰う事にした。
田んぼから泥を拝借する時はなんだか泥棒している気分でドキドキしたが恐らくバレる事無く取れただろう。バレた所で特に何も無さそうだが。
いつも通りテーブルに泥10gと水10gをペットボトルに入れて準備し指を2回鳴らす。
パチンッパチンッ。
泥は無くなり、 水を入れていた方のペットボトルの底に黄色い液体が溜まっていた。尿みたいと思った事は忘れよう。
次に、今作った加速薬、髪の毛、唾5g、プラスチック製のコップ、食パンをテーブルに並べる。本当にこのラインナップは謎としか言いようがないが、これで羽衣が出来るなら問題ない。重要なのは過程ではなく結果だ。
パチンッパチンッパチンッパチンッパチンッ。
今までよりも少しだけ光が強かったが、迅速の羽衣も問題なく作成できたみたいだ。羽衣ってくらいだからこうヒラヒラゴワゴワしているイメージだったんだか、黒を基調としたコートと言った方がしっくりくる。あんまり目立つ物だと人前で着れなくなる所だったので嬉しい誤算だ。
早速迅速の羽衣を羽織って近くの山で性能確認をしようと思ったんだか、その必要は無かった。
家を出てから山への道は一直線で曲がる場所も無いのだが、自転車で10分くらいはかかる道なのだ。だが迅速の羽衣を羽織って軽いジョギング気分で一歩踏み切った所、一歩で推定20mくらい進んだのだ。恐らく俺と同じ身長体重の人間が一歩で20m跳ぼうとすれば踏み込み地点の地面は抉れてもおかしくは無い筈なのだが、戻っても特に異変は無かった。もう物理法則とか空気抵抗とか科学的な常識みたいな物をガン無視した事だろう。
結果、山まで自転車で10分かかっていた所なんと30秒で到着。距離は2キロ程なので時速換算すると時速350㎞近く出てる事になる。普通車の倍くらいですね。この羽衣マジやばい。俺いつの間に車より早く移動出来るようになったんだよ・・・。さっきだけど。なんか胸張って歩けない気分だわ。しかもこれまだ本気のスピードじゃないんだよな・・。
まぁこんな感じで性能テストは呆気なく終了させ、帰り道はゆっくり歩いて帰った。