6話
今俺の下着の中にはドングリと松ぼっくりが10個ずつ入っている。
チクチクゴワゴワする感触に耐えながら布団に包まってうつ伏せで寝て過ごす事にしたのだ。
学校が昼で終わり夕方までバスケ部のコーチをしてから帰宅。近くの山でドングリと松ぼっくりを拾い19時ぴったりからパンツへと投入した次第である。
母さんと父さんはこんな子に育てた覚えは無いだろう。俺もこんな子に育った覚えはない。だが、男にはやらなければいけない時があるのだ!!
日曜日の夜19時。
漸くチクチクから解放される時間だ!少しばかりこの感覚に慣れ始めた所だった。戻れなくなる前に止めが効いて良かった。
1つずつだすのも面倒なのでパンツを下ろす。2日間風呂にも入っていないパンツだ。さぞかし臭うだろう。ドングリと松ぼっくりの重さでパンツのゴムが伸びてビヨンビヨンなっている。
ここでふと気づいたんだが、条件には下着の中で保管と書いてあった。もしかして別に下着は履いてなくても良かったんじゃないだろうか??そんな考えが頭をよぎったが、やってしまった、やってしまえた物はもうよいのだ。
下着保管したドングリと松ぼっくりを鍋を使って蒸し焼きにしていく。十分蒸した所でお皿に盛り付ける。
他の食材と一緒に。と考えたが、もしダメだった場合にもう一度食べるのは嫌だったのでそのまま。素材の味を楽しむ事にした。
結果から言おう。ゲロまずかった。松ぼっくりはまぁ食べれない事はないんだが、ドングリがヤバかった・・。もう二度と食べたくない。みんな、ドングリ。食べちゃダメだぞ。だが、収穫はあった。
・能力:強制閲覧、錬金術
無事、錬金術の能力を入手出来た。錬金術は能力を入手した瞬間、使い方も同時に理解出来た。
・錬金術錬金表:体力回復薬、精神力回復薬、損傷回復薬、欠損回復薬、視力回復薬、筋力増強薬、etc
これまた色々な物があった、薬系のやつが100個くらい、後自動車とか、飛行機とかもあったし、最後の方に金とかダイヤモンド。オリハルコンやアダマンタイトとかのファンタジー鉱石もあった。
リストから作りたい物を選択すれば素材が表示される。例えば、体力回復薬。
・体力回復薬:薬草10g、天然水500ml
天然水は取りに行けばいいが、薬草は恐らく地球には存在しない。但し、薬草は錬金術で作る事ができる。
・薬草:キャベツ10g、水100ml
薬草の素材はまさかのキャベツだった。キャベツに回復効果でもあるのだろうか??そんな話は聞いたことないが。早速近場のスーパーにキャベツを買いに行く。21時までの営業なので結構ギリギリだった。
天然水はコンビニの物じゃダメみたいだ。持った時に素材として適しているかが分かる。恐らく山の上流に行かないとダメだろう。
薬草の素材に必要な水は水道水でも大丈夫だったので、今日は薬草だけ作る事にした。
水は幾らでもある。キャベツはひと玉で1kgあったので作ろうと思えば薬草を100個作れる。今日は取り敢えず実験的に1つだけ作る。
錬金術のやり方は素材となる物を自分を中心に半径1メートル以内に用意して、作りたい物をイメージし、素材の数だけ指を鳴らす。これは錬金術の能力を得た時点で脳内にインプットされた。
テーブルにキャベツ10gと水100mlをコップに注いで準備する。今回の場合は指を2回鳴らす事で錬金術が発動する。
パチンッパチンッ。
キャベツと水が一瞬光を帯びる。次の瞬間コップにあった水は消え、キャベツが形そのままに発光していた。
神端末で見ると、
・薬草:微量の擦り傷を癒す効果のある草。
薬草単体でも回復効果があるらしい。発光してはいるが光は強くない。直視しても全く眩しくない。
取り敢えず錬金術が成功した事に安堵し、保存方法が分からなかったので、薬草は冷蔵庫に突っ込んで寝ることにした。