3話
20話くらいまで空いた時間で更新する予定です。その後は不定期になるかもです。
すんばらしい能力を手に入れた翌日。
俺は今図書館に来ていた。
せっかく苦労せずに情報を記憶する事が出来るのだから、図書館の本を制覇しない理由がない。
ただ、一つだけ気になったのはこの端末を誰かに見られる事。
もし、こんな神便利なアイテムが他の人に見られ知られれば、間違いなく強奪が始まる。
最悪、戦争に発展してもおかしくない代物だと俺は思っている。
この神端末だが、消えるように念じれば消す事が出来た。そして現れるように念じれば直ぐ目の前に浮かぶので、普段は消して入ればいいが記憶するには神端末を具現化しなければならない。
そこで本をわざわざ借りて家で読むのは流石に面倒くさい。俺にスマホがあればネットで様々な情報を得られるんだろうが、生憎そんな趣向品を持てる程、経済面での余裕はない。結果、図書館に行く事にしたのだが、神端末は見られては困る。と立ち往生していた。
「どうするべきだろうか」
図書館でこそこそしていたら流石にカメラもある事だし絶対的に怪しまれるだろう。と言って家まで借りて持って帰るのは面倒くさい。
結局いい案が見つからず一旦図書館を後にした。
なんとか見えないように出来ないかとベンチに座り、頭を抱えてで考えていると、不意に老人夫婦が俺の横に座って、話しかけてきた。
「おやおや、お若いお方、そんなに頭を抱えて、何か悩み事かい?」
「ホッホ、このじぃばぁに相談してみては如何かね〜」
この町は田舎で今の日本と違わず高齢化は進んでいる為、こうゆう面倒見の良さそうなお年寄りは割と多い。有難迷惑とも言うが。
「こんにちは、大した事ではないので大丈夫ですよ。ご心配ありがとうございます」
相談なんぞ出来る訳ない。仮にした所で全く持って益にはならないだろうし。
「そうかいそうかい、おんしが大丈夫ならそれでえぇんじゃえぇんじゃ」
見た感じ80はありそうな感じがするし、この歳で施設で寝たきりじゃないだけこの老人夫婦はマシな方だろう。
ん?いや、待てよ。コレは使えるんじゃないか??
「すいません、やっぱり少しいいですか?」
「えぇんじゃえぇんじゃ、言うてごらん」
俺は神端末を具現化させて老人夫婦の前に出す。
「すいません、これ何に見えますか?」
「んんー?ばぁさんや儂には何にも見えんがどうかや?」
「あら、じぃさんや、ばぁにも何にも見えませんな〜、老眼ですから〜小さいもんは見えませんよ〜」
「あの、結構大きいモノの筈なんですけど本当に見えないですか??」
「うーむ、儂にはお若いのの手は見えとるぞー」
ん?この神端末、他人には見えない仕様なのか??それともこの老人夫婦はこの距離でこの大きさのモノすら見えない??いや、それなら明らかに俺の手の方が小さい。視力の問題ではないはず。
「そうでしたか、分かりました。ご協力ありがとうございました」
「もうよいのか?あまり力になれんですまんのぉ」
「いえ、十分です。それでは失礼します」
「ホッホ、頑張るんじゃぞぉ」
もし仮に他人には見えないのであれば正直やりたい放題である。何せ本を開く必要はないのだ。図書館の本をそのまま端末越しに見て行くだけでいいのだから。
再度、図書館に入ってみる。今度は神端末を持ったままで。
態と係員の人に見えるようにして入ったが、チラ見してそのままスルーだった。これはもう他人には見えない。という事でほぼ確定だろう。そのまま20分程で10万冊の本を全て記憶して図書館を出た。
家に帰ってから一冊だけ凄く気になる内容の本があったのでそれについて考える事にした。
その気になる本というのは歴史本だ。
良くある年号と事項が記載されている歴史本だったが、918年の元旦の記述だけ凄く気になったのだ。そこにはこんな事が記載されていた。
918年、1月1日。
世の全ての人が同時にある声を聞いた。
『これよりアースにシステムを導入する』
これだけ。
たったのこれだけしか記載されていなかったのだ。他の本には一切これと同様、もしくは似たような情報は無く、一冊の歴史本の1ページ、3行のみ。だったのだ。こんなの気になるでしょう!
恐らくは100人が見れば100人がオカルト話と一蹴するだろうこの記述。だか、オカルト話ならオカルト話なりに少しは説明があったりとかする物なのに、この記述には一切の説明がないのだ。気になりはするが情報がそれ以外存在しないので調べる事も出来ず。
別の図書館は自転車で行くには遠い為、新たな情報を得るのは難しい。
ただ今回の図書館で得た情報で今通っている中学のテストがめちゃくちゃ簡単になった。志望校の過去問も一切引っかかる事無く余裕で解けた。知識の有無で難易度に歴然の差がでると言う事が分かった。