36話
風呂から上がって、私服に着替え向かったのはビ○クカメラさん。
そこには相変わらず同士が数名いた。
『スライムから取れる謎の石に迫る!』
「本日の午前中、スライムから入手されている謎の石とその中にある新エネルギーに対して国連は正式名称を付けました。謎の石は『魔石』、新エネルギーを『魔力』と名付けております。魔石に含まれている魔力を用いて様々な用途に使え変幻自在、まるで魔法のようだと言う事からこの様な名称を付けたとされています」
魔石の研究は順調に進んでいるらしい。是非とも地球の発展に役立てて欲しいものだな。
『謎の声再び!!』
「えー、本日の午前9時頃に再度謎の声を全世界の人々が同時に聞いたと話題になっておりますが、今回聞こえてきたのがこちら。」
《アースでのダンジョン初攻略を確認》
「えー、テレビの前の皆さんも相違ないでしょうか?」
「僕も同じ言葉が聞こえて来ましたね。それに現在の通信技術では全世界同時というのは不可能ですし、睡眠中の方も聞いたと言ってましたからね。明らかに我々の想像を超えた何かによる物だと思いますね」
「そうですね。そしてこの言葉の意味についてはどうお考えでしょうか?松村さん」
「言葉通りだと思いますよ。今この世には自衛隊やFBIですら手をこまねいているダンジョンの調査を軽々とこなして、楽々と攻略出来てしまう存在いるんだと、私は思います」
「それは何処かの組織がそれ程の力を持っていた。と言う事でしょうか?」
「いぇ。私は何処かの組織だとは思わないです。そんな組織があればこの情報社会で目立たない訳がない。組織や機関では無く、もっとこう、スライムの様な未知の存在によるものでは無いか?と現時点では思っています」
「お意見ありがとうございます。この言葉の真意は以前掴めませんが、これからも調査をしていくと、国連の発表にはございます」
曖昧な事しか言わないコメンテーターが多い中、しっかりと持論を主張するこの松村さんは凄い人だな。然も攻略者が組織や機関でないと言う予想は当たっている。ただ、未知の存在では無くて同じ人間なんだが。
その後少しだけ他の番組も見て、帰宅した。ダンジョン関連の特番はやはり多かったが、それでも半分くらい。グルメ番組や通販番組。最近話題らしい仮想通貨の事をやってる所もあった。
・・・・
家に帰り着くとそこには1台の車が止まっていた。
「調子はどうだい、坊ちゃん」
「なんだよばぁさんか」
金にがめついBBAだった。
「んで、何の用だよ」
「例の話。途中経過でも教えとこうかと思ったら電話がひたすら繋がらないからね〜。仕方なく来てやってんだい。感謝しな。感謝」
「黙れ。でどうなんだよ」
「冷たいね〜。今例の文化なんとか局みたいな所で精査中だとさ。早いと後一月もあれば終わるんだとさ」
「あっそ、じゃあ全部終わってからまた連絡してくれ。じゃあな」
「あぃよ〜」
随分早かったな。ダンジョンの件とかもあってもっと時間を喰ってもおかしくないとおもっていたんだが。まぁ早い分には得しかないからな。問題ないだろう。
BBAが帰った後、2時間程は錬金術で薬系をパチパチ作っていたんだが、16時頃にまた来訪者が来た。1日に2度も家に人が来るなんて珍しい。
ピンポーン。
ガチャ。
「たっくんっ!!」
誰かと思えば、俺の少ない親友、舞だった。何故か抱きつかれているが、舞は女の子の中ではあまり主張していないタイプの女の子だからな。何処がとは言わないが。
「お〜い。いつまでやってんだ〜」
「いつまでもやっててやる。バカ。」
「久々の再会でバカは酷いじゃないか」
「うるさぃ。酷いのはたっくんの方だ!急に学校来なくなるし、連絡も出来ないから心配したんばい。分かっとーと?」
「ごめんごめん。でも一応小鳥遊先生から聞いただろ?」
「聞いたけど!不安やったと!」
「心配かけたな。ありがとう、舞」
「・・・。」
服を掴む力が少し強くなってから黙り込んでしまった。少しだけ耳も赤い。
「舞さん〜?」
「ぁに?」
「いや〜、そろそろ、パンツまで濡れて来てると言うか・・」
彼此20分近く俺の服をハンカチ代わりにしてくれた所為でビショビショである。
「ぇっ。たっくん、何言ってるの?変態さんなの??」
「お前の所為だ。後、男はみな変態だ。覚えとけ」
「ぅん。分かった」
「じょーだんだ。アホ。上がるか?」
「うぅん。今日はもう帰らなきゃだから」
「そうか。態々ありがとな」
「また明日ね」
「おう、またな」
舞が自転車で角を曲がるまで見送った。
・・・・
舞が帰った後も錬金術でパチパチパチパチ色々作って今日も早めに寝る事にした。
お読みいただきありがとうございます。




