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29話




「ふぁぁ、綺麗」



私の名前は広末ヒロスエ 鈴香スズカ、歳は17歳でお母さんとお父さん、とお姉ちゃんの4人家族。


お姉ちゃんがモデルさんで、15歳の時にお姉ちゃんのファッションショーを見に行ってその時に私も芸能界に誘われるままに入っちゃったのがきっかけで今もお姉ちゃんと同じモデル事務所に所属してる。


最近、映画とかも出させて貰って、初めは緊張したけど段々と楽しめるようになってきてるんだ。


でもそんなある日、お母さんとお父さんが趣味の山登りに行ったきり、連絡が返って来なくなって、心配だから実家に帰って見たらやっぱりお母さんもお父さんもいなくて、最後にくれたLINEでは竜王山って山に行くって言ってたから撮影も放ったらかして探しに来ちゃってた。マネージャーの中野さんに後ですっごい怒られると思うけど、しょうがないよね。



今私がいるのは、竜王山の山頂にあった洞窟の中。山頂に洞窟なんて聞いた事無かったけど、なんだか嫌な予感がして、多分だけど最近話題になってる謎の洞窟ってコレの事なんじゃないかな??


その事をお母さんとお父さんは知らなくて入ったんじゃないかなって。そんな事考えたら居ても立っても居られなくなっちゃって、気付いたら洞窟に入っちゃってた。


洞窟の中はすっごく綺麗だった。壁が光ってて、洞窟ってくらーいイメージだったけど、これならお母さんとお父さん見つけられそう!


帰り道を見失わない様に進んでいると、なんだがぷよぷよした何かを発見した。



「あれなんだろ??」



ぷよぷよぺたぺたしてて、柔らかそう。



「なんだかかわいぃ、ぇへへ」



ゆっくりと近づこうとしたその時、



「きゃっ!」



ヴァンッ!!



「いやぁぁ!何っ!?」



ぷよぷよがすっごい速さで飛んできて、びっくりして目を瞑って尻餅を突いてしまったらすっごい大きな音が聞こえて来て、もう分かんないよぉ。


ゆっくり目を開けると、



「ぇっ、何もいなぃ・・??」



さっきのはぷよぷよはなんだったんだろう??幻聴幻覚??



「私疲れてるのかな?ぇへへ」



足に力が入らない、腰が抜けちゃってるよぉ。



「どうしよぅ。」



・・・



あっぶねぇ!あの女の子スライムに近付いてって巻き付かれそうになってるのに全然反応しないんだもん!後ちょっと遅れてたら普通に死んでるよ君。


100m程後ろから着いて行ってたんだが、スライムと女の子が遭遇して無抵抗のまま攻撃されそうになっていた所を助けたのだ。



「未知の存在見つけた先ず逃げようよ」



この愚痴が届く事は無いが、一目散に引き返してくれたら良かったんだが。確か両親を探しに来たんだっけ?こんな所にはいないよ。強制閲覧で確認した所、このダンジョンには今、俺と女の子しか人間はいない。後は全部魔物だ。幸い俺が助けた所はバレてない見たいだし、今からでも遅くない。帰ろう。



・・・



「お母さん、お父さん待っててね。今行くから」



(嘘ぉーん。帰ろうよ。)



振らつく足を支えてなんとか前に進む。すると、またさっきのぷよぷよを発見した。


「ぁ。ぁれって危ないヤツなんだよね?」



(すっごい危ないからね。ね、帰ろう。)



「でも私はお母さんとお父さん見つけるまでは帰らないから」



(・・・。)



「壁にくっついてゆっくり通り過ぎればバレないかな??」



(バレるに決まってんだろ。ほら見ろ。)


ヴァンッ!!



「きゃぁっ!!もう何っ!?ぷよぷよさんごめんなさい!やめてください!」



(ぷよぷよさんはもう死んでますよ。)



「あれ?ぷよぷよさんがいなぃ?これなんだろう??ビー玉?」



(ぁ、しまった。魔石拾い忘れた。)



「綺麗なビー玉だなぁ、持ってかえろ、」



(それあげるから早く帰ってくれないかな?)



「お母さんー!お父さんー!すずだよ!いたら返事してーー!!」



だからいないって。にしてもこのままだと永遠に進みそうだな・・・。まぁどんなに頑張っても2日3日で活動限界迎えるだろうけど、倒れでもしたらどうするつもりなんだろうか??そんな事を考え始めた矢先。



「お母さんー!おとぉさ・・」

ドサッ。



ほら見ろ。言わんこっちゃない。早速倒れたじゃねぇか。



「おーい。大丈夫か〜?」



近付いて声を掛けても反応はない。少し揺すって見ても反応はない。脈はあるし、息もしてる。少し熱っぽいが恐らくは疲労からだろうな。



「ん〜、どうすっかな〜」



体力回復薬を飲ませれば直ぐに回復するだろうが、回復した途端、また両親探しを始めてしまうだろう。根本的な解決にはならない。


病院連れてっても状況説明出来ないしな〜。ダンジョンで倒れてましたって頭おかしいとしか思われんぞ。



「取り敢えず、一旦この場離れるか」



俺は女の子を抱えて地下10階のボス部屋の前にエスケープしてパパっとボスを処理。ボス部屋の中で女の子を寝かせて考える事にした。


先ずは、こいつ誰?って所からやな。



・名前:広末 鈴香

・年齢:17

・種族:人種

・Level:0

・能力:愛され体質



俺より年上かよっ!2つくらい下かと思ったら2つ上だったわ。でもそれより気になるのは能力だな。


・愛され体質:生物から嫌われる事が無くなり、好かれ易くなる。Level上位生物には効かない。


こんな能力もあったな。この世に37しか存在しない能力所持者の1人とこんな所で出くわし、しかもこんな女の子とは意外だな。それに取得条件も凄いぞ。


・愛され体質:15歳までに出会った全ての生物から好感を持たれる事。


こんなん達成できる奴おんの??ここにおるけど。まぁ確かにかわいいよ。綺麗な黒髪のセミロングヘアに目を閉じていても分かる二重瞼、高くもなく低くもない小さい鼻と口。抱えた時に分かった華奢な体。どこがとは言わないがBよりのCと言った所だろう。


今は眠っているが、まるで人形さんみたいだ。俺が見て来た中では間違いなく1番可愛いよ。俺には能力の効果が効かないので、これは素の意見だ。



後、確か両親がどうとか言ってたな。


この子の両親は??


広末ヒロスエ 幸子サチコ広末ヒロスエ 義一ヨシカズ


今どこに?


・現在は共に死亡。



は?マジかよ。もしかして・・


死亡時刻と場所、原因は?


・2018年1月28日午後13時、第6ダンジョン地下1階にてスライムの攻撃によって死亡。



おいおい。勘弁してくれよ。この女の子の言ってた事は強ち間違いじゃなかったって事じゃねぇか。まさかだが。


このダンジョンで死んだ人間は他にもいるか??


・該当なし。



他にはいないみたいだ。


恐らく興味本位でダンジョンに入ってしまったんだろう。結果、スライムと遭遇。と言ったところか。ニュースでもひっきりなしに情報は出ている筈だが、知らなかったのだろうか?


両親の遺体はどこだ?


・ダンジョンに吸収済。


ダンジョンは死人を吸収すんのかよ。趣味悪いぜ。それじゃ弔う事もできやしない。



「んっ、おかぁさん、おとぉさん、」



涙を流しながら寝言を言っている。


俺も昔に両親を失っている。もし、この人広末さんが両親の死を知れば、強烈なショックを受けるだろう。あの時味わった虚無感は今も消える事は無い。生きている意味が分からなくなるのだ。


俺が今日まで生きて来られたのは健太と舞がいたから。それと親族への多少の恨み。夢や希望もそうだが、憎悪や恨みといったマイナスの感情も時に生きる活力になる。



伝えるべきだろうか??もし伝えるのならどう説明すれば良いだろうか??両親は既に死んでると言っても信じないだろう。能力について説明して、それを信じて貰った上で伝えるしか方法は思い浮かばない。この能力についてですら信じるのは難しいだろうが。



それに偶々目の前で死にに行っていたから助けたが、赤の他人に俺の能力を知らせる気はカケラもない。最悪、状況が変われば健太と舞には説明するだろうが、今説明した所で無駄に巻き込むだけになる気がする。



出来る事なら目を覚ます前になんとかしたい所だな。。。



勢いで助けたが、良く良く考えれば助けたのは失敗だったかも知れないな。。。

お読みいただきありがとうございます。


今日取り敢えずもう1話いきます。

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