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28話





2018年2月3日土曜日。



今週も謎の告白ラッシュを受け流し、退屈な平日を乗り越えてダンジョン攻略へと足を運ぶ予定だ。基本的に平日にダンジョン攻略は進めていない。あくまで基本的にであって、今週は欲をかいて平日の間に地下70階まで進んでしまったが、Levelも3に上昇した事やエスケープ能力のお陰で暇さえあれば攻略は進められてしまったのだ。


因みに、出てきた魔物はオーガ。61階から69階まで全てオーガ。大きさが変わったり、武器の種類が変わったりしたが、種族はずっとオーガ。


そして、地下70階のボスはオーガキングだった。いや、まぁ強かったのかな??[魔穿]で一撃って所は変わらなかったので、あまり違いを感じにくいのだ。呆気無く倒した70階ボスの初討伐報酬はゴールドソード。俺でも作れるゴールドシリーズの剣。正直ハズレだった。地下70階までの経過はこんな感じ。フロアの構造はまた広くなり時間だけはやたら掛かったが、ダンジョン内は流れる時間が違うので着々と進んでしまったのだ。




今の時刻は午前10時。少し遅めの出発だ。これには理由があり、先ず[魔穿]の弾切れが来たので、再度作った事とその流れで他にも武器、アイテム類を作成していたら思ったよりも時間が経っていたのだ。ダンジョンの中でやれば良かったと後悔している。


それはそうと、今回の持ち物はこんな感じだ。


・収納鞄

・ゴールドショットガン

・ゴールドソード

・ゴールドナイフ

・シルバーソード

・ショットガン[魔穿]

・ショットガン[撃魔貫穿]

・魔耐防具一式

・ミラージュ帽

・薬草×200

・体力回復薬×100

・損傷回復薬×50

・欠損回復薬×5

・筋力増強薬×100

・加速薬×50

・携帯食料

・天然水1000ℓ

・水50ℓ



他にも魔石や普通の石等、錬金素材の為に集めた物も収納鞄に入っているが、今回は使いそうなアイテムだけ並べている。薬系は10㎖で×1だ。一応、今回新しく作ったのは2つ。


・ショットガン[撃魔貫穿]:魔石で出来たショットガン。圧倒的破壊力と射程を持ち、魔物に対して攻撃する際かなりダメージ補正がかかる。装填数1000発。


・欠損回復薬:身体の欠損を完全回復する。



ショットガンの方は[魔穿]をより威力上昇させた武器だ。現状のダンジョン攻略では[魔穿]の威力でも十分なんだが、念の為ってのと手軽に作れた為に作ってしまった。あって損はないだろう。


欠損回復薬は腕切り落としても足がもげても大丈夫な薬だ。そんな状態にはなりたくないが保険としてこれ以上頼りになる物はないだろう。ただ、回復するのはあくまでも欠損している部位のみなので、体力とかは戻らない。其々の素材はこんな感じ。



・ショットガン[撃魔貫穿]:翠の魔石(小)、薄翠の魔石(大)、薄翠の魔石(小)×5、黄の魔石(大)×10、黄の魔石(中)×50、黄の魔石(小)×100


・欠損回復薬:カエル、鼻毛、薄翠の魔石、水1ℓ



ショットガンは手軽って言っても指をパチパチパチパチするのは結構面倒かった。まぁそれだけだが。欠損回復薬の作成に使う魔石の大きさは関係ないらしく余ってる小さいやつを使った。オーガから取れた魔石だ。そして何故か鼻毛を要求されている。いつか俺自身の肉を要求されそうだな・・・。


他にも既存のアイテム作成等で時間がかかってしまい少し出発時間が遅れたのだ。



「さてと、今回も頑張りますかね〜」



気の抜けた感じの意気込みを胸に家を出た。



・・・・・・



「ん〜??あれはたっくん??何処に行くんだろ??」


茅野舞は匠が玄関から出て来た所をちょうど目撃していた。


「たっくん、あんなコート持ってたっけ??えっ!?たっくん!あんなに早く走れたの!??」


声を掛けようかと思っていたら瞬く間に走り去って行き見えなくなってしまった。


「ほぇ〜、やっぱりたっくんはすごいな〜、よし!たっくんも頑張ってるし、ウチも頑張ろぉ!でも、これは流石に確定っぽいな〜」




◇◇◇◇◇



山の麓まで2秒も掛からないで来れる様になって来ている今日この頃、俺は山に入って少しの所に見慣れぬ人影を見つけていた。



「女の子??か??」



こんな人気の無い山に女の子が1人とは考え難いが、格好は一応登山ができる格好をしている。見た事は無いので、この辺りの人じゃないんだろう。遠くから観光がてら登山が趣味??変わった若者もいるものだな。



「まぁ、たぶん大丈夫だろ・・・」



いやいやいやいや、大丈夫じゃないね。この山の山頂にはダンジョンあるんだったわ。標高も200mくらいで登ろうと思えば素人でも登れるレベルだ。恐らくあの女の子も到達するだろう。



「ダンジョンバレるやん」




それはマズイ。非常にマズイ。取り敢えず地下100階まで攻略してから報告しようと思っていたのに・・・。どうしようか?どうすれば良かろうか??



「一旦、追いかけよう。」



ミラージュ帽を被って視認出来ないようにしてから後をつける。完全にストーカーである。しかも相手からは見えないと言うエリートストーカーだ。



「冗談言ってる場合じゃねぇよ!」



女の子のペースは割と早い。あくまで人間の女子の中では早いってレベルだが。それでも山頂まで3時間あれば辿り着くだろう。どうする?どうする?足止め??どうやって??

こんな人気の無い山で1人話しかけに行ったら強姦と間違われても仕方ない。良くても怪しい人だろう。


ん〜。・・・。



・・・結局、女の子は山頂に辿り着いてしまった。今は山頂にあるダンジョンを見て座り込んで頭を抱えている。



「そこは危険だからね〜〜、入っちゃダメだぞ〜〜」



勿論、女の子には聞こえないような小声だが、精一杯の念を送る。女の子はスマホ片手に誰かと電話を始めた。



「すまん。ちょっと聞かせて貰うよ」



Level上昇に伴い感覚が鋭くなってるので、会話も聞こえるのだ。強制閲覧で見ても良いんだが。自分で言うのもなんだけど、プライバシーもクソもあったもんじゃ無いな。



「すず!今何処にいるの!?早く戻って来て!昼からスケジュール入ってるって!」


「中野さん、ごめんなさい。でも、お母さんとお父さんが見つからなくって、私、心配で・・」


「その件は警察が捜索してくれてる。すずが探すよりも警察の方が早いよ。分かったら早く戻って来て。監督さんも共演者の人達も皆心配してるから」


「分かりました」



芸能関係の子なのかな??まぁいい、そのまま帰るならそれに越した事はない。出来ればまだダンジョンの通報をしないでくれるとありがたいんだが、そんな事お願い出来る訳がないからな、仕方ないだろう。



「中野さん、ごめんなさい。やっぱり私心配だから」



女の子はそんな事を口にしてその場から立ち上がり、ダンジョンの入り口へと歩き始めた。



「ぇ?ちょいちょい、待て待て・・・マジかよ、おい。1番面倒なパターンだ」



こんな所で見捨てる訳にはいかんだろう。これが野郎なら見捨ててもいいけど、俺より下に見える女の子ほっとける程腐っても無いつもりだ。俺も気付かれ無いようにダンジョンへと歩を進めた。


お読みいただきありがとうございます。

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