17話
匠がダンジョン攻略から帰還した翌日の朝。
いつもは賑やかな教室はもぬけの殻だった。
ぇ??なんで誰もいないの??今日って祝日じゃ無いよな??
混乱しながらも職員室へと向かう。
コンコン。ガラガラ。
「失礼します。3年1組の安藤です。小鳥遊先生はいらっしゃいますか??」
「おう!安藤じゃないか!ここにいるぞー!」
カナちゃん先生が元気に迎えてくれる。
「安藤、どうしたんだ?わざわざ日曜日に来て、進路先の相談か?」
ん??
日曜日??
「あー、えぇっと、カナちゃん先生、今日って日曜日??」
「何言ってんだよ、今日は日曜日だろうが、ハハッ!文武両道、完璧天才なお前でも抜けた所があんだな!なんだか安心したぜ!」
「ァハハハ」
まじかよ。バリ恥ずかしい。
「んで、結局、何しに来たんだ??」
「いや〜、バスケ部の様子見がてら挨拶でもと思って〜」
苦しいっ!!嘘が苦しすぎるっ!!
「ハハッ!律儀な奴だな!中学生活もあと少し!バスケ部の面倒見るのもいいが、ちゃんと自分の勉強もしろよ!ただでさえ安藤!お前の進路は日本でも難関なんだからな!」
「ァハハ、ありがとう、頑張るよ。カナちゃん先生もテスト作成頑張れ」
「ぅわっ!そうだった!急がねぇといけねぇ!じゃ、気つけて帰れよ!」
「はーい」
相手がカナちゃん先生で良かった。今日バスケ部は休みだったんだ。危ない危ない。
それにしても、日曜日??
今日は日曜日なのか??
俺は確かにダンジョンにかなりの時間潜っていた筈だ。確かに非現実的な時間を過ごしたがそれでも一日分も誤差が出来るものか??今日が日曜日であれば、昨日家に帰り着いたのは土曜日の18時という事になる。
仮に土曜日の18時に帰り着いたのならダンジョン内にいた時間は約13時間。俺の体感時間と約3倍もの差になる。そんな事があるか??
もし俺の感覚は正常で。今日は日曜日だとするならば、考えられる事は1つだ。
地球とダンジョンの時間の流れに違いがあるのか?
・地球の時間の流れに対しダンジョンの時間の流れは3分の1になっている。
やはりそうゆう事か。俺は確かにダンジョン攻略に約37時間以上掛けていた。ただその間、ダンジョン外では13時間しか経っていなかった。家の時計は日にちや曜日は載ってないから俺が勝手に勘違いしたのか。
でもまさか時間の流れ方が違うとか誰が予想できるんだよ!!まぁ確認しなかった俺も悪いんだが、、
俺はそのまま自転車で一旦帰宅し、普段着に着替えてから大手家電量販店へと向かった。
錬金アイテム類は基本人前で使わない事に決めた。リュックの中に収納袋を入れて収納袋の中に全て入れているので、いざと言う時はいつでも使えるが、それは最終手段だ。
何故俺が大手家電量販店に来たかと言うと、ただでテレビが観れるからだ!!家にテレビやスマホ、パソコンなど存在しない。ニュースが確認出来ず俺は世情に疎いのだ。
クラスのみんなが、振り返りながら「35億」と言っていた時があったのだが、何の事かさっぱりだったし、「イェェェェェイ!!ジャスティス!!」と奇声を上げていたのも記憶には新しいがついていけずに困惑していた。
そんな俺の唯一の味方がこのビ○クカメラの2階にズラリと並ぶTVだ!!俺はこいつに何度救われた事だろう。
早速、テレビを観ようとビ○クカメラに来たんだが、なんとテレビコーナーには俺の同士がたくさんいた。整ってない髭や髪を携え、ダンボールやビニールシートを匠に使う彼等だ。店員さんも物凄く睨んでいるが、今日ばかりは仕方がないだろう。
何故なら、
『特番!神の声の正体や如何に!?』
『あなたは知る事になるでしょう!宇宙人の存在を』
ほぼ全ての局でこの様な特番をやっていたのだから。
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