14話
地下10階も道中は問題無かったのだが、階段を前にしてイレギュラーに見舞われていた。この場所に少し他より開けた場所があるのは分かっていたので意外では無かったんだが、門が全体的に漆黒で自然と恐怖を抱くような雰囲気を纏っている。
大丈夫だろうか??恐らくボス部屋と言われるやつだろう。ボスの正体は強制閲覧で分かっている。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ゴールドキャット
・Level:1
・能力:なし
初のレベル上位敵。
正直Level1がどのくらいの差なのかは分からない。恐らくは速度で負ける事はないと思う。今までの魔物は反応すら出来ていなかったのだから、気付かれはしても俺より速いって事はないだろう。
後はショットガンのダメージが通るかだが、弱点である左眼に当てれば大丈夫だと思う。
念の為に体力回復薬と筋力増強薬を飲む。
「っくは!!」
筋力増強薬は初めて飲んだんだが、これまた凄い薬だ。もしかしたら素手で倒せるかも知れない。そんな傲慢を抱いてしまう程に拳に力が入る。
「油断は禁物だな。あくまでも敵は格上なのだ、本気でやろう。」
漆黒の門へと手を掛ける。
手を門へと当てただけで門は自分から勝手に開いていく。
「スゲェな。」
自然とそんな言葉を発していた。
門が開いてその先に広がる円形の広間の中心に敵はいた。どうやら門を開けただけではこっちに気付いた様子はない。ならば取る行動は1つである。
必殺!本気移動からのボンッ!!
シュンッッ!!ボンッ!!!
《第6ダンジョン地下10階層ボスの初討伐を確認、初討伐報酬【薬草】を獲得》
《Level上昇》
呆気なくボスを倒した瞬間、また無機質な声が聞こえた。
目の前には薬草と濃い青色の魔石が落ちている。
・ゴールドキャットの魔石
・薬草
大きさはスライムの魔石と変わらないが青色が濃い。何かが違うんだろう。少し綺麗かな??
薬草はキャベツと水で作れるお馴染みのやつだ。報酬にしては渋い気がするが、錬金術が無い人にとっては貴重なんだろう。
そして何よりLevelが上がった!
・名前:安藤 匠
・年齢:15
・種族:人種
・Level:1
・能力:強制閲覧、錬金術、テイムマスター
正直Level上昇を舐めてた。ゲームみたいに強くなってステータスが上がるくらいの認識だったんだが、違う。明らかに違う。
強制閲覧の説明では魂の強さを数値化したものとあったが、文字通りLevelが上がると言う事は魂の強さが上がるのだ。本当に違う。まるで違う次元に来たかのような錯覚を覚える程に。
ボスを倒す事は出来たが、最後撃った弾が当たる直前ゴールドキャットは確かに反応していた。結果的に避けられる事は無かったが本気でやっていなければ確実に避けられた事だろう。
もし、今後Levelが上の存在と対峙する時はもっと気を引き締めて挑む事を誓いながら下への階段を下る。
地下11階も景観は変わらないが道幅はまた少し広くなっていた。そんな地下11階で発見した魔物はこいつ。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ゴブリン
・Level:1
・能力:悪臭
スライムに続く第2のファンタジー定番魔物ゴブリンさんだ。
・悪臭:常時嗅覚を破壊する臭いを放つ。
最低だわ。普通にキモいよ。見た目の醜悪さもさることながら能力も極めてキモい。嗅覚を破壊するってどんだけよ。
取り敢えず絶対に触れたく無いし出来れば近付きたくもないので、ある程度距離を置いてから狙撃する。残りの弾数も900を切ったので出来れば消費を抑えたい所だが、此処は間違いなく使い所だろう。
ゴールドショットガンでゴブリンも問題無く倒せた。これで一安心だ。
・ゴブリンの魔石
ゴブリンの魔石も濃い青色の魔石だった。色合いも大きさもゴールドキャットの魔石と大差ない。強さも同じくらいなんだろう。俺もLevelが上がって身体能力が段違いに上がっているので楽に倒せるようになっている。
地下11階はそれでも20分かかった。これは苦戦しそうな予感がするな。
地下12〜14階の魔物はずっとゴブリン。ゴブリンだが、武器を持っていた。武器は剣だったり棒だったり盾だったり弓だったり。個体によって様々だったがどの個体も別に行動していて群れないので楽だった。地下12階が22分、13階が24分と2分ずつ掛かる時間も増していった。討伐速度は変わらないので単純に階層が広く、複雑になって来ているのだ。
そして地下15階は11〜14階の総集編。この仕組みは恐らく変わらないだろう。ここはゴブリン同士が2〜5体で群れて行動しているので、少しやっかいだった。そんなに変わらないけどね。クリアにかかった時間は30分。
ここで筋力増強薬の効果が切れた。効果時間は大体2時間といった所だろう。
地下16階、また道幅が少し広くなり、現れた魔物はこいつ。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ケイヴウルフ
・Level:1
・能力:なし
ちょっと黒に近い茶色の狼。他に目立った特徴も無い1mちょっとの狼。能力も無いのでそこまで警戒すべき相手でも無いだろう。
シュンッッ。ボンッ!!
「キャンッ!グルゥゥゥ」
「んなっ!?避けた!?」
いや、完全に避けきれてはいない。後ろ足に当たり吹き飛んでいる。がしかし、しっかり俺のスピードに反応して動いているからこそ一発で死んでいないのだ。このまま苦しめるのは趣味じゃない。
ボンッ!!
・ケイヴウルフの魔石
後ろ足を失ってこの近距離では流石に成す術もなく。魔石は濃い青色の魔石でゴブリンのよりも一回り大きい。小さめのスーパーボールくらいはあるかな??次からはもうちょい速度を上げよう。
地下16階は32分でクリア。
地下17階の魔物は、
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ウォーターウルフ
・Level:1
・能力:水弾
・水弾:水を固めて撃つ能力
首と尻尾の部分に水を纏った狼。能力もやっとらしくなってきたな。まぁさっきのように気を抜いた事はしないので問題無く倒せた。
クリアタイムは34分。
地下18階の魔物は、
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:エアウルフ
・Level:1
・能力:空気弾
・空気弾:空気を圧縮して放つ能力。
攻撃の手段と見た目が少し変わったが、結局気付かれる前に倒すので問題無く36分でクリア。
地下19階の魔物は、
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:ファイアウルフ
・Level:1
・能力:遠吠え
・遠吠え:半径1Km以内の同族を呼び寄せる能力。
能力火炎弾とかじゃないんだ・・。でも使われると厄介な能力だな。使う暇は与えないので問題ないが。38分でクリア。
地下20階は、今までの流れ同様16〜19階の総集編。難なく40分でクリア。
そして漆黒の門。
「やっぱ来たか」
今回のボスも分かっている。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:シャドウウルフ
・Level:1
・能力:影縫
・影縫:自身の影を操り、影の接触したものを拘束する能力。
まるでアレだな。鹿○の忍術みたいだな。Levelは1で変わらないのでそこまで警戒する必要は感じないが、未知のボスだからな。勿論本気でやろう。
門へと手を掛けると自動で開き、シャドウウルフの本体が見えてくる。
「よし、行きますか!フッ!」
シュンッッッ!ボンッ!!!
《第6ダンジョン地下20階層ボスの初討伐を確認。初討伐報酬【シルバーソード】を獲得》
シャドウウルフに察知される事なく討伐は成功し、目の前には銀の剣、濃い青色のビー玉が落ちている。
・シルバーソード:銀製の剣。所持者に対する毒を無効化する。
・シャドウウルフの魔石
銀の剣は持ってるだけで毒を無効化してくれるらしい。恐らく剣として使う事は無いだろうが持っといて損はないだろう。リュックに無理やり入れる。入れたが刀身がリュックからはみ出している。
シャドウウルフの魔石はテニスボールより小さいくらいの大きさがあった。
取り敢えずまだ元気だし、時間もあるので進む。ただリュックの容量的にそろそろキツくなって来ているので地下30階で引き返そうと思っている。帰りも同じだけ時間がかかる筈なので深く潜るならもっとしっかり準備してから行くべきだろう。
再度、気を引き締めて下への階段へと進む。
お読みいただきありがとうございます。