11話
退屈な平日の学校を乗り越え今日はダンジョンの視察に向かう土曜日の早朝。
持って行くものは、ゴールドショットガン、ゴールドナイフ、懐中電灯、体力回復薬、損傷回復薬、筋力増強薬、非常食、これらを入れるリュック。
正直、俺は日頃からあまり食事をしない。空腹には慣れているが、1週間も食べないのは危ないと思う。今回は日帰りの予定たが、初めてのダンジョンだ、何が起きるか分からないので、色々と準備した。
そして、平日の間に俺は何もしなかった訳ではない。ゴールドショットガンとゴールドナイフ、損傷回復薬と筋力増強薬を作成をしたのだ。
・ゴールドショットガン:金で出来たショットガン、所持者の運気があがる。装填数1000発。
・ゴールドナイフ:金で出来たナイフ、所持者の運気があがる。
・損傷回復薬:身体の傷を欠損していない限り完全回復する。
・筋力増強薬:一時的に筋力を2倍〜100倍まで任意で強化出来る。
ゴールドショットガンとゴールドナイフの錬金素材は一緒でイメージを変えれば作りたい方を作れた。他にも同じ素材でゴールドソードやゴールドメイル等武器防具シリーズが沢山あった。一応素材はこんな感じ。
・ゴールドショットガン:金1Kg、梅おむすび
何故梅おむすびが必要なのか全く分からないが・・・。金1Kgを集めるのが大変だった。金の錬金素材は石、ワックス、水なんだがワックスを10Kg集めないといけなかったので業務用スーパーにお世話になった。ワックスだけで15万円も使ってしまったので現金は残り10万ちょっとだ。
今回ショットガンとナイフを選んだ理由は先ず魔物と近接戦闘をする気が全くないと言う事、遠距離のライフルとかは当てる自信が全くないので、ある程度距離があって、とりあえず撃てば当たりそうなショットガンにした。ナイフは解体用だ。解体手順とかは強制閲覧で閲覧すれば良い。
そして損傷回復薬と筋力増強薬の錬金素材はそれぞれこんな感じ。
・損傷回復薬:カエル、卵、水100ml
・筋力増強薬:プロテイン、水100ml
損傷回復薬はいつも通り不思議な組み合わせだが、筋力増強薬に関しては素材を普通に飲んでも微量の効果はあるやつやん。やっとまともなの出てきたよ。まともかどうかは何が基準なのか自分でも分からないが。
持ち物の準備は出来たので迅速の羽衣を羽織り山のダンジョンを目指す。
山の頂上に辿り着いた時は正直驚いた。
「バリダンジョンっぽい入り口あるばい・・」
この山は標高もそんな高くない日本には良くある山で普通は山の頂上ってある程度平らだったりするんだが、綺麗に直径5mくらいの窪みがあって、その中心に先が空洞になってる洞穴が鎮座している。
他の人もこの場所に来たことのある人はいる筈なんだが、バレないのだろうか??
能力の無い人にはどう見えるのか?
・平らに見えており、ダンジョンの存在を認識出来ない。
じゃあ普通の山と変わらないように見えるのか。父さんには見えていたんだろうか??なんか、この世には見えない物がとか言っていたが・・。
ダンジョン内は適度に明るかった。入り口は人が3人同時通れるくらいの大きくも小さくもない感じだったが、ダンジョン内の通路は横3m、縦3mで分度器のように壁が丸みを帯びていて、ダンジョン内が明るいのは壁が朧げに光っているからだろう。
慎重にゆっくりと地面を踏みしめながら進む。強制閲覧で調べた所洞窟型に罠の類は存在しないらしい。だが、用心に越した事はないだろう。
ショットガンを片手で持ち、周りを見渡したがら進む事10分。100m程先にナニカを発見した!なんだあれ??小さいな。距離が空いているからか?神端末を通して見てみる。
・名前:なし
・年齢:1000
・種族:スライム
・能力:吸収、物理耐性
なんだスライムか。いや待て、年齢1000??このスライム1000歳??え?大丈夫??実はばり強かったりする??
スライムは俺に気付いてないのか、ぷよぷよぺたぺたしている。
スライムって強い??
・魔物の中では最弱の種族です。
そっか、うん、そうだよな。システムが導入されてダンジョンが出来てから1000年、誰もこのダンジョンに入っていないんだろう。倒される事がないのだから歳も食うわな。でも一応安全の為に能力は見ておこう。
・吸収:自分よりも小さい物を吸収できる。何を吸収しても効果はない。
・物理耐性:物理的な衝撃を緩和する。
吸収の能力それいる??物理耐性も緩和するだけで効かない訳では無さそうだな。ならショットガンでいけるかな?
スライムの弱点は??
・スライムの体内にある核。火。
今使っているゴールドショットガンの射程は約50m。可能なら30mくらいから撃ちたい。バレないように屈んでゆっくりとスライムへと近づく。
残り70m。まだ気付かない。
60m。ぷよぷよ。
50m。ぺたぺた。
40m。ぷよぷよ。ぺたぺた。
30m。ここまで来てもスライムはまだ気付かない。長年のダンジョン生活で危機管理能力が欠けてるんじゃなかろうか??
スライム目掛けてゴールドショットガンを構える。ゴールドショットガンの重さは1Kgしかなく非常に軽い。更にリロードしなくても勝手に装填され、反動もほぼ無い。初心者の俺にも使いやすくなっていて、勿論平日の夜にある程度の性能のテストは行なっている。ただ、音がしっかりうるさいのと、装填数が1000発限りで弾が無くなればただの運気アップの銃と化す。弾の再装填は出来ないので一からゴールドショットガンの作り直しになる。
しっかりと左手で支え、引き金を引く。
ボンッ!!
《アースでの魔物の初討伐を確認。これよりシステムが改変されます》
《魔物の初討伐報酬【テイムマスター】を獲得》
《魔物の討伐によりレベルシステム解放》
無機質な男性とも女性とも取れる声が聞こえてきた。
お読みいただきありがとうございます。