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プロローグ1

 異世界転生――それはある世界で死んだ動物の魂を、別の世界の誕生したばかりの動物に憑依させる現象である。そして、その魂は転生する前に『境界線』と呼ばれる場所に送られる。





◇◆◇





「ヘリオスさん、あなたは幸運にも2度目の人生を送る権利を得ました」



「……はい?」



「混乱させてしまい申し訳ありません。こちらの手違いであなたを殺してしまったのです。お詫びといってはなんですが、あなたの望む能力を1つ差し上げましょう」



「えと、あの、それっていわゆる異世界転生ってやつですか?」



「そうですね。あなたが元々いた世界ではそう呼ばれています」



「おぉ! 本当ですか! 現実に存在していたんですね! どんな能力がいいかな……」





◇◆◇





「よし、この魂は15番世界に転生させよう」



 そう呟いて、俺はヘリオス君の魂を、15番世界の産まれてきたばかりの適当な動物に憑依させる。

 


 今でこそ『転生神』なんて大層な肩書きを持っているが、元々は『櫻井 和正(さくらい かずまさ)』という名前の日本の高校生だった。小さい頃から体の弱かった俺は18歳の時に死んだ。

 その後、先ほどのヘリオス君のように俺の魂がこの境界線に来た時、先代転生神に次代転生神として働くようにお願いされたのだ。まぁ、当時は深く考えず、貴重な体験ができてラッキー程度に思ってたけど……



「それにしても、意識のある魂なんていつぶりかな」



 転生する全ての魂が、自身が転生するという自覚を持っているわけではない。ごく一部の運のいい魂が、前世の記憶として転生前と、この境界線のことを記憶することができる。また、これもごく一部の運のいい魂に限った話だが、転生する際に高い能力を得て転生することがある。これが才能やチートと呼ばれるものになる。



「まぁ、神様っぽい演出もたまには悪くない」



 ヘリオス君は、俺の顔が立派な口ひげを携え、白髪混じりの金髪の老人のように見えたことだろう。だが、実際の俺の顔は髭は生えておらず、黒髪で、死んだ時と同じ顔をしている。簡単に言うと彼の魂に幻覚を見せたのだ。

 ちなみに彼を『手違いで殺した』というのは真っ赤な嘘であるし、もっと言うと、いちいち魂に俺の姿を見せる必要もない。気まぐれな演出である。



「とはいえ、いい加減に飽きてきたな」



 ふと、自分の記憶をたどってみる。目標を定めて、それを自分で達成した事はほとんどないように思われる。転生神になる前は病気のせいで日々を生きるのに精一杯だった。川を流れる小石のように、流されるままに生きてきた。

 何か、何かを成し遂げたい。どんなことでもい。そんな思いが俺の中に燻っていた。



 そんな風に考え事をしていたから、気が付くのが遅れた。



 背後から人間らしきものが、何かを手に持って近づいてくるのに。



「なっ……!?」



 左胸に違和感を感じてすぐに俺の意識は途絶えた。



 



 

 

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