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先生のありがたいお話

身体能力測定が終わって1週間。学校内の施設や部活動、委員会などの説明や、授業を受けたりと怒涛の1週間だった。あの身体能力測定の日から担任の田ヶ原が和久のことを時々注意深く見てくることはあるが、和久は特に気にせず日常を過ごしている。


特に変わったことといえば、大雅関係だろう。身体能力測定オール5の大雅は、この1週間話題の中心だった。各クラスから大雅の顔を一目見ようと、和久たちのクラスに人が集まったのは、ここ最近の出来事だ。


そして、現在ーーー


「お前ら、入学式から1週間経ったが、学校には慣れたかー?」


担任の田ヶ原が黒板の前に立ち話をする。


「今からの総合の時間は、入学式で話された通り、今週末にある宿泊研修のことについて話をする」



「楽しみー」「緊張するー」「やっときたかー」



生徒がそれぞれ田ヶ原の話に反応している中、大雅が隣の席の和久に話しかける。


「なあ、宿泊研修ってなんのことだ?」


「あ、大雅くん入学式いなかったもんね。宿泊研修っていうのは…」


「お前ら静かにしろ」


和久が大雅に宿泊研修について説明しようとすると、田ヶ原がそれを遮った。


「どこかの誰かさんが入学式いなかったから説明するけど」


田ヶ原がちらっと大雅を見るながら話す。


「宿泊研修ってのは、名前通り泊まりがけでの研修だ。能力の使い方について学んだり、実技訓練をしたりする。2日目の最終日には、クラス対抗で能力使用ありの模擬戦もあるから気合入れてけよ」


(模擬戦か…他クラスと戦えるなんて楽しみだなあ。大雅くんの活躍を期待だね)


「模擬戦か…どれくらいの強さでやればいいんだ…?」


隣の席の人に聞こえないくらいの声で大雅が声を漏らす。


「ん?なんか言った?大雅くん(バッチリ聞こえてるけど)」


「えっ!?いや…えっと模擬戦緊張するなーって思ってな」


まさか何を言ったのかわからなくても、聞こえているとは思ってはいなかったのか、大雅が少し動揺しながら答える。


「そんなこと言って。身体能力測定オール5の大雅くんは模擬戦なんか楽勝でしょ」


「楽勝じゃないって。だけど和久も体術の測定で5だったんだろ。まだ実技の授業やってないからわからないけど、体術5の奴ってあんまりいないだろ」


「大雅くんが言うと嫌味にしか聞こえないけどね。まあ大雅くんみたいな頭良くて強い人には負けると思うけど、圭介くんみたいな単純バカだったら勝てると思うよ」


単純バカを強調して言ってみた。


「おい!和久聞こえてんだよ!!!」


圭介が勢いよく振り向き、反論してきた。しかし彼は気づいているのだろうか。田ヶ原が無表情でチョークを構えていることを。


バシッ

「痛え!!!」


「菊地、静かにしろ!」


いい笑顔でくすくすと和久が圭介を見ながら笑う。


その笑顔を見て、和久の隣の席の大雅だけでなく和久のクラスのほとんどの生徒は同じことを思った。


(((こいつだけは敵に回したくねぇー)))




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