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体術測定

遅くなりました。

勢いで書きました。


身体能力測定も残るところ、体術の測定のみになり、和久のクラスは実技訓練棟に来ていた。それぞれの測定には五段階の判定があり、平均は3。和久は今から行う体術以外の測定は、全て3か4を取っていた。そして大雅はお決まりの全測定の判定が5。本人は気づいてないようだが、周りの生徒、先生のどよめきが凄かった。霧氷であることは隠しているようなのに、こんなに目立っていていいのだろうか。


そんなことを和久が考えている間に、和久の前の大雅の測定の順番がやってきた。測定は1人ずつ実技訓練棟内の訓練室で行われる。今回は訓練室内の様子が見えないように、部屋を囲う強化ガラスに幕が下りている。


「じゃあ、行ってくるな」


大雅が和久に声をかけて、訓練室への扉へ向かう。


「頑張ってね」


和久はそう言い大雅を見送る。


数分後、和久の順番がやってきた。


(大雅くんはやっぱり期待を裏切らないね。盛大にやってくれたよ!)


強化ガラスぐらいなら、和久は気配で訓練室内でどんなことが起きているのかわかる。大雅は和久の予想通りにレベルBの体術をした。ちょうど体術測定の教員である和久達のクラスの担任、田ヶ原もかなり驚いている気配がする。


(これからの学校生活が楽しみだなぁ。さあ、僕も楽しめるよう頑張りますか!)


和久は内心わくわくしながら、訓練室の扉を開いた。



***


田ヶ原 隆行は現在進行形で冷や汗が止まらなかった。


(おいおい、あんな奴がいるなんて聞いてなかったぞ)


田ヶ原は、今回の身体能力測定の体術の測定担当教員だ。この学校に着任してから8年、毎年体術の測定教員をしている。そのため、各年ごとに多少違いはあるがだいたいの高校入学時の体術レベルはわかっている。毎年何人かは、他より体術ができる生徒がいるが、そういう生徒は名門、名家の者であったりするのだ。


しかし、たった前に体術の測定を行った自分のクラスの生徒、間宮 大雅ははっきり言って別格だった。

レベルBの体術といってもいいだろう。スピードや力はレベルDの能力者程度だが、動きの緩急、切れ、読みがレベルBだ。レベルBで体術が得意な自分でさえも、気を抜いていたらやられていただろう。

間宮大雅は、入学式早々の遅刻と、その整った容姿でクラスでも目立っていた生徒だが、名門、名家の出ではない。入学時の調査書にも、出身は福井県のきいたことのない村の名前が書いてあり、本人に確認しても間違っていないということだそうだ。また、体術などは、親戚の人に教えてもらっていたらしい。


(その親戚とやらが、レベルA程度の能力者なのか…?しかし、間宮大雅、今後が楽しみだな)


田ヶ原は、測定の記録をしながら次の生徒を待つ。


「失礼します」


入ってきた生徒は、大人しそうな雰囲気の少年。身長は170cmぐらいで、ひょろっとしていている。


「観月 和久だな。今から体術の測定を行うが、ただ俺と闘うだけだ。俺は基本守りだが本気で当てにきても構わないからな。じゃあそこのラインに立って準備しろ」


「はい」


田ヶ原が指示をし、観月 和久が田ヶ原から3m程離れた床に描かれたライン上に立つ。


「よし、始め!」


田ヶ原の声で、和久が床を蹴り田ヶ原の顔面に向かって拳を振り上げる。田ヶ原はそれを自身の右手で受け流し和久のバランスを崩す。


(まあ、高校生男子はこんなもんだよな)


そんなことを考え、田ヶ原は次の攻撃の防御ために和久をちらりと見ると、和久の口角がかすかに上がっていた。


(は…?笑って……)


「ーーーーーっ!」


前方からの気配に、田ヶ原は急いで腕で防御をする。その気配の正体は和久の右足。


(こいつ、バランス崩しながら蹴りいれてきやがった…!)


だが田ヶ原はレベルBの能力者で、能力の関係により体術は得意なため、和久の足を難なく受ける。


しかし和久は、バランスを崩しながら両手を地面につき、倒立のような状態から残った左足で田ヶ原の顎を狙う。


田ヶ原はその左足を間一髪でかわす。


(おいおいその体勢から攻撃するのかよ)


和久のスピードや力は一般の高校生レベルだが、次々と休む間もなく攻撃を仕掛けてくる。


その後しばらく闘い続け、測定は終了した。


和久が訓練室から出ていった後、田ヶ原は測定の記録をつける。


(観月 和久か。見た目に反して意外と好戦的な奴だったな。だけどあの戦い方。常に顔面を狙ってたな。体術ができるってよりも、あれは…)


ふと観月 和久の入学時の調査書の出身中学の欄が目に入る。


「……立山中学…」


思わずその名前を口に出す。


立山中学といえば、この東能高校からそれほど遠くない場所に位置する中学校だ。しかしその中学はかなり荒れており、生徒の半分以上が不良、警察沙汰のことなど日常参事のような学校だ。


「……」


(いやいや、あの雰囲気でそんなわけないだろ。…だけどあの戦い方は喧嘩慣れしてる奴の戦い方だよな…)


思わず田ヶ原は溜息をもらし、天井を仰ぐ。


「もしやあいつとんでもない問題児なのか…?」


そう口にして、田ヶ原は和久の体術の記録に5と記録した。



今回わかったこと。

自分戦闘シーンが苦手です。

あと和久の中学時代は後々また詳しく出てくると思います。

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