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自己紹介

和久の後二人が自己紹介をし終わり、担任が口を開く。


「今日は、これで以上だ。入学式で話したように、明日は午前に各教科のガイダンス、午後は身体能力の測定がある。誰かさんみたいに遅刻なんてするなよー」


担任は最後にジロッと間宮 大雅を見ていきそのまま教室から出ていった。担任がいなくなると、教室内が騒がしくなる。それぞれでまた自己紹介したり、隣の席の人と話したり。和久はそろそろ帰ろうかなと思い、帰る支度をしていると隣から声がかかる。


「観月くんだっけ。さっき途中で自己紹介止めてごめん。あ、あと俺知ってると思うけど、間宮 大雅だ。よろしく」


「よろしく、大雅くん。僕のことは和久でいいよ。それとさっきのことあんまり気にしてないから大丈夫だよ(君のお陰で楽しい高校生活を送れそうだしね)」


「ほんとごめん、これからよろしくな。そういえば気になってたんだけど、「わく」っていう読み方珍しいな。最初「かずひさ」だと思ってた」


「あはは、よく間違えられるんだよね。まあ確かに珍しいかも」


間宮 大雅は思っていたより、話しやすかった。だけど、女子達からの視線がすごい。じゃあ、自然に話しかけられるようにしてあげよう。


「大雅くんはさ、今日なんで遅刻したの?」


多分クラスの殆どの人が気になっていること。

和久が質問すると、話しかける機会だと思ったのか何人かの女子が話に加わってくる。


「私も気になってた!」


「寝坊したの?」


「もしかして、緊張して眠れなかったとか?」


周りを女子で囲まれた間宮 大雅は、少し苦笑いをしながら目をそらし恥ずかしそうに口を開く。


「…殆ど合ってる」


その瞬間、女子がきゃあと騒ぎ出す。ギャップ萌えとか可愛いとか言っている。その後、間宮大雅は女子達に囲まれ色々と質問攻めにあっていた。やっぱりモテる奴は違う。


(寝坊ね…話していた時瞳孔が開いてたから、嘘かな。多分昨日僕が3人殺したから、仕事を増やしちゃったのかも。悪いことしたな)


和久がそんなことを考えていると、近くからブツブツと声が聞こえた。


「くそ、イケメンめ。あんな女子に囲まれやがって。羨ましい。イケメンなんて滅びろ」


そして、呪詛のようなことを言っていた彼は和久を見て、同情したような顔をして和久の肩に手を乗せた。


「わかる、わかるよ。お前の気持ち。だって俺も同じ気持ちだからな。俺は、菊地 圭介だ。モブ同士仲良くしようぜ」


そう話しかけてきた、菊地 圭介は、元気ってより騒がしいって言葉の方が似合う雰囲気だ。短髪で顔は悪い方ではないけど、いかがわしいことを常に考えていそうな男子高校生って感じ。そのうち大雅くんに逆恨みで飛びかかりそうだ。そして何よりも、


「観月 和久だよ。よろしくね、モブくん」


「えっ!まさかのサラッと笑顔でモブ呼び」


弄りがいがありそうだ。


「ああ、ごめんね。心の声が出ちゃった」


「それ、謝ってねーだろ!」



そんな感じで圭介と和久が騒いでいると、女子達から解放されたのか、大雅が少し疲れた様子でこちらに近づいてきた。

荷物を持っているところを見ると、一緒に帰ろうと誘いに来たのだろう。


「和久。よかったら一緒に帰らないか…って横の彼は…?」


「彼は、菊地 モブ…あっ、間違えた。菊地 圭介くんだよ」


「なんつー間違えしてんだ!しかも律儀に苗字はあってるし!」


「よし、帰ろっか。モ…圭介くんも一緒に行く?」


「えっ、無視?しかもモブって言いかけたよな」


「鞄持ってこないとだし、早く支度しないと」


「お前人の話全然聞かないな…。一緒に帰るけどよ」


そういう圭介をほっといて、和久は帰る支度をし始める。そして残された2人は軽く自己紹介をした。ちなみに和久との会話に疲れた圭介は、大雅がしっかり名前を呼んでくれたため、さっきまで自分で言っていた呪詛を忘れ普通に大雅と仲良くなった。





***


帰る支度をし終え、教室を出た3人は靴箱に向かい上履きから外靴に履き替え校舎を出る。


「そういえば、俺寮に入るんだけど2人はどうなんだ?」


大雅が和久と圭介に尋ねる。


「俺も寮だぜー。実家は神奈川だしな」


「僕は寮じゃないよ」


和久の返事に大雅と圭介は少し驚く。


「へぇー、珍しいな。寮じゃないなんて」


「まぁ、家学校に近いからね。あと寮って色々規則あって大変そうじゃん。家から通った方が気が楽だし」


学校の寮は2人一部屋、風呂、トイレ、家具家電、食事付きという素晴らしい条件なのだが、当然のように門限がある。これが夜によく行動する和久が寮に入らない理由である。誰にも気づかれずに寮から抜け出すことは和久なら簡単なのだが、周りに注意をする必要がある。そのため基本めんどくさいことはしたくない和久は、寮に入らず前から一人暮らしをしているアパートから学校に通っている。


「確かに。門限はあるし、休日外出するときいちいち外出届け出さないといけないみたいだしな」


「いいなー。俺も実家が神奈川じゃなくて、東京がよかったわー」


その後は、9組に可愛い女子がいた、レベルCの新入生がいるなど、なんとも高校生の男子という会話をして和久は寮に向かう大雅と圭介と別れた。




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