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学年別個人戦2

現在Bコートでは3試合目が始まっており、大雅が戦闘をしている。ちなみに圭介は思っていた通りあのまま優勢を保って勝った。多分そろそろ観客席の方に来るだろう。


大雅の相手は一般高校生能力者レベルD。当然大雅の方が優勢だ。

大雅は開始早々、相手の足元を凍らして動けないようにした後、素早く距離を詰めて攻撃する。素手で攻撃しているのを見るところ、前回宿泊訓練の模擬戦で使用していた氷の刀は使わないらしい。しっかり手加減をしているが、それでも切り替えの速さや攻撃の緩急など、多分普段無意識にやっているのだろうことが隠せていない。


(まだまだだねー、大雅くん。普通の能力者は誤魔化せても、レベルA以上には疑われるよー)


和久は今、席には座らず試合の見える場所で手すりに肘をついて観戦している。和久が思っていたよりも人が多く席が殆ど埋まっており、単に席を探すのが面倒になっただけだが。


(あ、今殺せたな。……これで4回目。いくら手を抜いてるからって、殺せるような隙を作るなんてダメなんじゃない?大雅くん。そんなんじゃ、そのうち本当に殺されちゃうよ〜)


和久なら今ので大雅を4回殺せる。多分戦闘スキルだけなら、八雲の中でも霧氷はトップクラスだろう。だけど状況把握や指揮その他諸々含めたらまだ隊長の陽炎や副隊長の刹那には到底及ばない。

まぁ、今日その2人も会場に見にきてるみたいだから、あとで注意されるだろう。


なぜ和久がその2人のことを見つけたのかというと、大雅のことを家族に向ける視線で見る2人組を見つけたからだ。そして体格や身長、歩き方などからその2人組が八雲の陽炎と刹那だろうと結論づけた。


はぁと和久は溜息をつく。


これは少し気を引き締めて試合をしなくては。八雲にバレる気などさらさらないが、万が一疑われたら面倒だ。


ちらりとコートを見ると、大雅が相手の懐に入り一撃を与え相手が吹き飛ぶ。その攻撃で相手の持ち点が0になったらしく試合が終わった。大雅は周りの反応に気づいているのだろうか。流石に10分間の試合で残り時間を7分残して勝つのは目立っている。


八雲の2人を見ても、2人とも頭を押さえている。2人はもう少し普通の高校生について事前に大雅に教えておくべきだっただろう。イケメンに加えて実力もあるなど目立たない方がおかしい。

そんなことなど気づきもしない大雅は早々とコートから出て行った。この後は多分八雲の2人の所へ行くのだろう。


Aコートではまだ3試合目が続いている。6試合目が始まるのは30分後ぐらいだ。

残りの時間は途中で圭介と合流し、飲み物を買いに行ったり、試合を見るなどして時間を潰した。


***


「Aコート6試合目の生徒はコート付近に集まり準備をして下さい。繰り返します。Bコートーーーー……」


「おっ、和久時間だな!頑張ってこいよ!」


「うん、ありがとう圭介くん。じゃあ、行ってきまーす」


圭介にひらひらと手を振りながら、和久はコートに向かう。今日の和久の服装は他の生徒と同じ模擬戦用戦闘服だが腰や太もも、腕などにナイフホルダーが付いている。今回和久が使用するナイフは全部で10本。腰に4本、太ももに2本ずつ、左腕に2本。

和久は歩きながらカチャカチャと腰に付いているナイフホルダーのストッパーをいじる。ナイフを出す時いちいちこのストッパーを外さなければならない。


(これだから安物は…ナイフよりもっとこっちの方を意識してほしいよね、ほんと)


和久にとってナイフの質はあまり関係ない。ナイフなど急所に素早く刺せば、人なんて簡単に死ぬ。それよりも重要なのがナイフホルダー。ナイフの出し入れが少しでも遅れれば、その一瞬で殺されてしまう。

それに今回の個人戦ではナイフなど殺傷力が無いので、特にナイフの出し入れが重要視される。

だが学校から配給されたナイフホルダーは安物(安物と言っても和久にとって安物であるというだけで、一般人にとっては普通に高い)で、ストッパー解除に時間がかかる。


和久が心の中でこのナイフホルダーへの不満を言いながらコートへ向かうと、もうすでにそこには相手の生徒がウォーミングアップをしていた。

その生徒は和久を見るとバカにしたような顔をした。


(あー、これ僕がサポート系だから、楽勝だって思ってる顔だねー)


武器の使用が認められているのは、サポート系の生徒のみ。どうやら相手は和久がつけているナイフホルダーを見て和久がサポート系の能力者だとわかり、自分が勝てると確信したようだ。


能力格差は最近社会問題の1つになっている。能力にはその能力が強いものや弱いものが存在する。能力者の中には能力が弱い者を蔑む者もいる。特にそれは戦闘系の能力者がサポート系の能力者に対してすることが多い。実際にはサポート系の支えなしでは戦闘系はやっていけないのだが、そこらへんのことをわかっていない能力者がレベルが低いほど多い。


(まぁ、流石に1回戦は勝たないと面白くないから勝たせてもらいますけどねぇ〜)


いざ典型的な低能力者対和久の戦いがここに始まる!って感じで。さあ、試合を始めよう。




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