落とし穴から始まる・・のか?
1人の男がいる。
鬱蒼とした森の中を、スウェットに裸足と言う似つかわしくない格好で黙々と歩く。
手にはペットボトルを一本、半分ぐらいの水が入っている。ポケットのズボンに一枚の手紙。
一旦立ち止まり、その手紙に目を落とす。
内容は【頑張れ勇者!間違えてごめん☆てへっ(。•̀ω-)✧この先の湖で待つ!!】
この男
年齢32歳、未婚。大手と言われる広告代理店に勤め、課長まで上り詰めた。見た目も30代にして若くみられる。切れ長の目に、182cmの長身。
休日はネットゲームに、マンガやラノベ。
そんな男がなぜこの様な場所に?
−−−−−−3時間前−−−−−−
「だぁー!なんで回復回さないんだよ!ヒーラーが攻撃ってなんなの?舐めてるの?死ぬの?」
ガンっ!
コントローラーが投げつけられた弾みで下に落ちる。
男は久々の連休を満喫していた。
昨日から、今日はゲームを満喫するために、食料から飲み物まで2、3日は過ごせるであろう量を買い込んでいる。
冷蔵庫に入りきれなかったものは袋のまま冷蔵庫の横に置かれている。
「・・・やっぱ、買いすぎたな」
《あぁーメンバー全員が俺だったらなぁ。そしたらあんなクエなんて楽勝だっての。。。
やっぱり平日はギルメン少ないし、フリーは話にならないし。。
今日はゲーム辞めて動画にするかな。。。》
机に置いてあったペットボトルを手にとり、ソファに移動しようと立ち上がった瞬間、足元が揺れる。
地震か??と周りを見渡すが、その男の足元だけが揺れている。
そのに1人の少女が舞い降りて来た、目を閉ざし、白のワンピースに頭に冠?を被った少女。
「勇者よ、は・・」
ヒュッ
「うわっ」
少女が目を開け、口を開いた瞬間・・
男の足元に穴が空き、落ちていった。。。。
その穴を除き込み、ぽりぽりを頭をかく。
「ま、いっか」
男が目を開けるとそこには木々の生い茂る森だった。どこからともなく鳥の鳴き声が聞こえる。
《ここは?あれ?俺は家にいたよな?んで、地震が来たかと思ってたら女の子が現れて・・・そうだ!落ちたんだよ!穴に!》
男は空を見上げた。しかし、何もなかった。木々の葉っぱの間から太陽の日差しがさしている。
次に足元に目をやると・・・裸足だ。。
手には飲みかけのペットボトル。
ポケットの中に何かがはみ出している。そっと取り出すと手紙?の様だった、いつもの紙とは違う。
羊皮紙?と言うやつか。そこにはこう書かれていた。
【頑張れ勇者!間違えてごめん☆てへっ(。•̀ω-)✧この先の湖で待つ!!】
それを読んだ男の手に力が入る。
プルプルと震えている。
《なんだ?なんのドッキリだよ!湖?どっちだよ!なんだこれ?なんだこれ》
何もわからないまま、男は歩き出す。とりあえずまっすぐに。