⑤
彼は今年社会にでた商社の新入社員である。
そんな彼ももう入社から三ヶ月、本採用となった時だった。
パソコン入力中に彼は気づいたのだ、なにか芳ばしい匂いがすると。
彼は周りにわざとらしく匂いがするということを報せるためにわざと音を鳴らして匂いを嗅いだ。
すると反応したのは彼の向かいに座る女性先輩社員Aと、その右隣に座るCだった。
「君も気づいてた?」
Aは彼に尋ねた。
彼が頷くとAは言葉を続けた。
「なんか、私の所から匂ってきてるみたい」
彼は答えようとした。
なにか、干物やスルメを炙ったような芳ばしい匂いがしますね。
そう答えようとしたのだ。
しかし、Aは答える前に興奮気味で言ったのだ。
「やんな! イ カ 臭 い やんな!!」
彼は言葉に詰まった。
同時に心の中では困惑していた。
Aの表情には恥じらいはなかった。
ただ、不可解な臭いが何処から発生しているのか?
それに同意してくれる人が居ることに興奮しているやうだった。
「なんやろ?この臭い…イ カ ? イ カ 臭 い ?どこから?私から?もしかして…私…」
彼はそれ以上言わせまいと発言に被らせてやや強調して言った。
「スルメ炙ったような臭いですね!Aさんの付近かも知れないので僕が調べま…」
「 や っ ぱ り 私 イ カ 臭 い ! ! ? 」
いつもなら、なんだなんだどうしたどうした?と口を挟む上司陣は一切関わろうとせず、無言でめ眼も向けずにモニターに向かっている
「どうしよう! 私 、 イ カ 臭 い !!!!」
彼は頭を抱えた…。
_ 人 人 人 人 人 人 _
> ア ホ の 子 <
 ̄ Y ^ Y ^ Y ^ Y ^ Y  ̄
パソコンの電源コードがショートして、コードが焦げたのが臭いの原因であった。
や め よ う ね