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VIPルーム

一瞬 時が止まったかと思った。


今、起きてる事が理解できなかった。


なんで あのVIP席で女に囲まれていた男性がわたしの手を握っているのだろう。

私は困惑顔で彼に言った。


「なっ なんですか??!」

私は緊張して 声が裏がえった。


彼は私に ニコッと微笑んで言った。

「君の事が知りたくて」


彼は私の手を握ったまま もう片方の手を私の肩に置き 身体を引き寄せ 彼の身体に密着させた。


何?? この人。強引すぎる。

私は半ば パニックになっていた。

そして、私の手と肩を抱きながら VIP席に向かった。


えっ。VIP席に行くの??と思いながら、あの広々とした 大きいVIPルームに連れて行かれると思うと 嫌になった。

あの、広々としたVIPルームに 私は

皆の知らない存在なのに、、、、

どうしたら良いのか 解らないまま VIPルームの前まで来てしまった。


すると、さっきまで彼がいた広々としたVIPルームに 入らず、 そこを通り過ぎて 隣にある

予約席の誰も居ないVIPルームへ入った。


ここ、予約席なのに大丈夫なの??

私は彼と一緒に誰も居ないVIPルームに入った。


そのVIPルームには、ソファが向かい合っていて テーブルが一つある シンプルな部屋だった。


彼は 私の手をまだ握ったままで 奥のソファに連れて行き、座らせた。私に続いて彼も 私の隣に座った。


その時、VIPルームの外からAquaのスタッフらしき人が現れた。

そのスタッフは ロングヘアスタイルで髪を一つに結んでスーツをバシッと着こなした20代半ばぐらいの男性だった。

その男性スタッフの胸元には 支配人とゆう名札が輝いていた。


そのAquaの支配人が慌てた様子で話した。


「神崎様、ここのVIP席は予約席なので、、、」


そう支配人が申し訳なさそうにしていると、彼は


「キャンセルして2階のVIPルームに変更させろ。追加料金は俺が支払う」


彼はピシャリと支配人に言い放った。

支配人は彼に

「かしこまりました。また、注文あればいつでもお呼び下さい」

そう言って支配人は出て行こうとすると

「じゃあ、シャンパンのドンペリピンクを一つ頼むよ。」


「かしこまりました。すぐお持ち致します」


そう言って足早に出て行った。


私はポカーンと開いた口が塞がらなかった。

彼は 私と二人になった途端 握っていた手がやっと離され、彼は私をじっと見つめた。

「君と目があった瞬間 ずっと気になって

探した。」


私は顔が真っ赤になった。

やっぱり、あの時 目が合ってたんだ。


「いつも、こんな強引なナンパみたいな事をしてるんですか??」

私は彼を睨み付ける様に 言った。


彼は笑いながら言った。

「こんな事をしたのは初めてだよ。自分でもビックリしている。私が女性を追いかけ回した事は一度もない。」


「じゃあ なんで私をここまで強引に連れて来たんですか??」


「僕にも解らない。君が美しくてつい、衝動的になってしまった」


えっ??

私が美しい?? そんな訳がないと思い、私はからかわれているのだろうと心の中で嬉しさを閉じ込めた。


彼の手は私の髪に触れ

「君を知りたい」と

顔を近づけて囁いた。


私は呼吸が止まりそうなくらい、息ができなかった。

髪に触れていた手が私の顎まで降りていき、顎をクイッと持ち上げた。


えっ??!

彼は今、何をしようとしてるの??!

私はその勢いに任せて 目を閉じた。






(トン トン トン)


「ドンペリニョンをお持ち致しました」


私は ハッと我に返り、彼の手から顎を引っ込め 下を向いた。


私、どうかしてる。きっとお酒のせいだろう。

もうこれ以上 飲むと私が私じゃなくなっちゃう。


なんで、こんな事になったの??

この強引な男がカッコ良すぎるせい??

私は困惑していた。


店員がドンペリを開け 二人分のグラスに注いだ。


その店員は注いだ後、すぐに部屋を出て行った。


私は言った。

「今日は久しぶりに飲み過ぎて、これ以上飲むと おかしくなってしまうから

せっかく、高いお酒をおろして頂いたのに 一杯だけ頂いて後の残りは、隣の知り合いの人に飲んでもらって下さい」


そう早口でそっけなく答えた。


彼は

「気にするな。お酒なんて幾らでも飲めるよ」


と言い、私の顔をじっと見つめた。


「今夜、君とずっと一緒に居たい」


直球過ぎる言葉に 私は息を飲んだ。


「私は 例えどんな魅力的な人であっても、初めて出逢って知らない男性と一晩過ごす事は絶対にないです」

と冷ややかな目でそう言った。


「バージンなのか??」


彼は クスクス笑い、シャンパンをグイっと飲んだ。


なんて失礼な男! 私はムッとした顔をしていると

「冗談だよ、試しに言ってみたら 本気の返事が返ってきたから 思わず失礼な事を言ってしまった」


私は完璧にからかわれている!

恥ずかしくなって早くこの部屋から 出たいと思った。


すると、 部屋の外のガラス張りから綺麗な女性が こちらを覗き込み すぐに この部屋に入ってきた。


女性は

「まさー 。こんな所に居たの??皆、探してたんだから〜。今日は、まさの誕生日なんだから 皆でしっかりお祝いさせてよ。」


えっ??!

彼の誕生日だったの??


「見つかってしまったか。すぐに戻るよ。」

彼はつまんなさそうに言った。


綺麗な彼女は私の3つか4つ年上のモデルみたいなスラッとした体型で綺麗目なジーンズを着こなしていた。


私はその綺麗な女性に見惚れていた。

彼女は私に視線を向け


「邪魔してごめんなさい。今日の主役が居なくて困ってたの。まさから失礼な事は言われなかった??」


彼女はニコッと笑い微笑んだ。


「いえっ!こちらこそ 関係ないのにお邪魔しました。すぐに出ます」


そう言って、席を立ち出て行こうとした。 その瞬間、また彼に腕を掴まれ

「一緒に祝ってくれないか??」

と言われ 一瞬、戸惑った。


「いえ、私はもう これ以上 飲めないですし、知らない男性の誕生日 祝いをする立場ではないので失礼します。」


「残念だ。では今度ゆっくりご飯でもどうかな?? 携帯電話を教えてくれ」


「今、携帯持っていなくて番号が解らないんです。」


私は嘘をついた。もうこの男性とは関わりたくない。


「では 私の名刺を渡しておくから 名刺の携帯に かけてくれ」


そう言って 胸ポケットから 名刺を取りだし、私に渡した。

私は早くこの場所から出て行きたかった。

息が詰まりそうなくらいドキドキしていた。 私はお礼を言い、足早にVIPルームから出て行った。



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