出会い
クラブAquaは深夜12時を過ぎ 一気にお客さんが増え、音楽のボルテージも上がってきた。
私達はお酒の2杯目を頼んでいた。
私はジントニックを頼み、るみはテキーラコークをまた 頼んだ。
るみは本当にお酒が強い。顔が全く赤くならないし綺麗な白肌のままだ。
私はジントニックを2口 飲んだ頃から急に頬が焼けつくような火照りを感じた。
「るみ！ ちょっとトイレ！」
そう言って 私は トイレに行った。鏡を見たら 顔が薄ピンクに染まって 頬が火照っていた。すぐにファンデーションで血色をおさえ、無色のグロスを唇に軽く塗り 少しだけでも見映えを良くしようと試みた。
トイレから出て、るみを探そうと思ったが 予想以上にお客さんの数が増えていて
さっき いたバーカウンターの所に戻ったが、るみは居なかった。
なんで？? 大丈夫かな。
辺り周りを見回してみたけど居ない。
ダンスフロアに目をやる。
ダンスフロアには 男6女4の割合で 踊っていた。
どこ行ったの、
私は挙動不審になりながら 辺りを思いっきり探した。
まさか、V.I.P. 席には居ないよね、、、、
そう思いながらバーカウンターから VIP席の薄青いガラス張り奥の部屋の方に目をやった。
5つある VIP席は4つの部屋が満席になっていた。
私は興味本位も含めて、どんな人達がVIP 席にいるのか 見てみた。
一つ目のVIP席には男の人が4人座っていた。20代後半か30歳ぐらいの男性が 結構、深刻な表情をして話をしていた。
その席には女性が一人も居なかった。
二つ目と三つ目のVIP席には若い男性と若い女性が 同じ数だけいて楽しそうに話していた。
四つ目のVIP席を見てみると、誰も居なく
予約席用の名札がテーブルに置かれていた。
そして最後のVIP席を 見てみた。
そこには異常な光景が目に入った。
普通のVIPルームの4倍の広さで きらびやかに輝くシャンデリアが光をはなっていた。
そこには 男性15人程で それ以上に女性が30人ぐらいの多さで人がいた。
私はVIPルームってこんなに人が入れるんだ！っと感心しながら 見続けた。
そこには一人の男性に女性が十人ぐらい群がっていた。
その男性はVIPルームの奥の真ん中に座っていて、その男性の左右隣に女性が五人づつ並んで座っていた。
不思議な光景だった。
ドラマみたいなシーンを見たみたいだった。
その男性は肩幅が広く スーツをカチッと着こなした20代後半ぐらいの爽やかな感じの人だった。
きっと、色んな意味で成功してきた人なんだろう。
女性が群がるのも無理はないと思いながら その男性は左右両方の女性の肩を抱きしめ 微笑んでいた。
凄い光景だった。私の喉がごくりと鳴ったのがはっきりと解った。
女性達は 頬を染めてうっとりと その男性を見つめている。
すると、私の視線に気遣いたかの様に その男性は顔を上げた。
私はすぐに目線を下にずらし、すぐにお酒を口に含み飲んだ。
ゴクリ。
そして、私はまた 男性の姿を見た。
視線が合った。
嘘！！？
気のせい？?
男性は 私の目を見ている。なんで？?
私は恐くなってもう一度 目を反らした。
落ち着け私。
気のせいだよ。そう心に言い聞かせ チラッと男性に視線をやった。
やっぱり！！
まだ 視線はこっちにある。
私は恐くなって ダンスフロアの人の群れに入った。
ダンスフロアはぎゅうぎゅうで人の群れで押し潰されそうになった。
ダンスフロアに入ったのをすぐ後悔した。
ダンスフロアから出ようとした時、るみが知らない男性と一緒に踊っているのを見つけた。
「るみ！！」
私は大声で叫んだ。
るみは 私に気づき ダンスをやめて近づいてきた。
「みさ！ はぐれたと思って心配した！」
「男と踊ってた癖に！」
私は イラっとした声で言った。
「たまたま、ナンパされて踊ってただけ」
るみはテキーラコークの半分を飲み干していた。
「 ちょっと酔っちゃったから 2階のベランダで涼んでくるね」
「大丈夫？? 携帯持ってるから 帰りたくなったら 連絡してね」
「大丈夫。ちょっと休憩してから 1階に戻るから るみが居なかったら携帯に連絡する」
私はバーカウンターに行き、ミネラルウォーターを貰い 2階に行く通路に向かった。
階段を上ろうとした瞬間、 手を握られ強く 引っ張られた。
えっ？?！
誰？
私は顔を上げた。
背はスラッと高く、肩幅は広く 握られた手は 大きい。
なんて綺麗な顔。こんな整った顔 初めてみた。瞳の奥はダークブラウンで私を見つめている。
髪は真っ黒で綺麗にセットされている。
あっ！
さっきのVIP席の男性だ。
なんで ここにいるの？?
何?？
