スペイン料理店
スペイン料理店は 賑わい、金曜のおかげでお客さんも、いつも以上に早いペースでお酒を飲んでいる。
私もその勢いで一杯目のシャンパングラスを飲み干した。
うーん!冷えてて美味しい!
生ハムとオリーブ、チーズの盛り合わせを先に頼んでてくれたみたいで
オリーブをつまみながら、店員のお兄さんを呼び 同じお酒をまた頼んだ。
るみは私の方を見てビックリしている。
「みさが そんな勢いで呑んでる所を見たのは初めて。今日は仕事どうだった?」
「それが、順調にいってたのが店の閉店前に苦情電話の対応に追われてた」
「どんな苦情だったの??」
「痩せるコースを10回も購入したのに全然痩せないって 永遠にその話。
返金をしてほしいとかなんとか」
「えっ!? それって返金できるの」
「返金はできないと思うよ。契約書にもサイン貰ってるし、その人食事の管理がめちゃくちゃで、、、
来店した時に大体、毎日の食事内容を聞いたりするんだけど曖昧で。」
「それゃ、痩せないよね〜」
「うん、なかなか難しいよ」
「みさの仕事って大変だよね、女の人 相手の仕事って尊敬するよ」
そう言って るみはお酒をグイっと飲んだ。
「るみの仕事もすごいじゃん、SEでしょ?? システムエンジニア??
どんな仕事か全く想像つかないよ」
「そんな事ないよ、でも1つでもミスやトラブルがあれば 億単位で損しちゃうから いつも上司はピリピリしてる。男だらけの職場で暑苦しいのも 嫌かな。」
るみは とても頭が良くて生まれつきお嬢様だ。 両親ともがお金持ちで3人姉妹の末っ子。オシャレでキラキラしていていつも綺麗。彼氏が途切れた事がないぐらい凄くモテる。
しかもお酒も強い。酔うと今以上に楽しくなる、綺麗で甘え上手な彼女。
こんな友達を持てて幸せ。
冷えたシャンパンが運ばれてきた。
すぐにメニューを開き 海老とマッシュルームのアヒージョとバケット、オススメのパエリアを頼んだ。
オーダーを聞いたお兄さんは 私にウインクをしてすぐに厨房へと戻って行った。
ここの店はイケメンばっかり揃えてあるお店なのか6割はイケメン目当ての女性客ばかりだ。
料理も抜群だし、るみとは良く来るお店。
「で、恋愛の方は最近どうなの??」
急にるみからの直球質問に戸惑った。
「全然。全くなんにもない。1年半も彼氏いないなんて 自分でもビックリするくらい」
私は肩をすくめた。
「みさ、恋愛する気ないでしょ、こんなに綺麗なのにもったいない。気になる人もいないの??」
「うん。全く」
「みさは、いつも恋愛では奥手だもんね。飲み会でも相手がみさの事を気に入っているのに 興味がないフリしたり 二人で会ったりもしない。 だから恋愛に発展しないんだよ。」
「なかなか良いなって思う人が居ないんだよね」
「そうゆう所は真面目よね」
るみは笑いながらいった。
「今日はみさの真面目な部分を緩める為にも、男性が沢山いる所に行こう!!」
「どうゆう意味??」
「クラブに行こう!」
「クラブ?? あんな所、良い恋愛できる場所じゃないよ」
「場所は関係ないの。出会いを求める事が大事。それも、私、最近彼氏と別れたし 色んな意味で発散したいの」
「えっ別れたの?? 」
「うん、飽きちゃった」
るみの彼氏は 超エリート国家公務員だった。
「るみってば〜 飽きるの早くない??」
「1年も付き合ったから私にしては凄くない!?」
私は呆れて 何も言えなかった。
アヒージョとバケットが運ばれてきて るみもお酒をもう一杯頼んだ。
「夜はこれから!今日は飲むよ! みさは明日は仕事なの??」
「明日は仕事は昼からだよ。るみは休みだから羨ましい」
るみは笑顔でバケットを口に放り込んだ。
「ここの料理って本当、美味しい!お酒も美味しいし 店員も最高よね」
私はるみの幸せそうな顔を見て微笑んだ。
「クラブってどんな所に行くの??」
「普通のクラブじゃ楽しくないから 会員制のクラブに行くつもり。男性はスーツじゃないと入店できないクラブで紹介がないと会員になれないシステムなの。」
自慢気にるみは話した。
「そんな会員制クラブなんかあるんだね」
「私も最近、友達から聞いて行った事がないから 今日は行ってみたいの」
パエリアも運ばれてきて 二人の会話は弾んだ。
今日は酔うのが早い気がした。
食べてない胃袋に 始めのシャンパンが効いてきた。
でも 明日は昼から仕事だから 気にしないようにした。 白ワインを頼み、パエリアと一緒に味わって食べた。
店のお客さんも減って 賑やかさも落ち着いた所で 時計を見ると もう PM11時になっていた。
るみも時計を見て 「さぁ まだまだ これから 遊びに行くよー!」と行って
お会計を店員に頼んだ。
店の外に出ると 空はスッキリ晴れていた。 初夏の爽やかな風が気持ちいい。
火照った顔を冷やしてくれた。