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あんまり面白くない説明会……(;´∀`)
「ここだ」
部屋に移動するには長い距離を歩き、ようやくついた。
大きな部屋だ。さすが、王宮といったところか。元の世界の自分の部屋の、三倍くらいはあるんじゃないだろうか。
「どうした? ……さあ、席につくがいい。どこでもいいぞ」
どこでもいいと言われても、席が多くて困る。
長方形の、大きな机だ。十席のうちの、一番下座に当たるであろうところに座った。
エリオスとユリアは、少女の隣に座った。
「さてさて、何からお話ししましょうか。というより、聖女様が問いかけてくださる方がいいと思いますの」
少女は、何か言いたいことがあるのか、目を泳がせた。
「あの、聖女様というのはやめてほしいんです。それと、私の名前はカナメです。姓はいりません。カナ、と呼んでください」
よくよく考えると、自分の名前を告げていないことを思い出した。
「……わかりましたわ。カナメ様」
「様もなくていいんですけど……」
「いいえ、聖女様を軽々しく呼ぶわけにはまいりません。わたくしは王女ですもの」
ユリアは、悲しげに目を伏せた。
「じゃあ、俺はカナと呼ばせてもらおう。いいか?」
「はい、もちろんです」
カナメは、頭の中を整理することにした。
いろんなことが短時間で起こって、わけがわからなくなっている。
あの世界を抜け出して、ここに来た。やることは決まっている。瘴気を浄化して、この世界が滅びないように、守る。単純なことだが、難しいことらしい。
「そもそも、瘴気ってなんですか?」
「さっきも言ったように、触れると病に侵され、のちに死す。それだけだ。他のことはわかっていない。研究しているうちに死ぬからな」
「それって、私は浄化できるんですか?」
「もちろんですの。聖女様ですもの」
その根拠はどこにあるのか。カナメはこのユリアという王女が苦手になってきていた。盲信は災いを呼ぶ。身をもって知っていることだ。
「じゃあ、ここってどこなんですか? 別の世界っていうだけで、私にとって国の名前とか、別に知らなくてもいいんですけど、そうはいかないんですよね……」
「国の名前など覚えずともよい、か。まぁ、仕方ないな。そもそも世界の国全て、瘴気のせいで混乱して、生きてる人も減ってしまったし」
エリオスは苦笑する。
他の国のことなど考える暇もないくらいに、この国も、そして他国も、消耗してしまっている。
「ここは、この世界の真ん中にある、レセプティという国ですわ。魔法の研究が進んでいて、広くて、たくさんの人がいて、豊かな国です。……でした」
魔王の瘴気にやられてしまって、首都以外は機能していない、とユリアは言う。
「そう、ですか。念のために聞きますが、私は向こうの世界に帰れるのでしょうか」
少しだけ、気になっていた。戻れるとしても、戻る気はないが。
「すまない、勝手に召喚しておいて、返す方法はまだ見つかっていない。だが、戻す方法は探している。見つかるまで、探すつもりだ」
「いえ、別に帰れなくてもいいです。そんなこと、考えたくもないですから」