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episode6『Release and absorption and destruction』

ファルゼバルト魔法軍養成学校。そこでは約1000人の選ばれし少年少女達が魔法軍として戦うために、日々訓練を続けている。そして、成績がよければ良いほど卒業後に魔法軍でいいポジションに付けるという。

しかし、



未だにその学校を卒業することができた生徒は一人もいない。



☆☆☆


「やっぱり来なきゃ良かった……」

小さく誰にも聞こえないようにボソッと呟くユース。しかし隣の席のレイには聞こえていた。

「ご、ごめん…まさかここまで…」

「やめろ。それ以上言うな。泣くぞ。」

周りが授業中なのにざわざわし始める。内容は…

『おいあいつ…親父が死んで魔力がっぽり手に入れたらしいぞ…』

『えっ、それってずるくない?』

『もしかして親父を殺したのあいつ自身なんじゃ…』

ユースの噂でこのクラス、いや、それどころか学校全体が騒然となっていた。

「………帰る」

「だ、だめだよ!せっかく来たんだし……」

「こんなことになるなら来なきゃ良かった!もう帰る!」

ユースが大声でそう叫んだ瞬間、


ガラガラガラ!!


勢い良くドアが開けられた。

「な、なんだ……?」

そして、中に入ってきたのは……


「ユースティース=ラインシュヴェルトという生徒はいるか?」


スーツを着たゴリラのようなガタイをしたムキムキのおっさんだった。

「もう一度聞く。ユースティース=ラインシュヴェルトはいるか?」

クラスのみんなが一斉にこっちを見る。

「えっ、ちょ、ちょ!?」

ゴリラがこっちを見た。

「お前か……ちょっと来い。」

「え、な、なんで!?俺何も……」

「いいから来い!学校長がお呼びだ!」

「!?」

どうやらこのゴリラは学校関係者らしい。

「ちょ、ちょっと待ってください!ユースが何をしたっていうんですか!」

レイがゴリラにつっかかる。

「落ちこぼれが魔力を手に入れたと聞いて、それについて聞きたいことがあるらしい。」

「なんであんた俺の時は答えなかったのにレイには答えんだよ!?」

「うるさい!喋るな!」

これが格差社会である。


☆☆☆


「連れてきました。学校長。」

ユースは亀甲縛りにされて校長室へ連れてかれた。

扉を開けると、一人の初老の男が座っていた。

「あぁ、きたか………なんで亀甲縛りなんだ?」

「少しうるさかったので。」

「ンー!!ンー!!」

「……解いてやれ。」

「了解しました。」

「っ……ぷはぁ……なんだってんだよ!つか、このゴリラ誰だ!?」

「ゴリラって言うな!」

ユースの頭が一回り腫れた。

「落ち着け君たち……ほら、ゴリ…ブラウ君も。」

「いまゴリラっていいかけませんでしたか?……ゴホン。よく聞け落ちこぼれ。俺の名は『ブラウ=ゴッテス』だ。ここでは教師をやっている。」

どうやらこのゴリラ…もといブラウは教師らしい。

「……で、そのブラウ先生と学校長そろって俺になんのようですか?」

学校長は短いあごひげをを撫でながら楽しそうに答える。

「君、父親から魔力を譲ったらしいね?」

「ッ!?…そう言えばクラスの奴らも……なんでそのことを知ってんだ!?俺は何も……」

「そこはまあ……今はいいだろう。で、どれくらい譲ってもらったんだい?」

よくねぇよ、と答えたいユースだったが、ブラウに睨まれたので口に出さなかった。

「もらった量はかなり少ないです…多分。それより、封印されてた魔力がなんとか…って言ってました。」

それに学校長は眉をひそめて、

「封印……魔力の譲渡……君の父親は一体…」

と、呟いた。

「え、なんかおかしいことなんですか?」

「おかしいも何も、本来はありえないんだ。魔力の封印、そして譲渡。そんなことをできる人間は今まで一人もいなかった。」

どうやらユースの父親はなにかとてつもないことをしでかしたらしい。

「まあ、この際それも置いておこう。さてユース君。こっちに来てくれ。」

「な、何するんすか?」


「君の魔力量、そして得意魔法を調べる。」


さらっと、さも簡単そうに言ってのける学校長。

「で、でもそんなマジックアイテムどこにも……」

「いいよ。僕が直接調べる。手をかざすだけでわかるよ。」

「そんなことできるんですか!?」

「ああ。君の体に少しだけ魔力を流し込む。そしてその流した魔力をまた僕に戻す。それだけだよ。」

それだけ、とは言うが、本来魔力は手放せば帰ってこない一方通行な存在。そんなものを行ったり来たりさせることができるあたりが、さすが学校長と言ったところか。

「じゃ、じゃあ…お願いします…」

「よし。じゃあ背中だしてこっちに向けてくれ」

「こ、こうですか?」

この件も二回目な気がする。

「よしよし……ん?これは……」

後ろから不審がる学校長の声。

「どうかしましたか?」

「ああいや、なんでもないよ。じゃあいこう。」

学校長がユースの背中に手をかざす。すると……

「…なんにも感じないんですけど…」

「うん。感じないレベルにしてるからね。っと………ッ!?」

ガタン!

勢い良く後ろに飛んだ学校長。すぐに何も喋らず黙っていたブラウが駆けつける。

「大丈夫ですか!?学校長!!」

「あ、あぁ、問題ない……しかし……」

「あ、あの……俺に何が……」

「…………」

少し言いにくそうにためらう学校長。しかし、躊躇ったのは一瞬、すぐに結果を教えてくれた。



「ユースティース=ラインシュヴェルト。君の魔力貯蔵量は『魔王レベル』。そして得意魔法は『放出』と『吸収』、そして『破壊』だ。」



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