表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

episode9『another』

「す、すげぇ……」

校長の放った光は空を抉り、地を抉り、敵を抉った。

俺の漏らしたつぶやきにブラウが答える。

「それはそうだ。初代魔力貯蔵量魔王レベルだからな。……ん?あれは……魔法軍か!?援軍を呼んでくれるとは……校長だろうか……」

「………」

「ん?どうした、レイ?」

「あ、ああいや、なんでもないの!なんでも……」

「………なぁ。レイ。お前さっきからなんかおかしくねぇか?」

「え?いや……そんなことないと思うけど…」

「……まあいいけど。」

魔法軍の数はおよそ2000。全軍隊の半分くらいだろうか。

「でもまあ、これだけいれば敵も………なっ」

不意にユースが先ほど校長が抉った大地の方をみて、口を開けたまま固まった。

「どうしたユースティース………なっ」

同じく固まるブラウ。

理由は簡単だ。


「なんだあの魔物の量は……!?」


魔物の大群が押し寄せてきたからである。

その数およそ30000以上。

「いくらなんでもあの量は……魔王軍が総攻撃仕掛けてきやがったってか……」

「……おい。ユースティース。」

「なんですか…?」


「お前を魔王城まで運ぶ。お前は魔王本体を潰して戦を止めろ。」


「は!?な、何言ってんだよ!」

ユースはついこの間まで落ちこぼれだった。なので魔力の使い方もほとんど練習してないのである。

「お前は勇者の末裔だろ!なんとかしてみせろ!」

「なんとかって………あ」

不意に過去にアークからもらった剣のことを思い出した。

「ちょ、ちょっと待っててくれ!」

「!?ど、どうした!?逃げるのか!?」

「違う!あれなら…あれがあればなんとかなるかもしれない!」

「な、なんだというんだ……」

走って家に戻るユース。その背中を見つめながら、こっそりとレイは呟いた。


「……私が……あの人を倒さなきゃ行けないのに……」


そして、

「お、おい!?レイ=カスタニエ!!何処へ行く!?そっちは敵陣ど真ん中だぞ!?」

「………」

魔力を使い、すごい速さで敵陣へ向かっていくレイ。

「いったい………どうなっているんだ……」

一人取り残されたブラウはぽつりと嘆いた。


☆☆☆


「あった!この剣なら……」

家に戻り、立てかけてあった剣を手にとった。

この剣は、握ると所有者の魔力を吸っていくらしい。今もぐんぐん吸われている。

「吸収することができるなら……放出も出来るはず!」

我ながら自分にぴったりの剣だと思うユースであった。

そして急いで戻ろうとしたユースの視界に入ってきたものは……


☆☆☆


「先生!!すみません!おそくなりました!」

急いで戻ると、ブラウは既に魔物と戦っていた。

「遅い!早くしろ!」

「はい!」

ユースは幼い頃、父の教えで剣技を習っていた。父曰く、『魔力がないなら素手で戦え』らしい。

「まぁ、全然ダメだったけど……」

しかし、少しくらいは役に立つだろう。

ユースはダメ元で剣に魔力を送ってみた。

「いくぞ……『譲渡トランスファー』!!」

今更だが、魔力とは、ゼロにさえならなければ、使ってもいずれ回復するものである。しかし、回復のためにはかなりの時間、労力を必要とする。

だが、ユースの場合、魔力貯蔵量は魔王レベル。つまりほとんど尽きることはないのだ。

「っ……こんだけやれば……」

そこでブラウが恐る恐るといったように聞いてきた。

「お、おい……ユースティース…貴様、その剣をどこで……」


「え、この間人からもらっただけですけど………」

「誰からだ!!」

次は怒鳴り散らすように聞いてくる。

「え、アーク=ベルクムントって人ですけど……」

「アーク……ベルクムント……だと!?」

「え?なにか知ってるんですか?」

「知ってるも何もお前………」

一拍おいて、問いただすようにその内容を告げる。


「お前の家系、つまり『ラインシュヴェルト』と対をなすもうひとつの勇者の血筋、『ベルクムント』の先代勇者だ。三年前から行方不明になっていたはずの人物なんだ……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ