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ラブレター?

公子はテニス部、佐知子はラグビー部のマネージャー、私は帰宅部・・・1ヶ月も経つと、公子は同じクラスだから、まだ良い方だけど、サッチとは段々疎遠になってきた。


私『来い、来い、来い・・・。』


今週の第1位は・・・


私『よっしゃああ!!一発屋じゃなかった!!いぇーい!!』


美知『ミーハー・・・お腹空いた。』


私『もう9時だから、すぐに母さん帰ってくるよ!!やった、やった!!明後日、シングル買お!!』


つまり、家族は別にして、一人の時間が増えて来たんだよね。公子と遊べるのは1週間の内3日だけ。水曜日、土曜日、第二、第三日曜日ね。だから、明後日の午後、公子と遊びの約束をしてるんだ。


私『どう?テニス部は。』


公子『楽しいよ。そっちは退屈じゃない?』


私『退屈だよ。だから、土曜日の午後が楽しみで・・・。』


公子『そんな色葉にプレゼント。』


公子は私に手紙を渡してきた。


私『なにこれ?』


公子『新島先輩から。色葉がテニス部に入ったと思ってたみたい。』


私『ら、ラブレターっすか?』


公子『さあ(笑)でも、夏の甲子園が終わるまで先輩も忙しいよ。だから、先日の件のお詫びじゃないかな。』


私『自分とは関係ないから冷めてるでしょ。この場で封を切って、期待外れだったら笑われるから家で確認するね。』


公子『ラブコールだったら、付き合うの?』


私『ふふふ・・・何のために、帰宅部に落ち着いたのか・・・。』


公子『運動が苦手だからでしょ。』


私『聞いてなかったの!?ロマンスよ、ロマンス!!ロマンスのために帰宅部に決めたの!!』


公子『こう言っちゃなんだけど、新島先輩って対象外じゃないかな・・・。』


私『入門編には、ちょうどいいよ(笑)あはは。』


公子『能天気になってきたね・・・やっぱり帰宅部の弊害・・・。』


私『なんか言った?』


公子『い、いや、別に!?久しぶりに映画館の後にレコードショップの王道パターンを楽しもうよ!!』


私『そうだね。』


王道パターンを楽しんだ私は公子と別れ、家に帰って新島先輩からの手紙の封を切ってみた。


久しぶり。野球部補欠の新島忠(にいじまただし)って、覚えてるかな。うちの4番の打ったボールが直撃しちゃった君を保健室に担ぎこんだ新島だよ。あれから、一ヶ月ほど経った今頃になって君のことを思い出してね。ちょっと、伝えておきたいことがあって、慣れない手紙を書いてる。


私『伝えておきたいこと・・・?』


俺、部活を辞めようと思ってる。俺、男のくせして、力もないし、このまま続けても補欠だって・・・見方によれば、補欠以下だって気づくのが遅すぎたせいで、最後の甲子園前にこんなことになってしまった。なぜ、それを君に伝えておきたかったのかというと、君に俺は野球部だって言ってただろ?嘘つきと思われたくなかったんだ。


私『ロマンスじゃなかったんだ・・・はあ・・・ん・・・?』


伝えたかったことはそれだけ。突然の手紙で何か、期待させちゃってたならごめん。それじゃ、テニス頑張って。


私『テニスか・・・私は帰宅部になったって伝えてないな・・・。』


水曜日、私は放課後に、新島先輩のいる3年生の階で待ってみた。何故、水曜日かというと、公子に付き添って貰いたかったからだ。


公子『残念だったね(笑)』


私『まだ、わからないよ!!わざわざ、私なんかに手紙をくれたんだから、チャンスはある!!』


公子『でも、内容は野球部を辞めたってことの報告でしょ?』


私『とことん否定するね。』


公子『まだ入学してすぐなんだから、じっくり考えなよ。』


私『じっくり考えてたら、すぐに3年生になって就職するか、進学するかって周りがうるさくなるんだよ。』


公子『あまり突っ走り過ぎると、途中で躓いちゃうよ。一度、躓くと一生消えないアザが出来ちゃうこともあるんだよ。』


私『あー、難しい物言いはナシね。帰宅部に入った時点で、既に躓いてるよ・・・あ、先輩だ!!』


新島先輩が教室から出てきた。


新島『ん、どうしたんだい?手紙は読んだよね?』


私『読んだから、先輩が教室から出てくるまで待ってたんです!!実は私も伝えられていないことがあって・・・。』


新島『伝えられていないこと?』


私『私、テニス部じゃなくて帰宅部に入っちゃって・・・。』


新島『そうだったんだ(笑)』


私『だから・・・その・・・。』


新島『ん?』


私『い、いや、なんでもないんです!!そ、それじゃ、さ、さよなら!!』


タタタッ


公子『ははは(笑)結局、臆病だ!!』


私『うう・・・言葉に詰まっちゃった。』


恋って難しい。待ってる方がいいのか、それとも・・・てなわけで恋は難しい。


人見『ぐはっ・・・。』


室伏『げほっ・・・。』


どすっ、どすっ


麻里『・・・。』


坂上『さっきの威勢の良さはどうしたんだ?』


麻里『もういいよ・・・』


どすっ、どすっ


麻里『もういいって!!下級生相手にヒロの株を落とさないで!!』


坂上『お前が締めろって言ったんじゃないか。』


麻里『たしかに言ったかもしれないけど・・・限度ってものがあるでしょ・・・。』


坂上『じゃあ、もう帰るか。』


麻里『・・・こいつらは?』


坂上『ほっとけよ。乗らないのか?』


麻里『たしか今日は父さんが帰ってくる日なの。そろそろ家にも帰らないと、捜索願とか出されても面倒くさいし。また電話するから家に居てね。』


坂上『わかった。』


ブロロロロ・・・


人見『なあ・・・大丈夫か・・・?』


室伏『生きてる・・・脚は折れてるけど・・・。』


麻里『・・・。』


人見『ま、待て、俺たちが悪かった・・・ってアレ?』


麻里『うっわ。人見の腕も折れてるよ。』


人見『何すんだよ。』


麻里『動かさないで。』


麻里は鞄から包帯を取り出して、人見の腕を固定した。


人見『なんで、包帯なんか持ち歩いてるんだよ。』


麻里『周りが喧嘩好きな男ばっかりだから。それに今日は二人がぼろぼろになるってわかってたからね。』


室伏『わかってたなら、俺たちを罠にはめんなよ・・・。』


麻里『私に誘われて、おかしいとは思わなかったの・・・ほら、立てる?・・・って、わあ!?』


室伏は脚の負傷でバランスを崩し麻里に覆い被さった形になった。


麻里『な、何しようとしてんだよ!?その脚と股間、本気で蹴るよ!!』


室伏『あんな後ろ盾を見せられて、お前を襲うはずないだろ!!人見、手を貸せ!!』


人見『ほら。麻里は大丈夫か。』


麻里『麻里って呼び捨てされる覚えはないけど、大丈夫。なんか当たってた気はするけど。』


室伏『不可抗力な。』


人見『だってよ、麻里ちゃん。』


麻里『だから、下の名前で呼ぶなって!!無線機でもあれば、もう一度ヒロを読んでるところだよ!!』


人見『藤浪って、ちょっと難しい娘だと思ってたけど、全然明るいんだな。』


室伏『俺たちとつるもうぜ。』


麻里『絶対にありえないから!!さっさと病院にでも寄って家に帰れよ!!』


人見『藤浪、一人で帰んの?』


麻里『・・・同じ方向だから、不本意だけど一緒になっちゃう。』

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