授業中止
ガラガラガラ・・・
戸田『席につけー。』
現代文の授業だ。先生が出欠を取り始めた。
戸田『藤浪。ん、人見、藤浪はどうした。』
人見『知らねえよ。サボりじゃねえの?』
室伏『夜の生活で寝不足とか。』
ギャハハハハ!!
私『(夜の生活・・・あんな大量に持ってたから、あり得なくもないか(笑)。)』
戸田『お前ら、静かにしろっ。授業を始めるぞ。』
授業が始まると、早速、教科書を開いて音読だ。
戸田『人見、8ページの頭から・・・。』
人見『俺、教科書持ってきてねえよ。』
戸田『は?』
室伏『鞄の中なんだけど、鞄は家に飾ってるから。』
ギャハハハハ!!
私『(鞄を家に飾ってる?何、言ってんの(笑))』
バンッ!!
戸田『授業を受ける気があるのか!!笑ってる奴も笑ってる奴だ!!』
公子『先生、私、授業受ける気あるから、さっさと進めて。』
戸田『うっ。』
ギャハハハハ!!
戸田『じゃ、じゃあ、白瀬。』
私『はい。』
私が教科書の音読をしていると、何やらブロロロロ・・・ブロロロロ・・・と、バイクの音が聞こえてきた。
増岡『なんだ?』
男子たちは窓から身を乗り出し、すげぇだの、かっけーっだの言って、歓声をあげてる。戸田先生は教室から飛び出した。
公子『あっ、先生・・・もう・・・。』
私『やった。今日は授業中止かな。』
ブルンッ!!ブルンッ!!ブルンッ!!
坂上『どいつがお前にちょっかいをかけたんだ?』
麻里『3階の右から3番目の教室から顔を出してるよ。ほら今、指差した奴。』
人見『あれって、藤浪じゃないか?』
室伏『俺たちも校庭に行ってみようぜ。』
増岡『俺も行く。』
人見たちが校庭に野次馬しに行くみたい。
私『私たちも行こうよ。』
公子『あの3人以外も、ぞろぞろ行ってるみたいだから行ってみようか。』
野次馬たちは校庭を目指した。
飯塚『なんだお前らは!!』
坂上『なんだよ。こいつ生活指導?』
麻里『うん。』
飯塚『藤浪じゃないか!!あの、煙草の箱は空だったぞ!!どういう事だ!!』
響子『どこの高校でも生活指導って声がでかいんだね。』
広利『生活指導なら周りでたむろってる奴ら退けてくんない?すげえ、邪魔くせえんだけど。』
校庭に着くと3台のバイクがいて、藤浪さんも乗っていた。
私『特攻服じゃなくて、私服なんだね。』
公子『プライベートってことなんじゃない?危害は加えませんよーって。』
私『プライベートで私の肩にあっちがぶつかったくせに胸ぐらを掴んでくるのが不良だよ。』
公子『プライベートのゲームセンターでカツアゲするのも不良だね(笑)』
上級生の不良っぽい人たちも校庭に出てきた。
坂上『悪いけど、用があるのはお前たちじゃないんだよ。1年生の人見と室伏っているか?』
増岡『おっ、お呼びがかかったか。』
人見『げっ・・・。』
室伏『そーっとだ・・・そーっと・・・。』
麻里『あいつらだよ。あいつらに笑われたんだ。あームカムカしてきた。やっぱり、ぶっ飛ばして!!』
藤浪さんをバイクに乗せてる不良の目が変わった。
私『わっ、わっ、ケンカが始まっちゃうんじゃない!?』
公子『大丈夫。あの二人、逃げ足早そうだから。』
私『あっ。』
二人は全速力で校舎の方へ逃げてった。
佐々木『・・・。』
和泉『・・・麻里、アレなら、あんたでも締めること出来るんじゃない?』
麻里『また、恥をかかされた・・・。』
坂上『行くぞ、麻里。』
ブロロロロ・・・
帰っていった・・・一体、何がしたかったんだろ。
飯塚『・・・おい、お前ら!!』
ビクッ!?
飯塚『授業中だというのに、抜け出してきてるとはどういうつもりだ!!今から、ここにいる全員、30分間校庭を回れ!!少しでも休んだら竹刀で喝を入れる!!』
私『えー・・・せ、先生!!』
飯塚『なんだ、白瀬。』
私『ふ、藤浪さんは・・・?』
飯塚『あんなもんは停学だ!!わかったなら、お前らもさっさと走れ!!俺は人見と室伏に事情を聞く!!』
公子『とりあえず走ろ。』
私『先週に引き続き、とほほなことになるとは・・・。』
公子『色葉は運動不足だから、ちょうどいいよ。』
私『ロスを目指してるわけじゃないのに・・・。』
一方、校内では人見と室伏が飯塚先生に追いかけられていた。
佐村『魂・・・こがして〜・・・家も・・・。』
飯塚『お前ら!!このまま、逃げ続けたら停学だぞ!!』
室伏『退学にならなけりゃ、何してもいいんだよ!!』
人見『そもそも、俺たちは何もしていない!!』
佐村『よく、頑張るなあ。』
キキキーッ!!
飯塚『おい、お前!!髪を切るんじゃなかったのか!!髪を切りたくなければ、せめて固めろと!!』
佐村『おれにかまってたら、あいつら見失っちまうぜ?』
二人は男子トイレの中に逃げ込んだ。
室伏『俺たちが藤浪のガン飛ばしを笑ったからキレたんじゃねぇか?』
人見『だからといって男を3人連れて、学校に乗り込んで来るかよ・・・。』
ガチャ!!
飯塚『人見!!室伏!!どこだ!!』
もくもくもく・・・もくもくもく・・・
ガチャ・・・
飯塚『・・・。』
人見『・・・。』
室伏『・・・。』
うぎゃあああ!!
私『断末魔?』
公子『飯塚先生が捕獲に成功したんだよ。さあ、あと15分走ろう。』
佐知子『久しぶり〜。』
私『あっ、サッチ。』
公子『私、テニス部に決めたよ。』
佐知子『へぇ〜、色葉は?』
私『勉学に励みたいから・・・帰宅部の予定・・・。』
佐知子『2年生の頭まで部活は変えられないんだよ。本当に帰宅部?』
私『もう、帰宅部でいい。抜け駆けロマンスもしたいし。』
3人で走ると不思議と疲れが溜まるのが遅く感じる。家に帰ってから、どっと疲れが押し寄せてくるパターンだ。
ブロロロロ・・・
坂上『つまらなそうな学校だったな。俺たちのところに来れば良かったのに。』
麻里『母さんが、あの学校だけは絶対にダメだって言われたの。』
坂上『底辺だから?』
麻里『そう。それならと私も条件をつけて、あの高校に通って、ヒロと同じ高校に通えないなら、私の自由にケチつけないでってね。』
坂上『・・・今日も帰らないのか?』
麻里『帰らない。今日も大丈夫だから。』
麻里は彼にぎゅっとしがみついた。