部活見学
高校と言えば部活動!!中学のときみたいなお遊びクラブとはわけが違う!!生涯のステータスになるかもしれないのだ!!
私『さあ、どの部活に入ろうか。これ部活の一覧表。決まったらマルで囲んで、顧問の先生に提出だって。』
公子『テニス部、卓球部、ラグビー部、サッカー部、野球部、ソフトボール部、水泳部、剣道部、柔道部、陸上部、放送部、演劇部、ブラスバンド部、軽音部、合唱部、写真部、帰宅部・・・沢山あって困っちゃうね。見学を受け付けている部活もあるみたいだから、じっくり探そうよ。』
私『そうだね。校門でチラシを貰ったから、まずは放送部にでも行ってみようか。』
レッツゴー放送室へ!!
ガチャ・・・
私『すいませーん・・・。』
公子『チラシを貰って来たんですけど。』
細野『よく来たね。放送部長の細野です。基本的には真面目に放送をこなさなくちゃならないんだけど、放送のスイッチをオフにすればレコードを持ってきてラジオパーソナリティーを演じてみたりできる、楽しい部活だよ。君たちは入るの?』
私『ちょっと見学をしたくて、来たんですけど・・・顧問の先生はいますか?』
細野『新年度早々、車で事故を起こして、今は入院中なんだ。でも、見学なら大歓迎だよ。』
私たちは部屋の片隅で見学することになった。
私『どう公子?レコードを持ってこれるなら、いいんじゃない?』
公子『うーん。でも、体を動かしたいなあ。』
私『そう・・・軽音部に行ってみようか。』
私たちは細野さんに挨拶をし軽音部の部屋へと向かった。そこにはCクラスでみた人がいた。
佐村『俺とバンド組める奴いない?』
私『うわ、部活見学の仮面を被ってバンドメンバー探し!?』
公子『いいじゃない、ああいうのが、悪知恵って言うのよ。私は弾くより聴くほうが好きだから軽音部も違うかな・・・。』
ブラスバンド部、合唱部も同じ理由で悩む公子。私は放送部が楽そうでいいと思うんだけど。
公子『水泳部はどう?』
私『女の子はプールに入れない日があるでしょ。その日がバレちゃうからイヤ。』
公子『うーん、決まらないなあ。一息入れて、ラグビー部とサッカー部の男子を見に行こうか。』
私『そうしようか。』
私たちはラグビー部とサッカー部の男子の二の腕を目的に校庭に繰り出した。男子が女子のスカートから見える太ももを目当てに入る気もないのに、テニス部を見学するのと同じ理屈だ。案の定、私たち以外にもラグビー部やサッカー部に入る気もない女子たちが練習を見学してた。
私『あれ、サッチじゃない。サッチも見学・・・というか物色?』
佐知子『物色じゃないよ(笑)ラグビー部かサッカー部のマネージャーになろうかなーって思ってるの。』
私『あ、そういうルートで近づくことも出来るんだ。』
佐知子『そっちは部活見つかった?』
公子『一緒の部活に入りたいんだけど、中々、意見が合わなくて。』
私『体を動かしたいなら、柔道部か剣道部を見学してみる?』
公子『柔道着とか色葉の家じゃ負担にならないかな。』
私『だから、放送部がいいんだよ。』
公子『まあ、見学は無料だから。』
私の家は貧乏だ。立派な家に住んではいるんだけど、それはお父さんが残してくれたもの。女手一つで母さんは働いているけれど、いつか限界が来るはず。その時は私が働き手とならなければならない。
私『・・・運動場とは、また違う汗の匂いだね。』
公子『目がしみるタイプの匂いだね。』
私『今日は柔道?剣道?』
公子『今日はね・・・柔道だって。』
中に入ると、案の定匂いがキツくなりクラクラしてきた。
私『や、やっぱり、別の部活を見に行こうか。』
公子『でも、顧問の先生がこっちに来てるよ。』
武田『おお、見学か?見ての通り女子が少ないから大歓迎だぞ。』
女子は4人しかいないみたい。
私『色々な部活を見て回ってるんです。えーっと・・・。』
武田『柔道部顧問の武田泰治だ。とりあえず端の方で見学して貰おうかな。』
例によって、部屋の片隅で見学をすることになった。脚は崩しても構わないんだって。20分ほど見てると珍しく公子が手で口を覆い欠伸をしだした。
私『飽きた?』
公子『そっちは?』
私『・・・帰ろうか。』
私たちは顧問の武田先生に挨拶をして、外に出た。
私『もう、時間的に部活を回るのは難しいね。明日、残りの部活を回ろう。』
夕焼け空の下を二人で帰っていると藤浪麻里のことを思い出した。
私『ねぇ、公子。藤浪麻里ってクラスにいたじゃない。あの娘の名前、聞いたことない?』
公子『たしか、岩隈さんが藤浪麻里と喧嘩して負けたとかいう話じゃなかった?』
私『あーあれか。岩隈さん、自分から喧嘩売って負けたんだっけ。』
公子『包帯だらけになってたよね。』
私『あれから岩隈さん、急に大人しくなっちゃって、髪も切ったんだっけ。ということは、あまり近寄らない方がいいね。』
公園の横を通りながら喋ってるとクシャミが聞こえてきたけれど、部活を見て回って疲れてるから、無視しよ。
麻里『うー風邪かなあ。ヒロに会いたいなあ、日曜日まで長いなあ、越してきたのはいいけど、皆、因縁つけてくるし・・・なんか、近づいてきてる。』
加藤『藤浪麻里って岩隈をシメたって言う、あの?』
麻里『何か用?』
岡田『色々、ウワサは聞いてるよ。私たちのチームに入ってくれないかなと思って。』
麻里『私はそういうの興味ないよ。これに火を点けて、帰ってくれないかな。』
麻里は煙草を咥えた。
加藤『は?』
岡田『わざわざ頭を下げてんの、わかってる?』
麻里『なら、もっと頭を下げないと煙草に火が届かないよ。』
加藤『いくら藤浪だからって、2人を相手には出来ないでしょ。』
岡田『そうそう、ナメてると痛い目を見ちゃうよ。』
麻里『わざわざ私に頭を下げに来るようなシャバ子ちゃんがそんなこと出来る?先輩のパシリのくせに。』
麻里は2人を睨みつけた。
加藤『あ、あははは・・・さよなら!!』
岡田『あっ、ちょっと待ってよ!!』
タタタッ・・・
麻里『ふう、危険回避成功。家に帰ってヒロに電話してみよう。』
ガサガサガサ・・・
人見『なあ、見たかよ、あの睨み。』
室伏『下半身に、こう・・・ぐっと来るよな。』
増岡『俺が家までつけて見ようか。』
人見『お前の顔じゃ、通報される』
増岡『人のこと言える顔じゃねえだろ!!』
人見『お前よりはマシだ。それに俺の心は海のように、広くて綺麗なんだぜ。』
室伏『臭いこと言ってるから、藤浪いなくなったぞ。』
人見『あ・・・。』
3人組は麻里を見失った。
ガチャ・・・
麻里『・・・よし、買い物中だな。』
麻里は受話器に手をかけ・・・
ガチャ・・・
麻里の母『あら、麻里、帰ってきてたの?』
麻里『(くそっ!!)』