プラス金貨100万枚+α——コナー
しばらくして王都につきました。お祭り騒ぎだったようなパレードや即位式の喧騒は無く今はデルクリウスの《逃げるな》という呪いによって逃亡の意思を封殺された人々が生きる意思を諦め半分にしながら戦争までの日々を過ごしています。
エルゲニア王都ではすでに予定された半分以上が戦地に向かって進軍しているそうです。私達がそれらを見ていないだけで時間はもうあまりないのかもしれません
「さてギルドに行くか。」
「そうだな。ああ、ギルドで依頼見たいしな?中は知ってるからさくさく行こう。金稼がないと」
それは助かりますね。鋼介様の提案に乗り大通りを東に行く。ギルドは南東の外壁沿いの長い建物です。まぁ鋼介様が知らなくてもギルドに行ったことがあるカミラがいるから道案内も任せられるから安心して進みます
道行く兵士様達が物資と思われる品物を持ってあちこち移動しているのが見えた。輜重隊の方々なのかもしれませんね
「ラドニー殿は防衛線を張ってるらしい。俺達もゆっくりはしてられないな。何か戦力になるものを考えないと」
「そっかぁ、頑張れよ」
他人事みたいな言い方ですね。困るのはライト様やルナマリア様だけじゃないんですよ。零華様だって困ると思います。もう少し思慮深くお願いします
鋼介様に声には出さずに言うとギルドを見上げます
ギルドは城、教会に次いで大きい建物です。両開きの入り口の上に男女の剣士が剣を鍔迫り合いをモチーフにした釣り看板。横幅は見える場所で60メートルほど。高さは一部三階立てで10メートルオーバーってところです。あそこに偉い方が居られるのでしょう
「じゃあまずはギルド長に会うとしよう」
「うーい」
両開きの扉を開けて中に入る。足を踏み入れると石畳……とは言いませんがまぁちょっとした舗装のある床、古臭……じゃなくて年季の入った木材の壁。更に進むと増築したのでしょう。入り口とは違う床や石の壁が見られました。ギルドってカビ臭いのですね
そんな壁にあった掲示板にふと目がいく。掲示板には依頼が貼り付けられていた。読んでみると一時的な傭兵の募集の一色だった。依頼者は貴族様。大量の傭兵を陛下に送れれば陛下の覚えも良くなるとか考えておられるのでしょうが、それよりは物資の調達をしてくれた方が助かのですが
鋼介様を先頭に奥へ進む。周りには柄の悪い山賊風中年冒険者やいかにも新米なまだ幼さの抜けないルーキー、後は……七十歳くらいのよぼよぼの年寄り、その他大勢。獣人が四割りくらいか。女の子の冒険者は一割くらい。後は男性です
「何度同じ事を言わせるのです!ギルドに登録してるのだから橋渡ししてくれって言ってるのです!知り合いがそっちにいるから合わせてくださいと言っているだけですよ!?」
「それとも、何か会わせたくないような後ろめたい事でもあるんじゃないの〜?」
カウンターにしがみつく女性と少女がいる。聞いてる限りじゃ誰かに会おうとしてるみたいですが、柄が悪いですね。戦争で兵士が少なくなっていますから治安が乱れてきているのやもしれません
一人は透き通るような金髪と肌。緑を基調にした服。緑のベストにブラウンのインナーと靴、白のタイトなパンツ。武器として弓とナイフ
もう一人はライト様達と同じ真っ黒な髪、赤のマント、両手にガントレット、足にも足の甲まである脛当て、注目するのは背中に担いだハンマーと大きなバックパック
騒ぎにはあまり関わらないでいた方が良さそうですね。ライト様達を私の身体で隠しつつ違う窓口に向かってもらい要件を伝える。 窓口の受け付けは女の子でちょっと冒険者とは違う雰囲気の私達に戸惑い、さらに素性と手紙に驚いていた
「よ、妖精騎士団の……すこしお待ち下さい」
そういうと受付嬢はカウンターを離れ、後ろの同僚に何か言って戻ってきた。話を聞いた同僚が走って階段を上っていく
「わかった。ん?カミラはどこに……って、あっ」
ライト様が周りを見渡しカミラを探すと先ほど騒いでいた二人組に近づいていく
「よっ!二人共!久しぶりだね?」
「あっ!カミラ!」
「カミラ!貴女奴隷落ちしたって……」
「したけどね……ま、今は新しいオーナーの元で同僚と楽しくやってるよ」
ライト様の方を見て私の方を見る。カミラにつられて二人共こちらを視界に入れた
目が合った。金髪の方はエルフだ。初めて見たけどすぐにわかった。魔力が一般人より多いし、なにより尖った耳が特徴的すぎる。あとは噂通りに美人だということ。エルフは総じて美男美女だと聞いてる。目がエメラルドのような翠眼、両頬から首筋にかけての赤い刺青が印象的。
もう一人は瑠衣様と同じくらいの身長。黒髪の方は顔は身長から考えた年齢でいいのでしょうか。全身衣服や装備品で顔以外の肌は隠れているが肌は微褐色、ちょっと小麦粉色に焼けた女の子って感じ。小さいのに胸だけは立派。私よりもずっと大きい
「新しい……オーナーって」
「……何か?」
「「いたぁ‼︎」」
厄介ごとの予感しかしませんね
私達は鋼介様の案内で食堂へ入りテーブルを四人で囲んだ。私とカミラは立っていましたがライト様に座るように言われたので私達も席に着く。ちなみに知らない相手だけど女の子にお金を出させるのもなんだし纏めてライト様が払った
エルフの方が果物の盛り合わせ蜂蜜掛け、黒髪の方がステーキ、ちなみにライト様も鋼介様もステーキ。カミラも遠慮なくステーキを頼んでいる。さっきあれだけ食べたのにまだ食べるんですか?私はお茶だけです
「自己紹介をさせてください。私はヴァルディオの森がホルン・ドリュー・セオルが末子フルー・ドリュー・セオル」
「僕はコルド。見ての通りドワーフでだよ。コルって呼んでね。あ、フルーはエルフだよ」
見ての通りって……どっちかと言えばエルフの方が見ての通りなんですがね。あとボクっ娘ですか
「妖精騎士団の輝山ライトだ。」
「俺、騎土鋼介。妖精騎士団だぜ」
「知ってるけど一応ね。カミラ。フェアリーテール仕入れ担当だよ」
「コナーです。フェアリーテール財務担当をしています。ライト様の奴隷ですよ?」
当たり障りない自己紹介をする。
「そっちも探してたみたいだけど私達……ってかオーナーも探してたんだよね」
「ん?」
「オーナーの防具を作って欲しいんだよね。ついでにあたしの装備一式も。知ってるでしょ?オーナー、魔神と戦うからさ」
カミラが説明してくれた。素材も場所も提供するからどうだ?と。ライト様も後押しで安くない報酬額を提示する
「コルが作る装備を見れば作って欲しいって人出てくると思うんだよね。それにドワーフならオーナーの持つ素材を加工できるだろうし、こんな時間も余裕が無い状態で頼めるのはコルぐらいしかいなくてさ」
「これが素材のリストです。」
私が持っている素材リストをコルさん向きに置きテーブルを滑らせる
「うへ……Sランクの素材まで……」
「フルーには魔物毒を作ってもらいたい。少しでも弱体化させないと辛いんだよね。オーナーだけで戦うわけじゃないし。あたしらも出るからさ。」
「サイクロプスから作れますから構いませんが……」
フルーさんの視線を受けたカミラがライト様に視線を受け流す。ライト様が断る訳がありません。即答でオッケーをだします
「そっかそっか。色良い返事が貰えて助かるよ。うんうん。コナー。工房押さえるのお願いね」
「はい。では……」
『コナー。交渉はこちらでやる。一人で動くな。詳細は城の応接室で』
この声は水色の髪のネームレス様ですね?どうやらライト様についている【伝話】の魔法からこちらの動きを把握しているようです
「オーナー。ネームレス様が工房を押さえてくださるそうなので問題ないでしょう。詳細は城の方にくるそうです」
「わかった。帰りに回収しておくか」
その言葉を話の終わりとばかりに料理が運ばれてきた。屋敷で食べる肉ほど食欲がそそられたりはしない。やはり普通の肉と比べてはいけませんね
「ところで二人はなんで王都に来たの?」
「あぁ……うん。一つはカミラが奴隷のままなら助けようかと思ってね。三年の付き合いだしね。もちろん解放後に少しずつ返して貰えばいいしさ」
「うーん。まぁぶっちゃけいつでも解放されれるんだよね。フェアリーテールで稼いだし、なんだかんだで魔物を狩ってたら討伐報酬で返済の達成自体はしてる。ただタイミングがね。オーナーが勝てば解放してくれるし、負けたら主人不在だけど賃金は返したから解放されるし。オーナーからも特に困る様な事は言われないしね。今はいいや」
「俺も訓練相手が減るのは困るな。戦争後にはフェアリーテールの仕入れ部長に就任して欲しいし」
こう見えてカミラは目利きは悪く無いですからね。素材の品質はちゃんと選んでますし
「んで?もう一つは?」
「んぁ……あー。うん」
「私達は貴方を夫に迎えたい」
唐突すぎです。夫にって意味わかって言ってるのですか?ライト様にあんな事やこんな事をされちゃうんですよ?何を後から出てきて言ってるんです?私が先にされたいくらいなのに
「まぁいきなりも何だし説明しますよ。」
とコルさんが言い出したので一応聞くだけ聞いてみるか、とライト様。
フルーさんはヴァルディオの森のエルフで歳も若い方だそうです。人は見た目によらないとはよく言ったものです。彼女の家は人間で言う領主に当たる家で許嫁もいるんだそうですがその方が最低な人だそうで絶対結婚したくないって言ったそうです。だったら自分で私達が納得する者を連れて来い……という展開らしいです。そこで白羽の矢がたったのがライト様だったわけですね。実際に結婚しなくてもライト様の婚約者としていれば問題ないそうです。
コルさんの方はもっとシンプルでできるだけ強く戦いに事欠かない者が基準らしい。まぁお金や権威も嫌いじゃないとか。武器を造って渡して自分の鍛治技術を向上させたいらしいです。それならなんで嫁なんでしょうか?
「それは。貴方が強いからだよ。ドワーフは強い男とお酒には目がないんだよね。強い男の子供を産む。それがドワーフの本能っていうかドワーフの女の幸せなんだよね。あと族長がそろそろ結婚しろってうるさくなってきたし」
「エルフも同じですね。後甘い物も好きですが…」
それは聞いてないですが……っていうかその食べっぷり見ればわかりますよ。フルーツ盛りがもうないじゃないですか
「話は分かった。……が、俺には恋人がいる。だからそれは無理だ。できたらこちらから提示した報酬で引き受けてくれたら助かるんだが」
現実を突きつけて話を無かったことにするライト様。それにいくらカミラの知り合いとはいえよく知らない相手から言われたって怖いだけだし。いつの間にか暗殺者になってて実はハニートラップでしたとかじゃ困りますからね
「でも…。」
ライト様が断ったところで先ほどの受け付け嬢が近づいてきた。ちょうどタイムアップでしたね
「妖精騎士団、輝山ライト様。ギルド長と面会できます。案内しますのでご足労お願いします」
「わかった。鋼介、時間がかかりそうだ。先にル……姫様に挨拶してこいよ。あとで城で合流しよう。」
「二人はオーナーが戻るまでゆっくりしようか?積もる話もあるだろうしさ。いいよね?」
「構わない。ギルド長とは俺とコナーで会ってくるよ」
食べ終わってゆっくりしている鋼介様に指示してから席を立つ。
「いいのかよ?あの二人」
「いいも何も俺には恵がいるし、る……」
「る?」
なんでもない、と鋼介様に言うとカミラと二人を後ろに残したままここで一旦別れギルド長の部屋へ案内してもらいます。残して行くのも何か可哀想な気もしますが今は用事を済まさないといけません
受け付け嬢の後ろを歩きギルドホールを抜け階段をただ上がっていきます。途中に会話は無くただただ進みます。やがて階段が尽き、その先にあった少しばかり凝った細工のある扉の前で振り返りました
「ここでお待ちください。フォルダンギルド長、輝山ライト様が来られました。」
案内してくれた受け付け嬢が中に声をかけた。フォルダンギルド長様ですね
「入りたまえ」
中から聞こえたのは低い男性の声。あまり若い感じはしませんね
「失礼します。どうぞ」
受付嬢が扉を開いて中に通してくれる。
中には沢山の調度品、絵画、書物が壁一面に展示され真ん中に大きな机とその前にソファがあった。部屋の一番奥、窓を向いた一人の男が立っていた。この方がフォルダンギルド長ですね
「君はもう業務に戻っていい」
窓を向いたまま指示を出すギルド長、受付嬢を部屋から出すとこちらを向いた。長身でオールバックにした鋭い目の男です
彫りが深くて古時計をカバーした人に似てる?誰ですかそれ?
「初めまして、英雄」
「初めまして、俺のことは知ってるみたいだしいいか。こっちはコナー、ウチの従業員だ」
私の紹介に頷く。フォルダンギルド長が手を差し出してきた。握手をするついでに悪どい人間か記憶をチェックするライト様。それを私に知らせるかのような一瞬のタッチ
……記憶のチェック完了。依頼料と報酬額の微妙にピンハネしてるようですね。これくらいならいちいち告発する必要はないでしょう。経理の仕事だし、何かあった時この話をすれば手を貸してくれるでしょう。弱みは握っておくに越したことはありません
「魔神を初めて倒した男。姫陛下を助け出し、ハイ・コボルトやオークキング、リザードの群れを完膚無きまでに倒したと聞いているよ。飛竜や鎧竜もね」
ルナマリア様にも言っていない情報まで持っているのですね。情報の重要性を分かってる人間のようですが……さてさて
「まぁ、ギルドでの依頼で達成されたのはリザードと魔神の分だけだがね」
はい、そうですね。飛竜や鎧竜は唐突だったしルナマリア様を助けた時のジェネラルリザードも同じ、オークキングはギルドの依頼じゃなくてロレンスさんという商人の依頼だった。コボルトは村から依頼すらしてない感じだったそうですし
「で?金貨百万枚といくらかの支払いはどうするんだ?一括か分割か」
「さっそくか?世知辛いな」
話を長引かせてこちらの妥協点を探そうとかしていたのでしょうか?平静な面持ちから焦った顔に変化した。
「生憎と暇じゃないんでね。知ってると思うけどデリクリウスとやり合うからな。使える資金はあった方がいい」
「すぐに渡せるのは十五万枚。残りは戦争後ってことでどうだ?」
「そうすると勝った場合金貨百八十五万枚になるがかまわないのか?死んだとしても残りを払わなくて済むとは思わないことだ。引き取り人は皇太后陛下とグリンセル侯爵家にするつもりだからな」
ギルドから出ているデリクリウスの討伐依頼もきちんとありましたからね。バルクティンの時にはずそうとしたらしいですが冒険者達が阻止したそうです。このギルド長あまり信用ないみたいですね
「それを言われると辛いんだがね。一応手形も作れはするが……」
手形ね。紙で渡されると騙されやすい部分がありますが、こちらには王家がバックがいる。騙したりすると失墜すらありえるからしないでしょう。一応チェックはしますが
「実際ジャラジャラ持つのも邪魔だしな。それで手を打とう。ただし手形一枚につき金貨百枚の物でだ。」
「わ、わかった。しかしそれだけの枚数となるとそこそこの手数料がかかるが…」
「リザードの群れの分で支払おう。十分だろ」
「……そうか」
作らなきゃいけない手形の数に引きつっていますがこれは仕方ないことです。保管もライト様の【アイテムボックス】なので盗まれることもない。泥棒が入っても屋敷の方は持って行く物もしれているでしょう。価値があるのは貯蔵庫のドラゴンの肉くらいですし
「じゃあさっそく金貨をと行きたいとこだけど依頼をしたい。」
「依頼?傭兵なら他の貴族達がこぞって招集してるから今からじゃ集まらないぞ?」
貴族様が考えそうな……。でもルナマリア様はもう傭兵を必要としてないと思いますね
「もっと現実的さ。傭兵じゃなくて人足、まあ投石機とかの組み立て要員が欲しいんだ。実際に戦う必要はないから獣人も可。それから魔物に効く毒や薬を大量に調達して欲しい。あと医薬品と前線との往復分の食料もな。後は医師の手配も。」
「まさかその支払いを?」
「もちろん手形を使わせてもらう」
人足に毒、薬……食料、と。緊急依頼という形をとって……試算してライト様に差し出すと頷く。ちなみに手形作成料を一部カットして直にお金をまわしてもらう事にしました。端数……まぁ魔神の報酬からしたら端数なわけですが、ちゃんと回収できる所はしておかないと
「やっぱり……人足や毒の方は冒険者で賄おう。彼らはそれなりに器用だし、毒になる物もちゃんと知っている。医師も大丈夫だろう。だが医薬品や薬、食料は商人ギルドの力がいる。彼らのテリトリーだからな。 しかし商人ギルドが手を貸すだろうか?彼らは金が絡まないと動いてはくれないしな」
こういう所でケチる気はありません。少しでもライト様の生存率があがるなら多少の出費は目を瞑ります。私からライト様に提案、承諾を得るとギルド長へ話しかけます
「問題ありません。参加する方はライト様の領地で商売する際にかかる税率を15%下げるようにします。期間は半年間。」
半年あれば真っ当な商人なら十分な利益をあげられるんじゃないかと思います。ライト様の領地は王都からも数時間。悪くない条件じゃないでしょうか?ちょっと移動して売買するだけで少しは儲かると思うのですが。王都の収入は少し減るかもだけど補填すればルナマリア様も怒らないでしょう。大規模な狩りの獲物を売却するなりすればいいのですから
「いやはや……今までにいないタイプの貴族様だな。自分の身を切ることに躊躇しないとは」
「死んだら金は使えないからな。あと貴族じゃないし」
「え?そんなはずは…いや調査が必要だな」
フォルダンギルド長はブツブツ言っているけどそれって城の情報を得ようとしてるのですね?犯罪なんじゃないですか?ネームレス様に報告しておきましょうね
「で?いつ動いていただけるのでしょうか?あまり時間はないからすぐでないなら我々のツテでなんとかしますけど」
そんなツテ無くは無いのですが早めに動いて欲しいのです。ライト様はルナマリア様に会いにいかないといけないのであまり遅くなるわけにはいかないし
「こんな大きなチャンスはないだろう。人足や毒は今すぐだ。中級ランクの冒険者には馬を貸す。商人ギルドは私が直々に出向こう。これでどうだ?」
「いいだろう。」
「依頼主は君にするが構わないな?支払うのは君の報酬からだし」
「合同ってことにするといい。ギルドも戦争に協力している姿勢にしたほうが世論の受けは良いと思う。皆も少しは後ろめたさを感じなくなるはずだよな」
「なんか君と話していると自分が小さく感じるよ。それで頼む。これを受付で渡してくれれば優先して依頼を出せる」
走り書きの紙を渡すギルド長ともう一度握手してから部屋をあとにする。これを持っていけば必要なアイテムの収集を依頼できるらしい。
「薬草ならエルフの右に出るものはいませんよ」
「調合や投石機作りならドワーフに頼って欲しいね」
部屋を出た途端左右から声がかかった。。フルーさんとコルさんだった。カミラも一緒になって聞き耳たててないで止めなさい
「どう?私達を雇わない?貴方に有用性を見せたいの。まずはそこから初めようと話し合ったの。」
「まぁ僕としてはパトロンが欲しいんだよね。ちなみに今はフルーがいるから魔法が使える道具を研究してるんだけどお金がなくってさぁ。何より寝るところも困っててね」
「俺は慈善家じゃないと言いたいけど、魔法のアイテムには興味がある。どんなものを作ろうとしてるのか聞きたい。」
「おっ、食いついた。じゃあ情報料として一食一泊おねがいね」
それくらいなら構わないでしょう。部屋も長屋に部屋が空いていますから問題ないでしょう。ルナマリア様と会ってトランシーバーで屋敷に連絡させてもらおう。ユーリカに任せておけばいいかな
「いいだろう。魔法のアイテム次第ではパトロンも構わない。それと戦時中は二人を雇うよ。薬と調合は頼む」
「ありがとう」
「まいど」
そういえば雇うからには製作報酬の他に賃金が発生しますね。まぁそこは働き次第で算出させてもらいます
気を取り直して依頼をしに受付嬢の所へ。ギルド長のサインを確認してもらい必要なアイテムを収集してくれる人や作戦に参加してくれる助っ人を募る。
金貨一万枚から全ての見積もりを立ててもらい契約にサインする。アイテムの依頼にはフルーとコルの意見も取り入れた。早速植生や効能のわからないライト様の役に立ったのでいい方を拾ったかもしれませんね。この領地は彼らに任せてライト様の領地の分布図も一緒に渡す。領内の魔物被害も一緒に減るので一石二鳥ですね
依頼を出し続けてしばらくすると今まで貼り出されていた依頼の上から緊急依頼としてライト様とギルド共催の依頼が貼り出されていく。そうすると今までだらだらとギルド内にいた冒険者が集まりだし依頼を確認した冒険者がこぞって動き出す。階段の上からフォルダンギルド長が降りて出て行ったけど皆それどころじゃないみたいで誰も気づかなかった。取り合いは止めましょうね
「達成報酬破格ですからね。まあ、期日が短いし頑張って欲しいところです。一応食料になる植物も頼んでありますからその分の経費は削減できたとは思いますよ」
「後追加で木材と鋼材も注文していいかな?それから街で工具を借りれないか頼んで欲しいな」
「わかった。」
どうやら依頼の方は問題なさげですね。最後に五万枚の金貨を手形に起こしてもらいギルドを後にする
次は城に行ってルナマリア様と鋼介様に会わないと
「フルーさんでしたね。よろしくお願いします……が困りましたね」
「何か?気に触る事でもありましたか?」
「いえ……口調が被る……とでもいいましょうか?」
「?」




