ポテトノエルといろいろ——恵
翌朝ライトさんが寝る横で目を覚ました私は眠い目を擦りながらベッドを下ります。……昨日より長かったな。もしかしたら毎日ヤってたら凄いことになるんじゃ……
今後の事に軽く戦慄しながら下着を着けます。コナーさんやネームレスさんの食べ物には気をつけないと……。完全に薬を盛ってるよね
その後しばらくすると着替え一式を持ってきた黒髪さんが露天風呂を沸かしてあるからどうぞと言われたのでライトさんを起こして向かう事に。
今何時だろうと時計を見たら朝六時。早いなぁ。あと一時間は寝たかったよ
半分眠るライトさんの手を引きながら獣人さんの寮の方へ。貯蔵庫の前ではイヌ獣人さん(ゴールデンレトリーバー)と狼獣人さんが火の番をしていました。二人は主人であるライトさん(寝ぼけ)に立ち上がり挨拶をしました
ただライトさんは寝起きが悪いので何とか手を上げて反応するのが精一杯だったようで代わりに私が挨拶をしておきました。なので彼らのお話も私が聞きます。
昨日はライトさんが獲ってきたドラゴン達の解体で大変だったそうです。まぁそれだけで冷蔵貯蔵庫の方はほぼいっぱいなので後はお米を見つけてくるのとお米の育成条件を調べる時間に回せるので助かるんだそうです。燻製とかにしてみるのもアリかもしれませんね。保存食になるでしょうから。
とまあ、順調な滑り出しのようなので収獲してきた鳥はこれから送られる食糧と一緒にお城に行きます。流石にドラゴンなんてそうそう送れませんよね。今日ライトさんは日本に帰るから燻製の方法でも調べてきてもらいましょう
話を終えると寮を抜け露天風呂の階段を上がります。獣人女性を護衛につけましょうかと言われましたけど断りました。寝てる人を起こす気はありませんからね
そろそろ目が覚め始めたライトさんと脱衣場で別れ朝風呂を入ります。いくらエッチしたとは言えまだ混浴はハードルが高いです。男湯と女湯に分かれました
朝なので二人とも静かに入りました。別にいつも騒いでる訳じゃありませんけどね
しばらくしてお風呂からあがると入り口で背中を預けて寝ているライトさんがいた。まだ眠いんですね。とりあえずちゃんと起こしてから出ましょう。階段は危ないですからね
屋敷に戻るとメイドさん達が働き出していました。キッチンからはバターの香ばしい匂いが。今日は洋食の朝ご飯ですね。
「おはよう……恵」
「ぷっ。今ですか?おはようございます」
やっと起きたらしいライトさんと一緒にダイニングへ行きます。その後みんなと朝食を食べ、みんなはまた特訓に行きました。あ、鋼介さんは出かけようとしたらライトさんに止められていました。お昼を鋼介さんととるようですね。
そしてライトさんはダイニングから出る前に黒髪さんに選別されたメイドさんを呼び出した。もちろんユーリカの事をそれとなく仲間に知らせる為です。午後からの発令です。早過ぎても鋼介さんがいるとダメだし遅いとユーリカが焦れてかわいそうだからね。
そんな感じで今日一日はユーリカと一緒にいる私やコナーさん、カミラさんには質問が殺到する事が予想されます。だから午前中は基礎体力をつける為にランニングに行きます。少しでも接触を防ぐためです。だって私ですよ?ボロを出さないようにしてもどこから失敗するかわかりませんからね。
気をつけるのはお昼ライトさんが鋼介さんを連れ出して日本に帰り、戻ってくるまでの間です。仕掛け人の足を引っ張る訳にはいきませんよね。
「じゃあ私はランニングに行ってきますよ」
「ん、気をつけてな」
「あ、私も行きますよ」
ユニエール様が来た。魔法の絨毯があるからカロリーが消費できないんですよね?ここにいると食べ過ぎてますからね。小太りな女王様は恥ずかしいですもんね
「さて、行きますか?」
「はい。」
魔力の強化も図る為に奥の手以外の完全強化をしました。筋力がついた訳じゃないのにこの漲る力は怖いくらいです
「…………。あなた達って本当に規格外ね」
「ライトさんには敵いませんよ。邪魔にならないようにするのが精一杯ですから」
神獣モードもそう。人としての【アクセス】モードもそう。規格外という言葉はライトさんにあるような言葉だよね
「貴女もまだ何かありそうですがね。まぁいいでしょう。私も強化しますか」
ユニエール様も強化した。私程の強化ではなく、ついてこられる程度って感じ。様子を見て段階をあげるみたいだな
では、と出発です。
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「ば、ばけもの……ですね……」
「誰がばけものですか?失礼ですね」
二時間程ぶっ通しで走り、今はその辺にあったまあまあ高い山を制覇して休憩しているところです。途中強化を上乗せしたユニエール様も今はぐったりと地面に両手をついて酸素不足に喘いでいます
「【タフネス】と【クイック】を使って更に強化していたのに……」
「【タフネス】と【クイック】は私も使ってましたからね」
実際私が使えるのは【ストレングス】【タフネス】だけでしたがバルクティンの力を受け継いだら【クイック】も使えるようになりました。他の魂を得ればいつかは【シールド】も使えるようになるかもしれませんね
「ってことはユニエール様は【ストレングス】以外が使えるんですね?【シールド】いいですね。ライトさんとおそろいだし」
「……恵は【シールド】の極意は知らないのですか?もしくは見てないの?」
ライトさんがもっと便利な使い方があるって言ってたけど知らないなぁ。露天風呂で使ってたみたいだけど……
「知りませんよ。知ってても勝手に教えませんけど」
「ウチから出す条件じゃこれ以上は望めないし……」
ドラゴンとかサイクロプスとか運んで来たんだ。そこにヒントがあるはず。ライトさんは海を越えて帰って来たって言ってた。途中でウェポンフィッシュと戦ったんだ。その時手はあけないと戦えないよね?じゃあその時のドラゴン達は?そこで【シールド】の便利な使い方をした?魔法の絨毯?でも【アクセス】しながら魔法の絨毯で?下から飛び跳ねて来るのに?獲物を守りながら?あれだけの魚相手に無傷だった。ドラゴン達を持ち運んでいない?便利な……便利?え?
「まさか……」
「え?わかったの?」
「いえ……でも、確かに便利って言えば便利だけど。そうすると……そんなチート能力……」
言えない。【シールド】の使い方を理解し始めたユニエール様には絶対言えない。まさかライトさんの【シールド】の極意が道具袋や収納の能力があるなんて
「これは……いや、やっぱり違うかな。」
なんとか誤魔化しておこう。これが広まると補給部隊の意味がなくなって戦時における進軍速度が異常になってしまう。ただでさえ魔法の絨毯があるのになんてものを開発しちゃったの?
「ヒント!ヒントだけでも!」
「間違ったのを教えても仕方ありませんよ。それよりライトさんが新しい魔法作った時のことを教えてくださいよ。またケーキ買ってきますから」
「あれは魔法っていうか、全く別物。あれは……そう、精霊魔法に似たものでした」
また新しいもの出ちゃった……ライトさん、貴方こそ『ばけもの』の称号に相応しい人ですよ。あとユニエール様、ケーキに弱すぎ
魔法名こそなくて顕現しなかったけど、していたら【アクセス】以上の出力がある力が発現したはずと落ち着いた息で話し出した。呪文の文言も聞いた。天の使いとか完全に雷属性で纏めてあったのにはライトさんなりのセーフティをかけているのが分かった
「でもそれは人の身では諸刃の剣。出力を上げるほどに身体への反動は酷となるでしょう」
「そんな……」
「恵は回復魔法を?そうすれば多少はダメージを軽減できるはずですよ?」
「いえ……どうしても発動しなくて。」
「ふーむ」
どうしよう?ライトさんが戦う相手次第で絶対怪我をするなんて……デルクリウスなんて神獣モードと併用して使うかもしれない。そんなのどんなダメージを受けるか想像もつかない。できれば変わってあげたい
「あ、そっか。ダメージを変わってあげられる魔法を作ればいいんだ」
「やめなさい。ライト殿は喜びません。むしろ怒るかもしれませんよ」
「それでも……ライトさんに頼りきりになるくらいなら……ユニエール様、お願いします。協力して下さい」
「仕方のない子。コツだけ教えてあげるから完成は自分でしなさい」
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お昼になったので帰ります。ユニエール様は走るのが辛かったのか魔法の絨毯に乗って後ろを飛んでいるので本気で走りました。
女の私達だからか頑張って近寄ってこようとしたゴブリンを跳ね飛ばして帰宅します
「ただいま〜。」
玄関の扉を開ける。どうしよう?一回お風呂入った方がいいのかな?汗だってかなりかいてるし
「恵っ!?忍ちゃん!恵が帰ってきたよ」
廊下を曲がると遠くの方でちっさいゴブリ……瑠衣ちゃんが騒いでいた。どうやらメイドさんからのうわさ話が広まってるみたいだ
「いま、ゴブリンとか思ってないよね〜?まさか親友をゴブリン扱いとかないよね〜?」
ギクッ
「まっさか〜!瑠衣ちゃんをゴブリン扱いとか思ってないよ」
す、鋭い。結構気にしてるんだな。もうゴブリン扱いはやめとこう。いつリベンジされるかわからないしね。屋敷が水浸しになるのも困るし
「ふーん……ま、今はそれどころじゃないよっ!ユーリカが鋼介さんの事好きなんだって」
「ええええっ!!なんで?何がどうなってそうなったの?」
じぃぃーっと私を見る瑠衣ちゃん。あれ?なんかおかしかった?ちゃんと驚いたのに。
え?なんですか?ユニエール様?棒読み過ぎるですと?そんなバカな
「恵、あんた知ってたね?」
「なっ?何のこと?知らないよっ?」
「あんた嘘を吐くと鼻の穴が開くんだよ」
「うぇ?ちょっ!ええええ……」
慌てて鼻を両手で塞ぐ。横でユニエール様がため息をついた
「恵さん、それは引っ掛けです。単純すぎますよ。」
「えっ?」
忍ちゃんが長い黒髪を梳かしながら指摘してくる。
しまった。やってしまった
「んで?どういう?」
「あ〜。もう……」
だめじゃん私!仕方ない。2人もまきこんじゃえ。
「かくかくしかじかで……」
「あ〜なるほど。それでライトさんが鋼介さんを連れて………って!ええっ!恵、あんたヤったの!?」
「なっ!大っきい声で何言ってんの!やめてよっ!」
「おめでとうございます。では瑠衣さんにはビッチの称号を授けますね」
「やめろっ!あたしはバージンだ!清い身体!清い身体っ!」
「三人とも静かになさい。せっかくライト殿達がユーリカの為に頑張ってるのに無駄にする気ですか?」
そうだ。私の事は今はいいんだ。ユーリカの気持ちを零華さんが知ったかどうか聞かないと
「こっちの状況は?」
「メイドが漏らしたはずだよ。零華さんも知ってるはず。今は庭で禅を組んでたよ?今頃バシバシ叩かれてるんじゃない?」
ニタニタと笑いながら私達を先導していく瑠衣ちゃん。他人の不幸ばかり笑ってるといつか痛い目みるよ?
「残念ながらそうではないようですよ?」
ユニエール様の言葉を聞きながら廊下を出て庭に一歩。え?
「寒ぅ!!」
扉を抜けるとそこは雪国……じゃなくて氷世界だった。気温差によって急激に体温が下がっていく。寒いっ!
よく見ると窓も凍っているし、踏み込んだ地面もシャリシャリと霜柱が砕けていく。その奥には二つの氷像、そして禅を組む零華さん
「ユ……ユニエ……ル様。助けて……」
クオンがこちらに気づきユニエール様に声をかける。シオンは顔まで凍りついているみたい。とにかく零華さんにやめさせないと
「零華さん!」
「ん?あ、あら?恵ちゃん、みんな?どうしたの?一緒に座禅でもしに来たの?」
気付いてなかったの?それともユーリカの事を聞いて魔力が暴走したの?
「とにかく凍結を解除してください。シオンが凍ってます」
「あ、やだ。すぐに言ってくれたら良かったのに」
広がった氷をビデオの巻き戻しの様に引かせて行く。足元に一つの球体を作り出しそこに冷気を収縮していく。テニスボールサイズになったそれは冷蔵貯蔵庫に設置されるようです。貯蔵庫二棟目を作った方がいいかもしれませんね
「ん、これでよしっと。」
テニスボール氷を普通の氷に包んで保管完了のようです
「さてと、訓練を続けようかなっと」
「いや、零華さん。シオン凍ってるからお風呂に入れないと」
「あらそう?トレーナーがこれじゃ捗らないわね。私もお風呂に入ろうかしら?」
あ、私もランニングしぱなしだから汗かいてるし入ろうかな
「私も行きます」
「ではご一緒しましょうか。私も汗をかきましたから」
「んじゃあたしも……」
「瑠衣さんは十分休んだでしょう?再開です」
というわけで私、零華さん、ユニエール様、シオンでお風呂に向かいました。今時分なら屋敷のお風呂が使えるはずですよね
メイドさんにみんなのお風呂の用意をしてもらい私達は先にお風呂に向かいます
「ふう……ここにいると常識が崩れていきますよ。」
「みんな死にたくないですからね。本当はもっと命がけでパワーアップしないと。自分だけじゃなくて知り合いまで被害がでますからね。ライト君が異常だからどこか間が抜けてる感じがしますけど」
身体を流し簡単に洗う。朝も入ってるしあまりしっかり洗いすぎるのはやめておこう。あ、シオンをある程度溶かしておこうかな
【ストレングス】で強化した腕で掴みシオンを湯船に浮かべる。お湯が冷えないように私が温めよう。シオンを横に浮かべながら肩までお湯に浸かる
「王妃様の赤ちゃんもみたいですからね〜」
「赤ちゃん……ね。いつか私も産むのかな?」
「産む前に恋人を作らないと子供はつくれませんよ?」
あ、ユニエール様協力してくれてるんだ。……私が頼りないだけかもしれませんけど
「恵ちゃんはいつかはライト君の子を産むんだよね?不安じゃない?私達はまだまだ子供よ?」
「もちろん不安ですけど子供は今は考えてませんよ?二人の時間をいっぱいとりたいですから。っていうかまだ16ですよ?もっと……そのいちゃいちゃしたいです」
「私も国の婚約者と会いたいです。それよりライト殿の知識をできるだけ得たいですが……」
いや、ユニエール様。知識よりは婚約者を取りましょうね
「恋人に婚約者か……。二人はユーリカの事聞きました?鋼が好きなんだって」
「はい。さっき瑠衣ちゃんから。これでゴーストの心配は消えますねってメイドさんが言ってたのを聞きました」
頭にはてなを浮かべる零華さん。やっぱりゴーストの発生条件を知らなかった様子
「ゴーストは童貞の男性が未練を募らせてなる場合が多いと検証されています。ユーリカ嬢が相手役をするなら鋼介殿のゴーストを狩らずに済むのは喜ばしい事です。なにせ負ければ国が滅んだ上、高魔力持ちのゴーストが生まれてしまいますから。復興するのにも必ず高い壁になるでしょう」
「獣人族の方は好意を持つとその方に従順になりますからね。あ〜〜生き返る〜〜。」
解凍されたシオンがびちゃびちゃになった服を脱いで脱衣所に投げ捨ててから再び湯船に入ってきた
「決めた相手には性のハードルを下げますからね。今は二人とも出かけていますが、ユーリカ嬢が告白し鋼介殿が受け入れれば二・三日もすれば立派なカップルになるでしょう」
お湯に浸かるシオンは訓練中の鬼教官ではなく脚が速くて堅い高経験値のスライムのような口をしていて、あ゛あ゛〜〜と女の子が出してはいけない声を出していた
「いいのですか?零華は?嫌いじゃないのでしょう?」
湯船から出る肩にお湯をかけるユニエール様。お湯が谷間に流れていく。……くっ
メイドさんが入ってきてワインを注いでいく。私達は果実水です。お風呂で飲むのってなんか贅沢ですよね
ワインをユニエール様達に、果実水を私と
零華さんに渡す。でも零華さんは受け取らず果実水をジッと見てる
「……………………」
「今貴方達は生きるか死ぬか……先ほども言った通り命がけです。なので悔いを残さず出発するべきなのではないのでしょうか?」
「恵ちゃんもそういう理由で?」
果実水を受け取り飲み干す零華さん。自分の言葉が潤滑に出るように喉を潤したのかもしれない。それとも温まった頭を冷やす為?時間稼ぎ?いずれにしても零華さんが相手だ。隠すことないよね
「いえ、私は私がライトさんが欲しかった、ライトさんの一番でありたかったからですね。ルナマリアといいニーナといい、ライバルが増えますからね。コナーさんもそうだし」
あとクオンもそうだし、いずれ来るであろう婚約者候補もそう。負けてられない。負けたくない
それに自分は動かないくせに周りの女の子のアピールに嫉妬ばかりしたくないから
「そうなんだ。でも私は…………うん、多分嫌いじゃない。好きとは言えないけど嫌いじゃない。気になるのは気になるし、女の子ばかり追いかけるのもイラっとしたりもする。でもこれは……幼馴染みであるとか腐れ縁って域からでない。そんな感じ」
「では零華はユーリカ嬢と鋼介殿が付き合っても構わない、と?」
ワインを煽り空にすると残った液体がゆっくりと流れるのを見ていた
「…………そうですね。そうなったら私が言う事はありません。二人の自由です」
「割り込む事も二人を受け入れるも選択肢にはありますが?」
「おそらく無理……かもしれませんね。私はそういうの腹を立ててしまいますから」
「そうですか……。では申し訳ありませんが私達はユーリカを応援してあげたいと思います。」
「わかりました。鋼にはあまり親しくしない方が良さそうですね。距離を置いてユーリカには警戒させないようにします」
ハキハキしゃべる零華さん。でも顔は辛そう。これはこのまま進めるの良くない気がしてきた。【ハートリード】で零華さんの本心を知った方がいいかもしれない
「では私は上がりますね。少し一人で修行してますので。ライト君には夕方には帰るといっておいてください」
そういい残してお風呂から出て行った。
「困った娘です。完全に好きなのに幼馴染みという壁を作ってしまってますね」
「ん〜、今は一夫多妻制とかではなく男へのご褒美程度に考えてくれればいいのに」
「無理ですよ。私だってルナマリアとは大事な親友だしライトさんもルナマリアが好きだからみんなが受け入れられたんです。ましてや鋼介さんはご褒美が貰えるような事はしてませんよ」
鋼介さんはそういうの下手そうだし零華さんはさっきも言ってたように二股はダメ。ユーリカとも友達というよりは知り合いでしかない
そろそろ逆上せそうだから上がろう。頭が茹って考えも纏まらなくなりそうだし
「恵様、ライト様がお戻りになられました。みんなにもポテトノエルのお土産があると仰ってましたよ。ダイニングにあるから一人一つ食べて良いと」
脱衣所で身体を拭いて髪を乾かしていると黒髪ネームレスさんがやって来ました。ポテトノエル?ポテトのL?
「零華様が南の森に向かわれました。ネームレスの一人をつけていますのでご安心を」
「そっか。私達の話しは聞いてたよね?」
「はい、鋼介様とユーリカ次第だという事で。これで鋼介様がユーリカと寝れば問題ありませんね」
ネームレス主観ならそうなるよね?でもダメだ、やっぱりライトさんに相談しなきゃ。このままじゃいけない気がするよ
「二人ともごめんなさい。私、今すぐライトさんと話さなきゃ」
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「うーん。しかしなぁ……【ハートリード】を使うのはプライバシーの侵害だぞ?俺から送るのは自分で選んでるから良いとして仲間から、しかも女の子から奪うのは気が引けるな」
「でもっ!じゃあ零華さんが……」
「恵、あまり深入りし過ぎたらダメだ。ユーリカは自分の立ち場があるから俺に明かしたんだ。零華は仲間で友人だし無理に聞き出す事は出来ない。零華は『二人の自由』という答えを出した。それが全部だろ?」
ライトさんが買ってきた有名ファストフードのポテトを食べながら結論を下す
「そりゃ鋼介がどうしても二人がいいと零華を説得できればいいけど、あの鋼介だぞ?説得できるわけがない」
「む〜。」
「そういえばユーリカはどうしたかな?」
「ユーリカは南西の沼地に向かったはずです。あちらの地域は水が豊富だという事で米の適性調査をしていますよ。」
最後のポテトを食べ終わり立ち上がるライトさん。その顔には諦めが貼り付けられてます。まぁわかりますけど
「ああ、フラグか」
「フラグですね」
南の森に向かった零華さんと南西にいるユーリカが出会わない訳ないですよね?何と無く拗れる予感がするのもそうですかね
「黒髪、案内してくれるか?零華にネームレスがついてるんだろ?」
「了解しました。……零華様は現在屋敷と森との中間地点を移動中だそうです。」
追いつける距離ですが止める訳にはいきませんよね?今は見守るくらいしかできないですが何もしないよりはいいです。行きましょう
ライトさんの魔法の絨毯に乗り零華さんの後を追います。あれ?でも零華さんなんでもう森との中間地点まで進んでるの?
「あ、俺がコツを【ハートリード】で教えたからな。自分用しか出来ないみたいなのと怖くて低空飛行でしか出来ないらしいけさど」
零華さんは一枚の【シールド】での移動だそうです。ライトさんは曲面や変形も簡単に使うから容易そうに思えますがそこはやっぱりチート持ちだからのようですね
「ま、慣れだよな?」
「当たり前の様に言わないでくださいよ。化物とか規格外とか言われ始めてますよ?」
「どうせユニエール様だろ?今更だよ」
庭にいたクオンや瑠衣ちゃん達に一声かけ南の森へ向かいます。
「あ、私朝から何も食べてなかったや。ライトさん何かあります?」
「手ぶらなのにそれを聞くって事は分かっちゃったか?」
「はい。【アイテムボックス】系の能力ですよね?」
ライトさんはニコっと笑うと正解と言った。右手を前に出し「一番」と言うと1メートル四方の正方形の半透明な【シールド】が出てきた。中には真紅玉がぎっしり詰まっていた
「今の所五番まで食料かな。一人なら一年以上は食べれるぞ。俺が調理しないならだけど」
自分で言ってショックを受けるライトさん。調理をすると美味しくなくなるのは辛いですよね。でも大丈夫。私が作りますよ
「はい。林檎」
「ありがとうございます」
皮のまま囓ろうとしたら黒髪さんに取られ皮を剥かれた。早すぎるよ。ホントに一瞬なんだもん
「いました。零華様です」
眼下には青い魔法の絨毯に乗って移動する青い服をきた零華さんが。意外とスピードを出してる。結構交通ルールとか厳しそうなのに意外だな。ライトさんはもっと早いけど守る気はなさげです。それで車の免許とれるんですか?
「森に入るぞ。【サーチ】で目を離さない様にする。魔物は二人に任せるぞ」
「わかりました」
「御意」
森に入った零華さんを追って森の上空から後を追います。縄張りに入ったからか私達に気づいた鳥系の魔物がこちらに向かって羽ばたいてくるのが見えました
「【シャドウランス】」
「わっ!無詠唱!凄いんだ!」
今にも飛びかかろうとしていた烏とペリカンを混ぜたような鳥、ブラックシープバードを黒髪さんが使ったメイド服の袖から伸びる無数の黒色の槍が貫いた。
「闇属性とはまた……俺達じゃ相性悪くて覚えられないな」
「よーし!私も!」
火の玉を二十個ほど生成次々にくる鳥を撃墜していきます
「……そう。ライト様。零華様についているネームレスから魔力の反応が強すぎで気づかれるかもしれないと。」
「あ……私?」
そういえば追跡中なんだからばれたらダメなのを忘れてた。頷く黒髪さん。その間も闇色の槍が迫り来る鳥を突き刺し絶命させるとライトさんの四番ボックスにどんどん入れていく。
ブラックシープバードはペリカンの様な口に貴金属や光物を入れて貯める習性があるそうでウハウハです。何故冒険者が狙わないかというと高い木に巣を作るので登って捕まえようとすると攻撃してくるからです。両手、もしくは片手が塞がった状態で飛行する鳥を相手では苦戦必至、下手すれば木から落とされ地面に叩きつけられますからね。ライトさんの様な飛行能力とアイテムボックスがないと無理な相手です。遠距離で倒すと地面にばら撒いてしまって大変ですからね。失敗したら群れで襲われますし
「それから森の西側を移動中のユーリカを発見したそうです。邂逅まで五分もないでしょう」
「忙しい……なっと」
【シールド】の底をスパイク型に変形、さらに【パラライズ】をかける。これでぶつかる鳥は麻痺して落ちていくだけだ
「よし、先にユーリカの近くに行くぞ」
どうせ間違いなく遭遇するでしょう。先に場所取りをするようです
鳥はどうやら私達が敵意を持ってない事が分かったからか襲ってこなくなりました。あのままだと全滅させなくてはいけなくなるのでよかった
そんなこんなで鬱蒼と茂った枝に座り林檎を食べながら高みの見物をしているとユーリカが馬に乗りながら北を目指していました。屋敷に帰るようですね。
「零華様と魔物がこちらに来ます」
——バキバキバキバキ
木をへし折りながら森から何かが飛び出てきて転がった。その先にはユーリカがいた。
「うひっ!な?何?」
ブラウンの髪にさっき見た青い服。転がりついでに森から距離を取るために飛び退く
「零華様です。敵対しているのはアーマードスタンプボアのようです」
黒髪さんが説明してくれるけどそれどころじゃない。今森の中から銀色に鈍く光る毛を持つワンボックスカーサイズの猪が飛び出て来ました。身体の表面にはところどころ氷が張り付いていますが銀色の毛が邪魔をして効果がなさげです。相性が悪いようで苦戦しているのかも。
突進する猪に矢を放つけど同じく銀色の毛が鎧の役目をしているからか刺さりすらしていない
「ユーリカ、貴女は逃げなさい。ここは食い止めるから」
迫り来る猪を避け氷の矢をボアの移動先に撃つ。氷のフィールドが作られるとすぐにボアが踏み入れる
「ゴァ?」
その重量が仇となって転び猪は鼻先を地面に突っ込んだ
「でっ!でもっ零華様が……」
「鋼の事好きなんでしょ!だったら行く。ここにいると死ぬわよ?。私も頃合いを見て逃げるから」
話しながら毛むくじゃらの背中に氷の散弾をお見舞いする。切る、刺すから殴打系の攻撃に切り替えたみたい
「すっ!でも零華様が……零華様だって……」
「いいの。私は口煩い女だから鋼だってもっと優しい子を選ぶはずよ。あいつ馬鹿だけど優しくしてあげて」
「ダメです!私は……」
「【シールド】」
ユーリカの足元に【シールド】を使うと屋敷の方へ飛ばす。ユーリカが泣きそうな顔で地面すれすれに滑って行く
「私はユーリカと違って怒りやすいから。自分にはっきりしないのも腹が立つの。ほんと怒ってばかりね。」
そう言って諦観の表情を浮かべる零華さん。その割に魔力が高ぶってますけど?握りしめた手が震えてません?
「だってしょうがないじゃない?鋼はアホだしバカだし頭悪いし目立ちたがりだしスケベだし理性より下半身だし間抜けだし。そりゃちょっとはいいところあるし頼りにしたりするけどさっ!私だって女の子なんだから!告白くらいしてくれたっていいじゃない!そういうのに憧れたっていいじゃない!なんで恵ちゃんばっかり!!もっと私をちやほやしてくれたっていいじゃないのよーー!!!!」
「ゴアァァァァーーー!!!!」
「うるさい!!!このっ!!牡丹鍋がっ!!【シールド】!!【アブソリュートゼロ】!!」
零華さんがキレた。それはもう盛大に。零華さんは【シールド】で作り上げた大剣に【アブソリュートゼロ】をかけるとそのまま唐竹割り。アーマードスタンプボアを真っ二つに切り裂き……あ、まずっ
零華さんが振った剣の余波が私達のいる樹まで切り裂いてしまった。切り口からどんどん凍りついていく。凍りついた枝葉から氷柱が伸び重さに耐えれず砕けて落ちていく
——バキッ
「あ」
私達がいた枝が簡単に折れた。
つまり
「きゃあーーーーーーー!!あ」
ライトさんがお姫様だっこで抱きしめて着地。うん。やっぱりライトさんはかっこいい
隣で黒髪さんもスタッと着地。え?あの高さで無事なの?
「あらあら……こんなところまでどうしたのかしら?まさかつけてきたとか言わないわよねぇ?お二人さん。なんでここにいるのかなかな?」
——ガリガリ…ガリガリ…ガリガリ…ガリガリ
大剣を引きづりながらゆっくりと、ふらふらと近づいてくる姿は幽鬼そのものだった。ガリガリと地面を削り、凍結させながら闇の様な魔力を放出している
「ちょ、ちょっとデートしてただけだぞ?」
「嘘だっ!!!!」
ひぐ○し!?
私達は顔を見合わせ頷く。ダメだ。逃げるしかない。身体能力をあげよう
「【クイッ】——」
「イク——」
「遅い!!」
大剣が振られ森の四分の一が私達ごと凍結させられました。
……せめて綺麗な氷像にしてくださいね
気づきました。どうやら気絶していたようですね
あれから何分……いえ、何時間経ったのでしょうか?日は落ち月が見えています。そして寒いです。もう一回言います。寒いです
現在は氷塊の中から顔だけ出す様にされてます。ライトさんは氷でできた雪だるまで同じく顔だけ出しています。まだ気絶中ですね。ってか雪だるまですか……可愛いのが良かったな
そして目の前には大剣を振る零華さん。それはもう空気を斬る音が半端ないです。
恐らくさっきの叫びを他の人に言わないようにOHANASHIするんだろうな。奥歯の震えが止まらないのは寒さの所為ですよね?NO肉体言語ですよ
「はぁ……最近ついてないわね。ライト君には変なとこ見られるし……まぁ本人が夢だと思ってる分マシかな……裸も見られてるし。やだなぁ。記憶と照らし合わさなければいいんだけど。物理的ショックで消えないかしら?」
そう言って剣を構える零華さん。それ完全にバットの振り方ですよ!あと変なとこってどこですか?
「あら?起きたの?恵ちゃん?」
しまった。身じろぎしたからかばれた!
「れ、零華さん?そろそろ出してもらってもいい……んじゃないかなぁって」
「ん?ああ……そうね。少しお話ししたら出してあげようかなかな?」
継続してるっ!?
パキパキと音を立てて私を囲う氷が十字架のようになった。やばい!このシチュエーション!
「ひぃぃぃ!!たっ!助けて!」
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。」
あ、漏れました。(泣)
「ふむ……零華様は怒らせない方が良さげですね」
「助けないの?」
「封印されそうでおっかない」
「で?ポテトノエルって美味しいの?」
「ヤバい」




