求めてたぬくもり——恵
「それで?ライト様は?」
「今魔力を感じないからたぶん出かけてると思う。きっと、コン……んんっ!買い物に行ったんじゃないかな」
屋敷に戻りライトさんと別れた後コナーさんとユーリカの所にきて現状報告にきました
二人はキッチンでお米を研いでいました。ジャッ!ジャッ!っと懐かしい音を立てて研ぐのには何か懐かしい気持ちになりました。そこはやっぱり日本人、お米をたべないとね
で、炊き方は炊飯器なんてないのでかまどで鍋を使って炊く方法を教わったようです。そんな難しそうなのができる忍ちゃんって……できない家事って何?私との女子力のレベル差が半端ないよ。ちょっと哀しくなる
戸惑う私の後ろをコックさんが通っていきます。手には頭にナイフのついた魚を持っています。ウェポンフィッシュですね。キッチンから見える外には槍が外された魚が開きになって干されていました。一夜干しですね
それからウェポンフィッシュから外された武器はそのまま武器になるようなので獣人さんに提供するそうです。
そうするとカミラさんの武器よりも良いものになるのでライトさんは結局どこかでサイクロプス装備を作ってもらうそうです。素材代は無しにして製作代だけお金を貸すそうです。タダであげないのは従業員に対する出資扱いにするためだそうで知り合いだからって私情は挟まないってライトさんは言ってましたけど素材代が凄いのに説得力ないですよね
そういうとじゃあ新人以外はドラゴンだと見栄を切り出すライトさん。太っ腹なのはいいけど国の貴族が黙ってない気がしますよ。
ちょっと脱線しましたが今日食べるウェポンフィッシュは今朝忍ちゃんが血抜きまでしていたそうのでそっちはコックさんが調理してくれています。魚料理は久しぶりなので楽しみですね。シンプルな塩焼きが食べたいです
「それにしてもショックまで受けるとは思いませんでしたね。後で私も謝っておかないと」
「私も一緒に謝るね」
「助かります」
私も原因ですからね。さっき謝ったとはいえコナーさんと一緒に謝るのも大事ですよね。友達だもん。それくらい普通だよね
「それから三人は今日買った服を着て来てね」
もしかしたらそのままくるかもしれないので念押し。せっかく買ったんだからお披露目しないとね
「わかりました」
「はい。あ、うん」
「それじゃ、後でね」
焼かれ始めた魚の匂いに後ろ髪を引かれながら屋敷の中を歩く。ん?ライトさんの魔力を感じる。地球から帰ってきたみたい。なんか顔あわすの恥ずかしいかも。今は会わずにおこう。どうせごはんの時会うんだし。
更に屋敷の様子を見て歩くと今日にも米が増えていた。みんなどれたけ買ったんだろう?そろそろ不思議に思う人が出てくるんじゃないかな?
あれ?みんながいない?
「流石は恵様。ライト様の居場所をすぐに見つけてくるとは」
現れたのはルナマリアのネームレス。ライトさんが黒髪とだけ呼ぶよく居る人だ。ルナマリア付きなのになんでライトさんに張り付いてるんだろう?
「あのね。今夜だけ監視をストップして欲しいんだ。その……わかるよね?」
「はい。動物でいう交尾をなさるのですよね?先ほど帰ってきたライト様も何かの箱をジッと見つめてはテーブルに置いたり枕の下に隠したり落ち着きなくされてましたので……」
ちょっとぉ!ライトさん、監視用の穴塞いだ方がいいですよぉ!!ばっちり見られてますよ!
「えっと……ルナマリアには私からいいたいから少しだけ待ってくれない?約束なの」
「御意」
そういうと廊下を曲がっていく黒髪さん。ギリギリで呼び止めてみんなの事を聞くと訓練で汚れたから露天風呂へ行ったみたいだった。私も呼んで欲しかったな
まぁいっか。とりあえず自室を片付けに……は、獣人の女の子がやってくれてるみたいだからいいし、お風呂は洗ってあるみたいだし(そもそも使用人さんの仕事だし)本当にする事がないや
仕方ない。ダイニングで待ってよう。しばらくしたらみんな来るだろうし。自分の席について頬杖をつく
やばい、落ち着かないよ。みんな覚悟を決めた時はこんな感じなのかな?こう……ふわふわ、そわそわした気持ち。なんかキョロキョロしちゃう。
そんな私を見つけてメイドさんが水を持ってきてくれた。はふぅ……全然ダメだぁ。メイドさんに笑われた。
「あ、……ご、ご機嫌よう」
しばらくすると遠慮気味にユニエール様が入ってきた。やたらとこちらの様子を伺っている。
「大丈夫ですよ、ユニエール様。別に怒ったり拗ねたりしてるわけじゃないですから。意地悪もしませんよ」
「あ、あら……良かった。もうプリンとはお別れかと泣き腫らす所でしたよ。それこそライト殿に泣きつかなければいけないところでした」
「どれだけプリンにいれこんでるんですか……あ、メイドさん、ユニエール様に私のケーキ持ってきてくれませんか?私の分と2つありますから」
わかりました、とお辞儀をして部屋を出て行くメイドさん。
「…………」
「何か聞きたげですね。私でよろしければお聞きしましょう。ちなみに百合ですか?っていうのはやめてくださいね」
結構ダメージ大きかったんだな。また泣かれても困るしやめておこう。ただブラの作りが気になっただけだしね。
せっかく相談しても良さげなんだからしておこう。今はちゃんと対応してくれそうだし
「……その……覚悟っていうか決意っていうか……自分に正直になれた気がするっていうか……………ライトさんを受け入れようと思ったんです。でもこういう時どうやって落ち着いたらいいのかわからなくて……」
「ふむ、まずは喜ばしいことです。おめでとうございます。」
「ありがとうございます」
「それでどう落ち着いたらいいかということですが、落ち着く必要はありませんよ。周りから見ればそわそわしてるのが気になるかもしれませんが放っておくと良いでしょう。自分とライト殿の事だけ考える時間になさい」
「私とライトさんの事?」
「まぁ、経験談です。特に恋仲になった当初など思い出すと良いでしょう。ああ〜、うん……」
ちょいちょいと手招きをするユニエール様。なんだろ?
「ライト殿のは大きいとか情報はありますか?あるならそれなりに準備が必要になるのですが……」
「コナーさんの話ではかなり大っきい方だと言ってましたけど……私、基準が分からないので。あと一応王妃様からライトさん用と私用の薬を貰いましたよ?使ったほうがいいのでしょうか?」
「恵用の方だけにしておきなさいな。痛みを和らげてくれるはずです」
そっか。じゃあそうしよう。王妃様の誕生日プレゼントが役立つ日が来たんだ
「後はライト殿に任せればいいでしょう。男の甲斐性がものをいいますから」
「わかりました」
ひと段落してメイドさんがケーキを持って入ってきた。コンビニで買えるショートケーキ二個入りです。ちゃんと一つずつお皿に乗せてくれています。美味しいですよね、コンビニのケーキって。
「まぁ、これは完成形なので忍ちゃんが作るかは分かりませんがデルクリウスの後試すって話になってるみたいですよ?」
私とユニエール様の前に置いてついでに紅茶を用意してくれた。ミルクティーです。これも二人の前に置いてくれました。ごはん前だけどティータイムですね
「ユニエール様どうぞ?」
手元のフォークを使ってクリーム、スポンジと突き刺して切り分ける。柔らかな感触に驚いてる。
私はその新しい反応を見ながらパクリ。ああ、美味しい
「ごくっ」
生唾飲み込んだ?そこまで緊張されても困るんだけど……。意を決したユニエール様。フォークに乗せたケーキを口に入れた
「はわわわわわゎゎゎゎゎゎゎ!!!!?」
な、なに?叫び出しちゃった!?叫びながらも一口二口と口に運んでいく。
「なんだ?どうした!シルバールのっ!むっ?なんだそれは?」
ユニエール様の叫びにアルフレッド陛下が猛ダッシュで駆け込んできた。護衛の人が遅れて入ってくる。
いや、護衛を置いてこないでよ。もしくは護衛さんもちゃんとついていってくださいよ。そもそもユニエール様も護衛無しにうろうろし過ぎ!
ユニエール様はフォークに残った最後のケーキをアルフレッド陛下に差し出す
「アルフレッド陛下…………この世には………天に昇る程の甘味……いぇ……スイーツがありました。これを独占するなんて……地獄に堕ちてしまいます」
「むぅ……。」
先ほどのユニエール様の様にケーキを食べるアルフレッド陛下
「ああ……なんて事だ。桃の蜂蜜漬けなど比べ物にならんとは……」
「あはははははは……もう私ここに住みます!もう帰りませんよっ!毎日これを食べたいのです!恵のケーキもください!」
そういうと私の方ににじり寄ってくる。いや、別に食べたいならあげますからそんなにいきり立たないでくださいよ
「シルバールのっ!全部とるなっ!我だって欲しいのだ!お前達、足止めしろっ!」
「くくく……ライト殿から教わった【シールド】の極意と私の技術の融合をみよ」
ユニエール様は豹変すると【シールド】を私とユニエール様を囲むように半球状に展開。そこに風属性を混ぜる。するとクラゲの様な触手を四本備えたバリアが出来た。
「防衛特化型魔法【シェル】、あらゆる攻撃から身を守るこの鉄壁を越えられますか?」
「ウチの謳い文句をパクるな!いけ!お前達!」
いけと言われて困惑する護衛さん達。相手は女王陛下だし、人ん家で魔法使うのもおかしいしね。まぁそれでも一応ユニエール様に近づくけど四本の触手がビシバシと護衛さん達を叩き、倒れた人から触手が押さえつけて捕縛していく。魔法は風が、物理は触手が弾くらしいです
「ユニエール様、人ん家で暴れないでくださいよ。アルフレッド陛下と仲良く分けないなら食べちゃいますからね」
「そっ……そんな……」
がっくりと床に膝をつくユニエール様。精神が乱れたからか【シェル】が消え去った。そんなに分けるのがショックなの?大人気ない
「ふ、ふははは!流石は英雄の恋人、わかっておるな!」
「いや、ユニエール様はほぼ一つ食べましたよね?相談を聞いてくれたからサービスして半分こなんですよ。それに食べ過ぎると太りますよ?」
これを言うと女の子はダメージ受けますよね。ユニエール様も例にもれることなく真っ青になった。
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
「じゃあこれは我がもらうぞ!ふははははははは!!」
「くぅ……明日からは私も特訓ですっ!食べる分体を動かせば……」
はいはい……もう私のストックしてるケーキはないけどね。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
そんなこんなで夕食になりました。みんなが集まってきた。
「あ」
「あ」
隣に座るライトさんと目があいました。でも何を話せばいいのかわからず間抜けな声が漏れました。ライトさんも同じようです。こちらをみる気配はありますが互いにすれ違わさせてばかり。
ああ……やっぱりライトさん、その気になってるんですね。私今日少女じゃなくなるんだ。身体も見られて触れられて……パオーンが……
ダメダメ。まだ暴走してる場合じゃないよ。まずはごはんでも食べておこう。いや、あまり食べて眠くなるのも嫌だし……
「遅れて申し訳ありません」
「失礼します」
「セーフみたいですね〜」
コナーさんとユーリカが、遅れてカミラさんが入ってきた
コナーさんが膝丈までの紺のパンツに腰までの赤のショートローブ、フード付き。素足が綺麗なのでレギンスとかは買わなくて良さげ。足も長くて本当にモデルみたいでずるいです。靴は普通のパンプス。職人に靴のデザインとかだけ渡したら作ってもらえないかな?勿体無いよね
ユーリカが桜色のワンピース。斑色の髪には金の髪留め。赤のローファー。鋼介さんの好みが不明だったから可愛らしいのを選んだ結果こうなった。ウチのクラスなら完全にモテると思う
最後に入ってきたカミラさんは……男装女子のイメージ。パリっとした感じで社交界にいそうな服装だ。カーキ色のパンツをダークブラウンのハーフブーツに入れてる。ワイシャツに黒を基調としたベスト。赤い幾何学模様がオシャレっぽい。同じくベストにつけたコサージュが僅かに女の子アピールをしてる。まぁカミラさんって胸はそんなにだけどお尻が大きめだから女の子ってすぐ分かるんですけどね
「ちょっと恥ずかしいですね」
「へ、変じゃないですか?」
「むふー。おニュー最高!恵ちゃん、ありがとね」
「いいえ〜。良かったよ。二人も似合ってる。ね、ライトさん」
とにかく普段通りを装う為にライトさんに話を振る。最後に声が裏返ったけど
「ん?あ、ああ。そうだな。良く似合ってるよ」
「「「ありがとうございます」」」
「ウォルト、見惚れすぎです」
「姫巫女様もお美しゅうございますよ」
「ユディス、ついでみたいに言うのはやめなさい。凹みます」
あ、姫巫女様いたんだ?なんか久しぶりだなぁ。勇者さんもいた
「私が一緒にごはん食べたくて招待しました。」
「そうか。今日はみんなもお待ちかねの魚だ。シンプルに塩焼きにしてもらった。そして米。この組み合わせが嫌いな奴はいないよな?」
ライトさんが喋ってる間にメイドさんがワゴンを押して料理を運んでくる。数人のメイドさんがワゴンから各人のお皿を取りテーブルに置いていく。
後ろから入ってきたコックさんが3つの大きなお皿をテーブルの中央に並べて置いた。お皿の上にはウェポンフィッシュの塩焼きだ。一番の大物らしく頭、胴体、尻尾に分けられてそれぞれのお皿に分割されていた。
コックさんがユニエール様、アルフレッド陛下、姫巫女様に切り分ける。続いてライトさん、私、シオン達の順番でお皿にのせていった。コナーさん達は最後だった。よく分からないけど偉い順だったのかな?私結構偉い位置にいるんだ?実感ないけど
で、置かれた槍ウェポンフィッシュはサンマに似た魚だ。ただサイズは10倍くらいあるけど。全体像からすると細身の身体で抵抗も少なく突いてくるんだろうな……とか考察しているとライトさんがいただきますを言った。
わいのわいの騒ぎだすお偉いさん方。何食べても驚くんだ?いつもは何を食べてるんだろ?
「恵、今日はありがとうございます」
「ありがとう……です」
「ううん。友達だからね。どう?二人共食べてる?」
お箸はないのでフォークでお米を食べる。お魚はちょっと食べ辛いな。
「うまうま」
「うまうま」
「うまうま」
二人の国王様とお姫様が一心不乱に食べるのが見えた。それに苦笑しつつフォークを進める
「ええ。まさか海辺の街でもないのに魚が食べられるとは思いませんでしたよ」
「美味しいです」
「そう。良かった」
ひたすら食べるカミラさんはおいておいて三人で夕食に舌鼓を打つ。ライトさんはユニエール様に教えた【シェル】を教えろとアルフレッド陛下に捕まっているから今夜の事をこそっと話す
「ところで周りには一応……………としておく方がいいでしょう。零華様なら大事にしないと思いますから」
「ん、わかった。ありがと。」
しばらく食べて他の人とも少し喋る。ライトさんが近くにいないから普通なはず。不自然じゃないよね?
「恵!その魔力の向上の秘訣を教えてよ!師匠が恵にできたならあたしにもできるだろって怒るんだよ!?」
「え?でも秘訣ってないんだよね。寝て起きたらこうなってたの。」
バルクティンの魂を吸収したからだけどシオンやクオンに知られるのはよくないよね。うーん。なんていうべきか……
「いえ、もしかしたら……恋……なのかもしれませんよ?」
「こっ恋?」
コナーさんが少し恥ずかしげに瑠衣ちゃんに言った。いや、魔力は恋じゃ上がらないでしょ?それならみんな高魔力持ちになっちゃうよ?恋しない人は知らないけどさ
「むぅ……確かに恵はライトさんに恋してるし……」
な、なんか人に恋してるって言われるの恥ずかしいな。あと納得しないでよ
「そんなはずありません……そうならクオ——」
「シオンっ!!【パラライズ】」
勢いよくシオンの口を塞ごうとしたためパァンと音がなった。痛そう。いや、塞がなくても見ればわかるよ。【パラライズ】はやりすぎじゃない?
「い゛だい゛……」
叩かれて涙目だけど麻痺していて押さえる事も摩る事も出来ずにいるシオン。慌てて自分をフォローするクオンを尻目に迫る瑠衣ちゃん
「恋じゃないなら……まっ!まさかっ!大人の階段を!?」
「にゃ!?にゃにを言ってるにょっ!?まだ登ってないっ!!」
「ま、そうだろうね。それが原因ならみんな異常だよねー。恵があたしより先に登るなんて雨が降るよ」
………え?私どう見られてるの?
「恵が経験済みなら世の中みんなビッチだよねー」
「それは瑠衣さんだけにしておいてくださいね。私は違いますから」
通りががった忍ちゃんが瑠衣ちゃんに毒を吐いたらショックを受けていた。仕方ないね。だって明日からは瑠衣ちゃんだけビッチの称号がつけられるんだから
「くっ……チクショー!!!」
泣きながらウェポンフィッシュに食らいつくと全員が引いた
「ど、どうかした?なんか瑠衣ちゃん暴走しちゃってるけど」
「何でも……ないです。あ、そうだ。零華さん、今日そっちで寝てもいいですか?」
チャンスですね。私のベッドは燃え消火の為濡れていて寝ることは出来なかった。その為のお願いっていうか建て前
「私の部屋でもいいじゃん?なんならライトさんの所でも」
瑠衣ちゃんが言った。今もまたかぶりついたせいで口の周りが脂だらけだ。
そんな顔だけどライトさんのと言った時は顔がいやらしく見えたのは気のせいじゃ絶対にない。まぁ今夜行くんだけど瑠衣ちゃんには教えられない。
「零華さんじゃないとダメなの。お願いします」
「別に良いわよ。メイドさんに言って用意してもらうから」
「ありがとうございます」
しばらくして夕食が終わりライトさんはユニエール様、アルフレッド陛下、姫巫女、シオン、クオン、忍ちゃんを連れてサロンへ行きました。あ、勇者さん達も一緒に行きました
最後にこちらを見るライトさんに手を振り零華さん、コナーさん達とダイニングから移動。私達は私達で応接室で零華さんの部屋の準備ができるまで待機です。
向かうまでに自分の部屋に入り寝具を用意する。未だに焦げた匂いが部屋に残っています。原因のベッドもそのままに置いてあるから仕方ないよね
「火事にならなくて良かったわね」
「ごめんなさい……」
「で?」
後ろ手に鍵をかける零華さん。ご丁寧に扉を凍らしているのも几帳面な零華さんらしい
「二人で何を隠してるわけ?あの時喋ってた聖剣に何かあるの?それともバルクティンの方かしら?」
やっぱり零華さんは鋭いな。なんとなく零華さんは私を警戒?しているのかも…
「えっと……」
どういうべきかな?
悩んでいると魔力から作られた冷気が部屋を覆い窓も凍らせ施錠とした。ここまでやるとネームレスさんも入れないかもしれない。多分、…………いや、神出鬼没だしわかんないや。
「これなら忍ちゃんでも聞けないわ」
逃げたりも出来なくしたんだろうな……そんなに今の私は変な状態なのかな?
「……すみません。こればっかりはライトさんが自分で言わないと……私の口からは言えません」
「なら私の部屋に来る理由は?言えない事に関係してるんでしょ?」
「……」
一瞬、打ち明けるかどうか悩んだけど、最低限は話す事にした。零華さんももしかしたら同じ事を経験するかもしれない。私が何かの助けになるかもしれない。
「……女の覚悟です」
零華さんの目を真正面から受け言い放つ。それだけで通じたのか頬を紅くし私から視線を避けた。困惑気味になっている零華さんに説明した。深夜に部屋を抜けライトさんの所へ行くこと。氷で他のメンバーの部屋を施錠して欲しいこと。タイミングが来たら自分で言うから誰にも言わないこと(特に瑠衣ちゃん)
そしてライトさんに私を捧げる事も
「そう……いいのね?」
「はい……もう決めたんです」
ライトさんが失明する前に私を刻み込みたいから
「なら、私が言うことじゃないわね」
氷のロックを解き扉の鍵も開ける
「その魔力の乱れはその現れってことかな。頑張ってね」
そっか。それが警戒の理由だったんだ。
それにしてもやっぱり零華さんだな。自分の親友ならこうは簡単にひいてくれなかったと思い苦笑い。やはり零華さんは素敵な人だと思う
化粧バッグにいれてある薬を確認して用意した寝具を零華さんの部屋に運び夜を待つ。その間、解放された忍ちゃんや瑠衣ちゃん達も集まりガールズトークになった。コナーさんやカミラさんの恋話も聞いたりした。
もちろんコナーさんはさっきの事は言わないし零華さんも気を使ってか今夜の事に触れず昨日の状況と本日の修行の事を説明してくれた。明日からは一緒にやろうと誘いもしてくれたけど……いけるかな?いや、やるべきだよね
そして一緒に訓練していないらしい鋼介さんの愚痴が始まり、彼が散々に言われているのを面白可笑しく聞いた。どことなく、鋼介さんが気になるのだろうなぁと思ったけど言わないでおいた。どうせ明日には悩む事になるかもしれないし。ユーリカの事もあるし。零華さんが本気じゃないならユーリカを応援したっていいよね
それよりもライトさんの話題も出てくるから自然と彼女の私には返事を求められ話を振られてその度に心臓が跳ねちゃう……笑いあう合間でさえ自分のしようとしている事が脳裏をよぎり鼓動が加速してくる。ドキドキが止まらない
話を振られてもたいした返事ができず、何度も逆に聞き返してしまうくらいだ
「ダメよ、瑠衣ちゃん。恵ちゃんは本調子じゃないんだから……もういい時間よ。部屋に戻ったら?」
時計は9時を回っている。現実では結構な時間……らしい。することないからだね。娯楽無いし。トランプとかオセロ持ってこようかな?
「そうしようかな。おやすみなさい。恵、お大事に」
「おやすみなさい。休養はしっかり取らないとだめですよ」
忍ちゃんと瑠衣ちゃんが部屋を去りコナーさん達が私の部屋に向かった。零華さんにはコナーさん達に私の決意を教えた事を伝えてある。だから特に変にも思わず見送った
部屋には私と零華さんの二人だけが残された
「………………………………………………」
と、とうとうこの時が来た。う〜。緊張してきたぁ!!
「さて、お風呂にでも入ってきたら?」
「あ……」
そういえばそうだ。まだお風呂入ってないから清潔とは言えないよね。これでは愛して貰えないかもしれない。
一応自分で匂いを嗅いでみるけど分からないな。臭くないよね?でも昼間出かけてたし……
「そ、そうですね。ちょっと行って来ます」
「じゃあ後で明日の服とか用意しておくわね」
部屋を出て浴場へ向かう。屋敷内のお風呂は男女分かれているわけじゃない。入り口に男か女のプレートをかけておくだけ。間違えて入った鋼介さんが零華さんにオブジェにされたのは私達の間では有名な話
お風呂の扉の前に立つ。プレートはかかっていない。現在は誰も使っていないみたいだね
入り口にプレートをかけ、脱衣場で着ている物を全て脱ぎ鏡の前に立つ。ルナマリアや零華さんには敵わないけど、忍ちゃんや瑠衣ちゃんよりは(比べる相手がおかしいかな)出ている所は出ている
ライトさんは私の身体に女を感じてくれるかな?しなを作ったり、体のラインを確めたり試してみる
「ラインさん、やっぱり大きい方が……好きなのかな?」
ルナマリアの裸見たらしいし比べられたらやだなぁ。あとニーナも見てるらしいし。ユニエール様、零華さんのも見て……っておいぃ!!何人みてるんですかぁ!!!
いや……ハプニングだよね。うん。不慮の事故に間違いないよね
ちょっと燃え上がりかけた嫉妬を鎮める。
誰もいないのだから別に必要ではないけど、大判のタオルを体に巻き浴場に入る
体を清め、大理石の風呂に体を預けると考え始める。私の事じゃない。私の願いは今日叶うから。だから考えるのはユーリカの事。零華さんの事。鋼介さんがどっちを選ぶのか。その展開までの流れをどうしたらいいのか?でもやっぱりライトさんに相談してみよう。他は明日だ。今日ばかりは自分の想いを優先しよう
湯船からでて髪を洗い脇、お腹、腕、足、お尻、股間まで隅々に洗い流すとバスタオルで体を拭く。そして一瞬だけ紋章を発動。体の水滴を蒸発、乾燥させる。持ち込んだ薬(痛み止め)を飲み込む
「よし、準備オッケー」
肌着はおろか下着も着けず、バスローブで体を包み浴室をでる。向かう先はライトさんの部屋。各扉は零華さんによって封印されているようで廊下に人がいる気配はない
もう邪魔は入らない。助けも来ない。私とライトさんの二人だけの時間だ。自分は今日女になる。覚悟も決めた。足も震えてるし、喉も渇いてきてるけど逃げたりしない
扉の前で深呼吸を三度繰り返しノック
「ライトさん、私です」
しばらくして扉が開きライトさんが顔を見せる
「ああ。」
ライトさんも同じ様な感じだった。ただライトさんは私を不安にさせない様にする為に笑顔を作っていた。固い笑顔だったけど
「中に入っても……いいですか?」
ダメだ。目があわせられない。ああ……心細いよ。でも不安に負けちゃ駄目よ。
逃げずに、でもうつむいたまま返事を待つとライトさんが扉を大きく開いて迎え入れてくれた。
嬉しい。大丈夫。上手くいくかな?不安だ。逃げたい。逃げられない。逃げたくない。欲しい。我慢。失敗したくない。緊張。渇き。好き。大好き。
「ああ、どうぞ」
「ありがとうございます」
ライトさんが先に歩きその後ろを私は歩いた。ライトさんの姿は寝るためのラフな姿だ。ライトさんの服で無事な数少ない服。大体は戦ったりで破れてしまう
「一旦何か飲むか?ワインかジュースくらいしかないけど寝る前だし……」
「ライトさん!」
さっきから心臓が壊れるかと思うような早さで脈打つ。自分は覚悟を決めたんだ。迷っちゃだめ
バスローブを脱ぎ、一糸纏わぬ姿になった。振り返ったライトさんに自分の全てを見せてる
ライトさんは何を思っているのだろう?体を見た後、ただこちらを見ている。胸やそういう所を見ている訳ではない。ただ一点、顔を見つめてる
「はしたない女の子って思わないでください……」
「思わない」
ただ一言返してくれた
「軽い女の子って思わないでください」
「思わない」
続けてライトさんが口を開く
「でもどうしてだ?この先まだまだ時間はあるだろう?いくら周りが囃し立てたからって……」
「……ライトさんの目が見える間じゃないとダメなんです。あなたは必ずまたエクスカリバーを造ってしまう。そうするといずれ見えなくなる。私を……私の体をその目で見れなくなってしまう」
「………」
ライトさんは何も答えない。きっと自分の行動の予測でも造ってしまうと想像してしまったからだ。例えば、私がやられそうな時。バルクティンと戦った時のように
「……私はあなたに見て欲しい!その目で見て愛して欲しい!だから!……だから!愛して……ください。愛して、います」
最後はひねり出すようにいった。涙が勝手に溢れて頬をつたっていった。
「もう、何も言わなくていい」
ライトさんは立ち尽くして動けない私にバスローブをかけてベッドの方へ連れていく。私はお姫様だっこをされベッドに運ばれます。ドキドキがとまりません。早く打ちすぎて壊れそうです
……あ
私じゃない鼓動を感じました。ライトさんもドキドキしてるんですね。とても早く打つ鼓動がライトさんから興奮と緊張を感じた気がします
屋敷からは何の音もしてない。二人しかいないみたいで二人の鼓動だけが聞こえた気がしました
ベッドの横に来るとライトさんは私をゆっくりベッドに下ろしました
「俺も初めてだから上手くできるかわからない。もし辛かったら……」
「大丈夫です。辛くてもこれは私にとって…とても幸せなこと」
そうか……と言って私の目を見つめるライトさん
「一つだけ言わせてくれ」
「はい」
「好きだ。愛してる」
ライトさんも服を脱ぎ肌をぶつけながら、熱烈なキスをかわす。私達は互いの体温を求めあい、眠るまで愛を確かめあった
……性行為的には上手くいかなかった気がしなくもないけど…。やっぱり大好きの人のぬくもりは……とても暖かく幸せです
後はライトさん次第?です。能力もこんなところに影響されるのかな?
ライトさん…今後は高速移動………きんし…………します
「凄かったですね。大丈夫ですか、ユーリカ?」
「うん。勉強になった。」
「しかしライト様は少しお早いようですね。明日から毎食精力剤を使用しますか……」
「明日も勉強会だね」




