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求めてるもの——恵

「………………」


 空気が重い。重くしてるのは私だけどどうしたらいいのか、全くわかりません。

 ユニエール様もなんでこんなタイミングで言うんだろう?もっと気遣ってくれたっていいんじゃないかな?女の子にとってデリケートな部分じゃない?それにライトさんをただの戦力扱いしてるんじゃないのかな?死んでも大丈夫なように、生きてたら自分達で選んだとはいえ魔神と戦う事を強要する気なんじゃ……


「………………」


 馬車がまた揺れた。車内を照らす小さなランプがカチャカチャと鳴って耳障りに感じる。


 今はコナーさんが借りてきた馬車に乗って揺られています。先ほどから天気が崩れて少し雨が降ってきました。そんな馬車の中で聞こえるのはコナーさんが何かを書き綴る音だけ


 ユーリカは私の方をチラチラと見るだけで何も言わずにいました。


 ユーリカはいいね、自分に真っ直ぐで。私みたいによくわからない状況になってなくてさ


「…………ねぇユーリカは鋼介さんが断ったらどうするの?引く?」

「えっ?」

「ライトさんも鋼介さんも一夫一妻制の世界に居たんだよ?それが世界が変わったからって鋼介さんが一夫多妻制を受け入れるとは限らないよね?」

「でも零華様とは恋人じゃないんですよね?」


 それは鋼介さんが受け入れる理由にはならないんだ。恋人じゃないから好きじゃない他の女の子とエッチするという事はないと思う


「そうだよ?でも鋼介さんは零華さんが好きなの。ユーリカが好きでも愛されずに終わるかもしれない。そうは考えなかったの?ゴーストになるのが可哀想だからエッチしてあげればそれでいいの?私も可哀想だからさせてあげたらいいのかな?」

「そんなこと……」


 別に答えを求めてる訳じゃない。不満や孤独感が私を苛立たせてるのがわかってる。でも口が、喉が、身体が、心が悲鳴をあげてる。ルナマリアもコナーさんもライトさんが好きだからこそもう相談することはしたくない。うまく誘導されてライトさんを取られてしまうかもしれない。一番は自分でありたい


「どうしたらいいの?私とライトさんは好き合ってるのになんでこんなに周りから言われなきゃいけないの?私だってしたくない訳じゃないのに……王妃様も、リアンも、イリアさんもユニエール様も……みんなみんなやれやれって!ルナマリアの順番の為なんでしょ!?私そういう女の子じゃないのに……もう嫌だ……誰か……どうしたらいいか教えてよ……」

「恵様……失礼します」


 ——パァン!!!


 顔をあげた途端に頰に鋭い痛みが走った。

 コナーさんに叩かれたみたいでユーリカもビックリして固まっていた


「恵様が周りから何を言われても構わないじゃないですか!今現在ライト様の寵愛を受けているのは貴女だけでしょう!陛下も受け入れられたそうですが同じような愛情にたどり着くのは先になるはずです。周りが何と言ってようがライト様には貴女だけなのを何でわからないのですか!?」


 値切り交渉をしていた時のように耳が立っていた。興奮気味のようで今はいつものほんわかとしたお姉さんのイメージじゃなく、ちょっと悲哀的で……そして怒ってる。


 コナーさんの感情を表すかのようにランプの火が中の蝋燭の軸をジジッと鳴らし一瞬大きくなった。


「……正直私にまわってきたら嬉しい。それがどれだけ幸せなことか分かりますか?結局今の私は奴隷でしかないのですよ。真っ当な愛情が受けられるはずがない。それでも……それでも夢を見るくらいはいいでしょう?」


 ふう、と一息つくコナーさん。確かにライトさんなら奴隷身分だからって無理はしないでいいって言いそう。ちゃんと伝わらない、伝えられないまま終わりそうだ


「確かにみんな魔神だなんだと言って慌てふためいて勝った後の事、負けた時の事ばかり考えているのも事実です。それも大事でしょう。でも私は違います。私は戦えないからせめてライト様が万全に戦えるように少しでも役立つ事に重点を置いていますから。まず目の前の事を見ないと足元をすくわれてしまいます」


 私を見て言った。私は自分にできること、する事をしていると聞こえた気がした。あなたは何をしてますか?何ができるのかと問われた気がした。


 馬車の屋根を小雨が打った。外では風が吹いてるみたい。私の心に不安を運んでくる。自信が崩れ胃を締め付けてくる。だって私何もできてない。


 涙がこみ上げるのがわかった。胃がムカムカする。奥歯が噛み合わない。


 やっぱり私はライトさんには合わないのかな……なんでライトさんは私なんか選んだんだろう?私がいなかったらもっとみんな楽だったんじゃないのかな?


 ……私、いらないのかな


「恵様の大事なことは何ですか?」


 コナーさんが手を重ねてきた。暖かい。見上げると心配はしてるけど厳しい表情をしていた。


「私の大事なこと……」


 そんなの決まってる


「失礼だとは思いましたが零華様とのお話を聞いていました。ライト様の聖剣の話の時の恵様の様子。何か私達全員が知らない事がありますよね?」


 直後にライトさんが帰ってきてうやむやになってくれたけど聞いていたコナーさんは疑問に思っていたみたいだ。


「それは……」


 聖剣の秘密。呪いって言ってもおかしくないエクスカリバーの『贄』。私の炎の聖剣も実はある。それは体温。一気に下がったりする事はないと思うけどライトさんの視力よりはずっとマシなはず。


 あ……そうだ。いつかはなにも見えなくなるんだ。【サーチ】があるからあまり困らないだろうけど、春の桜や夏の向日葵も紅葉も雪も色の無い世界しか見えなくなるんだ。


 私の顔も、髪を染めても、肌の色だってわからなくなるんだ。なんでそんな大事な事を思いつかなかったのだろう……


「別に話せとは言いません。きっと言い難い内容なんでしょう」

「…………」

「でもそれを知っている恵様は恵様にしかできない判断もあると思います。羨ましく思います。私の知らないあの方を知っている恵様が。あの方の何かを背負える恵様がズルいと思います。」


 手を離し背中を椅子につけたコナーさん。厳しい表情はなく包み込む様な……お母さんの様な雰囲気で私を見ていた


「どうか、自分の境遇を嘆かず自分の意思で選んで下さい。」


 ……そっか。同じ人が好きでも助けてくれる人だっているんだ。それはこの世界特有の事かもしれないけど、応援してくれる人がいる。


 自分だけが劣等感や不遇に泣いてるんじゃないんだ。立場も身分も恋には邪魔にしかならない。でも叶えたい願いがあるからみんな頑張るんだよね。頑張るみんなを邪魔に感じるのはエゴなんだ。悪い事とは言わないけど人の気持ちを蔑ろにする事なんだ。それすらも思いつきもしなかった。最低だね。


 だからって受け入れるのは難しい。ライトさんを支えるのは私がいい。ライトさんには一番に私を見て欲しい。違う、私が一番でありたいし私が一番ライトさんを欲しいんだ。表情も感情も記憶も私でいっぱいにしたい!


「ううん。決まったよ」


 そうだ。簡単な事だった。もっと欲しがればいいんだ。自分が出せずにルナマリアやコナーさん、挙句にはクオンにも遠慮したりして、それでいて嫉妬していたのかもしれないな


「ユーリカ、さっきはごめん。それとありがと。コナーさんも」

「?」

「コナーさんに言われるまで私何も考えてなかった。全部ライトさんに任せてきたし周りに流されてた気もする。ゴーストになるとか、正妻だとか同盟だとか考えて過ぎてたよ」


 ま、大事なんだろうけどね。それが本質じゃないんだ。私が重要なのはライトさんとの事だけ。


 ルナマリアに言ったのに自分でなかった事にするところだった。本当に馬鹿だよ。私から奪ってみればいいとか言っといて自分で迷うなんてさ


「ルナマリアもコナーさんもクオンだろうと誰でもくればいい。ライトさんの心は誰にも渡さない。エッチだろうとキスだろうとすればいい。ライトさんの心を私で染めればいいんだから」

「あの……?」

「ユーリカ、コナーさんに頼む必要ないよっ!」

「えっ?」

「わ、私がっ教えっ……え?やっぱり無理!!見られながらなんでできないよっ!」


 教えるって……そうなるよね?ユーリカが見てるところでやるなんて!恥ずかし過ぎるよっ!


 現実に戻って真っ赤になる。勉強の為って言ってもよくコナーさんできたなぁ


「恵様、まずはお一人でライト様と。ユーリカにはまた余裕が出た頃に。無理ならまた私が【スリープクラウド】を掛けて……」

「また麻痺しないといいね」


 そういうとあははと笑う私達。あれはあれでいい思い出だよね。ガールズトークした仲だもんね


「あの時はカミラが失礼しましたね」

「急にバスローブ捲るんだもん。びっくりしたよ」

「まぁ、違う意味でもびっくりしましだが」

「本当だよね〜。それに私の為だったけどコナーさん実は恥ずかしかったんでしょう?」

「……はい。それはもう。ライト様への気持ちと王妃様の命と板挟みになりながらも頑張りましたよ。」


 なんか気持ちが固まったら楽になった気がする。未来のライバルになりそうだけどコナーさんがいて本当に良かったな……


「コナーさんには悪いけど私はライトさんを独占するよ?ルナマリアにだって渡さない」

「どうやら決意したようですね。まずはおめでとうございます。確かに初めに抱いた女をいつまでも忘れないのは殿方の性。ライト様も一層愛情を注がれるでしょう」


 今朝の様に一房の髪の毛を摘み捻るような仕草をするコナーさん。ランプに透かし髪を見つめるとそのまま毛先を私に向けてくる


「でもお忘れなきはライト様の気持ち。自分だけが良くてはいけません。そうなれば容赦なく私も攻め入らしていただきますね」

「ん、覚えとく」


 あくまで諦める気のないコナーさん。


「ではご武運を祈ります。屋敷ではこの話は出しませんので。それから今日は私達は恵様の部屋で寝させていただきます」


 そう言って馬車の扉が開いた。いつの間にか停まっていたみたい。屋敷への道の前で停まっていた。雨は止んでるし風も弱まっている。遠くの方では雲間から陽が差し込んでいた。


「奥方様、もし良かったら結果を教えていただいてもいいでしょうか?」

「うん。ユーリカには早めに教えるね」


 三人で御者にお礼を言って屋敷への道を行く。宿屋から出た時とは全く違う軽い足取り。今なら加速状態のライトさんだって捕まえられるかも……なんてね


「あのね。二人には……カミラさんもだけど恵って呼んで欲しいな。様とか奥方様とかじゃなくて年上のお姉さんとか同い年の友達として接して欲しいんだ」

「でも……」

「ダメ、決めたの!もっと話したいし遊んだりしたいの。一緒にお出かけしたりライトさんの事話したり愚痴だっていいたいの」

「……わかりました。友達ですもの。ライト様に捕まってたのに助けてくれない友達でしたが仲良くしましょう。恵」

「あっそういうこと言っちゃう?本当は恥ずかしがり屋のコナーさん。ビンタ痛かったんだからね〜」


 お互いに軽口をいいながら笑う。手を当ててクスクスと笑うコナーさん。その優しい笑顔が癒やされるなぁ


「いいのかな……?オーナーに許可が」

「いいの!友達だもん、何も言わないよ」


 戸惑うユーリカを押し切りそのまま屋敷の扉を開ける。そこにはプリンを食べ歩きしている駄目女王様百合エール様がいた。


 ちょうど今掬ったプリンを口に運ぼうかというところで止まっていた。私を確認し振り返ろうとしている。顔には少しの罪悪感


「め……」


 何かを言い終わる前に可能な限りの魔力強化をして身体能力をあげるとプリンをスプーンごと奪って食べる。うん、ひとかけらだって残さない


「あ〜〜!!私のプリンが!!」

「私のスープ飲んだでしょう?しかも無線飲食。コナーさんがお店のお金で払ったんですからね。これはもうトラファールに先に作るようにライトさんに言うしかありませんね」

「なっ!」

「ユニエール様がいじめるんですぅ!って涙目で言えば一発で決まっちゃいますよ。ふふ。」


 急な窮地に真っ青になる女王様。私のお腹に消えたプリンのお皿を見つめプルプルと震えだした。いや、プリンだけでそんなにならないでくださいよ


「それだけはどうか……」

「ふふ……大丈夫、冗談ですよ。今のところは。ちょっとした意地悪ですよ。あは」


 そう、ちょっとした意地悪。エッチな事しようとしたり傷つけられた分やり返しただけですよー


「なにがあったの……」

「ふふ。それじゃ、ご馳走様でした」


 近くに通りかかったメイドさんにお皿を渡して去る。最後に見た私との違いに戸惑ってたけど説明する義理もないよね


 笑顔を残して玄関を離れ目指したのはダンスホールだ。ここには既に昨日廊下に置かれていたお米が山積みになっていた。ライトさんと初めて踊ったところだし景観が変わって残念ではあるけど今は仕方ないよね。でもこれなら少しくらい荷物が増えてもいいでしょ?


 ゲートを使ってライトさんの家に仮置きしていた三人の衣服類を回収して物ごとに分ける。私の家にも行ってハンガーラックを持ってくる。


「三人の服はこれにかけておくといいよ。特にコナーさんはお城に行く事もあるんだから使ってね」

「ありがとうございます。」

「あ、ありがとう……ございます」


 結局まだ敬語のユーリカ、コナーさんは元々そういう喋り方だしいいけどね。


「んじゃ、今日は解散かな?ありがとね」

「お疲れ様でした」

「お疲れ様でした。ではカミラが帰る前に現在の食糧をチェックでもしましょうか。ユーリカは調理班の方々を見てきてくれる?」

「うん。わかったよ」


 一息ついてホールを出て行く二人。そのまま出て行こうとするユーリカを止めて何かを言うコナーさん。二人で振り向いて柔らかく手を振った


 あ、バイバイか。私も手を振るとニコッとして出て行った。なんかいいね。友達って感じがする


「とりあえずライトさんと会わなきゃね」


 ホールを出てダイニング、ライトさんの部屋、書斎、一応私の部屋をまわる。でもどこにもいない。誰か他にいないかと屋敷をまわると外で話し声が聞こえる。瑠衣ちゃん達とシオン達だ


 雨上がりの裏庭で五人で修行している瑠衣ちゃんを見ると瑠衣ちゃんの足元は雨水をコントロールして溜めているのか踝まで浸かっているので裸足だった。しかも少し地面から足が離れてる。浮いてる?


 まぁ今はライトさんを探す方が大事だし後で聞いたらいいよね


「ねえ!瑠衣ちゃん!ライトさん知らない?」

「えっ?あっ!?うあっ!」


 バチャリと崩れる水の塊。流れて染み込んで行く雨水。そして浮いてたから急に地面に足が着いて滑る瑠衣ちゃん


「あ、ごめん。」

「ったぁ!!?」

「集中力が足りない!もう一度!」

「はいぃぃぃ!」


 転んだ瑠衣ちゃんにスパルタで修行を課すシオンに瑠衣ちゃんは半泣きながらも気をつけをして返事。さっきのように周囲から水を集め始める


「恵、ライト殿はまだお帰りではありませんよ。」

「そっか、ありがと。あと負けないから」


 教えてくれたクオンに戦線布告。何のことかわからないクオンはキョトンとしていたけどクオンがライトさんに好意を持ってるのは誰が見ても分かるんだからね。ライトさんは渡さないんだから


 でもそっか、まだ帰ってなかったのか。宿屋からいなくなったのはコナーさんから昨日のことを聞いたからみたいだけどどこまで行ったんだろう?少しでも二人で過ごしたいのに


「たっだいま〜〜帰りました〜〜。」


 玄関の方から元気な声がしたので行くとカミラさんだった。木の棒に何羽もの鳥をぶら下げていた。少し雨に濡れたようだったけど気にした様子もなくハイテンションだった。集まってきたメイドさんがちょっと迷惑顔をしていたけど許してあげてね


「あっ、奥方様!見てくださいよ!沢山獲れましたよ」

「わぁ!凄い!これだけ獲れればみんな満足だね」

「そうなんですよぉ。コボルトも少しばかり倒せたのでラドニー侯爵も大喜びしてくださると思います」


 ラドニー様はハンバーグ大好きだもんね〜。大判のハンバーグ見て子供みたいな反応するんだもん。作る側としては嬉しいよね


「そう言えばオーナーが出かける前にウェポンフィッシュの血抜きを店長にお願いしてましたよ。今日は魚料理かもしれませんねー。どんなんだろう?お呼ばれしないかなぁ」

「じゃあ私が招待するから来て欲しいな。コナーさんやユーリカも呼んで欲しいの」

「わかりました。」


 獣人さんの働き具合を聞いたり、服の事を伝えたりする中にコナーさんとユーリカにお願いした事を言うと案外あっさりと受け入れてくれた


「それじゃ〜。作業終わったらまた来るねー」


 ぶんぶんと手を振って獣人さんを連れて帰るカミラさん。私が騎士団の一人で主人ライトさんの恋人だと知ってみんなお辞儀して帰って行きました。


 あ、服の置き場を言うの忘れたな。


「恵様」


 音もなく後ろに立つ黒髪仮面メイドさん。顔の下半分はマスクなのかな?不自然な部分がないから不思議


「現在ライト様とのコンタクトが途絶えておりますが何か情報はありませんか?」

「ないなぁ。帰ってきたらすぐに教えてくれる?」

「御意」


 うーん。やる事なくなっちゃったなぁ。


「あ、恵ちゃんか。カミラが上機嫌だったけど何かあったの?」


 次に来たのは鋼介さんだった。


「………………………………………………」

「な、なにかな?」


 正直どこがかっこいいんだろう?確かにやってることはいいと思うけどライトさんに比べたら……あ、ユーリカはユーリカの価値観があるもんね。


「いえ、鋼介さんの良さを調べてただけです。それよりライトさん見ませんでした?」

「たぶんニーナの村がある方に行ったと思うぜ。なんか金色の何かが飛んで行ったし。あれきっとライトじゃね?」

「そうですか。わかりました」


 そんなに遠くなさそうですね。ゲートで村まで行けばすぐですね。そこからは魔力を探して行けば探せそう。


 すぐさまゲートを開いてロマの村へ向かう。


「あ、そうだ。鋼介さんはどんな女の子がタイプなんですか?」


 ゲートに足を突っ込んだまま身体だけ捻って話しかける


「え?なんだよ?いきなり?」

「この際多少のセクハラは我慢します。」

「セクハラありきなのな?んと髪が長くて(ユーリカは短いな。伸ばすかウィッグでも用意しようかな)目は強気な方がいいな(どっちかっていうと弱い。アイプチでなんとかならないかな?)。元気っ子で一緒にはしゃげる方が個人的にはいいな(そこは大丈夫そうだね。普段はニコニコしてるし)。料理ができて家庭的ならなおサイコー(料理は今からでも覚えれば……ってあれ?)」

「全然身体について触れないのはなんでですか?」


 遠慮して?ライトさんには黙ってるのになんでだろう


「恵ちゃんさぁ、ライトがどうかは知らないけど身体ばっかり見てるわけじゃないんだぜ?そりゃ好きになった女の子がスタイル良ければ嬉しいけどさ。姫さんって凄いスタイルいいけどそういう気持ちにならないしさ」


 あ、なるほど。それはそうか。ってか微妙にライトさんをディスりましたね?


「じゃあスタイルが悪くても問題ないんですね」

「ん、まぁ……そうかな」


 纏めると髪は長め、垂れ目よりはつり目、元気で料理できて………………え、それって忍ちゃんじゃない?黒髪仮面メイドさんもかな?


「じゃあ忍ちゃんっぽい娘が好きなんですか?それは意外でした。てっきり零華さんが好きなんだと」

「………… まぁ違わねぇけどさ。いや、忍ちゃんとは違うけど……なんか調子狂うな」


 はぁ〜っとため息を吐く鋼介さん


「いいよなぁ……ライトは。強いし、頭もいいしさ。」

「そうですね。ありがとうございました。参考になりました」


 えっと驚く鋼介さん。まだ話の途中だったのかも知れないけど聞きたい事は聞けたからいいや


「それでは」


 とっととゲートを閉じて私の部屋を経由、ロマの村に到着するけど村の中には寄らずチラッと見るだけにする。ロマの村の中には役人っぽい人がいたのは食料の徴収をしてるのかもしれないな。




 それはさておき、ライトさんの魔力は川下の方から感じる。動かない内に行こう。


「オークがいた所かな?」


 村の裏に流れてる川を伝いながら下る。途中魔物がいたけど無視してどんどん下ると川縁で三角座りしているライトさんがいた。雨に濡れたのか服がじっとりとしていた。


 無言で川の流れを見続けていたライトさんは私に気づくと三角座りの間に顔を埋める


「………………あのさ。なんていうか……セーフだよなぁ?俺コナーとやってないよな?」


 今朝の話は否定したのにコナーさんに【ハートリード】をしたからまた不安に思ったみたい。あれは主観になるからコナーさんから読み取るとそうなりますよね。


「はい。もちろんですよ。私が言葉知らずだったからあんな展開になってしまいましたけど大丈夫です。」

「俺さ、初めては恵としたいんだ。もしかしたらすっごい下手で早かったりするかもしれないけど……恵がいいんだ」


 あぁ、これかなりショックを受けちゃってるみたい。いつもなら照れたりする私も今のライトさんの前じゃできない。


 私の所為でこうなってるんだもん、しっかりしなきゃ。ライトさんの事支えるって決めたんだから!


「大丈夫です。私もですから。」


 ライトさんの背中から抱きつく。濡れて冷たくなってる。ゆっくりあっためてあげる。


 影がかっていた後ろ姿がいつも通りになった


「そっか」


 うん……この流れなら行ける。頑張るのよ恵!


「あの、今日ライトさんの部屋に行ってもいいですか?」

「?」

「だから……部屋に……寝るまでお話ししたいです」


 一緒に寝たいって言ってるんですよ?女に何言わすんですか?


「わかった。え……その」

「はい!ライトさん、これ!」


 ゲートの鍵を渡し帰るように促します。あと女の子じゃ買いづらいアレを買ってきてもらいたいな。気づいてくれたらいいけど……








「あ、そういえば鋼介さんの好みのタイプって忍ちゃんっぽい感じみたいですよ?もし告白とかしたらどうします?」

「そうなったら【アクセス】百倍で地球一周させてやるしかないな」

「ライトさん、何でも投げるの良くないですよ?」

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