女王の涙と悲鳴——ライト
「貴方が無事で良かったわ」
零華が皆を連れて歩いてくる。最後尾には青ざめたルナマリアとラドニー殿に抱えられた王妃が額に汗をかきながら連れて来られた。既に無事な騎士に命令したからか石化の始まっている人の救助が始まっていた。早いな
とにかくこのままではどうしようもないのでまずは王妃を自室に運ぶ。女の人の部屋だけど緊急時だ。許してもらおう
他のメンバーには恵とユニエール様、アルフレッドの三人の対応をしてもらう。鋼介は砕けた城壁の修復にまわした。
看護の為ラドニー殿、ルナマリア、俺だけが部屋に通させてもらう。部屋の中にはイリアさん、リアン、仮面メイド5名がいた
「回復魔法を使います。あなた達もお願い」
ルナマリアが率先して王妃の足にとりつく。早速【ヒール】【キュア】など回復の見込みがある魔法をかけるが効果が見られない。他の仮面メイドも同じだ。潤いを保つようなオイルやなんらかの薬草を貼り付けたりも無駄だった。
ただ完全に石化してしまった人もいるのに王妃は指だけだった。イリアさんが言うにはこれは魔力の有無、それから抵抗の強さが関係しているそうだ。被害者の周囲の者から聞いた様子をまとめた結果だ
「……残念ですが20日も余裕はなさそうです」
明らかにそれ以上はもちそうなのに20日と断定する王妃。何故かは分かっている。
「赤ちゃん……ですね」
「え、お母様……妊娠して?」
「ええ、あの人の最後の子です」
ルナマリアにも教えてなかったらしい。前王最後の王子の存在を知って喜ぶも次の瞬間には泣きそうな表情を浮かべた
「……魔力で抵抗していますので私は約一カ月、赤ちゃんは恐らく18日くらい。その辺りには子宮まで石化してしまうでしょう」
「そんな……ライト!ライト達の世界の治療法は何かないの⁉︎」
「向こうに……魔法はない。」
「そして……例えば患部を切除したとしても無駄でしょう。肉体というよりは魂……アストラル体が侵食されているようです。侵食が進めばまた、石化が始まるでしょう」
「【ペトリフィケイト】って言っていた。魔法なんだろ?誰か解き方を知っているやつが……」
「そのような方法はありません。もしあるとすれば使った当人。デルクリウスを倒す以外はないでしょう」
扉を開き中に入ってくるユニエール様。ラドニー殿が止めようと前に出ると、進む気は無かったのか止められる前に止まった
「魔力を見れるライト殿は分かっているはずです。王妃に纏わりつくデルクリウスの魔力が」
「はい」
確かに見える。デルクリウスと同じような闇色の魔力が必死に堪える王妃を蝕んでいるのが
「ウチの騎士達も同じ症状がでています。幸い王妃のように進行を食い止めていますのでシルバールなりの治療法を探すつもりです。」
どうやら見つける事が出来たなら教えてくれそうな雰囲気だ。なら俺は自分に出来る方法、デルクリウスを殺す方法を取ろう。王妃には悪戯し困らされるけどやっぱり死なせる訳にはいかない。国も城もまた沈んでしまう。なによりルナマリアが母親と弟を失ってしまう。あまりに悲劇だ。それは絶対認められない
「……俺はデルクリウスを探しに行くよ。ルナマリアは王妃を」
部屋を出ようと王妃に背中を向ける。まずはデルクリウスがどこに行ったか探さないといけないな
「ライト殿、お待ちなさい。」
呼ばれ振り向くと身体を起こしこちらを見る王妃。ベッドを滑り床に足をつける。コツリとなった音が胸にささる。
ベッドに腰掛けたまま辛い顔を見せずに微笑んで見せる王妃
「ユニエール女王陛下、ラドニー様。申し訳ありませんが少し三人にしてもらえませんか?」
二人にそう言ったあと仮面メイドに目配せし退出させる。
「わかりました。ルナマリア女王陛下、ライト殿。あとで少し話しましょう」
「何かあれば呼ぶんだぞ。王妃、儂は城下へでる。」
二人は王妃の言う通りに部屋を出ていく。残っているのは俺とルナマリアだけだ。
「二人に残って貰ったのは他でもありません。ライト殿に【ハートリード】で私の記憶からあの人の気持ちをルナマリアに伝えて欲しいのです」
昼間に言っていた要件の事のようだ。俺は黙って王妃に近づきひざまずく。これは真剣な話だ。軽い気持ちでいてはいけない。母親と娘の大事シーンだ
「ライト殿。今日、ここにいてくれた事を感謝します」
「いえ」
「ではお願いします」
右手を差し出すと柔らかく手を乗せる王妃。最後にもう一度顔を見合わせると【ハートリード】を発動させる
「ルナマリア、こっちに」
「………………」
少し戸惑うような表情を浮かべるルナマリア。おずおずと手を伸ばし俺の手を取る。緊張を解いてあげるために手を握るとビクッと震えこちらを見てきたので目で大丈夫だと語りかけた
「ありがとうライト。お願いします」
繋がれた手を介してルナマリアに王妃から見た王のイメージ映像を送り込む。
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ルナマリアに初めて呼ばれた事。パパや父様ではなく『へーか』だった事にショックを受けたり、
ルナマリアが転んで王と王妃の場所に泣きつきに行き、手を広げ迎え入れようとしたのに結局王妃の方に行っていじけたり、
魔法を使えるようになったのを見せようするルナマリアがコントロール不全で股間をびしょ濡れにされて逃げ出したり、
ホームビデオのような思い出ばかりだった。ほのぼのした暖かく優しい思い出に懐かしく笑う王妃と小さい頃の話を持ち出されて恥ずかしげにしているルナマリア
さらに送信を進める。王妃視点での王との会話のようでルナマリアへの事を話していた。ルナマリアには何もしてやれず我慢ばかりさせた事、止めるルナマリアの言葉を聞かず出兵したことに申し訳ないと漏らしていた
これが終われば数日間は国を挙げて祭りをして、ルナマリアと過ごすと決意を胸にしていた。食事をして、一緒に出掛けて、たまには魔法の訓練も一緒にして、パーティをして、婿選びについてもそろそろ切り出そうと考えていたらしい。最後以外は本当に楽しそうに話していた。親バカだった。歯をギリギリと鳴らしとても嫌そうな顔で話し出した
「婿選びには本当に困っていました。だってあの人、ルナマリアよりハードル高いのですから参りました」
記憶によると理想はエルゲニアよりは小国で、魔法はともかく剣の腕が強い。ちゃんと勉強をしていて、常識があって、人気は……そこそこで、乗馬が得意で、ルナマリアに優しくできる男だそうだった。細かくあげればもっとでてくるみたいだったのだけど、王妃が止めた
全然政治絡んでねぇ!と叫びたくなったけど、まぁそこは大国エルゲニアだしまあいい。王は国王より父親だったようだな
「ルクレツィアよ。おまえにも迷惑ばかりかけているな。すまない」
「まぁ、あなたの我儘には慣れていますから。貴方は貴方の思う道を行ってください。私はどこまでもついていきますから」
「ルクレツィア……」
抱き合う二人
「もし、この先私に何かあれば国を、ルナマリアを頼む」
「はい……」
「ルナマリアには本当に何もしてやれなかったなぁ……」
「ちゃんとあの子には伝わっていますよ」
「ならば良いのだが……むぅ……やはり心配だ。ルクレツィアよ。やはり伝言を頼みたい。」
「心配性ですものね」
ふふふ、と笑う王妃に拗ねたような顔で目を逸らす
「ルナマリアよ、父として頑張ってきたつもりだが、私は娘に何かしてやれただろうか?もしかしたら寂しい思いをさせているかもしれない。だが忘れないで欲しい。父親としてお前を愛している。………………いや、ルクレツィア、なし。今のやっぱり無しだ!」
「ダメです。この話はルナマリアとお茶をする時にでもゆっくりとしますからね。あなたの恥ずかしがってる顔も、仕草も気持ちも必ず伝えますよ」
決意を込めて言ったルナマリアへの思いを中断するも、そこはやはり王妃だった。ダメと言われて慌てる王。何とか忘れてもらうようにお願いするも却下されていた
「うふふ、では最後に未来の婿へのメッセージでもいただきましょうか?」
「婿?婿だと⁉︎私のかわいいルナマリアに手を出す奴は斬り伏せてやるわ!私に勝てないような男にルナマリアは渡せん!」
「もう……王国二位の貴方が何を言っておられるのですか?ラドニー殿に嫁げとでも?」
「ダメだ!ラドニーは剣しかない!ルナマリアは預けられん!」
「ルナマリアが行き遅れたらあなたの所為ですからね」
「あれだけ美しい娘だ。行き遅れなどありえんよ」
「そんなに自信満々に……まぁ婿殿には少しばかり頑張ってもらいましょうか。」
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…………………。
終わった。【ハートリード】を解除する。動かない二人。気づくと王妃は静かに涙していた。還らぬ王の記憶に感情が高ぶったらしい。繋いだ手からそんなに気持ちが流れてくる
「あ、嫌ね。年をとると涙脆くなるって本当ね」
そう言って涙を拭う王妃。素直に哀しいとは言わなかった。
「お、お父……様……お父さま!」
突然自由になった手の方を見るとルナマリアが駆け出し外に向かって行った。王妃側の手も離されたのでそちらを見るとまた柔らかく微笑んだ。
「ライト殿、向かってやってください。あの子はきっと玉座に向かったと思いますから。」
「わかりました」
開けっ放しで揺れる扉をくぐろうと後ろを向き歩き出そうとすると後ろからコツッと音がした。同時に背中に触れる手。王妃だ。
ゆっくりと振り向く
「ライト殿、ありがとうございます。それから……あの子を、後をお願いします」
そう言って儚げな顔で微笑んだ。自分はいいからルナマリアだけでも助けてと言外に聞こえた。ルナマリアは助けるけどルナマリアだけ助けても仕方ないんだ。
「何をあきらめてるんですか?まだ俺は王妃に何もやり返してないんです。勝ち逃げは許しませんよ。王妃にも絶対生きてもらいます」
そう言って王妃の寝室をでる。うん。そう、まだ何もしてない。悔しがらせたり驚かせたりしていないんだ。絶対目を丸くして驚かせてやる。ただしエロと変なあだ名は無しだ
「ライト様、後はお任せください。」
扉の横にいたのはイリアさん、リアン、仮面メイド三人。残り二人はルナマリアを追ったか居なかった。仮面メイドに王妃を任せ階下へ向かおう
「分かった」
イリアさんとリアンを連れて玉座に向かう途中で仲間と合流した。恵は比較的損害の少ない部屋に寝させているそうだ。ユニエール様もアルフレッドも今は待合室にお互いの護衛と一緒にとどまっているらしい。他の人は各々の部屋にいるそうだ
ちなみにアスツール達メディリシア、他のVIPは帰って行ったそうだ。まぁいても邪魔だろうし構わないがな
それから城下も大変な騒ぎになっていると忍から聞けた。【伝話】の魔法——ユニエール様や仮面メイドが使ってる魔法の名前らしい——でカミラ達に連絡を取った時に様子を聞いたそうだ。現在は城門も街の入り口も封鎖されていて国外脱出をしようとしている貴族や住人でごった返している
その中で獣人達だけが逃げようともしていない。コナーの話では頭に『争いに参加できない』『逃げるな』などの命令がきたそうだ。デルクリウスの仕業だな
情報に耳を傾けつつ瓦礫が散乱する廊下を進んで謁見の間の扉の前に立つ。左右には仮面メイドさん二人がいた。二人に頭を下げルナマリアの護衛に感謝してから扉に手をかける。僅かに開いている部屋の中から泣く声がした。中には玉座に縋り付いて泣くルナマリア
「ライト様、姫様をお願いします。」
歪んでいたのか右側がほとんど動かなかったので左をあけ中に入る。他のメンバーはイリアさん達に遠慮するように言われて止められた。入るのは俺だけのようだ
玉座にかぶり付くように身体を寄せるルナマリア。絨毯の中央を歩き近づく
「……ルナマリア。」
「ライト、わた……私、」
「……………いい、父親だったな」
顔をくしゃりと歪め飛び込んでくるルナマリアを抱きとめる。
「わた…し……わたしの方こそなにも……なにもできなかった!お父様に、なにも!」
胸元を握りしめ後悔を吐き出すルナマリア。苦しそうに嗚咽していた。でも何もしていないなんて王もきっと思ってない
「俺は父親じゃないから大した事は言えないけど、あれだけルナマリアを愛していたんだ。愛されてくれた事をわかってくれただけでも王は幸せなんじゃないかな」
「……………」
「俺はルナマリアじゃないし父親を失ったわけでもない。ルナマリアの気持ちを分かるなんて言えない。だから気の効いた事なんて思い浮かばない。」
胸の中で泣くルナマリアの背中をさすり自分の思った事を伝える
「言えるとしたら今は泣いていいんだ。我慢するな。俺が一緒にいるから」
「う…ぁ……ううぅ……お父様!お父様ぁ!」
叫ぶように泣きじゃくるルナマリア。きっと今まで王女と言う立場が誰かに涙を見せる止めていたんだと思う。人目も憚らず親しい人の死に泣けないのは辛い事だと思う。王女だから我慢して、王女だから我儘も言わず、王女だから弱い部分も見せられなかった。誰かに哀しみを分かってもらえない苦しさに耐えていたんだろう。
「王妃の事は任せろ。デルクリウスは俺が倒す。ルナマリアは王妃のそばにいてあげるといい。ここの守りはラドニー殿に……」
「いや……ライトまで……いなくなる」
いやいやと額を擦り付けるように動かすルナマリア。王と同じ展開に心配しているのかもしれない
「俺はいなくならない。だからルナマリアも死なない。王妃も赤ちゃんも誰も死なせない。この騎士章に誓おう」
「わた……し」
「ここにいてくれ。戻る場所にいて欲しい。不純だとは思うが俺が惚れたもう一人の女として帰る場所でいてくれ」
我ながら本当に不純だと思う。恵を愛しておきながらルナマリアにも気持ちを向けるなんて
「…………っ!」
ハッと顔を上げるルナマリア。潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。
「ルナマリアの気持ちを感じつつも誤解だ、薬の所為だと誤魔化していた。ただ違う世界に住む事がそれを認めようとしなかったんだ。恵にはすまなく思うけど嘘じゃない」
「わたしを?……ライトが?」
「付き合うことはできない。でも大事に思ってる。絶対にルナマリアを守るよ」
「…………うん」
背中に手をまわすとルナマリアもしっかりと抱きしめてきた。どうやら安心して落ち着いたようだな
「あ〜、そろそろいいかしら?いい雰囲気出してるところ悪いんだけどね」
「王女ルート攻略ですか。流石は乙女の敵」
「誑かし上手もここまでいくとある意味凄いよ、兄さん」
バッと離れるルナマリア。何俺の後ろに逃げてるんだ?代わりに俺の前に来る零華。いつ入ってきたんだ?え、普通に?
「な、なんだ?」
「そろそろユニエール様達が話したいって言ってるんだけど」
「あ、そっか……言ってたっけ」
「待合室にいるから早めに行きましょう」
左側の扉を開け廊下に出る。そこには氷でできたオブジェがあった。鋼介が完全凍結されて保存されていた。どうやら俺とルナマリアのやりとりを覗こうとしてこうなったらしい。身体が傾いたままだった。恵がいない為解凍されないようだ
「馬鹿は放っておいて行くわよ。話し合いには邪魔でしかないし」
「わかった」
俺も気をつけてなかったからわからなかったけど他の人に見られてたら…………
「お熱い事です英雄。」
「お疲れ様です。ライト様」
………………………。やってしまった。王妃の手先が四人もいたんだった。待合室に急ぐ俺達の後ろをメイド組が俺に聞こえる範囲で話しかけてくる
「ルクレツィア様の命により今よりライト様が我々ネームレスの主となります。つきましては常にライト様に【伝話】のラインを繋いでおきますので何かあればご用命下さい」
あ、真面目な人だったか……ちなみにイリアさんとリアンはネームレスではないらしい。彼女達はメイドの格好をした忍者という認識でいいようだ
「わかった」
「それでは」
一歩後ろに下がったと思いきや次に後ろを見るともう居なかった。マジで忍者かよ。リアンは姫様の部屋を片付けてきますと離れていくし……残ったのは王妃並みの悪戯好きのイリアさんだけだ。パーティの時みたいな紫の髪ではなく灰色を揺らし俺達を先導していく
「…………、わかった。」
歩きながら誰かと連絡を取っていたようだ。少し困った表情を浮かべている
「ライト殿。どの部屋も瓦礫と石化した患者で埋まってしまったようです。恵様を連れて帰るとしても空くのはたった一部屋。申し訳ありませんがアルフレッド様とユニエール様、お二人の護衛分の部屋をライト殿の屋敷で都合してもらえないでしょうか?」
「でも今からだと深夜に」
「恵様のお尻をみ」
「シャラップ!オッケー!わかった!」
【シールド】の魔法の絨毯ね……
「ではお願いします」
待合室についた。中からは沢山の人の気配がある。イリアさんが扉を開きルナマリアが入っていく。遅れないように後ろについて入る
ソファにユニエール様とアルフレッド、周囲に二人の護衛、セドリア氏は……いないようだ。状況からして恐らく……
壁際にエルゲニアのメイドが四人。このメイド達ネームレスだな。仮面はしてないけど隙がなさすぎる
「やっと来たか……こんな時間なのにお菓子を食べすぎてしまったではないか。」
「陛下、それは御自制された方がよろしいかと」
苦笑いで窘めるユニエール様。テーブルの上にあった空の皿を見るとクリームやらクッキーのクズがあった。相当食べたな?
ルナマリアもソファに座り俺と零華が後ろに立つ
「さて、話しというのはもちろんデルクリウスについて聞きたい。勝てるか?」
ルナマリアではなく俺に直接聞いてくるアルフレッド
「わかりません。五分五分くらいでしょうかね。魔物も相当数いるようだし少し分が悪いかもしれません」
「なるほど。」
「出来れば攻められる前に削りたいところですね。六人では辛いところですが……」
「ライト、自分達だけで背負わないで、エルゲニアから出兵するわ。」
「………」
「もちろん貴方に頼ることになるでしょうが、何もしない訳にはいきません。国も、石化した人達も、お母様も救わなくてはいけないのだから……」
疲労感が増した瞳に強引に力を込めて言うルナマリア。
「私は貴方達を信じてる。だからできる事をやる。諦めない」
「ふむ……では我も信じてみるか。稀代の英雄を。トラファールからは物資を提供しよう。それから王都周辺の警備に人をやる。この時勢じゃ馬鹿な事を考える奴もいるだろう」
「あらあら、なんだかんだ言って結構入れ込んでますのね。ではシルバールからは周辺国から食料を少しばかり買わせていただこうかしら」
「まぁ、もちろんタダではない。えー、キヤマシノブだったな」
んっ?まさか嫁に寄越せとかいわないだろうな?それは許さんぞ。NO政略結婚
「はい」
「その方の店をトラファールに作る事だ。人員もこちらで用意しよう。普及させる事を要求する。なので敗戦が濃くなれば撤退し、トラファールに逃げて来い。死なれては困る」
なんだ……そんなことか。言いづらそうだから勘違いしちゃったじゃないか。唖然とする忍。同じ事考えてたのか
「くすくす……」
「ユニエール女王、何がおかしい!」
「いえ、年相応な部分が見れて嬉しかっただけですよ。ではシルバールは……ライト殿との交流権でもいただこうかしら」
交流権?
「まぁ、勝つことを想定してるのでその未来図に一手かけておこうかと。」
意味深な言葉だ。ルナマリアとイリアさんがちょっと顔を顰めた。どういうこと?
「それはさて置き、時間も時間。両陛下にはライト殿の屋敷で休んでいただきたく存じます」
イリアさんが話を切り上げると待合室の扉が開く。リアンが恵を背負いながら入ってきた。すぐに代わり恵を抱っこする
「え?ライトの?でも深夜になるのでは?」
「いや、20分もあれば着く」
「これが見られるだけでも援助の見返りに匹敵すると思いますよ」
待合室の窓を開け【シールド】を展開する。人数も多めだし強度も強めだ。一番初めに乗る。恵を寝かせ窓の外から中にいる人達を見る。次々に乗り込んでくる仲間達
【シールド】の魔法の絨毯に驚愕する一同。ドヤ顔で窓際に近づく
「さて、女王陛下、国王陛下。乗ってください。乗り心地は悪いですが、空の旅にお連れしましょう」
優雅にお辞儀をして空の便に誘うと乗ってきた。思い切りがいいのはユニエール女王陛下だった。心配する他の護衛達をよそにあっさりと乗ってきたのにはこちらがびっくりした
「侮れない人だこと。まさか【シールド】にこんな使い方が……」
「運搬方法として使えば……くっ、こんな方法」
「ふふ、例えワイバーンと遭遇しても英雄が倒してくれるでしょう。安心してください」
「護衛の人も乗って、乗れなかった人は彼女らに送ってもらってください。」
流石に全員はきつそうだ。ネームレスの四人に馬車を手配してもらおう。後鋼介の解凍も
「それでは……」
「ちょっ!ちょっと待ってライト。」
なんだろうか?急に慌てて近寄ってきたけど……。何?
もじもじして話し辛そうにしてるので耳を寄せる。瑠衣、近寄るんじゃない
「あの……ね?さっき言ってくれた事で気になったんだけど……。」
「なんで薬の事知ってるの?」
「あっ⁉︎いや、その……な、内緒……」
「まさか!……い、い、い」
「そ、それじゃあな!また明日!明日来るから!」
魔法の絨毯を急上昇
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!もうっ!お嫁にいけない—————————!!?」
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