飛竜——ライト
「鋼、よそ見しないでよ……どうしたの?」
「あれ、なんだろな?」
鋼介が空を見ながら言った。つられて全員が空を見上げた。そこには鳥のような物が旋回していた。空に鳥と言えばおかしくはないが形が微妙に大きい気がする
「あ……」
鳥のような物は太陽の真下に移動。視界が眩しく見失ってしまった
「なんだったのかな?」
「ラドニーさん。羽が四つある鳥っているんですか?」
「おるにはおるがウチにあんな羽の形の鳥はおらんぞ。あんな形でいるとしたらそれは…」
それは突然だった。一旦式に集中しようとさっきの鳥から気を離した瞬間のことだった
ラドニー殿の言葉を遮り耳なりのような凄まじい風切り音を上げ地表に近づいてくる飛行物体が一つ。真っ赤なボディに長い尻尾、頭には嘴ではなく顎、そこから覗く犬歯のような牙に獣の瞳。拡げた羽根は二枚ではなく四枚生えている
エルゲニア城と同じ高さになったころで気付く騎士達。それを皮切りに圧倒的な速さで周囲へ伝播していく
「飛竜だ!」
遠くから民衆の叫び声が聞こえる。同時に派手な衝突音、次いで何かが壊れ崩れる音。城からだ。ざわめく民衆と騎士達
「なんだ?何故城に……?」
もし本当にドラゴンであり、野生であるなら狙うの城ではなく人間じゃないのか?野生じゃなく誰かに飼われてるなら王であるルナマリア達、メディリシア勢なら魔神殺しの俺達妖精騎士団、もしくはドラゴンを倒した俺を狙いそうなもの
それ以外なら……クソっ
「やられた…あれの狙いは大臣だ…」
おそらく飛竜が攻撃したのは牢屋のある場所だろう。人員は残しておいたがそれは正面からの場合だ。空からのケースは全く考えていなかった
「何事です!?」
教会の中から神官が顔を見せる。事態の確認にきたのだろう。非常事態にさえ、権威を翳したような態度だが今はどうでもいい。
「飛竜が攻撃してきた。死にたくなければ中に入って式を続けてろ」
ラドニー殿がドラゴンが降りた辺りを睨んだまま言った
「ラドニー殿、騎士達の指揮を。皆、混乱している。向こうは俺達がいく」
「分かった。任せる!深追いはするな」
騎士達の元へ駆け付けていくラドニー殿
「了解。行くぞ」
階段を駆けおり通用口へ目指す。建物が崩れる度に地震のような揺れと地響き。攻撃はまだ続いているようだ。っていうか大臣はまだ生きてんのか?
「俺、恵、零華、鋼介でやる。瑠衣と忍は怪我人の救助。いいな。」
「了解」
通用口の先は渡り廊下だ。城勤務の役人の居住区を抜け牢屋を目指す。逃げ出してきたメイドを避け牢屋の入り口へ突入。ってメイドさん。この状況で抱きつこうとかやめてくれ……ホントに
そんなメイドさんを避けつつ踏み込んだ牢屋の先からは屋外が見えた。城外の景色が広がっている。牢屋の分厚い外壁が無惨に壊され、その意味を失っていた。他の囚人が叫んでいるが無視だ。助けてる間に攻撃受けたくないしな
「兄さん、上!」
見上げた先に見たのは圧倒的な速さで接近してくる飛竜だ。すでに敵として見なしているようで俺達を目掛けて真っ赤な両腕を突っ込んでくる
「皆、散れ!」
入り口で身動きが取れなかった瑠衣の手を引き抱えながら横に飛ぶ。全員が避けることが出来たのは幸運と言っても良いだろう。完全な不意討ちを間一髪の回避
両腕を引き抜き空へ帰っていく飛竜。壊れた牢屋の両サイドの囚人が呻き声を上げて助けを求めている。牢屋内の所々から鉄格子を抜けて瓦礫が飛び散っていた。大臣の詳しい所在はわからなかったのか手当たり次第に外壁を壊しまくっていたようだ
怪我人もいるのかもしれないが俺達に救助活動してる暇はない。二人に任せよう
「忍、瑠衣、怪我人を頼む。」
二人に頼み城外へでて飛竜を迎え撃つ。見上げた空にそれは太陽の周りを優雅に飛び回っている。
「うぇぇ…アイツ人間食ってる」
鋼介だから見えたのであって俺達には見えない。見えなくて良かった。流石に人間の捕食されてるシーンは見たくない
弱肉強食という言葉があるが生物最強にとって、他の生き物全てが餌なのだろう。人間も変わらない。ただドラゴンも倒して食料にしている俺はドラゴンより上の種って事になるのだろうか?哲学的な事は分からん
飛竜はしばらく口内で弄んだあと人間だった肉塊を森に吐き捨てた。野犬の様にグルルと喉を鳴らし、口元を赤い滴で染め上げ愉悦の表情を浮かべている。昨晩のドラゴンと比べ凶悪さが伺えた
四枚の翼を器用に羽ばたかせ互いの攻撃範囲外に姿勢保持。赤い舌で血液を舐めとり俺達を見下ろす
「オ前ガ鎧龍ヲ殺シタ人間ダナ?」
ガイリュウ……鎧龍か。確かにあの硬い鱗は鎧と言っても過言ではないな。ドラゴン種ではなく龍種なのか?魔物同士でどう区別してるんだろう?
「ガイリュウってなんだ?」
わざと惚けてみる。相手のペースを乱し、情報を引き出したいところだ。
「わすれたのってー!!」
勝手に作戦を潰そうとする鋼介の足を踏み発言を阻止する。邪魔するんじゃない
「昨日戦ッタドラゴンダ」
今度はドラゴンと言った。どっちなんだよ!ドラゴン種か?龍種か?見た目的に言えばドラゴン種だろ⁉︎
「ドラゴン?昨日会ったのは側近の中年騎士だけだ。そんなドラゴンは知らない。この近くにもドラゴンが出るなんて情報聞いたことがない。」
自分の葛藤を表に出さずに演技を続ける。
「ソノ側近ガ鎧龍ダ、ヤッパリ戦ッタノダナ」
まだまだ惚けるぜ
「そうだったのか。いや、あの騎士はメディリシアへ来いと言ってたぞ。条件次第で分かったと返事したら準備するから国境にこいと言っていたが……あ、ちなみに食いでがある魔物を寄越すって条件な」
我ながらなんてありえない条件。普通人間相手なら絶対通用しないよな。……はは
「………」
飛竜の顔つきは戸惑っているように見えた。無駄に疑ってこちらの心象を悪くしたとか思っていそうだ。
「確カニ昨日ノスープハ美味カッタ……」
あ……そうなんだ。納得しちゃったよ、おい
「なんだよお前達。俺達を仲間にしようとしといて一方的に疑うとか訳わかんねーんだけど」
「ウゥ……」
「まぁいい。もしかしてだが、大臣も連れていく手筈じゃなかったのか?どこやったんだ?……おい、まさかこの国の姫が分かるからとか言ったのを本気にしたんじゃないだろうな?あんなのブラフに決まってんだろ⁉︎お前ら全員気づかないもんか?」
「ソンナ……サッキ食ってシマッタ……」
駄目だったか……彼からも情報を引き出したかったが死んでしまっては仕方ない。一応冥福は祈っておこう
「よくも大臣を……。まさかマウリー伯爵も……?あの人の手引きで国から脱出する手筈だったのに!」
零華も乗ってきたようで会話を合わせて入ってくる。恵は特に話さずボロを出さないようにしているみたいだ。鋼介にはこんな腹芸出来ないだろうし今だに零華に足を踏まれたままで悶絶している
「アレハ我等ガ王ニモ文句ヲ言ったノダ。食ッタノモ鎧龍ダ」
おいおい……じゃああれか?ドラゴンの胃なんて調べた日にはマウリーとこんにちわしちゃってたところだったのか……いや、やばかったな。後で皆に分からないように処理しておかないと。忍がホルモン焼き作る前になんとかしよう。ハチノスがないくらいいいだろ、多分
「我等が王?アスツール帝王じゃなくて?」
「メディリシアハ既ニ我等ノモノダ。モウ国土ノ半分ハ我等ト入レ替ッテオルワ。アト一年モスレバ、メディリシアハ人間ノイナイ国ニナル。ソシテソコカラ近隣国ヲ……」
腕を組み情報を整理する。っていうかベラベラと話しすぎじゃないか?こいつが軽いだけなのかな?全部こんなやつなら情報収集したい放題なんだけどな
「そうか。いろいろと参考になった。国家機密をわざわざどうも。ここらで倒させてもらおう」
「騙シタノカ?」
縦に割れた瞳がぎらついた。気分を害したらしいな。それはこちらも同じだけどな。式は邪魔され大臣も殺されたし。まぁ聞きたい事は聞けたけどな
「騙される方が悪い。行くぞ」
俺達は二組に分かれ黒いマントを投げ捨て迎撃体制にはいる。俺と恵、鋼介と零華だ
女子二人は多少動けるとはいえドレスとローブだ。派手な戦闘には向かない。どうするかな……
飛竜は四枚の翼を交互に動かし、上昇。上空から翼をたたみ垂直に急降下。体当たりでくるようで狙いは二組ともだ。四人の位置が進路上に重なる方向から地面ギリギリの低空飛行。体に当たる木々をものともせずなぎ倒し、吹き飛ばして行く
「皆、伏せろ」
先に鋼介達の上すれすれに通りすぎ、コンマ数秒後俺達を置き去りにしていく。スレスレの低空飛行の真髄はこの後に理解した。通りすぎた後の風圧。それが四人の体を押し潰す
「ぐっ」
「キャッ」
「…っ」
「痛…」
通りすぎた飛竜は再び上空に構え、第二撃を加えようとしている
さて、どうするか……?考えながら三人を見る。恵はドレスのため武器を携帯していない。同じ理由でローブの零華もだ。自分の状態では出来て【槍】が一撃が限界だ。あの速さで飛んでるドラゴンを切れるだろうか?流石にまた【魔法構築式強制連結】を使うのは気がひける。見られて逃げられるのが面倒だしダメージも気になる
【槍】は【槍】で外した時の事は考えたくない。やはり鋼介をどう使うかが問題のようだ。
考えている内に第二撃、今度は零華達を狙ったものだ。二人は進路から飛び、離れるが飛竜本体よりも幅がある風圧により零華は立ち木に、鋼介は城壁に叩きつけられた
「ライトさん!助けないと」
恵が零華の元へ駆け寄っていく。俺は鋼介へ
後ろでは旋回を終えた飛竜が駆け寄る俺を狙って急降下、右腕を振り回し城壁を削りながらの爪撃。しゃがんで避けるが反撃の機会なく、すぐに飛び立つ飛竜
続いて大きな鳥の足が頭上を暗くしていく。巨大な脚でのスタンピング
素早く瓦礫を踏み台に飛び上がり左肩を斬りにかかる。もちろん紋章は使っているし剣も強化しているけどダメージを与えてる気がしない。鎧竜程じゃないけどやはり硬いな。肩に切れ目が入っただけだ。利き腕じゃないぶんダメージも少ない
「クダラン」
腕を内側に振り羽虫のように払いのけようとするドラゴン。三枚の【シールド】を張る
「ちっ」
急いで作った【シールド】はあっさりと砕けた。右手で剣の腹を持ちガード。【シールド】で威力を削いだので吹き飛ばされるもののダメージはないが
「傷が…」
包帯から赤い斑点が浮いてくる。ガードしたときに傷が開いたらしい。これ以上長い戦闘は無理だし嫌だ。早く倒さなくては
俺の様子を見た三人は集まってくる。恵は問題なく来たけど零華は歩きにくそうだ。中途半端に破れたローブが足を引っかけ邪魔をしている
「もうっ!この服走りにくい!」
立ち上がった零華はおもむろにローブを掴み
――ビリッ――
膝の辺りから一気に破り捨て腕を隠す袖も破いた。生身を惜しげもなく晒し紋章を輝かせた。生足と破れたローブに聖職者を凌辱したかのような感じたのは内緒だ
「あったまきたわ!自分は届かない位置から攻撃ばかり!ライト君絶対倒すわよ」
恨みだけで相手を殺してしまいそうな勢いだ。残念だったなドラゴン。お前は氷漬けで海に沈められる。
って事はない。悪いが地面に落ちて貰おう
「ああ。なら作戦を伝える」
話す時間はない、【ハートリード】でイメージを伝える。三人に触れ伝達完了
「恵、頼むぞ」
「はいっ!」
初撃は恵だ。赤い紋章を輝かせそれぞれ大小2つの火球を作り出す
その隙に翼を拡げ直ぐ様三度目の低空飛行に入る飛竜。恵の行動を見ての判断かさっきよりも少し高度が高い
「炎ナド効カン」
猛スピードで疾駆するドラゴン。先頭に立つ恵に圧力が襲いかかるが炎の生成のため避けることができず風圧が直撃。体制を維持できず炎が消えそうになる
「頑張れ」
恵の体を支えた。さっきと違って高度があったためか、風圧も幾分弱くなっている。これなら恵は炎を維持できる
俺も下準備の為に魔力を伸ばそう
「……行けます」
「イクゾ!」
飛竜は翼をミサイルの羽の様に固定、体を回転させながら降りてくる。ゴオオッ―と空気を斬る音。そこから発生する圧力は想像を絶する威力だろう
進入角度が切り替わった地点はその重圧に円状にひしゃげた。そのままの勢いで恵へ。それに対峙する恵
「てああぁぁぁ」
大火球を投げ、直後に一つ目よりも速い速度で小火球を打ち出す。それは飛竜の正面で接触、爆発。練りに練った火炎が飛竜の頭を包み込む
今だ!今なら飛竜は視界が塞がってるから避けられる可能性も少ないはずだ。俺は恵の後ろから抜け出し伸ばしておいた魔力で【シールド】の足場を作り、そこから飛竜に向かって飛んだ
「効カント……ナッ!バカナッ!!」
爆発を構わず体当たりを止めない飛竜はやはり俺を見逃していた
再度視界が開けると同時に回転力が落ちゴオオッとなっていた風切り音も消えた。上手く飛べないだろう。すれ違った俺が【槍】で切り裂いたんだから
振り返った飛竜は己の翼が空を舞っていたのを見た。でも振り返ってる余裕なんてないぜ
「いくぞ、零華」
「ええ」
輝く二つの手を重ね地面をたたく二人。戦いの場だからか手を重ねてるのも問題無さげだ。地震を思わす様な震動、地面から盛り上がる大地。そして隆起、そこから覗く先端
上手くいきそうだな
「バカナァァァァ!!!」
次の瞬間ダイヤを思わせる輝きの氷柱が射出、ドラゴンを貫く
「ガッ…ア………」
翼を失ったとはいえ、かなりの速度だったドラゴン。氷柱は体に深く刺さり大きな風穴を開けた。まだ息があるな。大した生命力だ……止めは
「まだよ」
?
手を握り、持ち上げる動作。連動するように地面から飛び出る薄く、鋭利な氷の刃が竜の鱗の隙間を縫い肉へ吸い込まれて飛竜の体を刻んでいく。尻尾は切れ落ち、翼は穴だらけ、まともな部分など少ないくらいだ
「私を怒らせた罰よ」
飛竜は氷の墓標で息絶え、その命を終えた。正直伝えたのは氷柱を作る事までだったのだけど零華の怒りはこれほどに強いものだったらしい。恐ろしい
「ふぅ…」
瓦礫の上に腰を下ろし座っていると三人が集まって来た
「お疲れ……さ、後は兵士に任せて戻ろうか」
牢屋の穴から忍と瑠衣が編成された兵士を連れて出てきた。状況を伝え、式の進行を訪ねる。
式は無事に終わり安全になるまでは教会に立てこもるようルナマリアが判断。俺達の抜けた分はラドニーとシルバールのシオン、クオンが協力して警護してくれたらしい。後で礼を言っておくか
民衆の混乱もいち早く治め大事には至らなかった。その辺はラドニー殿の力だな。突然の来襲にしては上出来とも言える結果だろ
崩れた牢屋の瓦礫の近くに置いておいたマント二つを拾い一枚を鋼介へ
「ほら」
肩を叩くふりをして少し世話を焼いてやる。やはり今の零華には近づき難い。こいつにご機嫌取りをさせよう。そんな策略に気づかず「なるほど」と呟く鋼介。マントを零華にかける鋼介の動きはぎこちない
「あ、ありがと。どうしたの?急に」
「ん?いや、まあ、騎士の務めってやつ?」
慣れない行動に鼻の頭を赤くする鋼介。袖もないし、裾もかなり破いていたらしく太腿もでていた零華をドラゴンそっちのけで見ている者もいた。零華を守るという意味においてこの行動は悪くないだろう。
事実、嬉しそうに羽織る零華。先ほどの怒りが嘘のようにニコニコしている。
そんな上機嫌な零華は鋼介を見ては気付く
「鋼こそ、顔汚れてるよ。騎士ならかっこよくしておいてね」
ローブのポケットからハンカチを取り汚れた顔を拭う。零華なりの照れなのか顔を撫でる力が強かったが鋼介もそれなりに満足気だ。二人でドラゴンを見てはいろいろ話している
「あ、腕、血が出てる」
傷が開いたのは知っていたが恵がそう言ったので具合を見ることにした。シャツを脱ぎ、腕から包帯を外すと出血が始まっていた
「ライトさんは手当てです!ここにいてください」
恵が救護兵を呼びに行ったので瓦礫に腰を下ろし待つ。手当てより仮面メイドはいないか?【ヒール】をかけてもらったほうが早いんだよな
ドラゴンを見て、ドラゴンの痕跡を見る。木はなぎ倒され、地面はむき出しに あまりに外壁が露出しすぎている。ドラゴン一匹でこの被害、やっぱりもう戦いたくはないな。いい肉が手に入るのは嬉しいが
しばらくして救護兵が話しかけてくる。恵は…?ああ、忍達の所か
事情を説明、腕を任せているとこちらを見つけたシオンが歩いてきた
「ご苦労様です。見事お仕留めになられた様子、感服いたしました」
「こちらこそ警護の協力ありがとう。被害もこれだけで済んだ」
「いえ、ユニエール様のお言葉があればこそ…」
そうかと納得。処置を終えた救護兵を見送りシオンを見上げる
「今現在、警戒は解かれ、各国の王がお戻りになられています。ルナマリア様もお戻りになられておりましたよ」
無事に御霊送りが終わったようだな。とりあえず一息つきたい
「ライトさん?」
救護兵を呼んだ後、他のメンバーの様子を見に行っていた恵が瑠衣と忍を連れて戻ってくる
「ああ、おかえり」
「こちらの方は?」
「うちの団員。恵に、忍に、瑠衣だ。こっちはシルバールのミス・シオン」
一区切りごとに呼ばれた三人が挨拶をする
「ああ、ルナマリア様のお供をされてた…」
「はい。よろしくお願いします。ミス・シオン」
「お近づきにシオンとお呼びください。あなた達とはうまくやっていきたいとユニエール様も仰っておられました。」
「なら敬語はいらないよね。よろしくねシオン」
持ち前の積極性で打ち解け始める瑠衣。忍はシオンより年下なので、すぐには無理のようだ。できるだけ堅苦しくない程度に挨拶。フォローに真面目だからと付け加えておく
四人の談話をぼんやり見ては膝を払う
「ライト君、そろそろもどりましょう」
女ばかりいるから目だったのだろう。零華と鋼介が歩いてくる。ちょうどそのつもりだったし頷く
「あら、ミス・シオン」
「ミス・零華…」
「二人とも違うよ。もっとフレンドリーに」
二人は瑠衣を見て、互いの顔を見る
「そう、ならよろしくね。シオン」
「こちらこそ、零華」
零華がマントの隙間から手を差し出すと握手に応じるシオン。仲良くできそうで何よりだな
「俺は?俺は?」
後ろでちょろちょろと様子を見ていた鋼介に溜息をつきつつ手を向ける。マイナス10ポイントだ。いきなり評価下がったな。
「騎土鋼介よ」
シオンがよろしくと軽く挨拶。これで全員挨拶は済んだ。ゆっくりしている時間はそうない
また血や泥にまみれた服を着替えなくては……やっぱりドラゴンは来なくていいや。もうお腹いっぱいだわ
「父さんの秘蔵の日本酒でも持ってくるか?」
「何するの?」
「ひれ酒ならぬ飛竜の翼膜酒。」
「居酒屋でも開く気?」
ドラゴン種にしては簡単に倒しちゃった感満載の戦いでしたね。それにしても魔物見て食べることばかり考えるようになってきたなぁ




