シュニッツェルとジャーキー——ライト
乗り込んで十分、昨日の帰宅ルートを逆走にのる。
道中、俺が戦った腕と頭のないドラゴンの死体があり何もない道を飾っていた。昨日は暗くてよくわからなかったけどかなり周囲を破壊していた。ここまで破壊されていたら開墾にも少しは助けになるんじゃなかろうか?
今日の全ての用事が終わったら農作業用の人員をリアンにお願いしよう。ニーナの村の事業も始めたいし忙しくなりそうだな
また滅多に手に入らない肉も手に入れたしさ。今日中には屋敷に搬入されるだろう。ズタズタになった腹部と内臓はそのまま畑の肥やしになってもらうつもりだ。ビバ!ドラゴンって感じだ
とは言えいくつかの魔物と戦いはしたがドラゴンとだけはもう戦いたくはないのが本音だ。昨日みたいにイクスが使えない状態での切り札だから使ったけどあんなに痛い思いをするのは勘弁して欲しい。怪我と筋肉痛だけで済んだのは仮面メイドさんの【ヒール】のおかげだ。王妃には感謝しないけど彼女達になら感謝したい。
しばらく本に目を通し到着を待つ
数時間ほど走ると森を迂回し、馬車がいつもと違う道を進んで行く。城の裏口へ向かうようだ。裏口の門兵に挨拶、通してもらうと後は中庭へ一直線に向かう。入城の際顔パスで入れてしまった。門番よ、それでいいのか?
「城内の知名度はもう低くないですね」
すれ違う騎士達は全員が挨拶してくる——俺たちは貴族でも何でもないから偉そうにしてないだけなのに皆はそれに謙虚さを感じているらしく認めてくれていたりするらしい——ので窓から顔を出し挨拶を返していく。いつもと違うのは式典用の鎧に国印が入っている物を着ている騎士が半分くらい占めているところか
彼らも式典にでるのかもしれないな
中央階段口を過ぎ、訓練所の前に停車 。扉が開き降りると既に用意の終わったラドニー殿がそわそわして立っている。挨拶もそこそこに観察
「もしかして……緊張してるとか?」
デカイ体の割りに意外とこういった堅い式は苦手らしい
「ラドニー殿がこうしているってことはこっちは何もなかったようですね?」
「ああ、退屈なものだったぞ。大臣の方にも敵はおろか、ネズミ一匹こなかったぞ」
そうですかと嘆息。何も無ければそれにこしたことはない
「こっちは……と言ったか?何かあったのか?」
自分達の馬車を指さしラドニー殿に中を覗くように言う。使用人が手直しした幌を捲り中を披露
「なんだ?」
冷気を放つ塊のシートを外し目を丸くする
「ド……ドラゴンだと!」
ラドニー殿の隙間から何人かの騎士達も覗いては頭だけのドラゴンに脅えていた
「昨日の夜に追っ手がかかりましてね。メルギオールの側近の片割れの正体がそれですよ。俺と零華を掴まえるか殺しにきたようでした。そこにいる捕虜の三人と一緒に……まぁなんとか返り討ちにしましたけどね。右腕を負傷した程度で済みました」
指差された捕虜はビクリと肩を震わせたけど知らん。襲いに来た方が悪い。こっちは怪我までしてるんだ。ちょっとは怖い目に会え
「そうか、じっくり聞きたいが今は式に集中しよう。ルナに会ってきてくれ。顔が見たいと言っておった」
何かあったのだろうか?ラドニー殿と別れ足早に城内を歩く。ラドニー殿の話では自室にいるらしいので三階に向かおう
「なんかあったんですかねぇー?」
「私達も話すことがあったから良いけど王女の部屋とか入ってもいいのかしら?鋼は遠慮しておきなさいよ?女の子の部屋なんだからね」
某ゲームの王女の部屋だろうが牢屋だろうが入りたい放題なのは問題あるよな。そりゃ勇者の名を騙った盗賊とか泥棒とか言われるよ
「ライトはいいのかよ?」
いや、普通に用もなく入ったりしないぞ
「いいんですよ?だってもう入った事がありますからね」
二階の階段前広場に着くと同時に応接室の方から歩いてくる王妃。後ろにはまたまたイリアさんがついている。俺は王妃に対し警戒すると恵、零華も警戒態勢になった。特に零華は笑顔なのに眼は笑ってない。絶対零度の笑顔をしていた
「あら、イリア様。よく私の前に顔を出せましたね」
「ふふ……戦利品はちゃんとベッドの上に返してあったでしょう?」
何の話だ?戦利品?あとイリアさん、挑発するのは止めて、周囲の気温下がってきてるから
「それより今の話本当かよ?なんでライトは姫さんの部屋に入った事があるんだよ!?」
「バルクティン戦の怪我の治療の為です。あの子が呼吸合わせの法での【ヒール】を使っていなければ英雄は火傷を残したままになっていたはずです」
「へぇ〜。そうだったのか?姫さんに感謝しろよな?」
王妃の言葉に納得する鋼介、一応真実を言う気は無いようだな。鋼介の発言に素直に頷いておくと王妃が扇子で口元を隠しながら近づいて来た
「そうですよ英雄。なんなら感謝ついでに責任をとって娶ってもらっても構いませんよ。下着の履いていなかった副団長をちらちら見ながらハアハアしてるど変態英雄」
なんだそれ?流石に冤罪には徹底抗戦も辞さないつもりだぞ
「は?なんですか?それ?いつのことですか?」
アレは夢だったはず。零華がそんな事になってるはずが……はっ!もしそうならあの一瞬で見たのは零華そのものだったんじゃ……
「イリア?」
「いえ、間違いなく脱がせたはずです。屋敷にも黒のレースを返しに行かせていますから。……もしやもう一枚もっていたのでは?」
「ふむ……それは考えていませんでしたね。恵でいかないのは胸が足りないからかと思ったので零華を差し向けようとしたのですが……」
一度は脱がしたのかよ!ってか零華を利用しようとすんなよ!俺には恵が……………え?じゃああの時の距離を置く仕草やカーディガンで身を守る仕草はそういう?
いや、だめだ。これは王妃の罠だ。そうだ罠だ。罠なんだ。だから零華はノーパンじゃなかった。あれは夢だ。だから忘れる必要はない。うん。消去はしない。これでいい。
「人をダシに使うのやめてください。私だって選ぶ権利があるはずです。」
「そうですか?なら瑠衣は…………………………」
瑠衣に視線を向けたままフリーズする王妃。ふっ、流石の王妃も瑠衣を俺にぶつけようとする無茶はわかっているらしいな
「な、なんで私には………泣くよ?泣きますよ?王妃様がいじめたって泣いて走りますよ」
それでも笑顔のまま固まっている王妃。泣きながら走り去ろうとする瑠衣を忍が捕まえていた。この状況で逃がさないとは酷いやつだ
「くそぅ……恵!お願い!協力して!ライトさんが私に興奮するか知りたいの!別に寝取ろうとか思ってないから!」
「いや、何本人を前にその彼女に変な事頼んでんだ。王妃様もウチの人間を苛めるのやめてくださいよ。みんな警戒してますよ?」
恵も零華もイリアさんが王妃の企みで動いているのが分かったからか隙なく見ているし、瑠衣は怒ってるようだし、忍は……どう弄りようもないから普通か。
フリーズが溶けた王妃が真面目な顔をして近づいてくる。この人だけは真面目な顔でも隙を見せてはいけない。この数日間で嫌でもわからされたからな
「英雄。今日の夜に一つ頼まれて欲しい要件がありますので待合室までお願いします。使いにはリアンを寄越します。あぁ…心配なら全員で来てくださっても、途中で出ても構いません」
なんか神妙だな。このパターンなら構わないか。皆も連れて行っていいって言ってるし
「わかりました。」
「それでは……」
離れていく王妃、イリアさんも二人から目を離して王妃についていく。なんだろうか?企みや罠的な感じがしない王妃とか本物だろうか?誰かが化けてるんじゃないだろうか?
……感じる魔力は王妃で間違いないな。ちゃんとした要件と思っていいだろう。離れていく王妃の背中が寂しげだったのもあるし
「王妃の要件には俺、恵、忍でいく。三人は先に帰るか待機していてくれ」
ルナマリアが待ってるのにこれ以上遅くなるのはよそう。即決してさっさと三階にあがると部屋の前には金髪メイド天使のリアンがいた。廊下奥の窓から射す光で髪が金に輝いていて綺麗だった
「ライト様。おはようございます」
見本のようなお辞儀を一つ。たまには先に挨拶してみよう。ふっ、リアンの挨拶までの距離は今わかったからな。次は勝つ
「おはよう。リアン。ルナマリアはいるか?挨拶したいんだ」
リアンは俺とルナマリアが主従の関係で無いことを知っているので姫とは言わずルナマリアと呼ぶ
再びお辞儀をすると扉へ向き直り
「姫様、ライト様がお見えになられました」
と中に聞こえる程度の声をかけた。
「入って」
中からは小さくそう聞こえ、リアンが扉を開いてくれた。ルナマリアもすでに起きているようで開いた扉の奥からも光が射し込みリアンを照らす。まぁ寝坊とか俺くらいだもんな。起きてて普通だ。
リアンの横を抜け部屋に入る。もちろん鋼介は零華に遮られ部屋には入っていない
「おはよう、ライト。今日はお願いします」
俺の姿をみとめると座っていた椅子から立ち上がり俺の前まで歩いてくる。現在、彼女の服は黒一色、葬式用の服装だ。何着ても似合うのは流石だな。喪服だし露出が無いのが残念
「ああ、任せておけ」
俺達は式典中は黒い外套を羽織る事になる事を聞く。恵だけはルナマリアと同乗するため喪服を着ることになっているらしい。
恵が主になって着るような事はならないようにしないとな。
「ライト君」
報告を催促しているようなので目で了解の合図をするとルナマリアに向き直す。来る度に良くない報告をするのは心苦しいが、知っておいてもらわないといけない
差し出した手に触れ、昨晩の戦いと今朝の手紙に関する記憶を受けとるルナマリア
「…やっぱり二人とも裏切っていたのですね」
さらに証拠の手紙を預け、移動中に書いたであろう零華の報告書も渡す。ドラゴンについては今は言わない。さすがにルナマリアでもこれだけ一度に事件があれば文句の一つでも言ってしまうかも知れないからだ。
「今日が終われば状況は少しは好転する。頑張ろう」
「ええ。そうね、皆もよろしくお願いします。では皆、喪服に着替えて。リアン、お願い」
リアンを含めた三人の侍女が入ってくる
「リアン、恵をお願い。あなた達はライト殿達を」
メイドに連れられ俺と鋼介は黒いマントを、女達には修道女のような形のローブを身につけた。動きの悪い右腕で剣は使わないので右側に剣をさす。黒いマントは傷ついた右腕を完全に隠しておけるには都合がいい
一応の為着替え後にテーピング、拳もぶつけなければそこまで痛まないし手綱くらい握れるだろう。手袋を付けて完了だ。
「ライト、怪我すんの多いな。もっと気をつけろよ」
「ドラゴン相手にどうしろと?切り札使ってなんとか倒したんだ。むしろ少ないくらいだ」
用意されていた水を飲もうと手を伸ばす。グラスになみなみと注がれた水を口に運ぶ
「まぁそのドラゴンも食っちまえば一緒だよな。美味かったぜ?ドラカツ。忍ちゃんが言うにはシュニッセル?シュニッテルとか言う料理らしいぞ。朝から食べたけど胃にもたれてないし元気が漲るんだよな」
なっ‼︎?今なんと?ドラカツ?ドラゴンのカツだと……シュニッツェルの事か?カツにしたのか!やばい!食べたい
掴んでいたグラスが指をすり抜け落ちる。下は絨毯だ。割れはしなかったけど中の水が絨毯に染み込んでいく。だがそんな事より重要な事を確認しないと!
「おまっ!え?それ食ったのかよ?」
「おお、めっちゃ美味かった。ロースカツって感じでよ。すっげー肉感でこう……もちもちしてるっつーか。マジ美味いぜ。朝から忍ちゃんが作っててよ。仕込みだけしたのを零華に冷凍してもらいに来てたの見て食わせてって頼んだら食わせてくれたよ。いやぁ!ありゃあいい嫁さんになるぜ?多分持ってきてるんじゃね?」
「……何故最初に俺にくれないんだ?苦労して倒したんだぜ?普通俺が一番じゃない?」
「ん?もう女子が外で待ってるから行こうぜ」
「……ドラカツ」
「うぜっ!後で作ってもらえよ。ほら行こうぜ」
「………」
黙って先に行く鋼介の後ろをついて外に出ると三人が並んで待っていた。修道女のローブみたいなのに零華はけしからんな。その胸部には何を詰めているんだろうか?
「時間もあまりないからさっさと城門前に行くわよ。なにしょぼくれてるのよ。しゃっきりしてよね」
今日はぞんざいな扱いを受ける日だな……くそぅ。覚えてろよ。お前達にはドラカツはもう食わせん。俺と恵だけで食ってやる
途中忍にドラカツについて文句を言うとだったら早起きしなさいと言われた。瑠衣曰く早起きは三文の得とか偉そうに言われたので右脚に【パラライズ】をかけてやった。足の痺れは三十分は解けないからな。反省しろ
倒したのも持って帰ったのも俺だぞ。あ、いや……調理はお願いしますよ忍さん。せっかくのドラゴンの肉なんだし生ゴミにしたくないからさ。え?五割も店に寄越せ?そりゃ暴利じゃ……王妃に相談とかやめてくれよ。
くそ〜。結局四割も取られちまった。もっとドラゴン来ないか?三匹。いや二匹でいいんだ。二度と戦いたくないとか言ったの謝るからさ。次は痛い思いさせないようにするよ。どう?
「ちゃんと利益は計算して渡すから安心してよ」
「金じゃないんだ。金じゃないんだよ……」
打ちひしがれながらもなんとか城門前についた。あまりに不憫に思ってくれたのか忍が一枚のリザ肉の薫製をくれた。
試作品らしい。かなり美味い。いつまで噛んでいても旨みが止まらない。あー堪らん
ちなみにラドニー殿のリクエストだそうで酒に合うツマミを作れないかとの事です。我が妹は凄かとです。
まぁ王妃のテコ入れで兵士の保存食、携帯食になる予定なんだとか。これに貢献した忍はまた王妃から褒賞が貰えるそうだ。俺が始めた店なのに……
そんなこんなで恵をのぞく全員と再度打ち合わせ、それぞれの持ち場に行く。俺用に用意された馬が馬子によって引かれてきた。ほぼ黒に近い焦茶の奴(♂)だ。引き締まった足の筋肉が素晴らしい……とか評価しながら一周見てまわり最後に鼻先を撫でる。後ろは行かない。蹴られたくないからな。薫製の半分をあげて友好の印としよう。これ美味いよな
馬に跨がり軽く一周。基本的に馬とは相性がいいんだよな。噛んでいた肉を馬と同時に飲み込むと元の位置に戻る。そろそろ時間だ
ルナマリアの馬車の前後に他のメンバーが乗り込むのが見え、中庭に他の騎士が乗る馬車が並べられた。数十騎の白い騎士が並ぶ。彼らも俺達同様黒いマントを付け愛馬の隣で今日からの主君の到着を待っていた
本日午前、着るものも街の装飾も色を失い白黒、今だけは完全に国中が喪に服している
「用意が出来たようだな」
馬を降り鼻先をなで、待機させると主賓が乗り込む馬車の扉前に立つ。他の王達は既に礼拝堂に到着しルナマリアが現れるのを待っているそうだ。
そちらに気を回す必要がなくて助かる。メディリシアを護ろうとするとか命がいくつあっても足りないからな。やりたくない。どうせ守るならあんなおっさんより美女であるルナマリアの方が一兆倍はいい
「ええ。後はルナマリアが……来た」
ちょうど中央階段からルナマリアと恵、それに王妃が黒いドレスを見に纏って現れたところだった。中庭に整列していた騎士が敬礼、馬車への道を作ると二人はゆっくりと歩く。顔を変えずこちらをちらりと見る恵。そのまま歩き馬車の前で止まった
「では行きましょう」
ルナマリアの乗車を補助するのはラドニー殿、俺は恵だ。二人が乗り込んだのを確認するとラドニー殿が手を上げ合図
「城門!開けぇ!」
騎士の声と共に教会の鐘が鳴った。左右二人ずつで重い城門を押し開いていく。扉の隙間から城下の風景が見えてくる
正面の大通りは昨日とは違い商売の声はおろか、生活する上で出るような音すらない。かといって人がいないわけではない
通りの脇、小道、通る予定のない道のそれぞれは自らを白く、黒く染めた民衆で埋まっていた。中には黒と言うより泥や汚れで染まった浮浪者もちらほらと見える
いつかラドニー殿が言っていた。王は民の為に私財を売り分け与えていたと。だからこその参列だろうな。大臣は政治は下手だと言っていたけど、本人一派以外からの謀叛は無さそうだった。それは王の人望によっておさえられていたのかもしれないな
先頭の騎馬が城門を抜け民衆の前を通ると、今まで立っていた民衆は一斉に膝まづいて手を合わせ、王に最後の敬意と敬愛を持って、その不幸を惜しみ、涙を流した
前方の騎馬隊、馬車が動き、ルナマリアの馬車もそれに続く
「行くぞ、ライト」
言葉は出さず、ただ頷いた。右腕のこともあるので俺は左側を、馬車の速さに合わせて馬を歩かせる。城門を出て右折する。ルートは城門前から街を一周、最後に大通りへ戻り、聖堂へ……となっている
妖精騎士団は護衛を任され同行している。これでさらに顔が知られてしまう……あぁ、わかっていたことだけどキツイな
そうそう、地図でなんども確認し危険な場所では先にエルゲニア騎士が陣取っているので魔法や銃の狙撃はない。気を付けるのは民衆に紛れた暗殺者がいるかもしれないこと
俺と民衆との距離は最短で5メートル、知覚能力を使い馬車をカバーしながらラドニー殿のいる右側以外を注意して進む。何かあればすぐに【シールド】で防御してやる。来るなら来い
更に進み街外周へ。外周は外壁に囲まれているので外側の心配はない。上の外壁通路も警備が行き渡っている。高低差の為、表情は分からないがさぼっているわけではなさそうだな。安心だ。
先頭の騎士が大通りに入り教会まではあと十数分だ
見慣れた宿の前に主人を見つけた。目があうと、うんうんとばかりに頷き、再び手を合わせていた。出世でもしたものと勘違いしたのだろう
次は西地区だ。もちろんカミラ、コナー、ユーリカの三人娘もいる。ニーナもいた。忍情報だとただで泊まるのも悪いといいだしたそうで店の手伝いをしているそうだ。流石に今は店は閉じたままである。三人娘は俺を見つけると頭を下げていた。奴隷扱いをしないんだから普通でいいのに
あと一週間程したらめでたくカミラは奴隷の身分から解放されるらしい。俺の奴隷のはずなのになんで俺が知らないんだろうか?別に一人の奴隷が解放されるいい事なんで野暮なことは言わないけどね。真面目に働いていた事、俺への支払いの終了、王妃の口利きなどで問題なしとされている。
この店は開店以来暇はほとんど無いらしいので不真面目にしてる暇も無かったけどね。購入時に聞いていた通り真面目ないい子だった。このままウチに就職して仕入れ部長になるそうな。解放日は就任祝いも兼ねてパーティでもしたほうがいいかもしれないな
進路を教会へ向け後は敷地内に入るだけだ。ここからは入場制限がされていて人の波が切れていた。自分はそれらしく出来たかは分からないがここまで来たらひとまず安心だ。他のメンバーはどうしていたのかは分からないが問題がなくてよかった
敷地内に踏み入れると教会の鐘も止み、式の開始を告げた。予定通り門の右側に俺、忍、瑠衣。左側にラドニー、零華、鋼介が周囲を警戒する
他の参列者はすでに中でルナマリアの到着を待っている
馬車の扉が開き、まず恵が、次いでルナマリア、最後に一歩下がり王妃が出てきた。ゆっくりと階段を上がり扉の前に静かに立つルナマリアと王妃
ラドニー殿を見て、俺を見る。そして恵に僅か振り返り会釈。ここまででよいという意味と取り、恵は左膝をつき左手を胸に添えルナマリア達が教会に入るまで続けた
やがて大きく重そうな扉が開き、8人の神官が現れた。二言三言話すと二人の神官がルナマリア達の前後を挟み中へと誘っていく。内側から扉が閉められ中の音は聞こえなくなる
恵は立ち上がりこちらへゆっくりと歩いてくる。俺と忍の間に立つと深呼吸、警備に参加してくる
「やるじゃないか。様になってる」
表情は変えず小さな声で会話する
「ギリギリでリアンになんとか教えてもらったんです。緊張しましたよぅ」
暫くして、教会からパイプオルガンの音色がエルゲニア中に流れ始めた。式が始まった様だ
周りに整列していた騎士が剣を抜き天高く掲げる。これは王の魂が迷わないように天を示しているらしい。やがて流れていた音楽が止むと騎士達は剣をジャッっと鳴らし納刀。静寂が辺りを包みこんだ
中の様子を探るとどうやら棺桶の前で女の神官が祈りながら何か唱えてるみたいだった。中の様子は見えないが今のところ御霊送りも滞りなく進んでいるように見える
「何もないといいですね」
「あ、それフラグ……」
20日の予定が…調子に乗って投稿しました
シュニッツェルは洋風トンカツですよ。ヨーロッパ調の文化からトンカツよりはこっちの方があってるかなとか思ったり思わなかったり
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