【シールド】の使い方は盾じゃない——ライト
「仕方ない。倒させてもらおう」
「図にのるなよ。人間!」
厳つい騎士のシルエットがゴキゴキという音と共に激しく変化していく。腕が、背中が膨れ上がりどんどんと人型から離れていく
人間に変身できる魔物か……早めに見れて良かった。今後の対処にも関わるからな
「零華。武器は?」
両手を空に向け顔を振る。まあ分かってたけどな。会食から着替えずドレスのまま出てきたんだから。着替えてから出ればよかったな
「……わかった。下がっててくれ」
シルエットの手前5メートルのところまで歩き剣を抜く。
厳つい騎士からは尻尾が生え、鼻面が伸び、デカかった体がさら巨大になりちょび髭だったそれは二本の紐のように長く伸び、垂れ下がっている。鎧は総て剥がれ落ち緑色の皮膚に変化している
濁った金色の目がこちらを見つめていた
「ドラゴンか…」
ゲームとかマンガでなら見たことあるけど流石に本物には驚いたな。しかも人型になれるドラゴンだ。理性もきっと残ったままだろうな。かなり危険だ。ゲームなら難易度Sってところかな
「ライト君がんばって~」
俺が戦うのを部活の試合か何かと勘違いしているんじゃないだろうか?どうせ応援するならチアガールの格好でやってほしい。夢のままなら……ぐへへ。はっ!ヤバい。ゲスくなってる。集中、集中だ
エロを頭から追い出し目の前のドラゴンに意識を向けると自然に剣を握る手に力が入る。応援されたからじゃないぞ
「ゴアァァァアアアアア!!!!」
ドラゴンも戦闘に入ったようだ。地面を尻尾で叩きつけ地響きを起こしながら突進してくる。影響で森から眠っていた動物が一目散に逃げていくのが見えた
突進するドラゴン。体を捻り遠心力の効いた尻尾で打ってくる。ゴウッと凄まじく空気を切り裂く音がなった
「はやっ!【シールド】」
【シールド】で緩やかな角度を造り尻尾の軌道を変えつつ前屈みに飛び込み避けると尻尾は頭上を通りすぎていく。避けた先はドラゴンの足元だ。すかさず刃を向け足を斬りにかかる
以前戦ったジェネラルリザードのように普通に斬っては弾かれてしまうかもしれない。
初太刀から失敗して驚いているのでは負ける。だから始めから鎧ワニを斬ることができた魔法剣で腕を斬るが、
「堅…」
かなり力を入れたのに剣は切っ先1センチが鱗に食い込んだ程度だ。ダメージなんて全く受けていないだろう
懐にいる俺には尻尾が届かなかったからか硬い鱗に守られた下顎を頭上から落としてくる。それを足の間を潜り抜けて回避する
ゲームじゃありえない攻撃方法だな。パンチにキック、噛みつき、尻尾がスタンダード。できて炎や氷のブレスだとか思っちゃいけない。ここは現実で相手だって生きてる。あらん限りの攻撃を予想しないと
一度距離をおいて懐から投擲用に買っておいたナイフを取り出すと雷の魔力を乗せた。手持ちは三本だが無いよりはマシだな
用意してる間にも攻撃された。今度は普通に噛みつきだ。鼻先がそんなに長くないからそれほど脅威ではなくバックステップで簡単に避けた。
「ペッ」
噛みつきを避けた俺に近づけた口から大量の液体を飛ばしてきた。唾液は移動中の俺にぶつかり下半身をベトベトにしやがった。気持ち悪い
続いて両手で殴打、これはリーチも長いし威力もある。バク宙で避けて反撃……しようと思ったら唾液が靴に染み込んで踏ん張りが効かない。分厚い【シールド】をクッションにワザと弾かれ距離を開ける。【シールド】は割れてしまったけどダメージは少ないちょっと痛かっただけだ。それよりまずいのは踏ん張りが効かない事だ
「ちっ!靴がダメになっちまった」
「キサマ、無属性魔法ハ【ストレングス】ト【クイック】ダッタハズ。【シールド】マデ使エルノカ」
「悪いな。初っ端から仕掛けてくるような国相手に手の内をバラすほど馬鹿じゃないんでなっと」
用意しておいたナイフを投げる。狙ったのは目だ。鱗もないし当たればダメージもそうだけど視力を奪う意味は大きい。脳を破壊できるかも知れないしな。
まず鱗が無い体の内側、心臓を狙う…が腕を振り払い叩き落とされた。これは予想通り
続けて二投目。普通に逆の腕で弾かれた
「グゥ!」
ドラゴンが唸ったのは三投目のナイフが叩き落とした二投目の後ろにあったからだ。ブラインドショットってやつだな
両手は動かした直後だから反応しきれないだろう?
―ガッ!
ナイフがドラゴンに当たった……けど痛がっていない。ドラゴンが一瞬早く瞼を閉じていたみたいだ。分厚い瞼に刺さりはしてるけど意味はなさなかったな。刺さったナイフを抜いてこちらを見てるし
「ヤルナ」
いや、血が出てるか。雷の魔力は有効みたいだ
神獣モード程の速さはでないけど高速移動。雷を込めた剣で右肩、左足、尻尾、側頭部を斬るけど全然通じない
尻尾を俺を囲うように伸ばし息を吸い込むドラゴン。この場合炎を吐く気か?
「【シールド】!」
いや……熱の気配がない!これは
「ゴアァァァァァアアアアアアア!!!」
ッ!!!くぅ…耳が……頭がくらくらする。咆哮とは思わなかった
「クラエェ!!!!」
―ゴッ!
ドラゴンからの突き上げの拳が腹に直撃した。【シールド】と紋章強化していたからダメージは大きくないが弾き飛ばされ顔と地面が激しくぶつかった
痛いな……ちくしょう
咆哮の影響を頭を振って戻し勝ち誇った顔をしてやがるドラゴンを見る。あまりやりたくないけど紋章の出力をあげよう。これでヤバけりゃ切り札を使おう。
「マダ諦ラメンカ?」
「ちっ!まだ言うのか?その顔を歪めてやる」
人間の努力と閃きを馬鹿にするなよ。
「ヤメテオケ、勝テルハズナカロウ」
自分は生物最強種のドラゴンだと主張してくる。無視だ。
最高出力での振り降ろしで土砂を巻き上げ返事にする。
雨の様に降り注ぐ土砂で互いの位置を曖昧にした。さらに礼服を確認できるように投げ撹乱、右に逃げたように見せかけ自分は懐に入り込む
「ソコカ!ニガ―」
違うんだな。これが。もっと相手の事を警戒しろよ。最強種
「防御に自信があるようだな。なら、ここならどうだ!」
柄をを逆さに持ち爪の付け根を叩き斬る。鱗がなくて攻撃が効くだろうし付け根なので神経が傷ついて痛いだろう?
「ゴオォッ!!!ヨクモ、コノ身体ニ傷ヲ」
出力を上げた剣によって爪は根本から砕け指先から出血を始めたドラゴン。尻尾をもう一度振り攻撃してきた。俺は懐にいて逃げるスペースがないけどドラゴンも踏ん張りが効かなかった。爪を攻撃したのは不幸中の幸いだ。
攻撃はあたり俺は吹っ飛ばされたものの威力は無かったため俺はなんとか草地に着地。痛打は避けることができたけど右腕は尻尾の鱗に削られ肉が裂けシャツを赤く染めていく
明日の式の服をどうしようかと考えるが、戦闘中だ。肩からシャツを千切り、傷に巻き付ける
「ソノ腕デ、マダヤル気カ」
片言のようなセリフで話しかけてくる
「しつこいぞ!腕一本くらいで諦めるほど根性無しじゃない!!!」
剣を左手に持ち直し俺から突撃。速さに頼り一度傷つけた場所に再度攻撃。しかも切り下ろしと切り上げの二連撃だ。一回が弱いなら何度でもやってやる
「ソレガドウシタァ!!!!!!」
腕を振って俺を振り払おうとする。もちろん下がる。落ちてきた土砂がかかるけどそれどころじゃない。ドラゴンは追撃とばかりに追いかけて噛みつき、殴打、尾撃で連続で攻撃してくる。避ける事に全力を注ぐ
再び距離をとる……さっきより深く傷つけることができたけど多少痛がる程度。他の部位も斬りつけるがやっぱり上手く斬れず、さらにさっきから鱗が立ち刃を受け止め無効にしてしまう
面倒だな。体の内側からでないと攻撃を受け付けてくれないようだ
距離を取り再び攻撃。速さによる攻撃にも飽きただろうし、もうあまり効かなくなったと思う方がいいだろう。前屈みになり両腕の鱗で攻撃有効部位を隠したからだ。多少の隙間じゃあ意味がないしな
「切り札をきるか」
紋章を解除後【シールド】を多重展開。右腕の周りに小さく八枚程作り、その一つ一つに魔力を繋ぐと【ストレングス】を使う
通常無属性魔法は自分にしか使えない。では自分の体ではなく自分から発生したものにならどうか?答えは可だ。魔力を繋ぎっぱなしにする事で自分の体の一部と認識するようだと検証できている。ただし紋章の強化が邪魔をするので一度切らなくちゃいけないけどな
そして無属性魔法はこのやり方だと重ね掛けが出来る。もちろん制御は難しく魔力の消費量が激しいようだった。
一度では特に身体に影響はないけど三回目では筋肉痛、五回目くらいで筋肉が引きつりそうになった。十枚は試していないけど筋断裂、もしくは骨折くらいするだろう
もっと無属性魔法を研究しようぜと魔法使いの先人に文句をつけたいところだ
痛む右腕を動かし【シールド】を殴りつける。【シールド】を突き抜ける拳、纏わりつく【シールド】が金の輝きを放つ。直後に紋章を起動させる
「【魔法構築式強制連結】」
無属性魔法を強制的に指定部位に束ねる魔法だ。これだけだと何の意味もないけど【シールド】ともう一種類使える騎士系魔法使いなら喉から手が出るほど欲しい魔法になるだろう
【魔法構築式強制連結】は効果を固定する為に自分で付けた名前だ。知らないだけでもしかしたらあるのかもしれない。あるなら教えてほしい。無いなら募集中だ。やっぱり恵に頼んでみようか?
ともかく【アクセス】が発動し纏わり付いた【シールド】が広がり右腕だけの金の鎧を構築していく。
肩口から指先までの重さのない魔力で出来たちょっと刺々しい金の鎧。雷をイメージしてるのかもしれないけどデザインは自動だったのでよく分からん。これが今の状態でできる神獣モード以外での、人間でできる俺の切り札だ。
ちなみに全て【ストレングス】の攻撃特化だ。速さには自信があるし【クイック】に割り合いを割いたとしてもこれ以上速度を上げる意味は無い。紋章の効果で【タフネス】も一応あるし骨折まではいかないだろう。うん……たぶん、きっとだ。
くそっ……一枚分の【タフネス】だと反動が怖い。さっさと終わらせて休まないと
「あまり時間がないんでな。攻めさせてもらう」
魔力、体力、戦闘後の反動を考えるなら少しでも早く終わらせなくては。通常一回の【ストレングス】だと1.5倍、二回だとさらにその1.5倍。三回だと1.5×1.5×1.5で約3.5倍の強化になる。それを全部で九回分だ。つまり計算上約40倍の攻撃力を持っているわけだ。その威力分の反動が待ってるのを考えると縮み上がるぞ
以前恵と寝室の上で検証した時一回しか使わなかったから強度も反動も差が分からなかったんだよな。
そんな40倍の攻撃力を持ち、一気に走り寄り右腕を振り被る。もちろんドラゴンだって何もせず受けるわけが無い。迎撃とばかりにこちらの拳に合わせ左腕を伸ばす
「せぇのっ!!」
突き出された緑色の拳に向かって金色の拳を合わせる
——ドゴッ!!!
「ギャアアァァァァ!!」
衝撃音と共に飛び散る緑の鱗。40倍ならこちらが勝つみたいだな。ドラゴンの拳が中指——指は4本だけどな——の付け根から陥没しひしゃげている。これで左手は使えないだろう
「バッ!バカナ!!我が鱗ガ!!アリエン!」
左手を右手で庇いながら尻尾を振り回し攻撃してくるドラゴン。それを右手で掴み止めると素早く手刀を落とし半ばから尻尾を切り離す。うむ、ドラゴンの尻尾焼きだな。美味そうだ
悲鳴を上げるドラゴン。どうした?何か計算でも狂ったか?
「クソッ!コンナ筈デハ。ナントカシテ貴様ノ能力ヲ伝エナケレバ」
完全に防御体制に入る。両腕で前面を防御しながら後ずさって行くドラゴン。逃げる気か。いつもなら放っておくんだけど【アクセス】を見られた以上敵であるメディリシア陣に帰させる気はない。だから倒す。
後ずさるこの間も全ての鱗が立ち、全ての方向に対して反撃できるようにしている。
そんな中に飛び込む気はない。剣を左手でドラゴンに向かって投げるフォームを取ると身体を固まらせるドラゴン
「くらえっ!」
叫びと同時に投擲。ここで言っておくなら俺は右利きだ。だからまっすぐ飛ばずドラゴンの手前に落ち地面に刺さった
「クッ………ハ、ハハハ。ヘタクソ、ヘタクソダナ!!ハハハハハハ!」
拍子抜けしたのか前屈みで内側を閉じていたドラゴンの腕が少し下がった。馬鹿だな。ワザとに決まってるのに。この隙を逃さず手前で土を蹴りあげ目潰しをかける
ドラゴンの目は離れているので狙うのは左目だ。地面ごと蹴りあげる
「ハハハッグゥッ!コシャクナマネヲ!」
目に入ったのか頭を大きく左へ振った。チャンスだ。剣を拾い上げ右腕で構える
「左腕を貰うぞ」
紋章力を全開、【槍】で攻撃をかける。頭を大きく左へ動かした分、狭いが体の左半分の内側が開いている
よし!十分だ
ドラゴンの右側から入り左腕真下から傷を狙って【槍】を放つ。踏み込んだ時の落雷を思わせる重低音を響かせながらドラゴンの赤い筋に切っ先を差し込み、そのまま空にかけあがる
空の月に向かう俺の横に一つの影が一瞬映る。俺が着地すると、その後ろに鱗のある腕が落ちてきた
「ウ、腕ガ…ギャアァァアァァアアア」
叫びか吼えか解らないがとてつもない声が響き渡る
「クソ。死ヌノハ嫌ダ。仕方ナイ」
大きく口を開き鱗の無い部分を噛み引きちぎる。ドラゴンの血は流れ、肉が落ちていく。残ったのは外皮のみ。その外皮を鱗が止め傷口を隠してしまう。片腕のドラゴンのできあがりだ
「何をしようとお前の敗けだ。生きては帰さない」
切り落とされた腕を持ち上げ肩に担ぐ。すでに汚れた服だ。血に濡れても構わない
「今日は良い道具が沢山あるな」
指に手をかける。勝つための道はもう完成している。この腕が必要だった。まぁなくても行けたと思うけどね
「死ヌ?我ガ?貴様ガ我ヲ殺スダト……」
「そう言っただろう?そろそろ帰りたいんだ。勝たせてもらう」
ドラゴンはダメージを受ける内側を抱えるように体を丸め、目を攻撃されても良くないので瞼を閉じ完全な防御に徹する。
とにかく自分から動くとやられるだろうから守るしかないと本能での行動なんだろうな。最初の頃の自分の防御力なら攻撃を受け付けない自信もありそうだったけど……もうその堅さは通用しないんだぜ
「ドラゴン……判断を誤ったな」
俺は腕を持ったまま高く飛びドラゴンの首を切り落とした腕で叩きつける。動かないドラゴンには容易だ。しかも俺の魔力を込めた特別製で【アクセス】だってまだ解除してないからドラゴンとドラゴンの腕の鱗がぶつかる度にガラスの様に砕けていく。
砕けた鱗の隙間から筋肉質だけど簡単に傷つけれそうな肉が覗いていた。腕の鱗が無くなるまで背中を叩き続けその自慢の鎧を剥がしていく。途中防御を解き右腕を振り回すが左腕で弾き返す
「グッ!ア……イ、イヤダ!死ニタクナイ」
「終わりだ!」
正面にまわり込みボロボロになった腕をドラゴンの顔にぶつけのけぞらせた。
大きく開けた腹を滅多斬り。鱗のない腹は刃を通した。それこそ豆腐を切るかの様に刃の根元付近まで刺していく。
流れ出る血、裂かれた肉、ドラゴンの悲鳴に気を悪くしながらもこの金の腕を振るい続けた。激しく切り裂くと斬ってる途中にも関わらず背中を向けて逃げ出すドラゴン。
逃がさない。ドラゴンが離れる前に地面を殴りつけ大きく陥没させる。地揺れと急に発生した傾斜に巨体が止まる
「じゃあな。」
バックステップから【槍】へ移行。轟音を響かせ首元に飛び込み通過。大穴を開けた
体を抜け剣を地に突き立てブレーキにする。振り返った先には首根元から抉られ首の落ちたドラゴンが静かに立ちすくんでいた
それを見て剣からずり落ちるように地面にしりもちをついた。
問題はここからだ。【アクセス】を解除、金色の鎧が肩当てから指先に向かって光になって夜空に溶けていく。
最後に残った指先の金色の光が空に上がっていくのを見届けると右拳が砕けた。言葉にならない声を出し右腕を抱えて蹲る。
零華が草むらから出てきて俺になんか言ってるけど今痛すぎで相手できないんだよ
「ライト様、今骨折を治療させていただきます」
零華の後ろから女の子が三人出てきた。メイド服なのに顔には鼻から上を隠す仮面をしていたのが不気味だけど何者なんだろうか?敵か?敵なら殺さないと……
「王妃の手の者と言えばお分かりでしょう」
……王妃は、………、敵じゃないな。あぁ、そういや居たな。三人。女が馬車の向こう側に。あれか
三人は右腕を囲い込む様に立膝に座りその細い腕を俺に向けた。あ……
「【パラライズ】」
「【ヒール】」
「【ヒール】」
【パラライズ】で右腕を麻痺させてくれた。これだけでもかなり痛みが軽くなったな。さらに【ヒール】の使用で砕けていた筈の拳が急速に治療されていくのが分かる
「む、申し訳ありません。砕けた骨を回復させるので精一杯でした。まだ完全にくっついてはいないので今日一晩くらいは安静にしておいてください。怪我は申し訳ありませんが自然治癒でお願いします。任務に差し支える訳にはいきませんので。麻痺は三十分もすれば解けるでしょう。もし完璧な治療法を求められるならば城に戻り王妃にお願いされてはいかがでしょうか?」
「いや、いい。助かった。えっと君ちょっと手を出してくれる?」
【パラライズ】をかけてくれた仮面メイドに声をかけると照れながら俺に手を差し出す。左右の二人は歯を食いしばったり指を咥えて羨ましいそうにしていたりだった。別に大した事はしないぞ
彼女の手に触れて【ハートリード】を使う。そう【パラライズ】が欲しかっただけなんだ。すまない
ついでに【ヒール】もコピーしたけど俺には使えなさそうだ。魔力ももう無いし零華にコピーもできない。まぁ保留だな
「では我々はこれで。実行中の任務がありますので」
「俺を監視する事だろ〜。ワザワザ隠れなくてもいいのに」
「それもありますが今夜もう一件ありますので。監視については様式美ということです。それでは……」
森に去っていくメイド達。メイドの姿が消えると気配も消えた。全く……様式美ね
「終わったか」
一息付けたので【アクセス】についての考察をしてみる
まず分かったことは【アクセス】状態だと最善の状態でキープされるらしく解除して初めてダメージが分かるようだ。腕の怪我も【アクセス】中は全く痛みを感じなかったし、砕けていたであろう右拳も問題なく動かせたからな。そう……多分ドラゴンと拳を合わせた時に砕けたんだろうな。人の身でドラゴンに打ち勝つくらいなんだ。それくらいの反動があってもおかしくない
それから【アクセス】を出来るようになって思ったんだけどこれは元々全ての無属性魔法を使えるのが前提になるんじゃないだろうか?
【シールド】が使えたとして、【ストレングス】【クイック】で強化したとしても【タフネス】がないと自滅する。【クイック】が無ければ攻撃が当たらず。【ストレングス】が無ければダメージを与えられない。
そう思うと本当に個人資質でしか使えないのか気になるところだな。みんなで使えたら無双できるもんな。その分回復部隊もいるけどさ
「それにしても……疲れたぁ〜!!」
大の字になって寝転んだ。もう今日は一歩も動きたくないぞ。王妃にからかわれ、メディリシア騎士に追いまわされ、シルバールを助けに出て会食、そしてドラゴンとか……
「なんて日だっ!」
「最後にパンツ見れてよかったじゃない。それでトントンでしょ?」
「おいっ!!!」
次は17日の12時に更新予定です。【シールド】という防御魔法の概念を棄てた新しい戦い方【アクセス】はいかがでしょうか?今は右腕だけですがいずれは全身の変化もさせてみたいですね
ブクマ、評価していただけたら泣いて喜びます。ヒャッハァーなること間違いなしです(笑)




