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襲撃と急報——零華

 人目につかない場所を探しながらどんどんと進んでいくと傭兵も見失うまいと追いかけてくる


「で、どうするの?」


 運動の得意でない私は紋章を使いライト君の横を走っている。ライト君は特に何も強化する事もなくかなりの速さで走ってる。凄いわ。しかも走りながらでも普通に話しかけてくる


「なぜ襲ったかと何処の奴かを知りたい。捕まえよう」


 それもそうね。これからも理由も解らずに追いかけられたくはないしね。でも相手は三人、正面から向き合うと逃げられる可能性があるから不意討ち、もしくは退路を断てる場所が必要だわ。後は人目につかない所ね


 裏道を曲がり階段を登って浮浪者とすれ違い貧民街へ。エルゲニア王国の外れの地区、治安はどっちかというと悪いから多少の荒事は目に止まらないだろうな。でも、この考えがちょっとまずかったわ。袋小路に入ったのは私達の方だったから


「行き止まりか…」


 着かず離れずで逃げていたから三人組もそう時間をかけずに追いついてくるわ


「零華、こっちに」


 ライト君が手招きしてる


 ん?袋小路の角に連れていかれ両手で肩を抑えられピンと立たされた。


 ……あなた、私は落とせないわよ。え?違う?


―――――――――


「やっと追い詰めたぞ」


 傭兵の三人組は立ち止まる私達へ散開しながら詰め寄ってくる


「妖精騎士団と言えば魔神を倒した程の部隊。ここで捕らえて我らに仕えさせれれば…」


 剣を抜き三人とも正眼の構え。連携も上手くとれている。どことなく傭兵というよりは―――


「一緒にきてもらうぞ。嫌と言うなら力強くでだ」


「………」


「………」


「悪く思うなよ」


 ライト君が答えないので否定だと判断した傭兵は私の右足を、ライト君には右腕と左太ももを狙い剣を繰り出した。剣が各部に刺さるけど手応えは変でしょ?硬い物にぶつけた感触でしょ?刺さった筈の傷口からは血は出ないし、苦しみもしていないもの


――ピシッ――


 私達とその周りの空間にヒビが入り、それを皮切りに砕け散った。光を反射しながらパラパラとガラスに似たものが落ちていく


「ぐぁっ」

「うぅっ」


 二人続きで悲鳴が聞こえ先頭にいた傭兵が声のした方を向く?もちろん無傷のライト君が立っているわ。私は逆の角からライト君に近寄ると警戒しつつライト君に話しかける


「あの短い時間でよく考えたわね」


 本当感心するわ。鋼じゃありえないわよ


「宿で渡してくれた鏡を思い出したんだ」


 氷で鏡を作り斜めに置くことで自分たちの姿を写して傭兵達の様子を見ていた。反射の都合上角にいなくちゃいけないのもちゃんと考えていたのね


「さてと、お前達は騎士だな。統率のとれ過ぎでまるわかりだぞ」


 動き方や間合い、構え、連携から訓練された動きを見ていたライト君。高校生とは思えない洞察力ね


「どうせ口を割る気はないんだろ?」


「………」


 もちろん話す気はないわよね


「だんまりか。仕方ない。零華、下がってろ。悪いが逃げられると思うなよ?【シールド】」


 騎士から目を離さず私を入口近くまで下がるよう指示すると袋小路の入り口に向こう側が見えない程分厚い【シールド】を貼った。これでライト君を倒さない限り逃げれなくなったわ


「連れて行けぬなら殺すまで」


 剣を頭上高く持ち上げると鋭く光りを放つ

。ホームラン宣言にとれなくもないわ。かっこよくないわよ


 敵対関係が確立した為ライト君が剣に手をやりひき抜こうとしたけど目の前の相手が先に構えなおし駆けてくる。ライト君を見つめ余りある程の殺気を飛ばしながら斬り込んでくる


 そんな殺気に臆する事なくライト君は剣を抜かず鞘ごと外すと肉迫する騎士をするりと抜け、首へ一撃。後頭部からの衝撃で舌を飛び出させながら千鳥足に数歩、そして気絶。埃を巻き上げながら倒れていった


 紋章も使わず、まぁ見事なものね


「よし、縛ろう」


 気絶している三人それぞれのマントを裂き両手両足を後ろ手に縛ることにした


「荷物から身元が分かるような物は無いわね。あまり触りたくないからポーチとかだけ調べるわ。残りはライト君に任せていい?」


 別にサボってる訳じゃないわよ。触りたくないだけ


「ま、いいさ。……後は強制的に調べて、牢屋行きにしよう」


 先に倒しておいた二人の記憶を手早く調べるライト君。初めからそれでよかったわね


「やっぱりか……こいつらはメディリシアの騎士だな」


 分かったのはそれだけみたいで他にめぼしい情報はない様子。下っぱには余り情報は与えられていないみたいだわ。続いてリーダー格の男を調べる


「……」


「どうしたの?」


「俺達を狙ったのはアスツール国王だな…理由は魔神を倒したからだ」


 彼らは妖精騎士団がエルゲニアの騎士団で、エルゲニアが魔神を倒せる程の戦力を得たと考えているようだ。私達を自国に引き入れ戦力アップ。もしくは殺害しエルゲニアの戦力低下を目的にしていたらしい


 まぁ引き抜きならわかるけど殺害は……この程度じゃ無理だったわね。しかもたった三人だし


「これだけ分かれば十分だ。零華、とりあえずルナマリアと話すまでは言わないでくれ」


 ふむふむ、無闇にこじらせないようにするのね


「ええ。じゃあ巡回してる兵士を探してくるわ。ここにいてよ」


 私は大通りへ走り喧騒の中へ飛び込み10分程で騎士を見つけて帰ってきた。連れてきた騎士に三人を引き渡し宿に戻る。恵ちゃん達の方にもいるかと思ったけどあの面子なら問題ないでしょう?逆に瑠衣ちゃん辺りが水鉄砲を乱射して制圧しているかも知れないわね


 次に会食の事を考える事にした。さっきの事を踏まえての会食だもの。相手の出方次第で国際問題にも発展しかねない。こちらが無事に出席すればさっきの騎士達が失敗したことはわかるだろうし、なんらかのアクションがあるかもしれない


「面倒だな」


「会食の事?」


 難しい顔をしていたわよ。


「ああ…」


「今みたいな顔はしてちゃだめよ。みんなが心配するからそろそろ戻りましょう」


 あのスープの匂いを嗅いでからとにかくお腹がすいて仕方ない。早く戻りましょ


 大通りを目指しながら小道を何度も曲がる


 道すがら辺りの様子をチェックする。相変わらず浮浪者がいるけど、悪いけど状況が悪いのは本人のせいよ。ルナマリアが気に病む事はないわ。とはいえあまり多いのもどうかと思うけど……どうにかならないかしら?何か考えて見た方がいいのかな?


 宿に着くと皆食事を食べずに待ってた。先に食べてもいいと忍ちゃんが言ったけど、恵ちゃんが少し待つことを言ったので、皆それに賛成してくれたらしい。スープだけは温め直してくれるようでユーリカちゃんが持って行った。また飲むのはやめておきなさいよ


 再び席に着き、ニーナも昼食に参加して賑やかな食事になった。みんな空気を読んでか、さっきの事は聞かないでいてくれたのは助かる。どこに耳があるかわからないからね


「で~?ニーナは村に彼氏とかいないの~?」


 彼氏?と首を傾げるニーナに恋人の事とおしえてあげると少し顔が紅くなった


「残念ながら……募集中ですね」


「お…」


 ——グシャ


「ッ!!!!!!」


 鋼がテーブルに突っ伏したわ。鋼の足を踏み潰してやったの。全く誰にでも節操ないんだから……


 ニーナは近くの村から来てたはず。聞くと若い村の男は街に出ていっているのは年寄りと女子供ばかりだそうだ。だから村で彼氏もできるわけないのね。


 村っていうのはどこでも同じね


 ニーナの村は外からは見つけにくい場所にあるそうなので魔物に襲われる心配も少ないらしいからもう少し村が発展すれば男の人も戻ってくるかも


 その後も村の特産とか観光の場所とか教えてくれた。暇な時いけるといいな。露天風呂はまた入りたいもの


「ニーナは今日どうするの?村の帰るの?」


「今日は宿に泊まって明日の夕方までには帰ります」


 でも、こんなに人がいるのに泊まれるかしら。宿は取ったのかしら。スープを飲みながらニーナに聞いてみる


「あ……どうしよう」


 今から回ってもどこも満室だろうな。今日、明日はどこも空いていない可能性はたかいし、泊まれたとしても破格の値段になっているんじゃないかな?ニーナの手持ちが幾らかは知らないけどかなり厳しいんじゃない?


 ニーナは見た通り落ち込んでいる


「ユーリカ〜!」


 ライト君が駆けまわるユーリカちゃんを呼び止めると何やら小さく会話。一言二言話した所でユーリカちゃんは頷いた


「オーナーたってのお願いなら聞かないわけにはいきませんね」


「ニーナ、今日は忍のやってる店に泊まるといい。料金もいらないから」


「え、でも部屋が……」


「まだ一部屋開いていたらしいから問題ない」


 オーナー特権で強引に決めたライト君。ユーリカちゃんは腰につけたトランシーバー2号を使ってお店に連絡をしていた。1号はライト君とルナマリアが持っている。ライト君の魔力で魔道具化したもので携帯と変わらないくらいの範囲で通話できるアイテムだ。2号についているパンダのストラップは忍ちゃんがあげたものだそうよ。


「いい……のですか?」


「ああ、問題ないよ」


「ありがとうございます」



 先ほどまで暗い表情をしていたニーナは一変して明るくなった。……あぁ、ニーナのあなたを見る目が変わったわよ。頼れる男って目で見てるわ。だからフラグ立てるのはやめなさいって


「さっそくですが、荷物を預けておいていいですか?街も見てまわりたいんです」


 仕事の終わる時間を聞いてこの後の予定を決めるニーナ。ユーリカちゃんの人懐っこさから既に打ち解けてる。


「はい〜。でも今手が離せないから従業員用の部屋が二階の奥にありますからそこに置いておくといいです〜」


「はい。じゃあ、荷物を置いて来ますね」


 ライト君に会釈、少しくたびれた大きめの袋を肩にかけ指定された部屋に歩いていった


「それにしてもライトさん、あのニーナって人の事、助けすぎじゃないですか?」


 瑠衣ちゃんは行儀悪く口にスプーンをくわえたまま上下に揺らしている。普段しないのに今してるのは不機嫌の現れね。


「困ってただろ?助けるのは普通だと思うぞ。何を勘ぐったかは知らないが邪推は止めろよ」


 邪推ねぇ……露天風呂で背中流してもらって鼻血出して気絶したの忘れてないわよ。


「瑠衣ちゃんにだって野宿はしたくないでしょ?」


 恵ちゃん。純粋過ぎるわよ。ちょっと警戒心持ちなさい。瑠衣ちゃんはやっぱりライト君に気があるのかしら?グレーゾーンだわ。変な三角、四角……いえニーナが加わると五角関係にならないといいんだけど


「確かに……ま、なんでもないならいいです」


 それもそうね。


「ライト君って意外とお人好しなのよね」


 財布から銀貨を出しながら言うとライト君は自覚がないのか「そうか?」と言った。また払ってるお金は鋼が食べた分だったそうだ。払わせていいのよ?


「お待たせしました」


 荷物を下ろし手荷物と腰に付けたナイフと言った装いだ。ナイフに目がいったのに視線に気付いた


「ああ、これは護身用です。都会は何かと危ないですし」


 確かにと思う。さっきのような事はそうないだろうが持ってるにこしたことはないもんね


「ニーナ、いいかしら?宿を出るわよ」


「はい あ、お金……」


「いいわ。さ、行きましょう」


 主人に帰る挨拶をして宿を出ると相変わらず外は混雑しているし騒がしい。その場に立ち止まるのも邪魔なので、とりあえず街の出口に向かって歩く事にした


「ライトさん、いろいろと助かりました。ありがとうございます」


「ああ。ニーナはこれからどうするんだ?」


「まずは雑貨市の方へ行こうかと思います。村の自給自足も悪くないですけど仕事を探さないといけませんから。それでは」


 要は祭り騒ぎに乗じて忙しい店に雇い口を求めて来たようね。ニーナは頭を深々と下げ商店街の方へ歩いていく。10秒もすれば人の波に埋もれ見えなくなった


「ウチで働いてくれたら助かるのにな」


 今頃忍ちゃんの店は普段以上に大変な事になってるでしょうからね


 ニーナを見送り時間は1時30分。皆に向かって提案するライト君


「時間はまだあるから自由時間にしようか。5時に城門前、時間厳守だぞ」


「ライト君。それは良いけど単独行動はなしよ。忘れないで」


「そうだった」


 紋章使いが三人もいれば襲われても問題ないだろうけどね。二組に分けるようライト君と私のチームに分ける


「鋼、あなたは私と来るのよ。もう一人は……瑠衣ちゃん来る?」


「んん。オッケーですよ」


 問題を抑えつつ、気を効かせておこう


「俺の方は恵と忍か。よろしくな」


 二人を交互に見ると忍ちゃんが私の目の前に立ち意外な事を言った


「零華さん、私もこちらについて行きます。私がいれば不意討ちされないから。兄さんは不意打ちとか奇襲とかそういうの平気でしょ」


 忍ちゃんはさっきの騎士達の事を言っているらしいわね。確かに探索の能力を使えば、どこにひそもうが尾行されようが必ず先手はとれるもんね


「それに、二人で過ごした方がいいと思うよ」


 忍ちゃんまで気を使っているわ。確かに二人の時間は恵ちゃんの誕生日の夜だけしかなかったはずよね。それ以外は私達の内誰かがいたし。あの日は確かイリア様もいたはずだしゆっくりしてる暇はなかったもんね


「わかった。何かあったら城まで逃げること。無闇に戦うなよ」


「うん、じゃあね」


 ライト君から離れた忍ちゃんがこちらに歩いてきた。私達は通行の邪魔にならないよう宿の壁際に寄る。巻き込まれたらはぐれそうだしね


「じゃあ……まずはどこに行こっか?」


 食べ物はもういいし女の子がいて武器屋とかはないわよね


「ん~やっぱりこれだけ女の子がいるんだし……ね。決まってますよね?」


「お小遣いも渡されてますし。これ何日分の食料買えるでしょうか?」


 忍ちゃん、あまり迂闊にお金を晒すのはやめておきなさい……とはいえルナマリアは私達にいくらお給金だしてるのよ?昨日、騎士章貰った時に渡されてけど、びっくりしたわよ。ライト君も普通に5等分とか……あなた一応リーダーなんだから多くてもいいのに


 忍ちゃんだって店長なんだから少しは贅沢したらいいのに。


「ちょうど荷物持ちもいるしね」


 お金の使い道が一番荒そうな鋼には目を光らせておかないとね。そうしてまずは服屋巡りを開始した


 はっきり言って瑠衣ちゃんの服はなかなか見つからなさすぎ。この前もそうだったけど瑠衣ちゃんサイズだとどうしても子供っぽいのしか見つからないのよね


 忍ちゃんは小物集めが趣味みたい。高いものはもちろん安物でもしっかり確認してる。ただし、光ってるものが多いのは気のせいかしら?


 私はまずは自室の家具を揃えた。何気にベッドと鏡台、クローゼットしかないのは寂しすがるもの。観葉植物とか売ってないかしら?


「れ…れいか…」


 …………


 何か聞こえた気がしたので後ろを見ると荷物を持った鋼が壁にもたれて休んでいた。公園で荷物を整理するついでに鋼を休ませてあげよう。文句はあったろうけど最後まで付き合ってくれたし。まぁ無属性魔法の【タフネス】を使えば良かったのにとは言ってあげないけどね


 さて……と時間はまだあるわね。次はどうしようかな?


「零華さん、後ろをあまり見ないでくださいね。後ろから二人ずっとついてきてます。それから右前方から二人近づいてきます」


 神妙な顔で忍ちゃんが後ろから引っ張って来る。


 やっぱり来たわね。捕まえたのは三人だけどそんな少人数なわけないわよね。


 こっちに四人。向こうも二人ほど行ってるかも知れないけどあの二人ならまず問題ないでしょ。どっちかって言うと私達の方が深刻よね


「いつから?」


「右前方はついさっきですね。右前方はまだ距離がありますが呼吸乱れて焦ってる感じです。後ろ二人は落ち着いてますが…」


 2方向からか。この公園は四方からの道がでてる。上から見たら鳥の脚みたいな形よ


「挟み撃ちはまずいわね」


「どうしたんだ?」

「二人で何話してるんですかぁ?イケメンでもいました?……あれ?」


 休んでた二人も私達の様子に異変を感じたみたい。私は忍ちゃんと目で合図。ダッシュで左前方の道に飛び込むと後方で公園に入ってくる音がした。ギリギリセーフ。とりあえず挟み撃ちは避けた


「んで?どうすんだ?」


「はひ……はひ……何なんですかぁ、あの人たち」


 瑠衣ちゃん……紋章使いなさい。ちゃんと状況を確認して


 よし……この道は正解だったみたいだわ。出口が二方向へわかれ手前には山積みの木箱が置かれてる。捕まえるにも逃げるにも都合がいい


「鋼?この箱の裏に隠れてて。追い越されたら逆に挟み撃ちにするわよ」


 了解と箱の裏に身を潜める鋼。私達は次の曲がり角で鋼が退路を塞ぐのを待つ。ちなみに鏡で相手との距離を見てるわよ。あとさっきのと同じ騎士か確認しておきたいしね


「たしかにあいつらこっちにきたよな」


 走りながら近づいてくる。あ、鋼を追い越したわ。急いでいるからか警戒心が希薄。不用意に突っ込むから挟み撃ちにされるのよ。


 私は弓の弦を引き息を潜めるとタイミングを待つ


「ああ……この先は市街に繋がる、早めに捕まえ…」


「必要ない」


「「!!」」


 驚く騎士の前に姿を表し弓を構えた。逃げて終わりになるなんて思ってない。だから来るなら相応の対処はするわよ。怪我はさせないつもりだけど痛い目にはあってもらうわ


「やっぱり来てたわね。悪いけどアナタ達も捕まえさせてもらうわ」


 瑠衣ちゃんも水鉄砲を構え、忍ちゃんも剣を抜いた。忍ちゃんは鞘も外してる


「あら、忍ちゃん。なかなか様になってるじゃない」


「おね…ルナマリア様に教えてもらいました」


「へぇあの娘忙しい割りにマメね」


 そうする間にも騎士達は前後に対応できるように背中合わせになった。逃げ道は鋼が塞いでるからね


「そんじゃ、試し撃ちといきますか」


 瑠衣ちゃんが紋章で強化した水鉄砲を構えてる


「気絶までよ。気をつけて」


 あ、鋼に指示しておくの忘れてたわ。だって今鋼が向こう側の騎士とやりあって殴り飛ばして壁に叩きつけたわ


——ヒュンヒュンヒュン——ザクッ!


わっ!!!


「鋼!危ないじゃない!!」


「わり!そっちとんでったわ!」


 もう!もう少しで私真っ二つになるとこだったしゃない。何でそんなに軽いのよ!


「あ~……ついでにわりぃ。こいつ腕折れてるわ」


 壁に張り付いてた騎士が壁からはがれ横に横たわったのを鋼が足で転がして確認してた。彼の右腕が不自然な曲がり方をしていた。地面に蹲り呻きながら腕を押さえてる。


「はぁ…仕方ないわね。」


「………」


 鋼に呆れているともう一人の騎士が無言で私達の方に斬りかかってきた。一人の鋼じゃなくてこっちに来たのは女の子だけだからかしらね


「私がいきます」


 忍ちゃんが一歩前に出て騎士に向かい合った。


「あ~!私が行きたかったのに~!」


 はいはい。また今度ね


「危ないと思ったらすぐに入るわよ」


「わかりました…ふっ!」


 忍ちゃんが前に走り出した。彼女の体から湧き出てるように風が吹いてる


「女子供がなめるなぁ!」


 駆け寄る忍ちゃんに振り下ろされる剣。一応不慣れではあるけど【シールド】を貼り攻撃を妨げると忍ちゃんはそのまま止まりも防御もせずに更に加速した。騎士の懐まで入り込み直角に移動。すぐに壁があるけど持ち前の運動神経で壁に足をかけそのまま壁を走り抜けた。抜けた先は反対側だったけどすぐに移動、相手の背後を取った


 けどもう終わってたわね。相手の騎士が前のめりに倒れていく。最初の走り込みで懐に入った時に胸を柄で強打、離れる時にもう一撃くらわせておいた…と。この子、さすがはライト君の妹ね。強いわ。鞘のままじゃ重いから鞘から抜いたのもいい判断ね。剣を戻しながら戻ってくる


「意識を奪うに留めておきました。とにかく移動を…」


「あ!お~い!見つけましたよ!」


 もう一組の方?何?まさか?正々堂々とか来るわけ?


 皆で連戦かと警戒したけどすぐにやめた。よく見る鎧を身に纏っていたからだ


「エルゲニアの騎士ですね」


「な~んだ。私も戦えるかと思って期待したのに」


 瑠衣ちゃん。好戦的すぎるわよ。無駄に戦うのはやめてね


「はあっはあっ……こ、これを…」


 息も絶え絶えにルナマリアからの手紙(走り書きだわ)を渡してくるこの騎士の慌てようから緊急事態のようね。急いで開く


「…あの。すみませんがこの二人なんらかの敵勢力のようです。後で話聞きたいので捕まえておいてください」


 忍ちゃんがさっきの騎士を引き渡してる間に一気に読むと内容はこうだ


—————————————————


 ライトからの一報あり


 シルバールのものとおぼしき馬車が襲撃に合っている


 正門より出てライトと恵が救助に向かったので至急応援をするように


—————————————————


「場所は?」


「正門から…まっすぐ…」


「わかった。皆行くわよ」


「おぉ」


「「はい」」


 買ったものをもう一人の騎士に渡して向かおう。紋章を使って一気に外壁に向かい正門へ繋がるルートを走った。街は混雑してるからね。まだ街の内部よりは少しマシなものだわ

。状況を知った騎士が右往左往してたけど走れはしたし


「急ぐわよ」



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