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誕生日に泣かない——恵

 メイドさんがみんなを案内していく中、私だけがルナマリアの所へ残された。なんで?新手のイジメ?


「貴女のもあるけど、今日着てもらうわけにはいかないわ」


 私の手を引き隣の部屋に向かうルナマリアは凄く楽しそう。いたずらっ子が鉄板のびっくりを用意してそうな感じ


「開けてみて」


 扉よりも外側に立ち、私を待つルナマリア。ルナマリアが何かするんじゃないのね?


 一歩進んで取ってに手をかけ、今一度ルナマリアの顔を見ると『いつでもどうぞ』ととれる笑み。私は握った手をゆっくりと力を込めて押す


 蝶番が錆びているのか緩んでいるのか、キィィとなったが気にせず押し片側の扉を全開に開き入った


「わぁ素敵なドレス!」


 そこには私の紋章と同じ真っ赤な生地に黒の炎を思わせるようなフリル。肩は大胆に出し、胸元はいやらしくない程度に開いている。腕は肘までのグローブ、もちろん炎のように赤だ。派手さは控えめに大人っぽさが現れている


「ルナマリアが着るの?」


 それなら炎のデザインはないかな?質問した所ルナマリアの目が少し変なものを見るような目になった気がする


 溜息と共に私の方を見てドレスを指さして言った


「私は用意出来てるわよ。これは貴女のよ。恵」


「へぇ…え?…ぇぇええええええ!!!!!!わわ、私がきききき着るんですか?」


 思ってもいなかった言葉に絶叫、慌てふためく。それはそうでしょ!なんで私のドレス……いや皆もあるけどこれは、なんというか……こんな特別製みたいなの


「そうよ。これはライトからのプレゼントよ」


 え?ライトさんの?私に着ろって?だから普段着で来いって言ってたの?


 それよりどうやって着るの?派手じゃないかな?いやいや、似合わないかも……胸なんて全然ないのに……こんなに見えるなんて……ライトさんのエッチ


 どうしよう…。もっとしっかりバストアップ体操しておけばよかった……


「それからこれ。これもライトから。髪留めのようね。」


「ほぇ…?」


 ライトさん……私のためにいろいろ。あ…涙でそう。我慢我慢しなきゃ


 ルナマリアは感情の波に呑まれそうな私に気にせずメイドを呼んだ


「リアン!来て」


 声がして、すぐに扉が開き、待機していたリアンが化粧道具を持って私の手を引いて椅子に座らせる。正面に鏡を置いたリアンの顔は意外と楽しそうだった


「王妃様から今日は力になるよう言われておりますので最高のメイクを施させていただきます」


 リアンってルナマリアの専属じゃなかったのかな?どっちかっていうと王妃様よりなのかな?


「姫様、恵様の化粧が済みました」


 リアンが後ろに下がり私を見て頷いた。

 へ?もう?5分かかってないよ?


 リアンが言うには渾身のできだそうです


 リアンが横にずれるとその向こう側にはルナマリアが立っていた


「まぁ…素敵。よく似合ってるわ」


 諸手を合わせ感嘆する。鏡には赤と黒のドレスをきた私が映っている。


 これが私?


 戸惑う私の手を取りグローブの上から指輪をつけてくれた。ルナマリアが誕生日にってくれた。絶対ダイヤだよコレ。こんな高価な物困るのになぁ……お返しとか用意しなきゃダメなんじゃない?


「恵、これで仕上げよ」


 ルナマリアが付けてくれたのはピンクゴールドの髪留め。ライトさんがくれた物……嬉しい。


「ライトさん、喜んでくれるかな?」


 もちろんとルナマリアからの保証。ライトさんのチョイスにリアンと一緒になって誉めていた。リアンの「姫様の誕生日も大丈夫そうですね」と小声で言ってたのが気になるけど……ま、いっか


 それよりもコレ……どうしても胸が落ち着かないなぁ。サイズが合ってないのかなぁ……採寸の時パットとか入れてたっけ?


「さ、行くわよ」


 あっ!ちょっと待って……心の準備が!


 ルナマリアについて部屋を出るといきなり注目の的になっちゃった。そりゃあ姫様だもん見るだろうけど……私の事は無視して欲しい。


 メイドさんや騎士達が囁いてるけど丸聞こえだよぅ


『綺麗な方、麗しい、可憐だ…』などと通り過ぎる度に聞こえてくる


 はっ恥ずかしい!うっ裏道……裏道はないの!?隠し通路とか!!えっ?ない……じゃあ窓から……ダメ?


 中央階段を降りる度にだんだん人が増えてる。遠目で見ているだけでは飽きたらず、階段を上がりすれ違いざまにめっちゃ見てくる


 だっだれかタスケテー!


 時にはルナマリアに「こちらの方は……?」とか聞いてくる騎士もいるし


 わわっ!見ないでよ!見世物じゃないよっ


 ルナマリア王女と肩を並べて歩いているのから相応の人間と思ったんだろうけど……


「この娘は妖精騎士団の娘です」


 そう!大した騎士団じゃないんだからほっといてぇ!


「ライト殿のところの……?それで今日はどちらに?」


 驚き、チラチラと見てくる騎士の男の人。なに?変なの?もしかしたらおかしいの?それより何かその……チラチラ見ないで……恥ずかしい……よぉ


 顔を伏せ視線から逃げる……ていうかこの場から逃げたい


「この娘の誕生パーティーに出席するのです」


 おおっ、と一際大きな声。聞き耳を立てていた回りもざわめく。


「それは実に善き日、誠におめでとうございます。ならば、私も共に祝……」


 祝…までしか言えなかったのはルナマリアが切っちゃったから


「今回はご遠慮願いますわ。気持ちだけ戴いておきましょう。ね、恵」


 そうそう!だから早く行こう


「すみません。ありがとうございます」


 騎士は残念がる仕草で惜しみ騎士の振る舞いで去って行った。


「あまり遅れては殿方に申し訳ないわ」


 中央階段を足早に降りる。だって断られたのについてくる騎士がいるんだもん。目を合わすとキラリ!とかやるんだもん!私にはライトさんがいるからやめて!


 昨 中央口に用意されている屋根付き馬車に乗り込み周囲の視線をシャットアウト。


 何とか城門を出れた……けど気になる事が一つ


「護衛もなしに大丈夫ですか?」


 護衛はおろか、従者も今、馬を走らせているリアン一人だ。まあ最悪私が戦えばいい……くはないか。ドレスに何かあったら大変だし


「平気よ。今日の予定はフェイク。こちらが本命よ。それに何かあっても魔法使いが二人もいればそうそう遅れはとらないでしょうから。」


 私は魔法使いじゃなく紋章使いなんだけどな……別にどっちでもいいし訂正しないけど


「あなたも相当なものだわ。あれほどの炎の魔法はそう見たことないもの」


 バルクティンに仕掛けた広範囲の炎術のことね。無数の火の玉で囲み合図と共に爆破炎上する今一番威力の高い魔法


「あれ一回で精神力がきれそうになりますよ。まだまだ使い勝手も悪いし」


 ライトさんの横で一緒に戦うにはもっと勉強と訓練しなきゃ。最近無属性魔法を勉強してるみたいだし。テスト期間だったのによくやるよね


「ライトとのコンビも悪くないと思うわ。息も合ってるし」


 コンビでの戦いは初めてルナマリアと会ったときことよね。魔物との戦いを間近で見てたもんね


「あーあ。私もライトみたいな殿方とコンビを組みたいわ」


「え?」


「だってそうはいないわよ。真面目で強いなんて騎士。少し無鉄砲なところも好印象ね」


(ルナマリアってもしかして…)


「ライトみたいな殿方なら結婚してもいいのにね。」


 結婚?ライトさんとルナマリアが?確かにライトさんは真面目で強いし、優しくし、頭もいいし、誕生日覚えててくれたし、でもでもこの前好きって言ってくれたし……


「ちょ……ちょっと、恵?恵ってば」


 肩を揺らされた原因を見ると困ってるルナマリア。


「ライトみたいな殿方っていっただけよ。いくら素敵でも世界が違うライトには流石に王にはさせれないわ」


 なるほどと思う。こっちでは姫の直属の部下と言うだけでなんの身分もないし、そもそも世界が違うもんね。自分たちは夢の世界の住人なのだから


「ま、こっちに永住って言うなら別だけど…

…心配することないわ。ライトは貴女を愛しているわ」


 真っ赤になったのがわかるくらい体温が上がった。


「私達、まだ、そんな関係じゃ…」


「いいえ、ライトについては間違いないわ。だって私が抱いてって裸で迫ってもだめだって言われたくらいだしね」


「へ?」


 な、何それ!聞いてないよ⁉︎ルナマリアがライトさんに?裸で?え?


「ライトにね……国主として何も与えられないからせめて……と思ったんだけどね。断られたわ」


「そ、そうなんだ。でもそれじゃルナマリアも……やっぱりライトさんのこと」


 顔を振り国益になる者と結婚しないとねと寂しそうに言った。やっぱりルナマリアは……


 ルナマリアが会話を切ると同時に馬車がとまった。会場にしている宿についたみたい


「さ、行きましょう。降りたらすぐ入るわよ」


 ルナマリアの姿を見られたら入っては来ないにしろ、窓や入り口から覗いてくるだろうな。見せ物はもうこりごり


「あっ。待って!変じゃないですよね」


 体をよじりドレスの崩れを調べる。足先からフリル、膝、腰、グローブまでを見て、最後に少しずれた胸元に指を入れて直す


 う~ん。もうちょっと胸大きくならないかな……余裕があって悲しくなるよ


「オッケーです。行きましょう」


 馬車の扉を開けてくれたのはリアン。馬車の中から宿の入り口まではほんの数歩。ライトさん達はもう気付いているよね


 早くライトさんのくれたドレスを着たところを見てほしい


 私は逸る気持ちと一緒に走り出した


「おまたっ…」


 気が逸り、足早になってしまい開ききらない扉に顔を打ち付けてしまった。視界が真っ白になり膝から崩れ落ちてしまう。近くで小さくパンッと聞こえた。クラッカーを鳴らしたみたい…


「ひぅ…」


 鼻を抑えて痛みを紛らわせると同時に恥ずかしさで泣きたい気持ちが込み上げてくる


(やだ……皆のまえで……)


「立てるか?」


 ライトさんが座り込んでた私に手を差しのべてくれる。顔を抑えている逆の手を伸ばし手を乗せる


「ごめんなさい…」


「今日は謝らないこと。いいな」


 ふぅ、と嘆息し立ち上がらせてもらった。でも手はまだ離さないライトさん。入り口に向かって差す光で逆光になっているけど見える顔は笑顔だ。


「さぁ行くぞ」


 ライトさんは左肘を曲げ空間を作った。私がどうしていいか分からずにいるとルナマリアが小声で話してくる


「恵、エスコートよ」


 エ、エスコート!男の人が女の人をリードするアレよね⁉︎う、腕に手を通したらいいのよね!


 ゆっくりと腕に手を通し密着するような形になる。それを確認したライトさんはゆっくりとみんなが待っている中央にあるテーブルへ私を誘う


 はふぅ……ライトさん、かっこ良すぎ!そのタキシードも凄く似合ってるし。いつものお兄さん的な感じもいいけどこのパーティー用ライトさん……じゃないや、紳士的なライトさん素敵


「さ、行こう」


 ライトさんの腕に密着してるから私の胸が当たってるけど……出来れば…










ガッカリしないでくださいね

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