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閑話休題~鋼介の受難~

「さっきも言ったけど今日からテストまで勉強を見るからね」


 テストまであと一週間だ。正直今のままじゃ赤点取るのは濃厚、まずい、マズイぞ。このままじゃ毎日氷漬けにされてしまう


 だからと言って勉強したとして覚えられるかといったら即答で無理だと言える。それなのに零華はさせようとしてくる


 原因はこの家に住む兄妹の兄の方の所為なんだけどさ。俺に勉強を教えるように零華に言ったらしい。零華はみんながいるとまだ丸い方だけど二人きりになると鬼になるんだ。


 そこんとこを学校の帰り道に説明してなんとか輝山家にあげてもらって、さらにライトも一緒に勉強してくれるように言った


 説明中に零華がきて引きづられた挙句プール落とされ鼻だけ出して三時間ほど放置された時は焦ったけどさ


 ライトの奴も零華から噴き出す冷気に全身霜だらけにして硬直していた。魔神と戦うような奴なのにライトも零華が怖いらしい。俺だけじゃないんだな。良かった


 そして今は輝山家リビングにあるテーブルに零華と向かい合って座っているところだ。目の前には教科書がずらりと並べられている。見てるだけで吐きそうだ


「……どうしてもか?」


「姫様との約束に補習で出れませんでしたとか言う気?恥ずかしい」


「うっ……とにかく赤点じゃなければいいだろ?」


 それくらいなら何とかなるんじゃないかな?


「だめ。せめて50点は取ってもらうわ」


 ハードルたけぇ~。俺が50点なんて誰が期待するんだよ。


 そこ!宝くじが当たるよか難しいんじゃないかとか言うな!んなこと本人が一番分かってるっての!


「無理だって。取れるわけねえって」


「へぇ~……私が協力してあげようとしてるのにそんな態度とるんだ」


 視線が痛いぜ。なんか物理的に痛いのは何でだ?頭は痛いし胃はキリキリしてくるけどなんで視線でダメージ受けてんだ?


「……おい、ライト」


 ライトはテーブルの端で一人で勉強している。今は英語を勉強しているみたいで単語をブツブツ呟いている


「なんだ?今忙しいんだ。簡潔に言えよ」


 うわっ。教科書から目も上げやがらねぇしめちゃくちゃ面倒くさい感出てる


「お前のせいで俺は死にそうなんだけど」


「ん~。まぁそれもありじゃないか?」


「おいっ!俺のピンチになんでそんな適当なんだよ」


「うるさいな。お前の勉強する場所を提供してやってんだから素直に勉強しろよ」


 ライトが立ち上がり台所へ行ってしまった


「誰が頼んだんだよ!」


「ん~。誰だったかな。ルナマリアの護衛を頼まれてんだし、しっかりやれよ」


 壁越しに聴こえるライトの声。


「だいたい二人が面向かって会える場所なんてここしかないって言ったから仕方なく家にあげてるんだ。」


 ライトが人数分の麦茶を持ってきた。ありがとと言って零華が受け取る。


「勉強しないなら氷漬けにでもなってくれ。それならうるさくないし涼しいからな」


 くっ… …


 涼しげな顔をして麦茶を飲むとまた勉強しだしたライト。教科書に目を通したあと少し考えてから顔を上げた


「零華、ここは?」


 ライトが零華に質問した。ライトでもわかんねえところあるんだな


「ん……ここはね」


 零華がライトの横に座って教え出した。


 おい……近いって。なんでライトにはそんなに警戒心が薄いんだよ。え?ライトは恵ちゃんがいるから大丈夫?


「零華、ライトが胸元見てるぞ」


「見てるのはあなたでしょ」


 即答かよ。せっかく見られないようにって思ったのによ


「仕方のないやつだ。俺は暗記物をやる。気にしなくていいからさっさと勉強しろ」


 窓際に椅子を持っていって理科の教科書を開いてる。理科なんてこれから先何の役に立つんだよ


「さ、もういいわね。そろそろちゃんとやらないと…」


 ライトを見ていた俺の首をグイッと前に向けた。まて、急にやるな。首がつるだろ。おっ!谷間が……って待て!今のは不可抗力だろ


「ぎゃあ!」


 はぁ……仕方ない。少しやってみようかな


 ——ピンポーン。

 インターホンが鳴りライトが玄関を振り向くと一瞬だけ紋章を発動させてやがった。最近使ってるソナーを使ったみたいだ。数日前から王妃に対して苦手意識を持ってしまったと言ってたから人に対してはほとんど使ってるのかもしれない


「今行く」


 ライトが立ち上がり場所があいた椅子に教科書を投げた。どうやら知り合いのようだな。外に向かってかけた声が敬語じゃないし


「ちゃんとやれよ」


 うっせえな~。こっちは苦手な勉強してんのによ!王妃がなんだってんだ


「鋼違うわ。これはさっきの公式を使って解くのよ」


 くそぅ……邪魔さえなければ


「すまねぇ……もう一回教えてくれ」


 はぁ……とため息が聞こえた


「……」


 「わる「あ~零華さんと鋼介さん!こんにちは!」


 うおっ!耳元で叫ぶなよ。って恵ちゃんと瑠衣ちゃんか……制服姿って事は学校終わりにそのまま来たのか


「何やってんですか?三人で?まさか3ピ―」


「見りゃわかるだろ。テスト勉強してんだよ」


 ライトが後ろから軽く瑠衣ちゃんの頭をはたいた。3Pはともかく零華とそういう関係になれるのはいつなんだろう?どうすれば今の関係を崩せるんだろう?


「うひひ……そうなったらそうなったで色んな修羅場が見れたのに(笑)」


 趣味悪いなこの子。普段からこの調子だと彼氏になるやつ大変だな。


「(笑)って口で言うなよ」


「すみませんライトさん。瑠衣ちゃんがどうしてもと言うんで…」


「あ~、恵の為を思って言ったのに~。テスト期間中だし会えないかなぁ……っとか言うから連れてきたんですよ」


「まぁ来ても良いけど見た通り勉強中だしな。面白い事はないぞ」


「はい、大丈夫です。私もするつもりなんで」


 恵ちゃんもカバンから教科書を出してきた。1年のだし見覚えあるな。まったく勉強しなかったけど


「私はしませ~ん」


 瑠衣ちゃんは何しに来たんだ?


「私ですかぁ?強いていうなら二人のキューピッドにでも」


「悪魔の間違いだろ。この王妃の手先め!そうだろ!そうなんだろ!」


「やだなぁ。手先じゃないですよ。どっちかっていうと恵の味方のつもりなんですけど。ようは一番良い席で楽しみたいだけですから」


「瑠衣ちゃん!」


 二人とも何やってんだ?


「貴方達、うるさい」


 ……シーン


 おお……三人とも静かになったな


「ん……なんだ……あれだな。部屋にいるから帰る時と何かあったら言ってくれ」


 と手早く教科書を纏めライトがリビングから消えた。……逃げやがった


「あ、ライトさん。私も行きますよ」


「あ、瑠衣ちゃん……もうっ。そ……それじゃ私も行きますので。」


 1年生コンビも消えた。あ、やべぇ……二人きりじゃね?これで何も起こらないと言えるのが泣きたくなる。ライトならなんかエロい事でも起こるんだろうな


「さて……と、遅れた分も頑張らないとね。ここからはちゃんと覚えたかチェックするわよ。もちろんやったところだし間違う訳無いわよねぇ?」


「…え」


「間違うと大変な事になるから気をつけてね。まずは社会から行くわよ」


 やべぇ。慎重に行くしかない。零華が完全にスイッチ入ったみたいだ。こういう時は必ず痛い目を見るからな


「教科書を見るのはいいよな?」


「テスト中に見れると思ってるの?ただのカンニングじゃない」


 チェックじゃねぇじゃねーか。いきなりテストになってるぞ


 ——ヒュゥゥ……


 反論しようと口を開こうとすると零華の目が細まり部屋の温度が急激に下がってきた。もう余計な事を言うのは止めよう


「1582年本能寺の変で亡くなった歴史上の人物は?ほら有名なほととぎすの……」



「織田和正!」


 織田といったらコイツだろ。どうだ!あ、違う?


「それ小田違いだし。あと信長。」


 くっそ~。信長かぁ……そこで出てくんのかよ


「続いて行くわよ。将軍と御家人は何のと何の関係で結ばれていた?」


「金と天下り?」


「勝手に癒着させないで。御恩と奉公よ。次、豊富秀吉は鉄等の金属を集めるために何を集めた?これなんていう事?」


「金だろ?金儲け?」


「……確かにお金出せば買えるし集まるだろうけど。秀吉を浪費家にしないで。刀狩りよ。……お金から離れなさいよ」


……………


……



 ダメだ…全く頭に入らねぇ。それというのも


「キャハハハハ!で?で~?」


「…で、…だ」


 何してんだよ!人が辛い目にあってるのに。確実に勉強してねえだろ!


 ——ガチャ——トントントン

 あ、ライトが階段を降りてきた。


「……どうだ?はかどってるか?」


「いかねぇよ!うるさいんだって!」


「瑠衣ちゃんにもう少し静かにしてくれるように言っておいて」


「分かった。すまん」


「うっわ〜〜!ライトさんえっろー!」


「なっ!」


 ライトが慌てやがった。今のはエロ本が見つかったみたいだな。ぷぷぷっ!どこに隠してたんだろ


「ライトさんは巨乳で年上が好きなのね~。王妃様に連絡しなきゃ!後は……ケモナーで足フェチでエルフもありなんだ!」


 大きい声で暴露はさすがにやめてあげて!俺なら立ち直れないぞ!


「へぇー。まぁ健全って言えば健全だけど見つからないようにしておきなさいよ」


 ライトを見る零華の目が冷たい。いい気味だ


「このっ瑠衣ーーー!!!」


 ライトが階段駆け上がっていった。リビングから一瞬で駆け出し二回しか足音を立てずに階段を駆け上がり自室の扉を激しく開けた


「キャーー!巨乳好きの変態に襲われるぅ」


「イクスーーーーーーーー!!!!!」


 ちょっ!ライト何やってんの!?


「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」


 窓の外を見ると瑠衣ちゃんが飛んでいった。……ホントに何やってんの?


「静かになったし続きをやるわよ」


 ここに来たの失敗だったかな?まだ二人きりでやってる方がはかどった気がする


「ああ、もうなんかちゃんとやるよ」


――――――――――――――――――


 30分が経った頃さっさ聞いた声がまた聞こえてきた


「この、巨乳の年上のケモナーのメイド妹属性女好き!」


 なんだそれ?年上なのに妹属性ってどういう?っていうか瑠衣ちゃんびちゃびちゃだろ。どこに落ちたんだよ


「来やがったな。このまな板ミジンコミニマムチビロリ!」


 っていうかなんでライトは瑠衣ちゃんに口悪いんだ?


 ヒュゥゥゥ


「……」


「よくも学校のプールに放り投げやがりましたね。この超絶絶倫スケコマシハーレム団長」


「……」


 静かに立ち上がり二階へ音もなく上がっていく零華。やべぇ、死んだな二人とも


「幼稚園に連れていかれなかっただけ喜べ。この……この……?あ、やめ……」

「いやああああぁぁぁ!!!」

 

 瑠衣ちゃんの叫びが聞こえたあと庭に何かが落ちてきて穴をあけた。漫画みてえだな。どうやら零華が二人を掴んで庭に放り投げたみたいだ


「『舞うは白雪、揺れる白花

荒れし大地に咲くは耐え、忍ぶ小さな息吹き

重なり成して命を覆う大輪となれ』

【フリージア】」


 追い討ちに二階からフリージアが二人を包み込みでかい氷塊が出来上がった。哀れな。


 自分で言っといて自分が氷漬けになってりゃ世話ないぜ。ライトよ


「ああああ……ライトさん……」


 恵ちゃんが降りてきてライトと瑠衣ちゃんの氷像にすがり付いた。その後ろに零華が飛び降りてくる。


「恵ちゃん、放っておきなさい。二人が悪いんだから」


「でも……………はい」


 一応抵抗しようとしたけど諦めたみたいだな。今の零華は鬼以外の何者でもないからな



………………



………





 しばらくして零華がライト達を解放した


「「すみませんでした」」


 二人が正座して謝ってる。ライトが苦々しい顔してるのも笑える。その後も零華の許しが出るまでは正座を強制されていたので瑠衣ちゃんともども写真を撮っておいた


「さてと今日はここまでにしましょう。」


「はぁ…終わったぁ」


 手早く教科書をしまい、さっさと立ち上がる。帰りに牛丼とか食いてえな


 玄関に向かい靴を履こうとしてるとライトが見送りについてきた。後ろには一年生コンビもついてきている


「ああ…それからライト君、明日から英語もやるから辞書貸してね」


「わ、分かった」


 歯切れの悪いライトの後ろから瑠衣ちゃんが現れた。帰るのかな?


「ぷぷぷ、エロ本の隠し場所変えないと駄目ですねぇ」


 ってことは本棚にある英語の辞書の中に隠してるんだな?今度探して見てやろ。


 そんなことを考えていたら目の前を瑠衣ちゃんが横切っていく。


「くっ!【ライトニング】!!しまっ…」


「え?ぎゃああああ!」


 こうして俺は今日の1日を失った。覚えていたことは瑠衣ちゃんがいるとライトはバカになることとライトが巨乳好きの年上好きのケモナーの妹好きって事だ


「ぐはっ…」

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