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王妃と王女と———ライト

 王妃の爆弾発言が炸裂してしまったあと俺は必死にラドニー殿と忍に説明した。ラドニー殿は聞いてはくれるものの王妃側の人間だったようで普通にニヤニヤとしただけで王妃を連れて帰っていった。


 ちなみにラドニー殿は回復魔法の呼吸合わせについては知らなかった。どうやら王妃が王様にかけた時の経験らしく実証はされてないものだったのだ。俺はともかくルナマリアは王妃に騙されたのかもしれない。王妃はどう見ても俺とルナマリアがどうこうなる事を望んでいるみたいだしさ


 それより問題は忍だ。忍には気を使ってやんわりと王妃の仕業だと説明した。あの王妃の性格を少しは理解してくれていたのと、俺を国に引き入れる理由を細々と説明してなんとか恵には黙っていてくれるようにできた。ただし本人が聞いたり周りが言う場合は知らない。自分から言わないと言うだけだ


 あの爆弾魔王妃め!余計な事を言いやがって。勝手に奴隷増やしたりから揚げ食いやがったり、勝手な事をした挙句バラしやがって


 しかもルナマリアが忙しいから代わりに来たとか言っといて自分がルナマリアに押し付けたからルナマリアがこなかったとかなんだよ!仕事しろよ


 三人の獣人さんはいい子ばかりだ。全く何も言わずに気をつけして固まってるんだから。え?王女の婿は王族?しらん。俺はなる気はないぞ。王妃の策略に乗る気はない。全力逃亡するつもりだ。だから普通にしなさい


「とにかくここは俺が片付けるから忍は三人を服屋とか連れて行ってくれ。終わり次第俺は寝具屋に行く」


「……わかった」


 その目はやめてくれないか。変な趣味が目覚めたら大変だぞ?


 王妃から貰った褒賞から金をだし忍に持たせると三人を連れて出て行った。俺もさっさと後片付けを済ませ戸締りして拠点を出る


「なんだってんだ。今日は」


 寝具屋で中ランクのベッド一式を買い、急ぎだと言ってすぐに運ばせる。時間をかけたくないので金貨を渡すと作業員が増え一時間程で設置まで終わった


「ちぃーす。どうだライト?」


「へぇ〜。見違えたわ。なかなかいい趣味してるのね?」


 ひと段落してリビングで水を飲んでいた俺の後ろから声がかかった。鋼介と零華だ。今日の勉強が終わったから帰る為に寄ったんだそうだ。寝るだけなら宿もあるけどちゃんとメールの処理がしたいとかテレビ見たいとかいう理由で今は宿屋は使わないことになった。当たり前だけどメールの処理が零華だ。鋼介はそんなにマメじゃない


「ああ……二人ともお疲れ」


「な、なんかライト君の方が疲れてるわよ?何かあったの?」


「……聞かないでくれ。」


 王妃さえ来なければ……王妃さえ


「んで?獣人の女の子は?」


 お前はそればかりだな。変わらない馬鹿さ加減にちょっと安心もしたけどさ


「今は服屋じゃないか?ショーパンにトップレスマントだったからな。あと雑貨もいっぱい買わなくちゃいけないからな。」


「なにそのエロい格好。見た?中身見たのか?」


 バカだな。自分の横にいる人が誰なのか忘れたのか?


 案の定足払いをかけられうつ伏せにさせられると背中に氷でできた1メートル四方の立方体に押しつぶされている。勉強しに来てるはずなのに学習しないな


「それで?ベッドが三つあるのは?」


「三人いるからだ。ラドニー殿と王妃から一人ずつ貰った。予想外デス」


「何片言になってんのよ。そういう事ならわかったわ。鋼、行ってきなさいよ」


 やっと立方体の下から出てきた所へ無慈悲な零華のセリフが飛ぶ


「何で俺が」


「獣人の女の子が三人よ。それくらいいれば一人くらい仲良くなれるんじゃない?」


「ひゃっはぁー!!獣人!犬耳の女の子ぉー!!」


 走り去っていく鋼介。行き先知らんのに大丈夫か?


「上手いこと使うよな。あいつ自分が踊らされてるのわかってるのか?」


「さあ。どっちでもいいんじゃない?人の役には立ってるんだしさ」


 ま、それもそうだな。バカとなんとかは使いようっていうし


「王妃様から店の名前を決めておきなさいって言われたわ。あと店を経営する商会名も」


 ふー。さっきまでいたんだからついでに言ってくれればいいのに。店名は忍に任せよう。三人も忍が店長だと思ってるみたいだし。本当は俺が店長なんだけどなぁ……商会名か。何にしようかな?一応王家御用達とか言ってたし変な名前はつけれないよな。ゲームなら面倒だし『ああああ』とか『あかさたな』とかいれるんだけどなぁ


 うーむ。もう面倒くさい。俺のゲームのキャラ名でいいや


「レクレスト。レクレスト商会だ。バックは王家だし資金はまぁ全員分出しときゃ十分だろ。」


 王妃からの褒賞をつぎ込んどけばいいだろう。後は店が始まれば放置しておけばいい。勝手に規模が大きくなって人も増えるだろう。


 規模が大きくなれば次は王都に溢れてる浮浪者も手を出させるつもりだ。治水や農業も充実させたい。主食のパンは飽きつつあるのが一番の理由だ。できれば米と魚が食べたいからな。


 オレ達自体に知識はないけど地球には調べれば大概のことは知ることができる。現代知識はチートの塊なんだ。とことん利用させて貰おう

 

「了解。レクレスト商会ね。」


「さてとどうする?帰るか?」


「そうね、鋼が戻ったら帰るわ。それまで魔法の訓練でもしてるから帰ってきたら呼んでね」


 そう言って二階の部屋に向かう零華。リビングにはまた俺一人になった


 これで例の計画を進められるな






———————————————


 よしっ!できた。これをラドニー殿に渡そう。余り時間に余裕もないし、今ならまだ城にいそうだしな

 

「零華!ちょっと出かける!帰るなら鍵は忍に渡して置いてくれよ」


 テーブルに世界移動の為のアイテム、星の鍵を置いて拠点を出る。辺りは少し暗くなってる。今は……七時か。ルナマリアは夕食が済んで一休みしてるころかな?会っておきたいけど一人でゆっくりする時間も必要だろう。そっとしておくか


 大通りを歩いて進むと両腕に手提げ袋をかけ頭以上の高さの荷物を抱えた鋼介が見えた。無事に会えたらしいな。運だけはいい奴だ


 見つからないように人や馬車の陰に隠れながら先を目指す。荷物持ちをするつもりなんてないんだ。すまんな鋼介、一人で頑張れ


 俺は城の門を潜り訓練場へ。門番の兵士はバルクティンの時に参加してた兵士だったので俺の事を知っていたらしく顔パスにしてくれた。ついでにラドニー殿の事も聞けたしラッキーだった。


 それにしてもこんな時間に訓練場にいるなんてどうしたんだろうか?


 廊下を歩きながらテクテクと訓練場を目指す。流石にまだ夏の余韻で暑いから中庭経由はパスだ。無駄に汗をかきたくないしさ


「あら?ライト様?」


 後ろから声がしたので振り向くと勝利の女神……に似た悪魔の横にいた金髪メイド天使のリアンがいた


「リアンか。ラドニー殿に会いに来たんだよ。ちょっとした約束を果たしてもらいにな」


「ああ……恵様にプレゼントする予定の品についてですね?王妃様から聞いておりますよ。ライト様、しっかりご準備なさってくださいね」


 俺のプライバシーってないのかよ。なんで全部知ってんだ?あの時か?ラドニー殿が養子にこんかって聞いた時に魔法で聞いてやがったんだな!


「ちなみに姫様はお知りで無いそうです。娘にもプレゼントしないと恵にバラしますよと王妃様から伝言を承りました。姫様は11月の誕生日ですのでお忘れなく」


 言われなくてもするさ。言われるまでもない


「それでは……失礼します」


 去っていくリアン。ルナマリア付きなのに最近は王妃と一緒にいるのは何故だろう?外されたのか?


 再び廊下を進み訓練場へ着く。探すのが面倒くさいのでソナーを使う。あれだけデカイ人だしすぐに見つかるからな。建物内には全部で20人程、その中で一人座って動かない人がいる。デカイしこの人がラドニー殿だな


 訓練場にある幾つかの建物群、訓練施設だったり倉庫だったり会議室だったりする。その中の一つである長官室にいく。扉を開くとふかふか絨毯とテーブルとラドニー殿。ラドニー殿が似合わない書類仕事をする姿は滑稽だ。体のサイズとペンが合わなさすぎて面白い


 しかも頭が回らないのか書類を見てうーうー言ってるので俺には気づいていないらしい


「ラドニー殿」


「うおぁ!な、なんだライトか……」


 肩まで震えて驚くラドニー殿。珍しいな。余程の件なのだろうか?なになに王都の西地区の開発を任せるだって?書類の作成者は……また王妃か


「ラドニー殿それ」


「ああ……なんで儂が文官の真似事なんてしなくてはいけないのだろうか……?」


 バトルジャンキーのこの人に何させてんの王妃?早死にさせたいの?すぐにヨボヨボになっちゃうぞ。いくら文官連中に大臣派がいるのが厄介だからってラドニー殿にさせてどうする?


 それにしても西地区か……拠点付近だな。店を見越しての開発なんだろうか?それとも他に何かあるのか?あの王妃が考える事はわからん。ラドニー殿には筋トレグッズでも差し入れておこう。


「ご愁傷様です。それで……コレでお願いします」


「はあ……やれやれ。一息つくか。ふむ」


 ギチギチと固まった筋肉をほぐし、伸びをしてから紙を渡す。あと一週間で作り終えて欲しいけどいけるだろうか?


「懇意にしている職人に頼めば四日程でできるだろう。」


「お願いします。向こうでもプレゼントを探すつもりなんでそれにあったものを用意したいし」


「そうか……やはり変わらず本命は恵か。ルナも大変だな。」


「バルクティンの時に気持ちに気付いたので……いくら王妃が手を打とうと気持ちに変わりはないでしょう。もし先に会っていたならわかりませんが……今は」


「そうか……でも王妃の気持ちもわかってやってくれ。王が死んだ事に必死で耐えておるのだ。それに娘を想う母でもある。ルナに幸せになってもらいたいのだろう。自分が嫌われようとな」


 きっと嫌いにはならないな。母親に似たタイプなのでどう扱ったものか迷っているだけだ。しかし二人とも忍には普通なのに俺にはあんな感じなんだろうか?全くの謎である。まだ旅から帰らない母よ。何故だ


「ライトは王妃の理想の息子像なんだそうだ。だからこそ支援や協力も惜しみなくしてくれるのだろう。」


「息子……ですか?」


 あっれー?俺誘惑された覚えがあるんだけどなぁ


「ま、とにかく王妃と仲良くして差し上げてくれ儂からはそれだけだ。」


「はい。」


 ラドニー殿との話を終わり廊下へ戻る。


 まさか王妃がそんな感じの人とは思わなかったな。ルナマリアについては分かるけどさ。俺についてはどこかおもちゃにされてる気がしてならないんだよな


 もしルナマリアと結婚でもしてしまったら毎日これになるのか?それは勘弁願いたいな


「あの……あなた妖精騎士団の団長、輝山ライト殿ですね?」


 鬱になりそうな想像していると階段の上から声がかかった。声の主は金髪の女性、目が釣り上がっているのは怒っているからだろうか?こちらを見る目が剣呑だ。スラッとした体型を赤いドレスが強調している。


 なんだ?まさか王妃の差し金だろうか?手には手紙を持っている


「これを王妃様よりあなたに渡すようにと、どうやら急ぎの様子でしたので、すぐに目を通された方が良いでしょう」


 やっぱりまた王妃かよ……


「ありがとうございます。」


 受け取るとさっさと離れていく女性。彼女自身は配達人で王妃の手の者じゃなかったか。


 手紙の差出人の名前を見て思った。なんだか人間不信になりそうだ。恵に会いたい。今日会いに行けるだろうか?会って心の栄養が欲しい。よし、何かはしらないけど早く終わらせて帰ろう。それがいい。


 手紙を開くとある部屋に行けというものだった。ご丁寧に隠し通路の場所まで書いてある。そこを通っていけば要件が分かるそうだ。それくらい手紙に書いておけよな。それとも隠し通路を使わなくちゃいけないくらい誰かに知られたくない類の要件なんだろうか?


 あと王妃の名前はルクレツィアだからかレティアと呼んでもいいわよとか追伸しないでほしい。ラドニー殿だって呼んでないぞ


 追伸にうんざりしつつ二階に上がり手紙に書いてあった部屋に入ると扉を閉める。隠し通路の場所が知れたら危ないしな


 隠し通路の入り口はまさかの壁そのものだった。壁の端にあった王家の紋章がスイッチらしく限界まで押し込んだまま進むと人一人入れる隙間ができた。


 中は薄暗い。各部屋の灯りが僅かに差し込んでいてなんとか壁がわかる程度の光源しかない。自分で光るか?


「灯りを点けてはいけません。ここからは話もダメですよ」


「むぐぅっ!」


 後ろから急に口元を押さえられ何かを飲まされた挙句後ろから抑え込まれた。


 柔らかい手といい匂い。ソナーの反応は……王妃?王妃かっ!?気配が全くしなかった。ってか何しやがる!俺はさまれてんだけど!後頭部が埋まって動きたく……じゃなかった。動けないんだけど!あと何飲ませた


「静かにしてください。裸で迫ってきた娘の未亡人の母親に暗い場所で頭を胸に挟まれつつ挟むなら違うものをとか考えてるエロ英雄」


 長いっ!あと捏造はやめろ!そしてそろそろ解放しろ。


「こんな所に呼び出して変なあだ名つけるのが目的だなんて言いませんよね?王妃」


「もちろんです。なんですか?その他人行儀。手紙にはレティアと呼んでと書いておいたのに。それとも照れているのですか?やっぱり私に手をだしたいのですか?できたら一年はまっ」


「他人ですし呼びませんし照れてないしお断りします」


 即断即決で断る。だから俺を食おうとするのはやめなさい王妃。なんだかんだやってたら暗殺されそうな気がするんだけど王妃は分かってるのか?


「ふふ……出されても困るので……困るのかしら?まぁルナマリアには悪いけどいいのかしらね?」


 元ボッチには娘と母の修羅場とか重すぎる案件です。本当に鬱になるからやめて


「俺に聞かないでください。何もないなら帰りますよ。恵に会いに行きたいんですから」


「ウフフ、行けたらいいけど。分かったわ。要件を言うわね」


 何かを含みのある言い方をして隠し通路の奥を指差す王妃。声も音も立てずに通路最奥まで行って部屋の様子を見てきて……か。


 この通路の奥か。どうやら風の流れがあるから行き止まりではないようだけど。王妃は何があるかは教えてくれないようだけど笑ってるから危険はみたいだ


「終わったら帰ってもいいわ。」


 そう言うと俺が来た入り口とは違う扉で出て行こうとして挟まった。壁が胸の谷間にはまり込んでしまっていて動けないらしい。どこから入って来たかはしらないけど挟まる前に気づけよ。きっと日ごろの行いが悪いからだな。いたいけな青年にエロいいたずらばかりするからだ


「あっ、はまって動けなっいっ。そこの挟まれてるのが自分のご立派様と想像してる妄想乙英雄。助けてください」


 ……このまま挟まったまま放置してやろうか?


「助けてくれないと上半身だけ抜いて顔を蕩けさせて後ろから突かれてるように見せますよ?あなたの名前を叫びながら」


 この色ボケ王妃!なんて危険な事しやがる。仕方ないので押して助ける事に。でもどこ触れば大丈夫なんだろうか?


「好きなところ触っていいのですよ?ほら男性が好きなところがあるでしょう?」


 ルナマリア……君の母親は俺の手にはおえん。あと同じタイプだと言ってごめん母さん


「王妃様、そろそろ仕事にお戻りください」


 ん?この声リアン!助けがいたのに俺を呼んだんかい!


「あら?そう?もうそんな時間なの?」


「はい。ではライト様、そういう訳ですのでこちらな大丈夫です。通路をお進み下さいませ」


「ふぅ。わかったよ。リアン頼む」


 アレだな。うん。王妃がいる時は常にソナーを使おう。いい加減頭が痛くなる。何もかもが周到に用意されてると考えた方がいいな。どこまで看破できるかわからないけどさ


 リアンに悪戯王妃を任せて奥を目指す。後ろでちゃんと飲ませたから大丈夫と聞こえた。そういえば何を飲まされたか聞くのを忘れてたな。へんな物じゃないといいけど


 息も切れてきたのか自分の呼吸が荒く感じるし夏の終わりの余韻か気温がやけに高く感じるな


 階段を下りまた進みスロープを上がりハシゴを登る。今どの辺りなんだろうか?かなり上にいると思うんだけど……お、行き止まりか。って事はここが最奥の部屋か


 中を見ろって言ってたからどこかに覗き穴があるはず。


 お、あった。手探りで探すと手に当たるものがあった。これが覗き穴の蓋だとすると壁に差し込んであるタイプの棒か。静かに抜き取る


「あっ!んっ。あぁライト…」


 壁の向こうから俺を呼んだ?誰だ?ってか聞いたことある声だ。


 少し苦しそうな声がしたので覗き込むと青髪の女の娘が、うす暗くなっている部屋にあるベッドに座り込んでいた。

 頬は紅潮し、やや荒い息を潜めるように、しかし視線は宙をただよっている。その間もその手は、ナイトドレスの下へと潜り込んで小刻みに動いていた。


 ルナマリアだ。ルナマリアが一人で……


 「ライトっ……っ……はぁ」


 ヤバい!完全に王妃に嵌められた!全てはこの為か!ルナマリアに仕事を押し付けて後に自由時間を取らしたのも、獣人三人組にトップレスマントをさせたのもから揚げを食べさせなかったの…………は違うか。ラドニー殿や配達女性を緩衝材にして警戒を緩めてからの谷間攻撃は今この時の為だったのか!さらに言うならさっき飲まされたのは媚薬かなんかだろう。さっきから体が熱く一部滾っていて困っている。


 全ての策に囚われた俺はルナマリアから目を逸らすことができない。


「あっ…くっ……夕食を食べてからなん……でこんなっ」


 ルナマリアも盛られているようだ。あの王妃マジで容赦ねぇな。娘をエロくしてどうするよ


 それよりヤバいのは現在の恋人である右手の制御が怪しい。だめだ、それは許さん!恵に好きだと言っておきながらルナマリアで性欲処理をしようなどと絶対に許さんぞ!やめろ!今ならまだ間に合う






————————————


 今は拠点のリビングにいる。零華も鋼介も帰ったらしく今はカミラ、コリー、ユーリカの三人と忍だけがいた。獣人三人は俺の状態を見てぶっ倒れたけどさ。


 あの時なんであんな事をしたんだろうか?確かにあまりの性欲だったけどさ。後で神獣モードになれば再生できるからとか思っちゃったかな?


 なんで右腕切ったんだろうか?馬鹿じゃないか?


 それに自分の右腕切り落としてまで我慢するもんだったんだろうか?血もいっぱい出たから滾るものも治まったけどさ。なんで切っちゃうかなぁ俺。まだ付き合ってないんだしギリギリセーフでいいじゃん


 あ、そういえば王妃が挟まってた壁ぶち抜いて出てきたけど大丈夫かな?修理費とか請求されないだろうか?


 よし、腕完全にくっついたな。ぐっぱぐっぱ……うん、大丈夫だな。これを機に鋼介のアホ呼ばわりを減らそう。うん、今誰が一番アホかといえば間違いなく俺だから


「あ、治った……んだね?」


「ああ。ちゃんと完治したよ。なんならなんか料理するところでも見せようか?」


「いらないよ。どうせ美味しくないし。それより何があったの?そんな大怪我、もしかして魔神が?」


「そうだな……今日の教訓としては王妃に近づくなって事だ。魔神より強敵だった。完敗だ」


 反省と後悔をしながら神獣モードを解く。


 あっ!寝ると恵に会いに行けない。重くなっていく頭にあの時の王妃の声が聞こえた。


「ウフフ、行けたらいいけど……ねっ」


 あの性悪王妃め。幻聴にまで出てくんなよ



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