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祝勝会2——ライト

 くたくたになった俺達はルナマリアとラドニー殿に保護されることになり一旦の安らぎを得た。


 ちなみに女子にやらかそうとした騎士や兵士には拾い上げた小石に雷を流してデコピンで弾いて狙撃した。鎧はもちろん分厚い服であろうと感電し撃ちだした小石によって吹っ飛ばされ今は大の字で地面に寝転がっている。明日にラドニー殿から折檻があろうことを追記しておく。


 調子にのるからだ


 一応落ち着いたものの、それでも話を聞こうと来る兵士はともかく現場にいた騎士が救助の礼に来るのは拒めず、握手したり、名乗られたりで結局疲れてしまった。でもたまにはこういう疲れ方も悪くないな


 葡萄酒に口をつけながら横目で恵を見ると恵もこちらを見ていたようで目が合った。目が合った恵は恥ずかしそうにグラスの中に視線を逃がす。互いの気持ちが同じだったのが嬉しいよな。具体的にはまだ恋人と言うわけではないけどそれなりに満足だ


 先ほどの抱擁と告白を思い出しては顔が熱くなり、照れ、ワインが止めどなく進んでいく。今日は寝れないかもしれない。ラドニー殿と鋼介と飲むか?


 テンションと共に鼓動も速くなる。恵と話したいな……


 立ちあがり恵のいる所へ向かうと一人の男が立ちはだかった。金髪でゴテゴテな服を着たデブだ。金髪も粗末なカツラだ。出っ張った腹に短い手足。全体的に丸い輪郭……やっぱり来たか。ヤーツ男爵


「やっと来たか。此度の戦果は私ヤーツ男爵が稽古をつけてやったからの物だとは分かっておるな?ちゃんと姫様には包み隠さず全て話すのだぞ?この私ヤーツ男爵のおかげだと。いいな?」


 一方的に話すだけ話すと高らかに笑い声を上げ、ラドニー殿に捕まり真っ青になっていた。


 あまり知らなかったけどラドニー殿ってバトルジャンキーらしい。休みに一人で森に出てはハイクラスのオークやコボルトの巣に行って壊滅させてくるらしい。


 そんな相手から今度は儂と一戦やろうとか言われたら真っ青にもなるだろうけど身から出た錆。自分でどうにかしてもらおう。だって魔神を倒した俺に稽古をつけられるくらいなんだからさ


 そんなヤーツ男爵を見送り恵の所へ向かうが先客がいる


「どうしたの?恵?さっきと全然違うじゃん」


 瑠衣に先を越されてしまった。今行くと大変な事になりそうだ。気配を消して後ろにいよう


 さては、何かあったな?と、肉を見つけたハイエナの如く体が密着するほどくっついてくる瑠衣。別に知られてもいいけど鬱陶しいのは嫌だな


「吐きなさい。さぁ、なにがあったのか!」


 瑠衣の目は既に据わっている。完全に出来上がってる。瑠衣も飲ますのは控えた方が良さそうだな


 恵は近すぎる友人から少し離れようとするがこの様子では話すまで逃がしてくれないかもしれない


「ちょ、ちょっと落ち着いて」


「どうしたの?」


 ルナマリアが入ってくる。俺には気づかなかったみたいだけど、かなり飲んでる。いい匂いの中に負けないくらいのアルコール臭を感じた。


「聴いてくださいよ~。この恵の変わりようは絶対何かあったはずなのに言ってくれないんですよ」


 ルナマリアもさっきの恵は見ていた。確かに今の恵はうってかわったかのように違う空気を出しているしな。でもあんな事があったルナマリアにはあまり聞いて欲しくないな


「聞かせて貰いましょうか。教えて貰えるわね?」


 左右を水の使い手に阻まれ炎の使い手は逃げられなくなった。


「そもそも、なんで探しに出たとき、親友の私じゃなく、ライトさんなのよ」


「そ、それは……一番前にいたから……」


 違うぞ恵。あの時一番前にいたのは鋼介だった。俺はルナマリアの横を歩いていたはずだ


 だからコメントに失敗したようで二人はさらに詰め寄ってくる


「だったら飛びついたのは何故なの?」


「こ、転んで…」


 またコメントに失敗したようだ。あの時確実に飛び込んでいたよ。それくらい距離あったし


 肩が左右から押され窮屈になる恵


「さっきライトさんと何してたの?白状しなさい」


「確かに話すだけにしては遅かったわね」


 さぁ、と目が脅迫じみている。特にルナマリアは薄っすら怒ってないか?あ、違う。ルナマリアもいつの間にか目が据わっていた。


「ご……ご褒美を……」


 これは観念するしかなかったよな。よく頑張った恵。


「ご褒美~!」


「ご褒美~!」


 ルナマリアも声を荒げてはしゃいでいる。二人がハモったのには驚いた。周りの騎士も品行方正な王女ルナマリアの叫びには度肝を抜かれたようだった。


 ガッカリしないでやってほしい。酔っ払ってるからなんだ


「それで、どんな?」


「先輩と後輩~!」


 瑠衣は壊れたように叫びだしているし、ルナマリアもこの手の話が好きのようだ


「そ、その……抱きしめて下さいって」


 恥ずかしくて死にそうな恵。誰か助けてやってくれ……おれ?俺が行ったら収集つかないから行けない


「お~!」


「まぁ!」


 両手を胸の前で合わせくねくねと身体をよじっている。二人はもう人じゃないかも……元に戻るかな。恥ずかしいよりもなんだか心配になってきたぞ


「それで、それで?」


 まだ聞くのかよ!


「そのあと、すぐラドニーさんが来て連れてこられました」


 まぁホントはキス未遂があったけどな。さすがにこんな所で攻撃魔法散らす訳にはいかないし恵もなんとか避けてくれた。よかった…


「もう、ラドニー殿ったら……でも私が言ってもしなかったのに……」


 はい、そこ。危険な発言は止めろ


「いいなぁ 私も彼氏欲し~い」


「では二人に……で……な体験でもさせましょうか?もうこっち側に戻れなくなるような……で……な……を……」


 王妃が現れ二人の間に、恵の顔の横に顔を突っ込んで何かをボソボソと呟いた。すると二人はヤーツ男爵のように真っ青になって震えて正常に戻っていた。一気に熱が覚めたようだ。王妃は何を言ったのだろう。恵に至ってはテーブルに突っ伏し頭から煙を上げてる。肉が焼けそうだな


 席から離れていくルナマリアは羽目を外したことを誤魔化すように咳払いをしてるし、瑠衣は王妃に恐れを抱きつつ騎士の品定めをしていた。器用かつ恐れ知らずな奴め


 やっと解放されたが、精神力を大量に消費した恵はワインも飲んでたことも重なってフラフラな状態になった。多分王妃がとどめだったんだろうな。わかるよ。あの人は危険だ


 木陰に向かって歩き出したし、ちょっと休憩でもするんだろうな。俺も行こう


「ライト君、お疲れ様。ちゃんと楽しんでる?」


 ルナマリアとは離れた所でたしなむ程度に飲んでいる零華……とすでに一回目のピークに達して突っ伏している鋼介がいた。鋼介はラドニーに酒豪対決に走り敗北、その結果がこれだそうだ。ヤーツ男爵は近くの地面で死んだように動かない


 こいつら本当に馬鹿だな。俺と違ってアルコール分解できないんだからやめときゃいいのに。もったいないからまだ分解してないけどさ


「ホントバカね……病み上がりなんだからやめとけばいいのに」


 悪態をつくが、結局、零華は彼の介護をしている。鋼介はうるせ~と言い返すが元気はない


「それで?もういいの?恵ちゃんは?」


 鋼介の額に手をあて冷やしながら様子を伺ってくる。零華は大人なようで詮索をする気はないようだ。なんだか安心するよ


「ああ、心配をかけさしてしまったな。でももう大丈夫」


 返事を聞いて零華は「そう」とだけいって微笑んだ。さっきの二人と大違いだな。恵なら恋愛に対してはこうなりたい(二人のようにはなりたくない)と思っただろうな


「復活だ~!いくぜ!ヤーツ男爵!!」


 そういうのは鋼介だ。起き上がってはラドニーを探しに歩いて言った。何仲良くなってんだ?


「もう、こっちの身になりなさいよね」


 愚痴を言いながらも立ち上がった。追いかけるのだろう。後でと言い残し鋼介を追って人混みへ消えていった


「あれ、兄さん、恵さんは?」


 次に話しかけてきたのは忍だ。見た感じ退屈そうにしている。酒は飲んでいないようで素面。流石堅物……じゃなくて真面目


「さっき離れていったぞ。何か用か?」


「ううん」


「そうか。」


 忍はじっと俺をみている。なんだ?


「兄さん」


「ん」


 不意に呼ばれた。神妙だな


「恵さんの事、大事にしてあげてね。それじゃ」


 一方的に話しては忍も人混みへ消えていった


「ちょっ!待て!忍…」


 忍の姿はもうなく、言葉は届く事は無かった


「なんなんだ…」


 夜なので風も冷えている。酔いを覚ましに中庭を歩くと気づいた事がある。地球より空気もいいし見上げると星もある。城下も祭のように明かりは絶えない。


 まるで死者を悼み送り出すかのように繰り広げる踊りや歌


 地球より死が近い分人との絆が消えやすく繋がりやすい世界だ。好きだな。この世界。命の大事さが浮き立っていると思う。


 そんな世界だからこそ自分の気持ちに正直になれたんだろう。うん。きっとそうだ


 そんな事を考えながらパーティから離れ歩いていると訓練所で一人で空を見上げてる恵を見つけた


「ライトさん…」


 俺をみた瞬間から顔から火がでるかのように熱くなるのがわかる。ちなみに俺もなんかどぎまぎする


「ん、あぁ。どうしたんだ?」


 城壁に背を預け立っていた。半分くらいワインが残っているコップを持っている。俺も持ってるしちょうどいい。二人でゆっくりしたい


「あ、いえ、ちょっと静かな所でゆっくりしたいなぁって」


「そうか……横……いってもいいか?」


 俺の顔は赤い気がする。酔っているのか照れているのかはワインによって不明だ。うん不明という事にしよう


「英雄は照れ屋……と」


 風の中に王妃の声が聞こえた気がする。あーあーあー聞こえない聞こえない


「は、はい」


 俺以上に赤い顔をしてる恵もいるしな。気にすることはない。恵は城壁に身体を預け三角座りの形になったので俺も横に座ろう


「「……………」」


 俺も恵も何を話していいのかわからずに黙ってしまい場を沈黙が支配している


「ここ……静かですね」


 数分かけて絞り出した恵の一言だったが、俺は「あぁ」とだけいってまた、黙ってしまった。会話が続かないな。何話したらいいんだ?


「みんな嬉しそうですね」


「そうだな」


 不意に視線を向けて来る恵。チャンスか?覚悟を決めろ俺


「テスト明けの日の夜、時間を空けて置いてくれないか?行きたい所があるんだ」


 テスト明けの日は恵の誕生日だ。詳しく言わなくてもわかってくれるだろう


 明日から準備は始める。後はミスのないようにするだけだ


「はい!あります!ダイジョウブデス」


「そ、そうか。じゃあ迎えに行くから待っててくれ。普段着でいい」


 思った以上の食いつきにびっくりしたけど一応大丈夫のようだな。


「普段着……ですか?」


 誕生日だしいつもより良い服を着ようと思ってたのかもしれないけどそれじゃあサプライズの威力が減ってしまうからな


 何故と恵が何か考えていると邪魔者が来た。なんでみんな邪魔するんだ?


「いたいた、ライト。今、腕相撲大会やってんだぞ。来いよ」


 来たのは鋼介だ。誰よりも満喫しているようでハイテンションなのは言うまでもない。呂律がいまいち回っていないが明日の学校は大丈夫だろうか?二日酔いで学校はマズイだろ。


「はやくこいよぉ」


 断っても引っ張られていくだろうな


「仕方ない。行ってくる」


 俺は立ち上がりワインを片手に恵から離れ数歩、歩いた所で止まり振り返る


 もう一度念押ししとこう


「医務室でいったこと……嘘じゃない」


 振り向き様に投げたセリフに恵は固まらざるをえなかったようだな


「なんらよ?医務室でいったことって?」


 呂律が回らないほど飲むな。全く。酒癖悪いな。マジで


「飲め。飲んだら教えてやる」


 嘘だ。持っていたコップを渡し飲ませる。鋼介は飲むと忘れる節がある。馬鹿だし。さらに話題を変えることで綺麗さっぱり残らないはずだ


「ところで、勉強の方はどうなんだ?まだ途中だろ?」


「んぁ、れ~かが学校終わりにおひえるっていっへた」


 鋼介はギリギリで正常だったようで飲ませたことで、また酔いが回ったらしい


「それよりうへずも~たいはい(腕相撲大会)にでろ~。ラほニーさんにかってくれぇ~」


 聞くと酒豪対決に2敗、腕相撲で1敗、負け越しているようだ。あの人ザルなんだからやっちゃダメだっての


「む、来たな!ライト!儂が相手だ」


 騎士達をかき分け輪に入るとその中心に樽、それに肘をかけているラドニー殿。なんでやる気満々?


「勝ったら例の計画はすべて儂が金を出してやろう。負けたらこのキツい酒を飲んでもらう。するとどうなる?」


 指をさされたのは鋼介


「そうなる」


 なるほど、ここまでなっているのはこれが原因か


「よひ、いけ、ライトぉ」


 観客達が盛り上がる。引き返すと言う選択肢はないようだ。みんな俺大怪我したの忘れてない?


「本気でこないと、また腕が痛むぞ」


 ラドニー殿は紋章の事を言っているらしい。確かにラドニー殿の拳は紋章発動状態の俺に届きそうだった。


「わかりました」


 手袋を深くはめ、右手はラドニー殿に合わせ、左手は樽の縁に。審判役の騎士が手を添えると二人の顔を交互に見て叫んだ



「レディー…………ゴー!」


 声と共に紋章を解放、いっきに押しやろうと握る手と右足に集中させた


「ほう……鋼介よりバランスがいいな。しかし……まだまだぁ!」


 少し傾いたところで踏ん張りを効かせ止めた。傾いたのは力を出し遅れたためだ


「まだまだそれでは勝てんぞ」


 ラドニー殿の右腕の筋肉が盛り上がりゆっくりと押し返していく。そのまま俺側へ倒し始め、半分を越した時、足を開き樽を持つ手に力を込めた


「まだだ」


 紋章を全開に押し返すがここまでで拮抗状態に。あとは根気の勝負だ


「ま……さか、儂と互角とは」


「まけられ……ない」


 お互い力いっぱいのまま話すので声は途切れがちだ。二人の左手が樽にめり込み、樽の周囲を固定している枠の部分がミシミシと鳴り始めたがどちらも引かない


 そして、音がする。二人の力に耐えきれず砕けてしまったみたいだ。でも支えをなくしたけど俺達は、まだ手をほどかなかった。空中のままオレ達は続行した


 あ、ヤバイ。腕がプルプルしてきたぞ。このままじゃ負ける。いざという時はイクスで……


「そこまで」


 この声はルナマリアだ。騒がしくし過ぎたのかもしれない。騎士は避けルナマリアの道を作る


 助かった。いや本当に。なに腕相撲で神獣呼び出そうとしてんだよ全く。危うく馬鹿な大人になるところだったよ。そんな大人修正してやるとか言われたくないからルナマリアの登場は助かる


「今回は引き分けよ。いいわね」


 ルナマリアが言ったことで、ようやく俺達二人の手は離れた。


「わかりました」


「う、うむ」


 なんか居心地悪いな。あと鋼介、人を引っ張り出しておいて何ヤーツ男爵と男飲みしてんだよ


「ところで、喉が渇きました。あら、良いところに…ん」


 手に取り、ほぼ一息に飲んでしまう。飲んだのはもちろん罰ゲーム用のキツイ酒だ。大丈夫なのか?


「ぷはっ…ひっく」


 ルナマリアを覗くともう真っ赤だ。まぁ無理だよな。見るからにキツそうな奴だったし


 様子を窺いルナマリアの顔を覗き込むと目はとろけていた。なんかエロい。やったあとみたいだ。やったことないけど


「英雄は妄想族」


 くそぅ……王妃はどこにいやがる。いやそれよりルナマリアだ。一瞬目があったかと思うと直ぐに後ろ向きに倒れそうになった。まぁラドニー殿が支えていたからたおれなかったけどなんてキツイ酒を用意したんだ


「おっと、姫がこれじゃあお開きだ。皆、後片付けしておくのだぞ」


 ラドニー殿はルナマリアを抱いて城内へ入っていった。ルナマリアが退席したことでやっと祝勝会が終わった。この分だと今日はもう起きてこないだろうな


 ラドニー殿に挨拶してから帰ることにしたのだが、まずは皆を探さないといけない。あと王妃には一言言わなきゃ気が済まん


 バラけすぎてわからないけど腕相撲を見てた鋼介はいた。ヤーツ男爵は酔い潰れてるしほっといていいだろ。頼んでみるか…


「鋼介、中央階段に皆を集めておいてくれ」


「ほ~い」


 ……駄目だな。最初に見つけた仲間に任そう


 辺りは片付けをする人間でごった返している。何をすればこんなにごちゃごちゃになるんだ?


 隙間を縫うように歩き、まず見つけたのは瑠衣だ。鋼介に頼んだ事を頼むと、敬礼のポーズを取り走っていった。瑠衣はまだ平気まともそうだな


 瑠衣を見送り、しばらく壁伝いに歩いて喧騒から離れた場所にくると小さくじっとしている女の子がいる


「恵?」


 三角座りで頭を横に向けじっと動かない


「寝てるのか?」


 反応はない。耳を澄ますと『すーすー』と聞こえる。完全に寝ているようだ。涎が垂れてる。そんな抜けた顔も可愛いな


 涎を拭き、折り曲げられた膝に手を入れ持ち上げる。二度目のお姫さまだっこだ。俺も慣れたようだな。起こさず抱きかかえ中央階段へ向かう


 途中、後片付けをしていた忍を見つけ帰ることを告げる。恵を抱える俺を見て何か言いたげだったのが気になる。もしかしたらされたいのかもしれないが、俺は妹にする気はないし、そういう趣味もない。他を当たってくれ


 次に見つけたのはリアンで、彼女には荷物を持ってきて欲しい事を伝えると、とりあえず片付けを中断し俺達を優先してくれた。そっか初めからメイドに頼めばよかったんだ


 それにしても本当によく動く娘だ。彼女がいた周囲だけは綺麗に纏められている


 そこから引き返し中庭中央にくるが、まだまだ食器やテーブル、人間が散乱している。酔いつぶれた兵士を避けて通るのには苦労したがなんとか階段前に到着、みんなも集まっていた


 恵と鋼介はもう寝ているし瑠衣も欠伸をしている。零華と忍だけが普段通りだ。今後は二人に後始末を頼もう。


「ライト君、あとは荷物が来たら帰る準備が終わるわ」


 リアン待ちのようだな。彼女なら10分もしないうちにもってくるだろう。今の内にラドニー殿の居場所を探すことにした


 新しくできるようになったイクスの知覚能力を真似をしてみる


「………」


 イクスとは違い時間はかかるし、はっきりは分からないが目星は着けることができた


「ルナマリアの自室に居るみたいだ。このままここにいれば降りてくるな」


 恵を階段に寄りかからせるように下ろし鍵を取り出した。ほどなくリアンが俺達の荷物を一人で抱えてくる。どこにそんな力があるのだろう?


「お待たせ致しました」


 一人一人に渡し、荷物がなくなると、礼をして後片付けに帰っていった。荷物を運ばないといけないから酔いを醒まそう。体内に微弱電流を流してアルコールを分解して体調を平常に戻す。これやるとトイレが近くなるんだよな。うぅ……


「おぉ、お主ら、今日は帰るのか?」


 ラドニー殿がドシドシと音を立て階段を降りてくる。あれだけ飲んでこの人はなんで素面なんだ?


「次の予定は葬式と即位式だ。覚えておくのだぞ」


 零華は手帳を確認しては戻していた。今後も段取りは彼女に任せようと思う


「あと、来られるようならルナに会いに来てやってくれ」


「「はい」」

「はぁい」

「わかった」


 そうだ、とラドニー殿


「討ち取ったバルクティンの遺体は地下室にある。倒したという証拠になるからな。他国の王達が見に来るはずだから、そのあと燃やそう」


 燃やしたりしたら治らないだろうか?バルクティンは熱を吸収するのだ


「じゃあその時に」


「ああ、ではな」


 俺にだけ違う視線を飛ばす。ラドニーが考えているのは例の計画だろう。視線を返し合図して、ゲートを開く


 俺は恵を抱き上げ零華は鋼介を起こす。みんな滞りなく通り最後に俺がゲートに入った。帰り際にルナマリアの顔が見れなかったのは残念だったが数日後には来ることになる。その時また話せるし今は寝かせておこう。エロ顏はインプットしたしな


「それじゃ、ルナマリアによろしく」


 そういってエルゲニア王国を後にした。7月初旬の冒険はこれで終了、恵の誕生日を企画しつつテストに励むことにした



 あっ!王妃に文句言うの忘れた!

エピソード的な話3です

誤字脱字・感想あればお願いしますm(__)m

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