本音——ライト
恵の容態を確認し、安心したところで部屋を後にする。城下の事はしらん。まぁ顔写真とかはばら撒かれてないしルナマリアの騎士団って言ったって新設だしわからないだろう。何より行動できる体でもないしな。やれることをやろう
というわけで次は執務室を訪れる事にした。もちろんルナマリアに会うためだ。さっき話しても良かったけど紙とペンが必要だし、見ていた人間の客観的な面も必要だからだ
何よりそんな雰囲気でもなかった。いや、すごかったわ、今でもルナマリアの裸体は記憶からすぐに引き出せてしまうくらいだ。
……違う。こんな所で俺は変態か……あと王妃は帰ってください
気を取り直して扉を開く。護衛の兵は後で殴る。今でも狙われる可能性あるだろうが
作業中だったルナマリアも俺を見て急いで立ち上がった。もう平常運転なのか……俺は目を向けるのも照れるのに
「ちょっと、さっき安静にって……」
ルナマリアは立ち上がり止めようとしてくるけど触らずあたふたするだけだ
もしかして恥ずかしがってるのか?
よかった。俺だけだとなんかズルいと拗ねるとこだったよ
さ、ちゃんとやろうかな
「報告書を書きたいんだ」
心配するルナマリアの言葉を遮り自分の思った事を話す。今回で魔神の戦い方が分かった。どこの王国にもない魔神の対策法をエルゲニアは持っている事になる。まぁ魔神と戦う機会がなかったんだから他国が持ってないのも当たり前だな
だからと言って一国で独占するのは余りに利己的過ぎるよな。世界が危ないって時にそれはない
「そうね。お願いするわ」
ただし、疲れたら終わることと釘を刺された
「ルナマリアは見たか?あの時の俺の剣を?」
白く鈍く光る剣、神殺しの聖剣エクスカリバー
「ええ、いつものとは違ったのを覚えてるわ」
ルナマリアは双眼鏡を持っていたからな。あの距離なら見えた事は間違いない。トランシーバーもあったからもしかしたらエクスカリバー生成の話も聞いたかも知れなかったけど……その心配はないみたいだな。聞いていたら今頃怒られていたところだな。きっと
「あれは神の獣と契約を交わして出来た物。エクスカリバーだ。神さえ斬れる……が、それは見なかった事にしてくれ」
「どうして?」
「あれは、俺しか使えない。それに……とにかく、周りには言わないで欲しい」
言葉を濁した所が気になったのだろうな。疑問な顔をしてる。けど使うたびに右目から色がなくなり左目の視力が無くなるからなんて言えない。正直どれだけ減ったか分からないけど失明はやっぱり嫌だしな
「分かったわ。ライトが言うなら何か理由があるのでしょう」
「すまない」
どの国にも戦いに行くが、それを知っていれば自分の国を助けろって言われるのは目に見えてる。順番を狙って争うかもしれないのでは本末転倒だ
「そういえばマウリー伯爵は?」
「城下で酒でも煽ってるのではないかしら。兵士を何人も失って、自分は気を失っていたという間抜けな噂が流れたから」
気絶させたのは俺だったけど結果的には間違っていない。相当な汚名を受けてしまったようだな。身の程知らずめ。ふっ。おっと……人の不幸を笑ってしまった
「そうか、なにか言ってきたら今度こそ叩き潰すって言っといてくれ」
「たぶん、もう何も出来ないでしょう。あなたは英雄なのだから」
「英雄……か」
嫌な称号を思い出してしまった。裸の娘に迫られて鼻血を出しながら気絶した童貞英雄……だったか。王妃め
「そう、英雄。あなたはこの国の人間じゃないにせよ、もう歴史に残る功績をあげたのよ」
また大袈裟な
「こういうとなんだけど貴族からのお近づきには気をつけるようにね」
「わかった」
力があったり権力者だったりすると寄ってくるアレだな。いつかのエリャソーナ・ヤーツ男爵あたりが私が稽古をつけてやったから……とか言ってそうだもんな
「それはそうと私もあなたと肩を並べられるくらい精進しなきゃね~。止まってるよりは前に進んだ方が父様も喜んでくれるだろうし」
引きずるのを辞めるのは意外と難しいのに数日で立ち直ったルナマリアもすごいと思う
「でも、次はあなただけに負担はかけささないわ。もっと魔法の修行をするわ。そうね……あなた達と一緒に戦えるくらい。……まずは国民を守れるくらいになるわ」
目から陰りは消え今は真っ直ぐ先を見据えている。ルナマリアの言葉は守られる事を望んでいない。望んでいるのは共闘
「そうか」
「そうと決まれば今日は祝勝会よ。父も喜んでくれるわ」
「お、おい」
「今日は仕事は終わりよ」
書類を撒き散らし部屋を出ていくが開けた扉の向こうにラドニー殿——これまで通り様で呼んだらもっと気さくに呼べと言われたけど……そりゃ無理だよな。失礼過ぎる。それで無難にラドニー殿にした——が仁王立ちしていた
「ラドニー様……?」
目を瞑ったまま動かない。ラドニー殿
「きょ…うは…」
仕事を放り投げたルナマリアはたじたじ……でも助け船も出しようがない。だって仕事放棄だしさ。あと微動だにしないのも怖いし
「………」
「きゃあ!!」
突然脇に手を差しいれられ持ち上げられたルナマリアはそのまま連れていかれた
「な、何をなさるの~。下ろして~。ライト~たすけて~」
某ゲームの桃の姫よろしくさらわれていく。仕方ないので追いかけることにした
動くの凄く辛いんだけどな……血が吹き出してもしらないからな。絨毯汚してリアンに怒られても知らないぞ。
執務室からでる二人をおって廊下に。零華と瑠衣が先に行って二人の進む道を教えてくれた。着いた先には階段か
誰か……エスカレーターを作ってくれよ。死んじゃうぞ、これ
「……れ……零華」
助けてもらわないとこれは無理だろ。あと瑠衣はチビすぎて無理。代わりに忍の肩を借り何とか三階へ
ルナマリアの抱えられた足が見えた。ラドニー殿、一国の姫を荷物運びはどうかと思うんですけど
行き先は謁見室か。追いついた時二人は玉座の後ろにある階段の前だ。こちらを気にせず登っていく
また階段か……天国への階段じゃなければいいけど
「こっちは父様の……」
再び追いついた時俺はもう動けなくなった。帰りは誰かに引きずってもらうしかないな
「ルナが一人前になったら渡すものがあると聞いていてな。さっきの言葉を聞いて確信したぞ」
ラドニーについてルナマリア、零華、瑠衣、忍、最後に俺が階段を進む
階段が終わり短い廊下に一つの部屋がある。皆俺が到着するのを待ってくれてた。ラドニー殿が開く扉は今は亡き王の寝室だ
ラドニー殿によれば二人は酒を交わす仲だったそうだ。ある日の酒の席で話していた先ほどの言葉を思い出したらしい
「え?」
あるのは普通のベッドにテーブル。中身の多くないクローゼット。不自然に大きな箱が1つ
「なんで……こんなに質素な……」
「王はな、名誉や富みより皆の平和を気にしていた。貧民に施しを与える為の資金集めに私財を売りに行かされてな。苦労したぞ」
娘のルナマリアでさえ驚いているその顔を見て楽しそうに話すラドニー殿
それより誰か水を……
「それでな、去年くらいか……娘には何もしてやれてないとぼやきだして、最低限を残して処分した」
部屋の有り様を見れば話が本当だと分かる
「ルナ…開けてみろ」
部屋にある異質な雰囲気を出す箱を指差すとルナマリアは何も言わず箱の前に立ち、手をのばす。箱は観音開きのタイプだ。取っ手を掴み引くとキッと小さく箱の擦れる音がなり、その閉じていた口を開くとそこにはマネキンが1つ
身に纏うのは一着のドレス。白を基調として、胸元は大きく開き、肩には純白の鳥の羽根を模した飾り。腰には宝石を散りばめたラインがウエストを強調。二の腕まで包むグローブ
「ルナ、お前の物だ。夜の祝賀会で着るといい」
「父様……ありがとう」
柔らかくマネキンを抱きしめ父の愛情のこもったドレスに顔を埋める。ラドニー殿はうんうんと頷くと今度は俺を掴み階段を降りて謁見の間にくる
結構強引なので痛いが助かるな。しかもラッキーな事に途中給湯室があった。残り少ない魔力で磁力操作。銀のポットを引き付ける
——んぐんぐ……ぷはっ。あぁ……助かった
「ライト!お主には感謝している。ルナの心はお主等のおかげで立ち直り、前より成長した。これから先、よい女王になるだろう……後は……」
何か言おうとしているのだが横目で見ては唸り、口ごもっては頭を掻く。
「私から言いましょうか?」
王妃!いつからいたんだ。っていうか今度はラドニー殿に何か吹き込んだのか?
「ずばり言おう。王になる気はないか?」
オイオイ唐突に切り出し、とんでもない事を言ってきたな。いや、まさか王妃がルナマリアの言ってた事をするとは……。まあ魔神を倒せた戦力である俺達を逃さないためなんだろうけど。そこまでやるのか?
「お主等は違う世界の人間だが、儂の養子になれば……ルナと」
ルナマリアと結婚してこの国の王に?
「それはできません。ラドニー殿が嫌いだとかルナマリアが嫌ではありません。むしろルナマリアは……王女に対してこう言うと不敬なのかもしれませんが好意をもっています。でも」
ルナマリアは成り立ての友人だ。ちょっとエロいことになりかけたけどな。今後の為にも今は友人の方がいいだろ。一目惚れに近い感情を持ってるし、ルナマリアは確かに美人だし、聡明でもある。何不自由のない、満ち足りた生活を(性的にも)送れるだろうけど
それでも俺は……。零華達はまだきていないな……ふぅ。まさか俺がこんな事を言うなんてな
「俺は恵が好きなんです」
はっきりと口に出していった。ラドニー殿はがっかりしたが、すぐに笑顔になった。王妃様が無反応だったのが不気味ではあるけど
「そうか、いや、すまん。今のは無しにしてくれ。だがな、困った時はなんでも言ってくれ。出来る限りの力になろう」
えっ本当か?
「じゃあ早速…」
「早速だな!」
ラドニー殿に突っ込まれた。驚いたけど気を取り直して話す姿勢をとる。今から話すのは数日後の話だ。せっかく力になってくれそうな人がいるんだから頼むよな
「なんだ?言ってくれ」
――――――――――――――――――
「…ってしてみたい。できるでしょうか?」
「わかった。ライトの頼みなら無下に出来んしな。いいだろう」
「なんの話~」
零華達三人が階段を降りてきた。今の話は聞こえていないようで探りを入れてくるがパス。今何か喋ったらとんでもない事になりそうだもんな
何でもない→怪しいの繰り返しを数回続けていると階段の上からカツンカツンと降りてくる音がする。誰の足音かはわかる。今、上にいるのはルナマリアだけだからだ。階段から覗く足は心地好いリズムを刻み、それに合わせてドレスも揺れる
さらに降りると腰元の宝石が光を反射し目を引き、開いた胸元と肩の白羽の飾りが色っぽさと高貴さを醸し出している。頭は冠を耳にはイヤリング。赤い口紅がされていて完全武装な……レディーってやつだな。どこに出しても恥ずかしくない所か自慢できるだろう
「ほう、よく似合っているじゃないか」
ラドニーは顎に手をやりルナマリアを眺めた
「似合ってる」
「ライト君、もう一回」
びしっと指をさされ思わずびっくりした。もっと他の言い方があるだろうといっているのだろう
「ん、その、綺麗だ……ドキドキする」
俺も男なので正面から見てしまうとどうしても目が『そっち』に向きそうになるが自前の精神力で拒否する
っていうかさっきばっちり拝見しました。ありがとうございました。
「ありがとう、ライト。嬉しいわ」
柔らかい笑みを浮かべ頬を赤く染めた。零華もルナマリアの反応に満足したらしく、それ以外にクレームはなかった。瑠衣は脇腹を肘でつついてくるが頭を押して距離を開ける。「タラシの素質がありますね」などと言ってくるが知らん。無くて結構
忍はルナマリアを羨ましそうに眺めている。着たいのかもしれない
「そろそろ城の男共が戻ってくる。ルナは一度自室に戻ったらどうだ。お披露目は後の方が盛り上がるからな」
謁見の間の窓の外から馬や人の声が多数聞こえる。戻ってきた兵士達は戻るやいなや急いでバルクティンの遺体が安置されている中庭の一角へ走っていくのが見えた。晒すってのはどうなんだ?あれだけ戦った相手だしもうちょっとこう……とにかく、地下室にでも移すよう言っておこう
戻ってきたあれだけの人数で噂を広げれば夜には知らない者はいないだろう。写真がないのが救いだけど
……俺は悲しくなった。出歩くのやめたい。脱英雄!引きこもりラブ
その後、結局ラドニー殿に担がれ医務室へ戻された。俺は忍の監視の下ルナマリアが来るまでベッドからだしてもらえなかった。ベッドに戻された時激しく咳き込んだからだけど、監視レベルはちょっと……トイレすら入口で待機するもんだから出るもんも止まったよ
途中、鋼介が起きてきたので祝勝会の話を伝えてやるとご機嫌な顔を浮かべ医務室から出ていった。左腕も相当ダメージあったけど右腕ぽっきりいってたよな?なんでそんなに元気なんだ?
しばらくして、ラドニー殿によって鋼介はベッドへ投げ込まれ、今度は零華によって監視されることになった。逃げようとすると手足が凍らされるので流石に逃亡することはなかった。テンプレを知らんのか。そこは逃亡してOSIOKIされるべきところだろうに。俺はしないけどさ
驚いた事にこいつ肋骨二本おれてたらしい。やはり馬鹿はすべてにおいて鈍いのか?
暇で仕方ないので魔法の勉強でもしてよう。やっぱりいろいろ使えると便利だしな。忍もそれくらいならとルナマリアから借りてきてくれた。借りてきたのはいいけど瑠衣まで借りてこなくていいのに
あ、こら。俺が読むのに持ってくな。恵がいないから好き放題だな。
オイオイ……ベッドで飛ぶな。跳ねるな。子供じゃないんだ。ベッドに入るな。添い寝しようとするな。子守唄もいらないって
首元を掴みベッドから下ろす。ったく……静かにしてくれよな
……………
恵はまだ起きてこない。声が聞きたい
エピローグ的な物1です
やっぱりライトも男なのでエロな思考の持ち主です
そっち方面の記憶力は半端ないです
今はむっつりDTですね




