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決闘騒ぎ——ラドニー・グリンセル

「会議、終わらせてすまない。あれは騎士ではないと判断した」


 ルナマリアを見て膝をついて挨拶と謝罪をする


「いいわ、どうせ批判と中傷しか喋らない連中だから」


 ルナマリアと対等に話しているのを見てわかった


「ライトとやら。お主がルナを助けてくれた者だな。軍団長として礼を言おう」


 軍団長ラドニーと名乗る


「輝山ライト。姫が新設された妖精騎士団団長を任されている」


 後ろにいる5人を簡単に紹介して最後に握手をした。瑠衣との差がすごいな。小人と握手してるかと思ったぞ


「今の内に言っておく。今回参加した人間は全治1ヶ月は覚悟するようにいっといてくれ。加減はできないしここにいた貴族にはしない。それから北の大平原といったがそこから北西にさせてもらおう。正々堂々が騎士だからな。マウリーの性格からすると必ず罠をしかけてくるだろう」


「あい、わかった」


 笑顔で握った手を離し拳を向けるがあっさりと受け止めるライト。手が顔の近くまで押し込まれたのは驚いたそうだが儂も驚いた。普通に受け止められるとはな


「ライト。お前さんを信じよう」


「ありがとう」


 受け止めた手をおろし向き直るライト


「ルナマリア。ラドニーさんは信頼できると思う。世界の今後を話しておいたほうがいいだろう」


「分かったわ。ライトが言うよりは私が言った方がいいわよね。信憑性とかもあるし」


「よしこれで以上だ。四人はこれからルナマリアの護衛をすること。鋼介は自由にしていい」


 四人はなんとなく敬礼の形をとり鋼介は少し嬉しそうだ。自由時間が少ないのか?そんな事をしてると部下は着いてこんぞ?ん?テストの為?


「姫様。私達を自分の回りに置けるように着替えをください。このままだと不自然ですから」


 零華を護衛のリーダーに任命すると気合いを入れ軽く顔を叩いていた


「ライト、リアンに言って部屋を用意させるわ」


「わかった(酒は明日だな。ちゃんと付き合うから怒るなよ)」


 近くに立っていた鋼介は楽しみを延期されると拗ねたような顔をする。ふむ、明日なら儂がいい店を紹介してやるか


「(絶対だぞ)」


「明日ならリザードマンの唐揚げ付きだ」


「おっ!マジかよ!美味えよな。あれ」


「他の調理法も考え中だが確かにアレは絶品だった。店頭売りの奴とは比べもんにならないよな」


「私もよばれるわね。忍、マヨネーズはまだあるわよね?」


 ルナも食べたことがあるのか?何なんだ?唐揚げとかマヨネーズとは



 話し合いが終わりルナ達が部屋を出ていくと部屋には儂とライト達が残された。トランシーバーとやらはライトと零華が持つことになったようだ。何かあればすぐに連絡できるらしい。我が軍にも欲しいものだ


「さて、どうするか」


 女達が出ていった扉をぼんやり眺めているとライトが言った


「む、お主ら時間があるのか?どうだ?訓練でも見に来んか?」


 鍛練場へ誘ってみる。顔は興味はあると言っておるぞ。ついでに探りを入れてみるか。脳筋と呼ばれる儂だが善悪くらい判断はできよう




 一緒に歩いてみて思ったのは、なんと普通な事か、だ。別に特殊な訓練を受けただとかそんな感じは一切ない。ただ普通な青年だ。

よくジェネラルリザードに勝ったもんだと思う。


 普通だからこそルナも心を開いているのかもしれんな……


 話していると、父親に似たような気持ちを持っているのが伝わってくると言われた。否定はせんよ。確かにそういう気持ちはある


 生まれた時から見てきたこと。初めて自分の名を呼んだ時の事。初めて魔法を使った日の事を色々話した。懐かしいな


「あとは女王に即位して、よい男に出会ってくれたらな。それだけで儂は嬉しい」


「………」

「………」


 二人の沈黙に気付き話を止めた


「ルナには内緒にしてくれ。恥ずかしいからな」


 頭を豪快にボリボリと掻く。いかんな。儂も初めての相手だからか弛んでいるな


「分かりました」


「了解」


 まぁ問題なさそうだな。告げ口するような奴ではないか。


 移動の時は何かと中央階段を利用するようだ歩き慣れた道を進み階段前にくると騎士がいた。


 うむ、がんばってくれよ。ルナが怪我せんようにな


「ラドニー軍団長!お疲れ様です!」


 ライトを見て口をへの字に曲げた。気になるが口を出さない


「また貴様か…?なぜ姫や軍団長と肩を並べている?」


 ライトを睨むような視線を向けてくる


「(知り合いか?)」


「(今朝ちょっと)」


 上半身だけ寄せ小声で話す。あれだけ、手も足もでず、恵にまでやられては少しはへこんでしまうはずだけど…だそうだ。


 恵っていうのはライトの横にいた髪を上げていた娘だな。うむ、覚えておるぞ


「知らんのか?城が襲われ近衛兵が全滅したこと。その魔物と戦って勝ったのがこのライトだ」


「じゃあこの男に勝てば近衛兵よりも強い事になりますよね」


 ポジティブなのはいいが何かしらケンカ腰なのが気になるな。朝の事は覚えていないのか?それとも何かあったのか?ライトの嘘なのだろうか?


「貴様のような奴に遅れをとっては我が恥だ」


 嘘ではない……か。


「今度にしてくれ。今日は見学だけにしたい」


 ライトは相手にせず流すので騎士は怒り一歩踏み出した。いかんな。この流れは


「名乗れ」


「……輝山ライト」


 呟くように名乗ったが十分聞こえたようだ

なぜなら


「輝山ライト。お前に決闘を申し込む!!!!」


 大きな声で名前を呼んだからだ。面倒を起こすなと言いたいがライトの実力を見れる機会でもあるな。


 近くで作業していた騎士やメイドは大きな声に一斉に振り返った


 手につけていた手袋をライトに向かって投げつけ決闘の様式をとった。


「面倒だ、断る」


 見るのもうんざりと思ったか目を瞑るライト。さりげに手袋も避けてる


「なっ!」


「鋼介、運動していいぞ」


 鋼介に向き肩に手をかける


「こいつに勝てば相手をしてやってもいい」


「逃げるのか!?」


「はっきり言う。アンタは俺達の誰にも勝てない。無駄なんだ」


「いいじゃん。ま、肩ごなしにはなるだろ。ラドニーさん、いい場所はないっすか?」


 こやつはこやつで好戦的だな。ライトはめんどくさがり、と


「しかたない。修練所に行くぞ」


 やれやれとばかりにため息をつき三人を引き連れて一階に降りていく。全く今の若いもんはすぐに決闘決闘と叫びよるわ。そんなにむやみに人殺しになるもんではないぞ。その点このライトはいい方だ


 本当に面倒なだけかも知れんがな



 中庭をでて西にある建物に向かうとすぐに勇ましい声やぶつかるような音が聞こえてくる


 決闘、それは修練所に隣接されている木の杭に囲まれたスペースで行う事にした。儂の声に鍛練に励んでいた兵士が一斉に集まりこれから始まる催し物について聞くと不謹慎だが賭け事をはじめ出す


 とはいっても賭けるのは金ではなく、酒の奢りを賭けてだぞ。儂が主催であったからできることだ。今いるのは儂の隊といくつかの歩兵団だな


 何故か儂の隊は酒好きが多い。儂が周りから恐れられる程の酒豪であったからなのか……?今の酒は昔の酒と違いそれほど強くないのに皆儂についてこれん……軟弱な……


 まぁいい


 兵士達はだいたい騎士にかけるので、倍率の高い方に儂はかけた。高い方は鋼介


「ライト、俺にかけとけ」


 ライトにワイン一杯分の銅貨を投げている鋼介。それを受け取り儂に渡す。ライト自身は金貨の詰まった財布を渡してくる。金貨100枚だと?どんだけ鋼介が勝つことに自信あるんじゃ。あと意外と金持ってて使い方荒いな。また一つ……いや二つライトについて分かったぞ


 しかし掛けの倍率が逆転してしまうな。支払いは大丈夫かの……


「さて、今宵の酒の肴も出来たことだし、始めるか。」


 賭けの受付を終え、兵に場を開けるように支持する


「ノックアウト、致命打で敗けだ。判定は儂が下す。いいな」


「はい!」


「うすっ!」


 二人とも返事はいいが、無茶はするんじゃないぞ


 さてと、観戦する前に互いの得物を見ておくか。鋼介は手甲だな。どこで手に入れたかは分からんがかなりの業物だな。鋼介に合わせるような大きさだから特注品か


 この大陸にあんなものを造れるやつがいるのか?是非儂も頼みたいものだ


 ただ、どう持ち運ぶのかは困ったらしいな。ちょっと邪魔のようだ。腰に結びつけている


 愛用の武器に両手を納め左右から拳を合わせるように打ち気合いを入れる


 対する兵士は既に用意が終わっていて素振りをしていた。練習用の刃を潰したものだが、…さて


「恨みっこなしだ 初め!」


「第12歩兵団所属!リカルド・ニンバス行くぞ!」


 ニンバスは名乗りながら走っていった


「妖精騎士団。騎土鋼介よろしくな!」


 気の抜ける挨拶だな





 勝敗は一瞬だった。向かってくるニンバスの一振りをよけ、強烈な右ストレートをみまいそれで終わった。やつはきりもみしながら客席に吹っ飛ばされ、観戦していた兵士を下敷きに気絶した


「ん?やりすぎたか?」


「ほう、なかなか!」


 儂は拍手を送り鋼介に近づくとその腕を上げた


「鋼介の勝ちだ。異論はあるまい。さぁ訓練再開だ。勝ったものは張り切れよ」


 酒がうまいからなと大口あけて笑っていってやった


 ついでにリカルドを医務室に連れていくのを忘れるなと付け加えた


 王の死を忘れているんじゃないかと思わせるような笑い声をあげた。本当はそんな気分じゃない。儂だとて辛い気持ちはある。儂なりに城内、まずは身近な兵達を元気づけてみようとやっておるつもりだ


 ライトは会って間もないのに「どこか寂しそうですね」などと言ってきおった


 見抜くもんじゃないものもあるぞ


「さて、二人とも。見学は明日に支えない程度にしておけよ。儂にも用事があるのでこれでな」


 それだけいうと儂は修練所のにはいり、気をまぎらわせる為に書類と戦う事にした


 …………次は負けん


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