柱を目指して——ライト
昼食も終わり教室に戻る前に1年の彼女の教室を覗く。他の友達と話しているみたいだったがこっちに気が付くと小さく手を振ってくれた
手をあげ挨拶、目線だけでさっきの事をやり取りしてから、そのまま階段へ。離れる教室から1年の黄色い声がわいていた
なんか小学生?がいたような気がする
食べ過ぎの胃を適度に労りつつ階段を上がり三階へ
教室前に戻ると待ってたのは鋼介と零華だった。
交流がない二人との集合にクラスメートが不思議な物を見る目で見てくるが無視だ
「やっと戻ってきたか。待ちくたびれたぞ」
二人は教室を出入りするクラスメートの邪魔をしない場所に向かっていく。というか俺の席だ。二人は前の席と隣の席をとり座った。話すことがあったので2人と向き合う
さてと…先に昨晩の2人の起き方について聞いておく
昨晩は最初に俺が、次に零華、最後に鋼介が起き向こうの世界からいなくなったみたいだ
起きてたのに起きたは変だけど、ベットからって事だ。
最後まで見てた鋼介によると一瞬輝くと細い光の筋になり消えていったという
そして、二人もかなり移動したのに疲れてない風にみえるな
次いでさっきの話から星の黙示録以外の話をすることにした。彼女の事、夢の事、柱の事…あとゲストがどうとかだったな
聞いた二人はそれぞれ真剣に、適当に聞いた。適当なのは、もちろん鋼介だ。コイツが真面目に聞くとかあり得るのか?
「だから今日中に柱に着くことにしよう。可能な限り速くな」
これで話は終わりだったつもりだけど鋼介がガッカリした顔をしているので、めんどくさいが聞いてみる
「ライト。とても重要な事を忘れてるぞ。なぜ忘れるのか逆に教えてくれ」
鋼介は凄く悲しい顔であり憐れむ顔で見つめてくる。鬱陶しい
「その子の名前を何故聞かん…」
うん。どちらでもよかったな。次からは無視しておくか
「今日聞けば分かる。まだ信じていいかどうかがな。」
そうこうする内に零華が時計を見ると昼休みが終わりそうだと教えてくれた。自分の席に戻ろうと椅子から腰をあげるが俺を見て止まる。制服に何かついているのを見つけたみたいだ
「ライト君、肩にゴミついてるよ。なんだろう?メモだわ」
くっついていたメモには「制服のポケットになんか入れてから寝てください」と書いてある
食堂からしこまれていたらしいな。そういう小細工にしてもよくやるよな
――――――――――――――――――
学校も終わり、帰宅。忍との夕食もすぐに終わった。というか、気になって授業も夕飯も記憶に残らなかった。忍が怒ってた気がするけど、実感がない。それくらいスムーズな時間経過だ
そして12時…頃合いの時間になりベッドへ向かう
時間は昼間3人で決めた通り真夜中時
メモにあったとおりポケットには机にあった黒マジックと引き出しの奥の時計をおもむろにつっこんでおいた。部屋の明かりを消し布団を被り瞼を閉じる
俺は寝付きがいい。マジで。さらに何処でも寝ることが出来る特技がある。枕が変わろうが布団がなかろうが問題ない
というわけでおやすみ
――――――――
また今日も同じ夢を見た。理由はもう考えない。眼前にたっている光の柱へ行けばわかるからな
「よぉ。ライト来たな。2着だぞ」
後ろには鋼介がだけがいた。腰掛けていた岩から跳ねるように立ち上がる。零華はまだ来ていないみたいだな
一番に来ている所を見るともっと早くからに寝ていたのかもしれないな。遠足前の小学生か
おっ。鋼介の上に細い光の柱が降りてくると同時に光から人影が現れ鋼介を上から押し潰した
「ギャッ」
「みんないる?ライト君だけ?鋼は?」
零華の足元を指さしクッションの正体を教えてやる。零華は足の下で呻いてる鋼介を見つけると椅子の様に座り込んだ
そこでさらに気づかないふりとは…Sだな…
「鋼、遅いなぁ。まだかなぁ…」
気付いてないフリをする零華の下にいる鋼介は、じたばたすることで、存在をアピール。いやいや、喋れるだろ…
「座りにくい椅子ねぇ…と思ったら鋼、そんなところに寝てたの」
零華が立ち上がり圧迫から解放された鋼介は悪びれた様子もなく言われたので、言い返さなかった
こちらへ歩いて来る。準備は良さそうだな
「用意はいいか?」
「一言いいか…まず助けてくれよ」
鋼介は進む前から疲れた様に見えたが完全に無視した。こんな調子で俺達3人は柱を目指し始めた
――――――――
俺達三人がいるのは昨晩旅を終えた岩山の頂上あたりで柱へはまだ距離があるが、歩き続ければ今日中に着くはず
「行くぞ。あの子に会わないといつまでこんなこと続けなきゃいけないかわからない」
柱を眺めているとその向こう側には暗雲が流れて来ている気がするな。雨雲かと考えてると零華が肩を軽く叩き前を行く
「あの辺りが雨になっちゃうから、少し急ごう」
「女の子の名前を聞くの忘れんなよ」
すれ違いざまに鋼介も軽く肩を叩き、前を行く零華についていく
二人を追いかけようとした時、周りの岩場の影で何かの動きを感じ振り返る。視線の先にはごつごつとした岩が転がっているだけ。岩影に潜んでいるなら探すのは無理だな
「おい、どうしたんだよ。なんかあったのか?」
思うより近くから声をかけられ一瞬体が硬直した
「そんなにびっくりするなよ。ほら行くぞ。しっかりしろよ」
視線を戻すと何かいるような気配も動くものもない。気を取り直し山を降りることにした
―危ない所じゃったわ―
?
なんだ?年寄り臭いしゃべり方が聞こえた気がした。……気のせいか
1時間ほどかけて山を降りた。やはりあの高さの山を一時間とかありえない。何故だ?
謎はともかく制服のポケットに入れておいた時計のおかげで経過時間がわかるようになったのは助かる。まだ小高い位置にいるのだから今の内に気になる物を探しておくか…
この山に上がるための道が二本あるな。低い道で回り道か難所だけど近いか選べるようだ。ここからでは小さくしか見えないけど途中に山小屋があったみたいだ
…文化があるってことは生き物がいるってことだな。言葉が通じればいいが…
道を進もう
この山を越えた先には草原があり近くには踏み固めて出来たような道があり柱へ続いているように見える
多少、曲がっているものの草地を行くよりは良かったので道を行く事にした
「見たところ柱までは10キロほどだ。4時間あれば着くな」
?…さっきはもっと距離があったような?不思議な事を体験中だ。追加があってもおかしくない
時計を見ると12時50分を指していた。深夜の時間だが昼間の様に明るいし、周りの見通しも良い
そのなかで暗雲が迫っていることと柱以外に遂に気になるところを見つけた。道なりに進んだところの脇に石造りの小さな建物だ。こちら側に扉は見えない
高さは…作り的に微妙でちょっと高さがある家だ。屋根が高いがおそらく一階建てと思う
屋根の一部から何かが突き出てるのが見えるが、そんなものは煙突以外にないだろう。っていうか煙突だ
裏には冊と大きな木がある
家畜でもいるのかどうかと言ったところか?
この家についてはこんなもんだな。ただ辺りには他に民家はない。一軒だけポツンと建っている。不自然ととるか多方面への中継点ととるか…
「近くまで行ったら中の様子を見よう。用心のため、あの丘からな」
建物を覗くのに絶好の小さな丘がある。それを指さして言った
―――
道を行く間、退屈になったのか鋼介は何かと話しかけてくる。正直うっとうしい
「おいライト 彼女はいないのか?高校生がそれじゃあだめだぞ」
「女の子は積極的な男に弱いんだ」
「おいライト――おいライト…」
「うるさいわねぇ!だからあんたはだめなのよ。くだらないことをべらべらと。」
我慢できなくなったのか零華はイライラしている 多少声が上ずり早口になっている
その後も説教され続けたので鋼介は居心地が悪くなり少し離れて歩き、零華は反省したらしい鋼介から離れこっちに謝りに来た
「ごめんね。あのバカが迷惑かけて。あ、私はいつもはこんなのじゃないのはわかってね。ただ鋼が―――」
分かったのは頭がいいか悪いかだけがちがう似た者同士の二人だということだった
「あ、ごめんね。私ばっかり喋って。ライト君もなんか話してよ」
知りあってまだ短いので道ながらにお互いの事を話すことにした。一本道で警戒するようなこともなく、ひたすらに暇だったからだ
で、わかったことは鋼介も零華も一人っ子で幼稚園からの幼なじみである。零華は美術部に入っている。鋼介は当たり前の様に帰宅部だ。昔は空手をしていたという疑わしい話
俺は……特になかった。ただ勉強をしてゲームをしてテレビを見てゲームをして夕飯を作り食べゲームをして風呂に入りゲームをして寝る。多数あるゲームはつたえてないけどそれだけだ。零華は夕飯を作るという部分に食いついてきた。
「へぇ!じゃあ今度ごちそうしてよ」
「あ、俺も」
むぅ、食費はどうするべきか…
「妹がいいって言えばな」
質問攻めにあい、目標とする地点に到着する頃には疲れてしまった
俺は建物に早く行きたいんだけど…
一方的だった質問を終り、ここからは静かに向かう
元々静かで何もない場所だ。実際隠れる場所もそうない。リアクションがあった時すぐにバレるかも知れないので逃げる準備も忘れず言っておく
丘に陣取ると零華の呼吸が整うのを待ち頷きあう。建物は丘の上から良く見えるし建物から丘は見えにくいので好都合だ
まずは確認だ。三人は顔をだし、覗くけど気配読みなんてできない。ここでいってるのは物音とかの事な。普通の高校生に期待しないでくれよ?
「…だれもいないのか?」
鋼介…もうちょい静かに頼むぜ
「見に行ってみる?」
いや、慎重にいきたい。二人を制止し近くにあった石を建物に当たるように投げた
石は建物の窓近くに当たり地面に落ちた。少し待っても誰も見に来ない
もう一度試したが結果は同じだった
「居ないね。勝手に入っちゃう?」
ここまでやって人がいたら仕方ない。いたらいたで謝ることにしよう
頷き正面から出る。玄関の扉を叩き再確認
「………」
反応がないので扉を開けてみる
―ギギギギ
扉は軋むように音をたてて開いた。土と埃と鉄の錆びた匂いがする。本当にそれだけだ。その家その物の匂いや生活臭の一切が感じられない
やはり中にはだれもいないみたいだ。普通なら、この音で確認に来るはずだし
いたずらに鋼介が申し訳程度の大きさのノッカーを叩くとむなしく金属の響く音がした
いたずらに音を鳴らす鋼介の頬に強烈のビンタ。パチーンといい音が響く。こっちの方が気づきそうな音だ
頬を押さえてしゃがみこむ鋼介。うん。痛いと思う。でも慰める気は無い
手首のスナップを利かせた素晴らしいビンタだったからな。零華に賞賛を贈る事にしたい。心の中で
まあ、自業自得ということでさ。涙目になってる鋼介を他所に足を踏み入れた
「埃っぽいなぁ…」
中に足を踏み入れ内部を散策する。先頭を俺が、後ろは鋼介で形だけは零華を護るようにしておく
せめて逃げやすくするくらいはな
で、調べてみると建物内はいくつか部屋があった
建築構造基準でいうなら3LDKの家だ
奥には地下貯蔵庫付きのキッチン、寝室は簡素なベッドで最後の部屋は作業部屋のようで、織物器のような物と、その材料が綺麗に分けてあった
歩き回るとわずかに埃が舞う
家の中は生活感はあるが家主だけがいない。そんな感じだ。
「生活臭はないけど生活感はあるな。人だけが急にいなくなった感じだ…」
キッチンにある樽にはなみなみと水が入っているのを見つけた
「喉乾いた。水飲んでいいか?」
「少し待ってくれ」
樽の横にあったカップで水をすくい匂いを嗅いでみたけど普通の水だな
くんだばかりの水の様に透明だ。時間が経っている様には思えない
俺達はこれ以上検分の成果はないと判断し、少しだけ水だけ飲み安全を確かめる
「大丈夫のようだな」
たらふく…とまではいかないが、これで乾きを癒した
この家がなんなのかはわからなかったが、とにかく水に満足し家を後にすることにした
少し時間が遅れるが問題ないだろう
「なんだったのかしらね?出かけていたのかしら」
最後に出た零華が軋む扉を閉めた。寄り道した分の時間を引いても、まだ朝には間に合うだろう
再び柱を目指して歩きだすと柱の向こう側にあった雲が柱の近くの山を越えこちら側に向かってきていた
「あれ?雲だと思ってたら、影みたい」
それは雲のような浮遊感はなく徐々に迫るように進んでいる
「なんかヤバそうじゃねぇか?ちょっと急いだ方がいいんじゃ…」
「わからないけど、そうしよう。戻る時間があるにこしたことはない。二人とも行けるか?」
鋼介はOKの合図
零華はちょっとむず痒い顔?をしている。美術部には無理な相談だよな
「私、体力にはちょっと…遅れそうだったら先に行ってね」
「わかった。その時は柱で会うことにしよう」
軽いジョギング程度の早さで走りだした
制服なのが少し走りにくいが二人とも着いてくる
俺も走りながら喋れるほど体力に自信はない
なのに鋼介は余裕綽々で話しかけて来やがった
バカだけじゃなく体力バカも判明した鋼介の相手をしてられん…いやマジで無理
10分…20分と経った所で後ろから息切れした呼吸音が聞こえた
少し後ろに下がりつつも―現在は鋼介が先頭にいる。俺も息が乱れていてペースはやや落ちた―ついてきている零華からだ
「やっぱり男の子ね。体力が違うわ」
とうとう両膝に手を置き立ち止まったのを見て鋼介も止まる
「先に行ってっていったじゃない。」
「バ~カ。そんなんじゃないっての。小の方だっての」
そういって木の影に隠れた
「意外と良いとこあるじゃないか。」
零華にだけ聞こえるように言う。鋼介に聞こえると否定するだけだからな
聞かせる意味が全くない
「ホント意外ね。」
鋼介はその後もなにかと理由をつけては休憩させることにした
くしゃみやむせたはいいけどトイレ三回は無理があるだろ…
とにかく、その甲斐はあった
遂に柱まであと少しという所へ来ることができた
柱は単純に光が立ち上っているだけでなく、その内部に城のような巨大な建物が僅かにみえた
建物は大きな大理石?でできている
正面には一度に10人以上が行進しても入れるような門、城を囲う城壁は高さが6m程あった
大きな格子状の鉄製の門は鍵はされず人一人が通れるような隙間がある
彼女はここにいるといった。だから通ったのは彼女なのだろう
他にも誰かいるような事を言っていたが…
少し開いている門の片方を手で引いた。ずっしりとした重さと金属の冷たさを感じたが構わず門を開く
「勝手に入る気か?怒られないか?」
鋼介は恐々と門をくぐり入ってくるが前には出てこない
「いいから。ここまで来て怖じけづくなよ」
「鋼の恐がり…」
「なんだよ。人が心配して言ってるのに。もういい、先に行く」
大股で歩く鋼介を先頭に正門前を歩く
まさに単純とはこいつのための言葉だな
俺達は光る城の中へ入っていった
城の中へ入ると玄関口に縁が鉄で枠どられた大きな木の扉があり、やはり僅かに開いている
そういえばだけど、光ってたのは城の外部だけ、内部は通常の照明がついてる程度みたいだ
電灯はない。どうやって明かりをとってるんだ?
入った以上引き返す気はない
木製の扉を開け中へ―一応まだ逃げ道も残しておく意味も込めて扉は開けておく―入り辺りを確認する
城の中へ踏み込むと一歩目で足からの感触が変わった
足の下には絨毯があり―絨毯は一定の距離に金の糸で刺繍されていた豪奢な物だ―足を優しく包んでくれた
刺繍が何らかの印であるのだろうが全く分からないので先に進む
「あ…」
零華が小さく声を出した
「…どうした?」
「体が楽になった…かも」
また不思議効果か
なんか刺繍が気になるな
これの効果か?
とにかく零華の足取りが軽くなったので逃げる準備も万端だ
赤い絨毯は一直線にひかれて奥へと三人を導いていく
もちろん他にも部屋はあるが迷ったりするのはごめんだ
だからと言ってやはり余計な事をする奴が一人
「開かねぇ…ふん!ふんっ!」
鋼介が扉を引くが開かない。びくともしないようだ。強く引きすぎたのか取ってから手が滑り後ろにコケた
「ぬあぁ!あて!」
転がって後頭部を打ったらしいな。良い気味だ
「なにやってるのよ。さっさと行くわよ」
零華の冷たい視線に晒されしぶしぶ列に戻ってくる。扉には〆O々〒%OL %OO€と書かれていた。読めん。この文字がこちらで使われているとすると全く読めんな。
今考えても仕方ない。後回しにしてしばらく真っ直ぐに進む
一応他の文字があるか調べておいたけど扉くらいにしか無かった。
他に目に付くのは絨毯の周りに幾つもの花瓶と鎧くらいだ。本物の城だ。そういった雰囲気を出している。
ただ本物の城だけどまた不思議事象が起こってるかもしれない
何回か曲がったけどなかなか先にたどり着けない。というか、ここさっき鋼介が開けようとした扉じゃないか?〆O々〒%OL %OO€と書かれている
―ぬっ、忘れておった―
また年寄り臭い喋り方が聞こえた。若い女の声にも聞こえるな。誰かいるよな…絶対。
とにかく足を止めずにまた進み続け角を曲がると階段があった
階段を上がり二階へ上がる
絨毯は階段前で一度終っていて二階から違う色の絨毯が始まりある一部屋に続いていた
左右にも一つずつ道といくつかの部屋があるが今はおいておく。不必要でもあるな
なので今度はすぐに着いた
外観から見た感じと歩いた感じでの距離は全然違った
やはり一階では不思議効果―おそらくループ―が発生していたらしいな
玄関戸よりは小さめだが鉄だけでなく所々金があしらわれた扉だ
「準備はいいな」
聞いたのは心の準備
その問いに頷く鋼介と零華。右側には俺が、左側に鋼介が扉に手をかけ開けた
―――――――
中には奥に続く絨毯
左手側には窓、外には広めのバルコニー
一番奥には2つの玉座があった
左側には例の彼女が、肘掛けに肘をついて顎を支えながら寝ていた
右側は天臨学園の中等部の制服だけど、下を向いて寝ていたので顔はわからない
「おい、起きてくれ」
まず彼女を起こす事にして事の全てを聞いてみよう
学校とは違い左右に分けた前髪がこめかみを通り後ろ髪を頭の上で纏めている
眼鏡をしていない方が俺は良いと思う
こっちが本当の姿なんだろうな
なんで普段は地味な格好してるんだ?
「ようやく来たの。ようこそ神々の砦へ」
幾つかある柱の影から黒髪のロングツインテールの女の子が出てきた。さっきから聞こえていた年寄り口調の話し声はこの娘か
モノクロな今時のアイドル衣装を着ている。短いスカートだな。少しめくれたら下着が見えるのに
うん。かなり可愛い娘だ。黒髪に。赤い……瞳だって?日本人じゃなければ外国人でもなさそうだ。この娘がこの不可解な現象を起こした張本人なのだろうか?
ノースリーブの白のシャツを垂らし首もとに兎のピンバッチをつけてる。歳は……不明だ。年下の気もするし年上の気もする
赤瞳の娘が玉座に行き彼女を起こそうと肩を揺らした
「う〜ん」
玉座に座っていた彼女が伸びをして立ち上がり玉座の後方に置いてあったらしいタオルで顔を拭いた
立ち上がって後ろを見た拍子に後ろ姿を見た
纏めてる髪がポニーテール―とは言えないが近い―なのでうなじが目に入った
俺ってうなじが好きだったりするからな
ちょっと可愛いじゃないか。10ポイント
ああ…間違えた話に戻ろう
彼女はまだ寝たりないのか欠伸をした。でも寝ながら寝るってどうなんだ?
「この椅子すごく気持ちいいんですよね。ふあぁぁ」
もう一度欠伸
気だるそうな彼女に尋ねる。面倒かも知れないがそこはちゃんとしてもらおう
緩んだ顔から真剣な顔に変わった