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小さな友達——ライト

 自分の世界帰った次の日、空はどんよりと曇り太陽は見えない。いつも通りに外は学生が流れているし車やバイクがひっきりなしに目的地へ走っていく


 久々の日常に昨日までが嘘のようだけど、やはり紋章はあるし、エルブレイクスの存在もなんとなく分かるので現実だと思い知った


 朝、俺が起きると忍は既に登校したようでいなかった。ただいつものコーヒーとトーストは作ってから出てくれたようで朝食にはありつけた。


 部屋に着替えに戻ると昨日の事を思いだす


 向こうの世界、魔神、神の獣、恵の部屋に、誕生日、シャワー…、横ち…


 横道に逸れたな…思考を頭を振って戻す。いや…戻れって


 はぁ…新しい力とそのリスクいきなり魔神戦で使うには危ない気がする。どこかで試してみる必要があるな


 そういえば何処かの商路に魔物が巣くっていたって話があったな。予行には丁度いいかもしれない


 準備を済まし頭を学校に切り替え俺も学校へ向かうことにする


「よう、ライト」


 鋼介が玄関前の敷き石に座り込んで待っていた。まだ眠たそうな瞼をこじ開け学校へ行くようだ。こいつ通学路こっちだっけ?


「目を覚ましてやろうか?」


 手のひらに見えるほどの電流を作り鋼介に触れようとすると、ボクサーのような反応の早さで逃げた。電撃は与えてないけど目はしっかりと開いていたから眠気も飛んだことだろう


「なにすんだよ。ひでぇな」


「冗談だよ。学校、遅れるぞ」


 鋼介の横をさらりと抜け通学路にでる


「紋章の力ってすごいぜ。一晩使ったらあのアザもう治っちまった」


 カッターシャツの腕を捲って腕を出すと青紫だった腕が今は異常はなくなっている。今夏服のはずだろ?もしかしてこの時の為に腕を隠してたのか?お前バカだろ。近寄るな暑い


 そういや俺も火傷に切り傷、擦り傷、打ち身、いろいろな怪我をしていたけど今は一つもない。知らぬ間に完治していた


 そういえば、と前置きして次の話に切り替える


「昨日、お前に勉強を教えるように零華にいっておいたぞ」


「………。マジでか。零華は鬼だぞ……」


 マジでか……御愁傷様だ。普段からバカなのが悪いと自分を呪ってくれ


「ん?」


 周りはさっきより急いでいる気がする。人の量も減っているが……今何時だ?


「なぁ鋼介」


「ああ…」


 嫌な予感がした。遅刻ギリギリのようだ。横を通るこの生徒が最後だとばかりに後ろにはだれもいない。今日は目覚まし時計と対面してなかった。サボって寝てるんじゃないのだろうか?


「このリーダーはいつまで寝るんだよ」


「気付け、もしくは時計を持っとけ」


 紋章を使って走る。必死に走る。坂道すら普通に走るより速く走る事が出来る紋章の力はすごい


 だから学校までなんてほんの数分で着くんだけどさ。運命はどうしても俺達を遅刻にさせたいようだ。遠くで悲鳴が聞こえた。何故真っ直ぐ登校させてくれない


 確か運命は星が決めているんじゃなかったかとふと思う。迷惑かけるなよ


「やめてよ!」


 そんな事考えてる余裕はないな。女生徒が何人かの男に絡まれているようで、抵抗の声が聞こえた


「見てみぬ振りは出来ないよな」


 鋼介は声の聞こえた方に走っていった。もう、遅刻を気にしてる状況ではないな。まぁ説明すればよさそうではあるけどアイツがいるしなぁ。ダメそうかも


 遅刻か……


「仕方ないな」


 俺も駆けつける事にした。ただ道を行かず塀に上がり、屋根へ移動。上から接近することにした。正面は馬鹿に任せよう。本当いつもいい囮役だな


 そう遠くはないけど、少しずつ声が遠くなっているな。どうやら連れていかれそうになっているらしい。登校、出勤のひと気がなくなっているこの時間を狙っていたのだろう


「いやぁ!離してよ!」


 屋根から遠巻きに現場が見えた。女生徒は天臨学園の生徒で恵と同じ制服から一年生だというのがわかる…けど、立て膝でもしてるのかやけに低い位置にいるな


 先に行った鋼介があと数十秒でつく


 相手が一人じゃないから正面は鋼介に任せて後ろから攻めるほうがいいと判断し素早く回り込む。卑怯とかいうなよ。数人で囲んで拉致ってるやつらの方が悪いんだし


 この際強めにやっとこう。また来たりとか面倒だしな。骨の一本くらいガタガタ言うなよ?


「おい、お前ら、その娘を離せよ」


 鋼介は女生徒達と接触できたようだ。大声で相手の撤退を促し、位置を教えてくれている。これで多少大胆に動いても鋼介に目がいってて気付くことはないだろう


 で、女の子は…あれ?男の陰で見えないぞ。あ……いや、いた……ちっさ!!


 めっちゃ小さい子だ。これ……完全な犯罪だぞ……いや、最初からそうだけど……あ、でも恵と同じ制服だし小学生って事はないか。よくわからん


 紋章を最大に使い屋根から屋根に飛び移る


 言い争いが始まっているが無視


 そのうち男達の一人が鋼介に突撃していくのが見えたがそれも無視。馬鹿だけど馬鹿にすると痛い目にあうぞ


 女生徒は鋼介が殴られる場面を想像したからか目を瞑ったけどそうはならない。期待を裏切るように鋼介の無様な声は聞こえず聞こえたのはただドサッという何かが地面に落ちたような音。


 恐る恐る目を開く女生徒が次に見たのは自分を囲んでいた男達と鋼介に向かって行った男が倒れている光景だった


 その奥に鋼介が、真横に俺が立っているのを見た


「無事か?」


 女生徒に声をかけると同じ制服だったからか安心し俺の腕にしがみついてきた。怖かった様子が伝わってくる。助けた女生徒は背が低く忍よりもさらに低い


 少し灰色がかった髪を左右でくくったツインテール仕様だ。背のこともあるがやたらと子供っぽく見えるな


「俺達が偶然、遅刻しそうになってて助かったな」


 俺達は女生徒に歩み寄る


「大丈夫かい?一年生」


 本人は多分、自分では格好よくきまった…と思っているだろうが、女の子は俺を見ていた


「ありがとうございました。えーっと」


「俺、騎土鋼介…」


「通りがかっただけだし、気にするな」


 俺は鋼介の話を切り、学校の方を見る。忘れてないぜ、学校


「じゃあな、先に行くぞ」


 女の子の腕をほどいて学校への坂に向かう


「おい、待てよライト!」


 鋼介は名残おしそうだったけどしるか。女の子はすぐに動けなかったから、その場から立ち去る俺達をただ見送ってた



 ……彼女が遅刻決定したことだけは分かった


 お礼とかしないでくれると助かるんだけど…目立たない意味で


――――――――――――――――――



 遅刻だ。それは正門を通ればと言う意味だ


「こういう時も役に立つな」


 授業が始まるまで5分を切っている



 正門をぬけないことを前提として教室から近く、誰にも知られない所から侵入する。もちろん学校には塀があるけど紋章を発動させて飛び越えた。この身体能力には、ずるいものがあるなぁ。別に体育とかに使う気はないからいいとしよう。これでいいのだ


 学校の敷地内に入り素早く室内履きの靴に履き替える。教室に向かう階段を一気に上がると教室に戻る零華がクラスメートと供に歩いている


「おはよう鋼、ライト君」


「おはよう」


「よおっ!とにかく通してくれ」


 零華率いるクラスメートの左右を走りながら避け教室を目指すと奥の方から教師が見えた。彼が教室に入り出席をとるまでに座って教科書を用意してればオッケーなのだ


 移動する生徒をかわしきり、扉に手をかけ一気に開くと、教室の中のクラスメートは注目してくるが気にせず席に小走り


 俺の席は正面から見て窓側の前から4つ目、鋼介はその右斜め前に滑り込む。ようはギリギリセーフで間に合い、教師を迎えることに成功した


 出席をとる間、俺と鋼介はずっと息が切れて、机に突っ伏して倒れた。塀を越えたときは紋章を使ったけど、そっからは自力だったからな。疲れたっていうよりは気が抜けてしまった方が近いか


 横目で外を見ると、見えたのは遅刻したさきの女生徒と注意する教師だった

 まぁ普通間に合わないよな



 普通に授業が始まった。テストも近いから真面目に受けていると、しばらくして地震が起こった。日本は地震大国だしおかしくはないけど、これは……


 退屈になった鋼介の足が震えている


 うっすらと紋章が浮かんでいるのだが本人は気付いていないので俺は紙をを小さく千切って丸め雷を載せ指で弾く。結構強めに行くぞ


——ピシッ!——ガンッ!


「いってぇ!!!」


 もちろんそれは鋼介の頭に直撃。地震はやんだが鋼介は思い切り机に頭をぶつけ、うたた寝したのかとクラスメートを笑いの渦に巻き込んだ


 後頭部をさする鋼介を見てると静電気が走ったらしく。いてぇと叫んだ後でこちらを見た。恨めしい目で見てくるけど自業自得である


 別に犯行がバレても構わないしな。居眠りする方が悪い。休み時間には文句を言ってきたけど、紋章を余り見られたくない―っていうか普通に地震とか起こすなよ―からだと説明するとしぶしぶ引き下がっていった


 他にも地震の原因が鋼介だと気付いた零華が文句を言いに来ていたりした。もちろんビンタ付きだ。よかったな


 新たに分かった事なんだけど国語や英語、古語までが紋章の力で理解が早いことも分かった。後で聞いたことだけど紋章は神の力なので全ての言語を操る事ができるらしい。世界を越えた先で話せたり読み書きが出来るのもそういう理由だそうだ。


 鋼介に使わせない理由がまた増えたようだ


魔物は理性が無いからか声を出してても全くわからん。むしろわからなくてよかったともいう。断末魔や悲鳴を聞きながらなんて戦えないからな。人だけでオッケー。


 いや、でも向こうでは紋章OFFでも人と会話できたよな。紋章があればいいのかな?


 結局、授業もほどほど。教師もさっさと終わりを告げチャイムと共に昼休みとなった


 クラスメート達は散り散りに去っていく。残っている人数も数えるほどだ。鋼介はいつも一緒に食べている友達に断りを入れ俺の所に来ると零華も弁当袋を引っ提げてきた。零華は自炊してるのか……それなのに俺にごちそうしろと言ってたのはどっちが上か知りたいからだろうか?比べるまでもないと思うんだが……何故か俺が作ると一味足りなかったりするんだよな


 普段接点のない俺と机を並べ昼飯を食べに来るものだから注目されてる。見てないでさっさと食堂にでも行けよ。


 ……誰だ。ボッチじゃなかったのか、とか呟いたやつ


「はぁ」


 昼食に戻ろう……先ほどの地震の文句を言われている鋼介を眺めながらパンを食べる。とくに俺に振る話題ないならここに来なくてもよかったんじゃないか?


「お~いライト!」


 誰だよ。こいつら以外に馴れ馴れしい奴。入り口から呼ぶクラスメート


 ……ホントに誰だ?見覚えがないな


「かわいいお客さんだな。紹介しろよ」


 悪いな。全く見覚えがない奴には紹介できん。もう少し影を濃くしてから出直してくれ


 教室の入り口に二人の女生徒がこっちを見ていた。一人はよく知っている。恵だ。弁当袋をやはり持っているから初めから食べる気で来たのだろう。零華が呼んだそうだ


 もう一人も知っている。今朝遅刻した女の子だな。今朝と変わらず小さい。


 二人は教室を見渡し俺達を確認すると席に来る


「ライトさん、この子知ってますよね?」


「ん、ああ、今朝ちょっとな」


 恵の友達のようだな。妹とか後輩の線は無しと……小学生じゃないんだな


「この人だよね?」


「うん。あってる。恵、ありがとう」


 恵の影から前に出てくる


「えっと、今朝はありがとうございました」


 零華は横で不思議な顔をしていたので鋼介が教えていた


「私、長谷川瑠依っていいます」


「輝山ライトだ」


「俺、騎土鋼介。よろしく」


「青山零華よ」


「自己紹介も済んだ所でご飯一緒していいですか?」


 俺と鋼介は椅子を引き、自分の席を中心にするように座る


「なんか格闘技とかやってるんですか~?あいつら結構な人数いたのに?」


「いや。テレビでみた当て身?をちょっと強めにやっただけだよ。一人失敗してたしな」


 声を出せないくらいやったのは悪かったけど不良相手に謝らないぜ。向こうで人攫いは重罪です。こっちもだから相応の対処をさせてもらった


「瑠衣ちゃん…俺は俺は?」


「あ、はい。すごかったです」


 棒読みだな


「輝山先輩は?」


 何かむず痒いな。でもなんかテンションあがるな。後輩の恵は最初からさん付けだし、忍は妹だ。そういう展開はなかったから新鮮だな


「瑠衣ちゃん。ライトさんでいいんだよ」


 おいっ!!!!


「それにしてもいつ知り合いになってたの?」


 お弁当をつつきながら話しやすいのか恵に話しかけている


「5日位前かな」


「結構仲も良いし、息も合ってるよね」


 最初は鋼介、後は零華だ。二人とも食べ終わり、飲み物を飲んでいる


「付き合ってるの?」


 ストレートな質問に回りは固まる。すぐに硬直が解けたのは恵だ。零華は目を丸くし、鋼介は吹き出した。きたねぇな


「付き合って……ないよ。………………………………………………………まだ」


 否定する言葉を言ったけど最後何て言ったんだ?声が小さくなっていったからわからなかった


「ん?」


「ん?」



 視線が集まり恵は時計を見るなり用事があると出ていってしまう。動揺して逃げたようだが、古典的だ


 本当に何て言ったんだろ


 瑠依も後を追い出ていく。退席の挨拶は忘れない


「恵と仲よくしてあげて下さいね~」


 耳打ちして追加の言葉をかける瑠衣


「あの娘、奥手だからリードしてあげて下さいね」


 教室の入り口で手を振って別れ恵を追いかけていった


「なんて?」


鋼介が飲んでたのはパックのカフェオレだったみたいだ。甘い息をこっちにむけるな。気持ち悪い


「リードしろって」


「ライト君はどうなのよ?好きなの?」


 零華はレモンティーだった。あとストレートだな


「さっき言ってたろ。まだ5日しか経ってない。それでいきなりどうこうなるのか?」


「女の子は運命って言うものを信じてるものなの」


自分ではわかっている。好きか嫌いかなら好きなんだろう。でもな〜。俺、恵も好きだけどルナマリアもいいなって思ってたりする。二人に言わないし、ルナマリアに告白する気はないけどな。相手女王になるんだぜ。無理だろ。


「二人はどうなんだ?それこそ俺達よりもわかりあってる感じじゃないか」


 これ以上は踏み込ませない為に話の矛先を変えてみると、二人とも目を合わせ沈黙



 ふっ。作戦は成功した。ちょろいぜ


 でもずっと黙っているのも変な雰囲気になるので話題を変えてみる。昨日の話でもしよう


 新しい力、エルブレイクスを得たことでその力を試しに商路の魔物退治にでることを伝えた。メンバーは俺と恵、忍の三人だ。あと確認してもらう奴…ルナマリアにも報告する必要があるし…リアンとかいったっけ、あの子はルナマリアに信頼されてそうだし二人になる時間も多いだろうしちょうどいいんだけどな


 頼んでみるか


 鋼介と零華は留守番だ


「分かったわ。まあ、鋼の事は任せて」


「あ~あ。俺も行きたかったなぁ」


「赤点とったらそれどころじゃないだろ」


 チャイムが鳴り昼休みが終わろうとしている。ちらほらとクラスメートが戻ってきてるな。終わりぎわに教科書を用意してるとさっきの影の薄い奴が話しかけてきた


「おいおい……誰と付き…」



 無視だ



————————————————————



 本日のホームルームが終わり教師が出ていくと生徒達もすぐに帰宅の路についていく。俺は同じように教室をでて行こうとするのだが鋼介と零華が扉の前で立っている。共に下校をするつもりなのだろうか?目立つんだけど。


「どうしたんだ?」


「今後の大きな流れを聞いておきたいわ。ちゃんとした計画をたてたいの。文化祭の事もあるし」


「まず夏休みの初めの週だが、他の国王を招いて即位式。葬儀だ。俺達はルナマリアの護衛を言われているのは覚えているな」


 恵もホームルーム終了後駆け付けて来ている。メールで呼んだのだが鋼介達がいるのを見てがっかりしていたが今は気を取り直して聞いている


「はい。でも、いいんでしょうか?やっぱりお城の人がしたほうが…」


「そこは姫がなんとかすると思うぜ~。俺達の方が安心なんだろな」


 鋼介が関心なさげにいう。机に足をかけ椅子をぐらつかせながら聞いていた


「そうだな、それは深く考えなくていいだろう。心配なのは重要人物が多いことだ。魔神の攻めるチャンスでもある」


 まだ一体も倒せていない魔神。何体くるのかわからないが俺達は最悪ルナマリアを逃がすことは考えておかないとな


 国を亡くす可能性は摘み取る必要があった。拠点を無くすのは困るのもあるし友達であるルナマリアを死なせるのもイヤだ。


 次に魔神も来ること無く式も終えた後は軍備編成がある。父王の仇は早い内に取ろうとするはずなので夏休み中~年内で再度の出兵が予測される。初めての魔神戦となるだろう


 イクス(エルブレイクスでは長いのでイクスと短い名前に変えた)の本格始動の時でもある


「倒さなきゃ災厄に見舞われるんだもんね…しっかりしなきゃ」


 手帳に色々書いている零華、スケジュールとか必要な事でページが埋められていく。とりあえずは夏休み中のスケジュールだ。詳しくはルナマリアを交えて話す事になるが今のところは全部話せたと思う


「俺達だけで攻めないのか?」


 椅子の背もたれを正面に座り直した鋼介が問いかける


「やっぱり犠牲になる人が気になるのか?」


 鋼介に目は向けず質問を返す


「それは作戦次第だ。ルナマリアは俺達の力も計算に入れるだろう。代わりに作戦会議には俺達もでる。無駄な犠牲を避けた戦いを提案しよう」


 恵の広げていた地図には平原に丸が着いている。基地があるところだが他には何もない。下がれば岩山も川もある


 王は実直な騎士精神をもっていたのだろう。真っ向に挑もうとして、そして不意討ち、奇襲に敗れた


「新しい紋章術でも考えておいてくれ。どんなのでもいい」


 兵力すら把握できていないからろくな案も出ないのは分かっていたが戦争で頭を占めて欲しくなかった苦肉の策だ。目先の目標は自分達の戦力の分析と向上にさだめることにした




 翌日も事も無く学校を終え時間は更に次の朝。集めておいた時計を持って俺の家に集まってくる。恵達は化粧品も多くもってきている


 最後に来たのが恵で皆が集まったのだが一人多いな


 小さいリュックを持った私服姿なのだが、今、瑠衣——長谷川なんてやめてくださいよぉ~とか言ってきて名前を勧めてきたからこうなった——がいる理由がわからない


 知っていそうな恵を見ると申し訳なさそうにこちらを見ては床に目をやっている。聞けば学校にいるときに携帯を覗かれて、何処かに行くと知られてしまったらしく、瑠衣も深くは考えず一緒に行くつもりにしたそうだ


「どうしますか?気絶でもさせますか?」


 さらっと怖い事を言ってのける恵の手の甲は紋章が浮かんでいる。おいおい…友達殴る気か?


「ん?」


 瑠衣は一人浮いた状況に気付いていない。ただ親友が【気になる男】と旅行程度に考えているのだろう


「置いて行くと恵との関係がわるくならないか?」


「いいじゃん。連れて行ってあげれば?紋章あればとりあえず平気だって」


「鋼!」


 今後の責任を感じていない鋼介を零華が諫める


「恵。決めるんだ」


 恵に決定権を渡す。それは連れて行くのも行かないのも友人としての恵の責任を知って欲しかった。


 恵はしばらくうつむき目を閉じ考えて結論をだす


「分かりました。瑠衣ちゃんは私が責任を持って守ります」


「分かった。少し待つ。紋章処理と話をしてあげてくれ」


「分かりました」


 瑠衣の手を引いて俺達から離れていった


 別に離れる必要なかったと思うけど…


 恵はまず話から始めるようで、瑠衣も冗談半分で聞いていたが術の話になったのか、二人の間に火球を作り出しては瑠衣を驚かせた


 驚いた彼女は次に目付きが変わった。何かキラキラしたものを目から発している。魔法に対する期待だ。紋章処理をしようと黙示録を出すと早くとばかりにソワソワしている


 そんな瑠衣を見ていると恵がもう一度了解を得るかのように視線を送っていたので頷くと瑠衣の手を取り紋章処理を施した


「水…かぁ。ほんと全員バラバラになりましたね」


 瑠衣の左手は青く発光している紋章がある。他の五人と違うのは経験と武器の有無。必ず誰かを着けなくてはいけないところか…


 単独行動は今のところ予定はないのでいいだろう。今日行くにしても零華に任せるか?


「ルナマリアが待ってる。行くぞ」


「場所をイメージしてくださいね」


 前回と同じように鍵に紋章の力を注ぐと再びゲートが現れ現実への扉が開いた。扉の奥、遠く見える出口はどうやら借りている宿のようだな

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