表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/87

王都到着——ライト

 山を降りると、また、平原だ。昨日と違うのは道の先にエルゲニア城が見えている


 日は落ち、辺りは既に暗いが代わりに月が照らしてくれる道は王国へと伸びていた



 時刻は腹時計計測で9時を過ぎていたが実際時計のない俺達には細かく知るよしもない。忍のスマホもバッテリーが切れたらしく画面は暗いままだ。さっき鋼介がゲームアプリを使わせてもらってたみたいだからそのせいだろう。馬引きの刑にでも処そうか?


 とにかく街へは10時前(予測)に着くだろう


「皆、街に着く。今日は宿を取って明日から本格的に行動しよう」


 人の気も知らず鋼介は寝ているし、俺も馬車を動かし続けていたので体が少し痛かった。ストレッチでもしたいけどもうこのまま行ってしまおう


 遠くに見えるエルゲニア城高い城壁に囲まれ月明かりに照らされていた


 神々の砦とは違う明らかに人が作り上げた物だと思うと人の力に感動するものがある。何万人分、何百年分の積み重ねた歴史を感じる。うむ、城って良いな


 最後のカーブを曲がり後は街道を一直線に進むだけだ。この道の先には大きな門が見えた。街へ入るには門を潜らなければならないようだ


 街を守る大きな門の前には50メートル辺りから等間隔に松明が置かれ、道を照らしていた。毎日こんなに火を焚いているのだろうか?国民の血税をなんだと思っているのか聞くべきだろうか?俺は払ってないけどさ


 松明に照らされた道を行くと、城壁の上から光が差し込む。火の光を反射させて照らし俺達を確認しているようだ。


 まだ距離はあるけど門が開いていく。問題ないと判断されたらしい。馬車一台分開けられた間から街に入ると警備隊が疲れた顔を見せる


 交代前なのだろう少しボーッとしている


「冒険者か?門はもう閉じる。今日は宿でもとって外に出ない事だ。もし宿が取れないのなら冒険者ギルドで部屋を借りるといい。なんとかしてくれるだろ」


「わかりました。他に注意しとくところはありますか?」


「…君達の中に亜人はいないよな…なら問題ない」


 俺や馬車の中を覗き込むと興味なさげに距離を取った


「亜人?」


 零華が聞き返そうとする。やっぱりそういうの疎そうだしな


 獣人とかエルフ、ドワーフとかがよく名前がでるよな。俺はわかってるし後で説明しとこう


「わかりました。宿に向かいます」


「街の掟だから夜間の外出は控えてもらう。いいな?あと入都金が五人で銀貨10枚だ。払えるか?」



 うなづくと財布から銀貨を取り出し渡すとろくな確認もせず欠伸をしながら見張り台の中へ帰っていった


「こんな時間に来るなよな」と言いながら持ち場に帰っていく。解らなくないけど、いちいち言うなよな


「聞いた通りだ。宿へ向かおう」


 街中に馬車を走らせると路地裏には貧困層の人間だろう。ボロボロの布だけ被ったような人達が明かりを避けるように蠢いていた。その中の一つがある建物の裏口のゴミ箱を漁っていた。治安が不安だ。しかもその建物が宿なのがさらに不安を呼ぶ。防犯的なものは大丈夫だろうか


 表に周り馬車を停める。宿の一階は明るく、営業中であることを知らせてくれる。主人に事情を話すと小間使いを呼び馬車を馬屋に運んでくれた


 おおっと!聞いたそばからか。フラグたってたみたいだな。俺が見ているのは少年。ただし犬耳があるし尻には尻尾が生えてる。残念ながら俺は変態紳士じゃないから萌えないけどな


「こんなに遅くまでお疲れ様です。騎士様」


 主人は頭を下げ宿内を案内してくれた(たださっきの犬耳少年はどこかへ行ってしまった)


 気を取り直して寝ていた鋼介を起こすとチェックインを済ませにカウンターへ。銀貨を多めに渡し数日間の滞在を告げ2部屋借りる


 もちろん男部屋と女部屋だ。村の雑貨屋でコボルトの剣を売り払った分でまだまだお金に余裕はある。日本と違って料金が部屋に対しての金額なのは助かる


 一旦部屋で休憩する事にし、その間に別料金を払い宿の備え付けの食堂で残った材料で出来た料理を作ってもらう


「ねぇライト君。なんで亜人の事聞こうとしたのに話を切ったの?」


「ん?やっぱり零華は解らないか?みんなは?」


 知ってると答えたのは鋼介と恵だった。忍も知らないのか?


「亜人っていうのは人型だけど人間じゃない人の事ですよ」


「猫耳の人とかもそうだろうけど人型の猫も亜人に含まれると思う。獣人とかさ」


「ファンタジー様々だな。牛の亜人ってやっぱり大きいのかなぁ!うしし」


つまらん。俺はエルフ派だからだ。やはりエロフだったりするのだろうか?あの笹穂耳を触りたい。クニクニしたい。言わないけどさ


「最低」


 零華がとても冷たい目で鋼介を見てた。恐い。口に出さなくて助かった


「まぁ鋼介が最低なのはともかく、亜人はここじゃあまり歓迎されてないみたいだな。門番の反応で分かる」


―コンコン


「失礼します」


 説明に一段落ついたところで部屋の扉が叩かれた。声からするとさっきの小間使いが料理を持ってきたようだな


 開いて部屋に通してやると手に膳を持ってる。膳には肉と野菜のいためものが湯気をあげている


「零華、忍、彼が今話していた獣人…だ」


「えっ…あ…あの…何かしましたか?」


 ビクッと体を縮こませ恐る恐る聞いてくる。この国では獣人差別があるのか反応が激しい。


 温和な空気感を出し何もしないことをアピール。


「ああ、すまない。この二人は獣人について知らなかったから教えてたんだ。少し話してもらえないか?」


「そうですか?……あまり楽しい話しじゃないですが…」




―――――――――亜人は基本的に世界中にいるし、亜人だけの国もある


 亜人の言語はこっちで使っているものが基本。一部では独自の言語がある。エルゲニアには一般人の亜人は僅かでほとんどが奴隷である


 亜人の中でも階級があってエルフやドワーフのような人型が最も高く続いて人型獣人、一番低いのは獣人だそうだ


 ちなみに昨日のコボルトは魔物なので勘違いしないように


 エルフやドワーフは市民権を持つこともあるが目の前の少年は奴隷だ。その証拠に脚に鋼鉄製の枷がついている。


 この枷は年齢、状況、などを考慮したサイズになる。この少年の枷はまだ小さい方ので借金がそう多くないか勤労態度が良い、もしくはまだ子供である事を示している。俺が独断と偏見で評価するなら子供であり、勤労態度は良いが借金が意外と多いってとこだな


 さらにこの枷はエルフは魔法、ドワーフは技術、獣人は身体能力を一部封印、もしくは管理されているそうだ


 さすがに理不尽な暴力等は禁止されてるらしいけど、実際は無くないらしい。酷い話だ。気になるのは封印技術だ。封印技術そのものも気になるけど、魔法や身体能力を封印されたらろくな働き口は無くなってしまう事も気になる。奴隷を解放する気がないように見えなくもないよな?


 じゃあここから逃げれば…ともならない。彼らには彼らの故郷があるし、そもそも逃亡奴隷は借金の金額に関わらず死刑だ


 友達や住むところを全て捨ててまで一生引きこもる気にはならないらしい。いい主人を持てればそれが一番幸せなのだそうだ。後は解放の時を静かに待つ、そういう奴隷が多数派をしめている


 まぁ奴隷にも犯罪から奴隷になる者もいれば借金から奴隷になる者。食いぶちを減らすために断腸の思いで家族に売られる者もいる話しも聞いたことがある


 事実、目の前の犬耳少年も食いぶち減らしの為らしい。まぁ宿の主人が食と住を提供してくれてるからまだマシな部類だと彼は言った


 借金奴隷の場合は冒険者になって上手く稼げばすぐに金を返し市民権を取ることもできるので救済措置も僅かにあるようだ。


……やり手の冒険者と組めば、信用のある高ランクチームに入れればだけれども。封印されたエルフや獣人を誰がチームに入れるのだろうか?その点は考慮されているのかは不明だ。少年からはそれ以上は聞けなかった


「なるほどな…」


 俺が話をしっかり聞いているのにみんなは犬耳が気になって仕方ないらしい


「あの…それ耳…本物なの?」


 はぁ…


「すまないが触らせてやってもらえないか?」


「はぁ、構いませんが」


 曖昧な返事を返してきたけどそれは了承と取るぜ


「零華、忍、いいってよ。俺達は先に食べてるからな。満足したら食べろよ。君ありがとうな。」


 少年にチップを渡してやったら目を白黒させていた少し多かったか?モフモフに対するサービスさ。


 二人はもう犬耳に夢中だ。引っ張ったりしてるが無茶してやるなよ





さすがに尻尾を確かめるのはやめさせた。それはセクハラだぞ



 少年を解放しさっさと食事をとらせる


 今日、男は体調が悪いんだ。寝させろと言って部屋から追い出した



 そうしてお開きとなり、3日目を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ